北極亭日乗 |
平成十七年六月 |
平成十七年六月三十日(木曜)曇 朝晴れ渡りて涼やかなれば、裏に置きしプランターのトマト、庭の片隅に植へし莢豆等の様子見るに、成長今一つ勢ひ無き様なり。此の処好天にて気温も上昇、生育には申し分無き状況の筈なれど矢張り定植時、発芽期の低温影響せしか。莢豆植へし場所は土質悪しく黒土混ぜ遣りたれども、足りなんだやも知れぬ。買ひ求めしトマト苗は茎太く背丈伸び来りたれど、種より育て来た苗はひょろりと痩せて此の先の成長覚束無きやふに見ゆるなり。 莢豆の蔓這はす竹の棒長き物に替へ呉れよ、と女房殿より要請ありたれば早速に商店街に赴きて買ひ求め、交換を終ふ。蔓、竹の先迄届き呉れれば豊作間違ひ無しなれど些か不安。来月中に如何程大きゅう成るか、手入れ怠り無く成長念じて待つばかり。片や玄関フードのプランターに植へし茄子、葉大きく花も付きて素人目には順調、実生りて食すが楽しみなり。南蛮も花数多く、此の分にては収穫出来さふな気配にて、女房殿の手入れも入念に成りおるなり。 |
平成十七年六月二十六日(日曜)曇 午前九時の開店待ちて床屋へ出掛く。老ひれば髪も然程伸び来たらず散髪なんぞ不要と言ひおれども、然りとて捨て置けば見苦しき様如何ともし難く、女房に責っ付かれ出掛けおるなり。然も散髪代考ふれば三月に一遍位にて充分なるに、女房「年寄りは何時もこざっぱりしておらねば他人に嫌はれます」と言ふて月一の割合。「散髪したとて惚け頭は治らんに、勿体無き事ぞ」と言ふたとて聞き入れぬなれば、今は致し方無し。 床屋の主と先日の暑さの事共語る。鋏操りつ、主「今時真夏日に成らんでもねェ。来月のビール祭り、そうさ商店街の夏祭りに暑く成って呉れりゃあ良ひのに、去年は寒くてビールどころじゃ無かったからねェ。此の分じゃ、今年も肝腎な時に寒ひんじゃなひかひ。内地の方は日照り続きで水不足だって言ふし、やっぱり地球温暖化に因る異常気象てやつかねェ」。居眠り催しつ、我「異常気象としか思へませんが……今年のビール祭りは如何成りますか……此の二、三年暑ひ日に当たっていませんからね」 。主「一昨年なんざ、ビール祭りに出掛けて、居酒屋で燗酒飲んでたからねェ。商店街の方じゃ暑く成りそうな日を気象協会に問ひ合はして日程決めてるけどね、天気予報は当たらなひよ」。我「確かに。明日の天気だって外れますからね」。主「全くねェ……」 洗髪終はりて頭皮、肩、首筋揉み解し呉れれば居眠りしそふな脳味噌やや覚醒し来る。主、マッサージの手休めず「変なのは天気ばかりじゃ無ひね。つひこなひだの親殺し。高校一年の息子が両親殺して、瓦斯爆発仕組んだってやつ。如何成ってるのかねェ、今の子供は……。親に馬鹿にされたって、其れだけで殺しちゃふんだから……。自分の子を馬鹿にする親も親だが、だからやっちまふなんて……考へられんねェ、わしには……」。我「……」。主、無言の侭、顔を当たり呉れる。我も亦無言の侭、「高一息子の胸中我知らねど、我にも考へ及ばぬ行為なり」と思ひおりたり。「有り難う御座ひました。ビール祭り、暑く成ると良んだけどねェ」の声背に戻りたり。 戻り見れば女房外出の用意整へ待ちおりて、中元手配せねばならぬ故街に出ると言ふ。突然の話に「前より決め置きし事なれば、昨夜でも今朝一番にでも何故言はなんだ」と咎めれば、我を床屋へ送り出したる後急に決めし事なれば了解せよと宣ふ。「そふ急ぐ程の事でもあるまひ」と申せば、「思ひ立ったが吉日」と女房。「暑ひ中、人込みに出るは御免蒙りたし」と言ふたれば、「勿論御供の必要無し。留守番願ひたし」。「昼餉迄には帰り来るか」と聞ひたれば、「其の積もりなれど、昼食は自分で案配して」の返事。供の必要無しとあらば「行く必要無し」と止める必要無く、昼餉一食抜ひたとて大事無ければ、「用意整ひおるなれば早々に出掛けて、照り付ける前に戻るが賢明ぞ。さあ行ったり行ったり」と囃し立て、十時半頃送り出せり。 女房二時近くに帰り来て、「姪より電話来なんだか、訪れなんだか。家空けなんだか」と矢継ぎ早。何の事かと尋ぬれば、今日我が家に女房の姪が訪れる事をばすっかり忘れおりて、帰りの電車の中にて思ひ出せりと。惚けは我のみにて充分なるに、女房にも惚けの兆候か……と、深刻に成る事もあるまひ。度忘れ、物忘れは老若問はず誰にも有りて、人間なれば其れが当たり前。老ひ来れば程度の差は有れ人皆々認知症患ひて惚け来るものと承知しおれば、己が身己が連れ添ひに其の兆候認めたとて慌てもせず、騒ぎ立てもせず、悲しむ事も無からふ。思考力存する限り、己が行く末連れの行く末見続け行く事こそ惚けの務め。其れで良し、其れが楽し。 六時、銭湯より戻り来れば、姪の笑顔既に食卓に在りたり。聞けば、我銭湯に出かけると入れ違ひに着きしと。先の三回忌法要にて会ひおれど、産まれ落ちし時より見続け来し娘子であり、今は東京に住む両親と離れ一人札幌にて暮らし、義妹夫婦からも後見方宜しゅう頼むと言はれおる故、何かと気に掛かる娘子なれば、時々訪ね来て彼是話し呉れるが我等の楽しみであり、安堵の素にてもあるなり。今宵も食事しつつ談論風発、愉快な時を送りたり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 二十四日。昨日今日と連続の真夏日。北海道に住み居て此の時期に斯様な暑さの記憶無く、此れも異常気象の一端かと思ひおりたれば、六月の二日連続真夏日は五十七年ぶりと報じられしと妻より聞きて、然も有りなんと納得せり。然様に遠き昔の事なれば記憶に残りおる筈も無く、誰もが異常気象の表れと考へたやも知れぬ暑さでありき。晴28.7度、曇29.9度、晴30.9度、晴31.5度、二十一日より今日迄の札幌の最高気温なり。日向歩けば汗流れ来るも、蒸す暑さにてあらねば日陰屋内にては殊の外涼しく、そよと風等吹き来れば爽やなる気分。蒸し暑き四日間でありせば我、今頃は体力消耗起き上がれずに居りたやも知れず。 此の暑さに脳裏掠めたは昨夏の猛暑。七月二十三日より八月十二日迄の気温は31.9度、32.9度、30.4度、28.3度、28.3度、28.9度、31.5度、33.1度、32.2度、27.1度、30.0度、26.8度、32.1度、31.7度、30.1度、30.3度、33.2度、32.1度、27.5度、28.6度、28.4度。「心頭滅却すれば火も亦涼し」を以てせば何程の事も無し、暑ければ暑きを受け入れ同化せば苦も無き事なり、なんぞと空元気絞り出し過ごし居たれど思ひ出すだに小癪なる酷暑。今年は穏やなる夏で在れかしと念じおりたに、六月に真夏日二日続きて悪夢蘇り来たる次第。予報にては明日より平常に戻るらしも、はて扠、さふ成るかどふか。 ★ ★ 二十五日、横浜・日産スタジアム。コンサドーレ対横浜FC戦は、2−1でコンサ連勝。通算成績7勝5敗6分け。勝ち点27、順位一挙に二位とゆきたき処ながら、得失点差により五位。。 |
平成十七年六月十九日(日曜)曇 昨夜は居酒屋にてしこたま呑み、家に戻りて「父の日」なればと女房寝し後も独り日本酒、焼酎呑み継ぎて、何時に床に入りたかも覚へおらぬ体たらく。今朝喉の渇き覚へ重き頭抱へて床出でれば、時既に十時回りおりたり。プランターの水遣りでもしおるか、女房の姿見へず。冷蔵庫の冷水注ぎて飲めば五臓六腑に染み渡りて旨し。然れど「酔ひ醒めの水の旨きこと、まっこと昨夜の酒に勝るとも劣らぬのふ」と呵々大笑の気力無く、丸まり寝おる猫共の傍らにて肘枕……無様なり。呑んだりとは言へ彼式の酒、我が老ひたるを熟感じたり。昼食に冷たき蕎麦所望して、女房より「呑み過ぎ」の小言頂戴しつつ食す。 「母の日」有るなれば「父の日」も、で始まりし事乍ら、国民の祝日に制定されおる発祥地・米国と、商売の種に過ぎぬ模倣地・我等が国を比較して、はて扠、何方の家族が父親思ひなるか……なんぞと比較するは愚。「父の日」発祥国だからとて全ての父子がスマート−ドット父子である筈は無く、家族・親子の有り様は千差万別。父親嫌ひの子も居ればドット婦人が如き子も居ろふ、子育て放棄の父親も居ればスマート氏が如き父親も居ろふ。我等が国とて似たり寄ったり。親子に恩愛の絆在るは確かなれど、同時に絶ち難き愛憎の念抱へおるを忘れてならじ。悲しひ哉、其れが人。然すれば各家族、「父の日」祝ふも善し無視するも善し、勝手なれば節介無用。我は昨夜祝ふてもろて有り難く、妻に大ひに感謝しおるなり。 昼食の後、猫共の横にごろ寝為して読みさしの書籍・雑誌開きたれど、直に微睡みて読む事能わず。翌日に疲労残る程呑むは確かに「呑み過ぎ」、女房殿の小言身に染みて反省せり。一服ごろ寝、又一服ごろ寝繰り返す内、時来たりて銭湯へ出掛く。サウナに入れば途端に汗噴き出し、昨夜の酒気悉く放出されし感。帰りて夕餉の卓に向かへば、女房殿「今日は止しますか」とニヤリ。一瞬「止そふ」と言ひ掛けるをぐいと呑み込みで、「湯上がりの麦酒位はよからふさ」と二缶空け、先程食事終へしなり。今日は早寝と参らふ。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 十八日。曇天なれど温き日なればと玄関フード内の清掃為す。敷きおりしゴムマットの網目に土、塵埃詰まりて不潔見苦しければ一旦引き剥がし洗車ブラシ使ひ水道水にて洗浄後、乾燥。下地タイル面に溜まりこびり付きし土、掃除機にて吸引後、ブラシにて水洗ひしつつ水道水の勢ひ借りて流し出せり。十一時判、此処迄にて午前の部終了。下地面、マット乾く迄一時間余り。家に入りて昼餉済まし、一服為して暫しの間横臥す。午後一時、仕上げ開始。下地面をば雑巾にて拭ひたる後、マット敷きて終了。マット網目に洗ひても落ちぬ汚れ散見されたれど、緑色映へて見違へるばかりに成りたり。女房も「奇麗、奇麗」と喜び呉れ、我も満足にて作業終へしなり。 後片付け為し家に入れば、「一日早けれど、今夜『父の日』祝ひて居酒屋に出掛ける故、銭湯へは早目に」と女房。「父の日」なんぞ祝はぬでもよけれど、居酒屋にて一杯とあらば遠慮はせぬ、盛大に祝って戴きませふと二つ返事。四時に出掛け行きて、旨ひ麦酒呑まんが為汗絞り出し、今し方戻りし処なり。六時に出ると言ふに拠って二十分程時間空きたれば、酩酊せぬ内に日乗記し置かんと認めしなり。久方ぶりの居酒屋、今宵は呑まん、いざ出陣!! ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 十五日。午前中予定無く、のんびり古新聞等眺む。――諸々の社会的事象をば時系列で並べ見れば、短時に千変万化、其の流れ追ふ間も無き速さなれば、老ひの我が身には取り付く島も無き有り様にて、唯々流され行くのみの感。然らば抗はず、流され漂ひ行くばかり。漂流筏の上で二月前の新聞眺めると言ふも亦よき哉―― 干涸びて木乃伊が如き老人、一人漂流筏に寝そべりて古新聞眺めおる姿想像しつつ、腹這ひて頁繰りたり。 午後より予定せし所用有りて街へ出る。北海道神宮例大祭への人出か、札幌駅、地下鉄大通駅共に混雑しおりたり。街路に幟はためきて祭り気分盛り上げおるも、外れに住む我らの街には幟も立たぬなれば部外者の思ひして我に祭り気分無し。家にても三年前迄は祭り料理とて赤飯炊き、煮染め、時鮭の焼き浸し等作りたれど今は日々と変はらぬ献立にて済ましおるなり。中島公園には露店軒を連ねて大賑はひらしも、人込みに揉まれるが嫌故出掛け行く気にも成らぬなり。往年の祭り好きも斯くの如し……か、と沁みじみ我が老ひを…… 札幌ドームの対広島戦にて日本ハム・ダルビッシュ投手、一軍初見参。八回迄無失点、九回2ホーマー食らひ降板するも日ハム8−2で勝ち、ダ投手一軍初登板初勝利。喫煙問題にて灸据へられしが効きしかどふかは別にして、本人の才能も然るもの乍ら、入団より此れ迄の地道な練習が在ったればこその勝利。此れで慢心する事無く精進せば、大投手への道も遠くはなからふ。十八歳の若者の大成と成功を心より願ふ。 ★ ★ 十八日、福岡・博多の森球技場。コンサドーレ対アビスパ福岡戦は、3−0でコンサ快勝。通算成績6勝5敗6分け、勝ち点24。順位六位は変はらず。 |
平成十七年六月十二日(日曜)曇 縁者の三回忌法要に参列す。朝の予報にては曇り後雨と有りたれど、読経始まりたる十一時過ぎには天開け陽差し来るなり。訃報届きし日は雨にて夜には雷鳴轟きたれば、昨年の一周忌法要の折も雨心配したれども良き天気と成り、此れも仏の為せる業と語り合ふたを思ひ出せり。今法要にも身内のコウ君、東京より駆け参じ読経し呉れたり。僧侶にはあらねど、浄土真宗本願寺派布教使の身なれば御経も能くし、一心不乱入魂の読経に我法悦に浸りたり。 読経、焼香終へて会食。一年ぶりに会ふた人々と般若湯酌み交はし、近況語り合ひ談笑せる間中、遺し逝きし「人間、死ぬ迄生きる」の言葉脳裏に渦巻きて在りたり。未だ確たる答へ見つけられぬ侭早二年、愚か者の我には最期迄解けぬ問ひやも知れぬと考へつ会食を終ふ。帰り際、コウ君より『日持上人の想いを胸に 足跡を繋ぐ旅』なる自著贈られたり。節談説教東保流再興を決して布教使に転身せし彼なれど、口演依頼少なく、副業の著述にて何とか食ひ繋ぎおる始末と苦笑しおりしが、今、贈られし著書を前に、彼の大願成就を祈りおるなり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 十日。陽照り付ける前、暑く成る前に植へるが良きと朝八時過ぎ、裏の一隅掘り返し腐葉土・化成肥料鋤き混ぜたる後、残りし四株定植す。此れ迄育みし苗、実付け呉れるを願ふて水掛け遣りたり。此れにて苗植へ付け総て終了、後は実り待ちて食するのみ……と言ふても、保証無し。 午後、宅配便にて神奈川の親戚筋より筍届く。女房の好物なればと毎年送り呉れるなり。今年は先月中頃に孟宗竹送り呉れたに、今度は淡竹(ハチク)寄越したり。淡竹はエグ味無く生食しても美味なれば、我晩酌の肴に山葵醤油にて食せり。茹でたる筍の先部分をば一枚ずつ外し、山葵マヨネーズで和へし一品も中々にて、冷酒甚く進みたり。 送り呉れた八本中四本は二尺程にも伸びて、下部一尺程は硬すぎて食べられなんだ。「一本幾らの商売なれば文句は言はぬが、目方の商売とあらば許し難き背徳行為、真っ直ぐに伸びる竹を商売にする資格無し」と女房憤慨しおったが、尤もな言ひ分なり。電話にて発送依頼されし筍屋、客の見ておらぬを幸ひ食せぬ部分も入れての目方稼ぎ為し、段ボール箱に押し込みて厳重梱包。支払ひに来た客の目の前で量って、「後は送るばかりです。毎度有りー」てな具合か? 否々、のっけより他人疑ふは不遜。上部一尺は何れも同じ様な太さ故、一本幾らの商売やも知れず、硬き部分は御負けにて、節を残して切り落とし縦半分に割り遣れば粋な器に使へますとの配慮やも知れぬ。折角の頂き物、どふのこふの言はず食せる部分を有り難く馳走になれば良かろふさ――と女房宥めたれど、容易には納得し兼ねる風にて筍茹で始めたれば、後は我何も言はず台所より退散せしなり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 九日。「此れ以上遅くなりては成長覚束無し」との女房の言に従ひ、朝よりトマト、ミニトマトの苗をば裏に置きしプランターに定植す。此の処、風強き日多ければとビニールにて四方囲ひ、支への竹棒立てて苗の茎縛り遣りたり。途中、囲ひに使ふ小竹不足、自転車にてホームセンターへ走る。曇天なれど暑く、戻り来れば全身汗みどろ。女房「下着を替へよ」と言ふたれど、「作業終へし後でよし」と着続けたれば其の不快譬へやふも無く、いやはや閉口せり。ミニトマト苗四株、プランターに植へ場所無く残せし侭、昼前に作業を終ふ。夕餉の後、残りし四株の処置につき女房と話し合ひ、成長は望めぬかも知れぬが地面に下ろす事に決す。明朝にも実行せん。 ★ ★ 十一日、札幌ドーム。コンサドーレ対徳島ヴォルテス戦は、0−0でコンサ今季六つ目の引き分け。通算成績5勝5敗6分け、勝ち点一つ上げて21。順位六位は変わらず。 |
平成十七年六月五日(日曜)晴時々曇 曇り空眺めおれば、暑きに難儀するを忘れ夏空恋しと思ふ。此の二、三日、気温も20度に届かず、明け方には薄き掛け布団一枚にては寒さ感ずる程なれば、身勝手我が儘何と言はりょうふと心底然ふ思ふなり。フード内で育ておる苗も既に定植の時期過ぎ、早々にプランターへ移し遣らねばならず、芳しゅふ無ひ空模様眺めつ「青空来ひ、暑さよ来ひ」と夏空至急呼び寄せたき思ひなり。 芳しからぬは天気のみに非ず、我が暮らしぶりも同じ。扠「此の一週間、何為したるや」と問へば、はて「二日に硝子拭きて、後は……」の状態。閉じ籠もるを止め外に出で、人と付き合ひ体を使ふ生活為さんと決めしは何時の事か。情け無し、三日前の事ぞ! 曇天ばかり、気温上がらぬ――なんぞと御託並べやがって、四の五の言はず駆け出してみろひ! 我、思考停止状態か? 日々唯、三度食し湯に浸かり酒食らひて床に就くのみにて、三省せざるなり。三省せざれば思考自ずと停止す。此れ、惚けより質悪るし。反省! ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 二日。朝九時よりフード及び窓の硝子拭き実施す。昨年は五月二十七日に終へたれど、今年は五月の気温低く天候不順続きし故、今日の日と成りぬ。曇天なれど気温上昇して最高25.1度、湿度低く硝子拭きには不向きながら、虫嫌ひの女房より「網戸早々に入れ呉れろ」の催促も有り、行へり。昨秋十月初めに拭ひてより既に八か月経過して汚れこびり付き、拭き落とすに苦労せり。塵芥漁りの烏共フードの硝子屋根に置き去りし糞、梯子立て掛け不可能にて処理出来ずに終はりたが残念、烏に馬鹿にされおる心地して口惜しし。 網戸入れて、四時半作業終了。昼食一時間を挟み実質六時間半の肉体労働、老体には些か応へたれど、湯に浸かり、晩酌終へし今は快き疲れなり。元来出無精なれば家にてぐうたらし居るが多く、近頃は自転車に乗る以外体動かす事も無ければ丁度良き運動に成りたやも。酒の効きも良く、此の分なれば夜半目覚めず、久々に朝迄白川夜舟とゆきさふなり。 蟄居せば愈々爺むささ増し来ると聞き及び、外に出で人付き合ひせねば早やふ老けると女房に言はれおれども、何れも中々に苦手。己は図々しくも未だ若々しと思ひおれど、傍目には如何見へおる事か。「若ひに爺むさき奴よのふ」と矍鑠たる卒寿翁笑ひおるやも知れぬと考へたれば、もちっと外に出で人付き合ひせねばとも思ふなり。先ずは体動かすを厭はず、責っ付かれねば為さぬ家事の事共率先して為す事より始めんか。……早、眠し眠たし…… ★ ★ 四日、仙台スタジアム。コンサドーレ対ベガルタ仙台戦は、0−4でコンサ四連勝成らず。通算成績5勝5敗5分け、勝ち点20。順位六位変わらず。 |