北極亭日乗 |
平成十七年九月 |
平成十七年九月三十日(金日曜)曇 午後より我が友・孤木に会ひに出掛けたり。夏の陽光一身に受け止め、命の限り葉をば繁らせよと願ひ居たに、天辺に葉一枚も見当たらず枯死せるが姿晒しおるを見て気萎へ行くを覚へたり。然れど幹中程に少しばかりなれど塊りて葉繁りて、「我死せず。永久に此の地に緑齎さん。汝、疑ふ事無かれ」と言ひおるを聞きて安堵せり。孤木曰く「天辺に葉繁らすれば又も伐られるやも知れぬ故、中程に生命の息吹集中させ、葉繁らせおるなり」と。「おお、そうかや、其れで良ひ。愚劣な我等人間に負けるなや」と我言ひ残し、幾分気持ち和みて戻りたり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 予てより検討しおりた入院保障保険への加入決断せり。此れ迄、入院給付金日額五千円の保険に入りおりたれど、保険会社の広告見るに入院時の一日当たり自己負担費用平均一万五千二百円と有りたれば、年金生活の我等夫婦には確かに重荷。妻は「老ひの身故、必要」と言ひ、我は「老ひの身故、不必要」と言ひおりたれど、妻の「転ばぬ先の杖。月一万円余にて安心買ひましょ」の一言有りて決めたり。なれど未だ「もったひ無ひ」気してならぬなり。 尊ひ命に対し不遜傲慢なれど、我が考へは「病得て自然治癒せなんだれば其れが我が寿命と心得おる故、入院治療は不要」。我が齢に成りたれば老・病・死混然一体、老=病=死にて何の不思議も無く、「死ぬ迄生きるだけの事なれば、入院治療為してまで生き延びる事もあるまひ」と思ひおれども、妻の気持ち考ふれば我が儘な言ひ分やも知れぬ。さすれば、月一万円余にて妻に安心買ふて遣ったと思へば、「もったひ無ひ」気はせぬと思ふ様にせり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 今月一日、合併にて新「士別市」と「せたな町」誕生せしが、明日十月一日に合併の道内市町村有りや、と退屈凌ぎに古新聞調べみたれば、来年三月迄の合併市町村判明したるにより記し置くなり。
道内調べ終へ、なれば全国の市町村合併の状況や如何にと暇潰ししたれば、十月中に三十三道府県にて百八十五市町村合併為し、六十三市町村新たに誕生予定、内五十市町は明日一日発足せるらし。道外のみ以下に記す。
★ ★ 二十四日、京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技。コンサドーレ対京都パープルサンガ戦は、0−4でコンサ四連敗。通算成績13勝13敗7分け。勝ち点46、順位六位に後退。 |
平成十七年九月二十三日(金曜)雨後曇 秋の空定まらず。月曜日より三日晴れ良き塩梅と思ひおりたれば、昨日は曇天一時雨降りて、今日の「秋分の日」雨後曇りなり。何やかや新聞テレビのネタ尽きず、老ひの目には目まぐるしき日々続きおるなり。何が如何して如何成ったなど考へる暇無き有様、流れ行く事象に唯々流され行くの思ひして事の本質見極めるは至難の業。思考回路時にショートして、的確なる判断殆ど出来ぬ状況なり。斯く成れば、頼るは善悪選り分ける己の嗅覚のみ。「馬鹿たれ共が何を考へおるか」の怒り基準に諸々の事象判断するの外無し。 二十一日、先の総選挙にて大勝利収めし小泉自民党、第三次小泉内閣発足。閣僚全員留任にての船出、我等国民の望む改革為し呉れるか? 思ふが儘に法案可決せる勢力手中にして、小泉首相よ何処へ行く。自民党結党以来の宿願「憲法改正」へ一気に踏み出すか。――まぁまぁ、と我は押し留めたし。大勝利とて驕る無かれだ、小泉君。高々、小国「日本」の首相に過ぎぬ身、一層倍謙虚に成らねば何事も成らずと知れ。靖国詣での前に為さねばならぬ事幾多、如何でも参らねばならぬなれば、政界より退きて靖国の神官に成るがよからふさ。気長き老ひの身にても苛立つ事多き今日此の頃なり。胃袋痛し。 ☆ ☆ 十七日。朝より曇天雨模様の天気、午後より降り出せり。歯磨き洗顔済ませたる後もしゃっきりせず、昨日のやふな秋晴れ続き呉れぬものかと窓外眺めおりたれば、女房殿唐突に「今度は東海大四で暴力事件、新聞に出てますよ」と言ふ。駒苫事件決着見たばかりと云ふに、又もや同様馬鹿者出で来たが情け無く、秋季大会札幌支部予選Cブロック優勝為して道大会出場決定しおるに、何を仕出かせしかと少なからぬ怒り持ちて新聞手にせり。 新聞報道に拠ると同高野球部にての暴力沙汰は、1)八月五日、練習試合メンバーに漏れ不満の態度見せし二年生部員の顔面をば監督が平手にて二回殴る。2)六月中〜下旬、二年生部員の自主練習手伝ひ依頼に対し反抗的態度取りし一年生部員の顔を二年生が十発殴る。3)七月三十日、練習指導の同部OB大学生が練習後ミーティングにて居眠りの一年生部員の頭を平手で一回叩き、大腿部を一回蹴って床に押し倒す――の三度。監督、部長は部員間の暴力沙汰を知り乍ら学校へは報告しおらず、一昨日匿名電話ありて発覚せしと。 一昔二昔も前なれば高校にても体育会系部活に於ける鉄拳指導・制裁はよく聞きし事なれど、今は絶へて無き筈の暴力沙汰が尚蔓延りおるは如何な訳か。殴るより他に指導方法を持たぬなれば、最早教師とは言へぬなり。幾十人もの部員の中で正選手に成れるは僅かにて、人一倍練習し努力しても正選手に選ばれず、三年間公式戦に一度も出ぬまま高校生活を終へる部員も居ろふ。寧ろ部員の殆どがさふであるとも言へる状況下、其れら部員の幾人かが一時、「何で俺は選ばれぬ。面白く無ひ」と不満の態度見せたからと云ふて殴る事しか出来ぬとは哀れな監督なり。歌の文句でもあるまひに、「口で言ふより手の方が早ひ」ではだふにも成らぬ。何故メンバーに選ばれなんだか道理を尽くして説明し遣るが教育者の務めと思ふが、違ふかや。 二年生が一年生殴ったも、監督が殴るを見ておればこそ。話し聞かせる指導徹底しおりたれば、部員同士話し合ひて事を解決したであらふに……。OB大学生の場合は、曾て自分が経験せる鉄拳指導・制裁を後輩に加へたまでの事にて、当たり前の行為と思ひおったやも知れぬ。更に大学体育部には今尚「上級生への絶対服従」なる悪習が残りおる故、態々指導に来たOBの前にて居眠るなんぞは以っての外の振る舞ひと怒ったのやも知れぬ。が、此れも「暴力厳禁、話し聞かせよ」の指導身をもって体験しおりたれば、起き得ぬ事なり。 部活動とは抑、何なるか。野球部なれば、野球を通して心身の健全なる発育と人間的成長を目指すを目的としおる筈。然れば現実は如何か。嘆かはしき事なれど、本来の目的より外れおる。支部予選を勝ち抜き、道大会を勝ち抜き、是が非でも甲子園へ――と血眼になりおる。各地より有望選手掻き集め、寮住まひにての野球浸け。プロ予備軍作りおるやふなものにて、教育の一環とは言ひ難き現状なり。部員らも本来の目的なんぞ一顧だにせず、「あわよくば未来はプロ選手」の夢描きて入部せる者多きやふに見へてならず。部活本来の目的を今一度見詰め直して指導するなれば、スポーツの世界に暴力は皆無と成らふ。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 午後行はれし民主党代表選にて、前原誠司氏が菅直人氏を二票差で破り勝利せり。どん底の民主党再生は若手に託す以外無しと踏んだ議員九十六人、ベテランの起用以外起死回生の策無しとせる議員九十四人。四十三歳と五十八歳の一騎打ちは、若きに軍配上がりたり。とは言へ、僅差にての代表就任。寄り合ひ所帯の合併政党なれば、あらゆる政治課題につき異論反論渦巻き、此れ迄党としての統一見解出せなんだ党内事情考ふれば、前途多難は必至。党立て直しの決意強ければ強い程、風当たりも亦強くなるを覚悟せねばなるまひ。 前原氏、代表決定後の記者会見にて「憲法改正は従来から必要とせる立場」とし、九条の改正につき「私の意見は第一項はいいが、二項は削除して自衛権を明記するということだ」と語りしを危惧す。自衛隊の存在考ふれば戦力不保持定めし二項と矛盾し、非武装にては国は守れぬ故、改正せねばならぬと言ふは正論か。交戦権及び集団的自衛権行使認めるなれば一項を捨てねばなるまひ。守るも攻めるも戦争は戦争。其の戦争をば放棄したのであれば武装するは矛盾。我、「軍隊を以てせねば国は守れぬ」と言ふ代議士に国政任せたふは無し。戦争放棄を謳ふ一項と戦力保持及び国の交戦権を認めぬ二項が一対となってこその世界に誇る平和憲法、「第一項と第二項はワンセット」が我が国憲法学界の通説なれば、敢へて改正の必要有りや。 周辺事態法、テロ対策特別措置法、そして有事法制関連三法へ。国は国民の意思とは無関係に、一歩一歩戦争への準備始めおるやふに思へてならぬなり。吉田敏浩著『ルポ戦争協力拒否』(岩波新書)に有る「なまじ有事法制など整えると、為政者の発想も『備えがあるのだから、戦争が起きても対応できる』という考えに傾きがちで、何が何でも戦争は起こさない、起こしてはならないという必死さがなくなるのではないか。結局、戦争をしないことこそが真の『国民保護』なのである。仮想敵国もつくらず、国際問題を武力で解決する道を選ばず、平和外交に徹して戦争の当事者にならないことが、最大の安全保障である」の一節噛み締めたし。……年寄りの勘、九条改正は戦争への道に直結しおるぞや。 ★ ★ 十八日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対アビスパ福岡戦は、1−3でコンサ今季初の三連敗。通算成績13勝12敗7分け。勝ち点46、順位五位は共に変わらず。 |
平成十七年九月十六日(金曜)晴 ロバート・ワイズ監督、十四日(現地時間)ロサンゼルス市内の病院にて心不全のため死去せるを、今日の新聞報道にて知りたり。享年九十一歳。謹んで哀悼の意表したき思ひと、長寿と大往生をば言祝ぎたき思ひ抱きて記事読みしなり。如何に傑出せる監督でありたかは、アカデミー賞通算七回ノミネート、内四回受賞の実績が如実に物語りおる。我の敬愛せる監督の一人でありき。 今脳裏に浮かび来るは、共に作品導入部の二つの俯瞰映像。一つは朝靄の中より徐々に姿現すマンハッタンの摩天楼群、一つはアルプスの山並みを背景にせる高原丘陵の緑野。「ウエスト・サイド物語」と「サウンド・オブ・ミュージック」の導入部なり。やがてカメラはズームアップして、一方は物語の舞台ニューヨーク・ウエスト・サイドを、又一方は物語の主人公を映し出す。「ウエスト……」最初に観し時の驚きは先ず以って、新鮮な此の導入部。其の後の「サウンド……」導入部観て、「ウエスト……」の二番煎じ? 共にミュージカル映画故、故意に同じ導入部にせしか? 何ぞと考へし事有りたれど、今は此の二作に外の導入部考へられぬと思ひおるなり。 新聞に「監督になった44年以降、SF映画、ミュージカル、戦争物など幅広い分野の作品を手がけ、監督作は計39本に上る」と有りて、はて我は内幾本観しかと思ひ起こしみたり。上記二作の外、「サウンド……」のジュリー・アンドリュースに惹かれて観た「スター」。戦争物なればマックイーンの「砲艦サンパブロ」、豊後水道での日本駆逐艦・秋風との死闘描きし「深く静かに潜行せよ」、飛行船大爆発の謎を追ふ「ヒンデンブルク」。ボクシングの場面が記憶に残る「傷だらけの栄光」「罠」、コスチューム物で「トロイのヘレン」、SFなれば「アンドロメダ病原体」。忘れてならぬは「私は死にたくない」……と此処迄来て後が続かず、数へみれば僅かに十一作。敬愛しおりたにしては少な過ぎ、と言はるれば面目無きも、惚け頭故思ひ出せぬだけやも知れぬ。 惚けおるか如何か確かめんとて、『キネマ旬報』映画作品データベース調べたる結果以下の如し。全二十三作列記されおれど、前記十一作以外内容皆目思ひ浮かばなんだは惚け頭の所為ならず、矢張り観おらぬと分かりたり。 以下にキネ旬データベース掲載の作品名記し、映像ソフト探索の一助にせんと思ふ。《「月下の銃声 」(1948 )/ 罠(1949 )/西部の二国旗 (1950)/地球の静止する日 (1951)/砂漠の鼠 (1953)/重役室 (1954)/トロイのヘレン (1955)/悪人への貢物 (1956)/傷だらけの栄光 (1956)/私は死にたくない(1958)/深く静かに潜航せよ(1958)/拳銃の報酬(1959)/ウエスト・サイド物語(1961)/たたり(1963)/サウンド・オブ・ミュージック(1965)/砲艦サンパブロ(1966)/スター!(1968)/アンドロメダ…(1971)/ ふたり(1972)/ヒンデンブルグ(1975)/オードリー・ローズ(1977)/スター・トレック(1979)/ウィズダム 夢のかけら(1987)》 ☆ ☆ 厚生労働省発表の「長寿番付」に拠ると、百歳以上の高齢者は二万五千六百六人(前年比二千五百六十八人増)、内女性は二万一千八百二十人にて85%占めたりと。道保健福祉部に拠ると、道内百歳以上の高齢者は千百三十人(男二百三人、女九百二十七人)にて、前年比百十七人の増。道内六十五歳以上の高齢者(三月末現在)は百十七万五千三百九人にて、全人口の20.9%らし。 全人口の二割が六十五歳以上と聞きて窓より街路行き交ふ人眺むれば、成る程老壮年者多し。若きは勤めに出おる故、日中姿見えぬは当たり前なれど、朝にても夕に成りても其の数さして多からず。況して子供に至りては近所に姿皆目見当たらず、声すら聞こへ来ぬ状況なれば、少子高齢化年々進みおるは確かなり。若年労働者少なき上にニート何ぞと申す厄介な問題現れ出でて、此の国の国力誰が支へ行くかと考ふれば、生ひ先短き我が身なれど些か憂鬱。先ずは、不安無く子を産み育てられる社会環境つくり遣るが先決なは確かなり。 百歳以上高齢者の85%が女性と聞けば、然も有りなんと思ふ。何処にても、見かけるは翁より媼多くして、元気溌剌たるは常に媼の方なり。我が夫婦の周り見回しても歴然、概して夫は老け込み奥方は若やぎおる。夫は一線より退くと出無精に成り、奥方は留守番が居るから安心とて外出する事頻り。引き籠もりは陰気にて爺むさく、外に出るは活動的にて若々し。しかし、此れも止むを得ぬ事やも知れぬ。此れ迄外へ出て働き尽くめの夫は家に居たひと思ひ、家事に追はれて家より出られなんだ妻は外出したひと思ふ。斯様な訳にて、女性は益々元気に、男は女性の元気羨みつ萎んで枯れ行くのみなれば15%になりしか。 ☆ ☆ 衆院選は自民圧勝にて終わりたり。自民党断然優勢と報じられおりたれば、有権者のバランス感覚働きて民主党等野党への投票数増へると考へたに、終わり見れば民主惨敗。小選挙区制にては起こり得るとされた一党への票集中現象起きしなり。二大政党化への流れの途上にて斯様な現象起きしは興味深く、政権政党と成る為には何が必要不可欠か、垣間見たる思ひす。脚本・監督・主演と八面六臂の活躍にて客集めに成功せる小泉劇場、経営手腕強かなり。 衆院新勢力次の通り(かっこ内数字は公示前勢力)。自民296(+84)、公明31(−3)、民主113(−64)、共産9(±0)、社民7(+2)、その他6(+3)。自民反郵政法案派は、国民新党4(±0)、新党日本1(−2)、無所属13(−17)。依って、与党は総定数480の三分の二(320)を超す327(+81)、野党等153(−78)の勢力分布と成れり。此れにて郵政民営化関連法案は参院の動向に関係無く成立は確実、他の法案につきても参院の動向に左右される事無き故、国会運営に波乱生ぜず。とせば、首相の独断に要注意か。 以下に道内選挙結果記し置く。
皆、暮らし易き住み良ひ国にせねばの一念にて一票投じたなれば、選良と成りたる者は正に字の如く"選び出されし優れたる者"として、我等国民の負託に応へ呉れろや。唯其れだけを心より願ふ。小泉首相は与党三百二十七の重さと意味を噛み締めよ。間違っても数頼みての憲法改正発議なんぞすなや。我等国民が期待する改革・変革は一つ郵政のみにては非ず、年金・財政・外交等々早急に取り組まねばならぬ課題山積せるを忘るなかれ。 ★ ★ 十四日、山形県総合運動公園陸上競技場。コンサドーレ対モンテディオ山形戦は、0−1でコンサ二連敗。通算成績13勝11敗7分け、勝ち点46。順位五位に落ちる。 |
平成十七年九月十一日(日曜)晴 第四十四回衆院選投開票日。晴れなれば投票率上がるやも知れぬと語り合ひつ午前十時頃、妻伴ひて投票所へ出掛く。口角泡飛ばす政策論争とんと聞こへ来ず、諸々の話題先行の劇場型選挙と喧伝されし今回衆院選。芝居の結末は我等が手にてーーと思ひたか、諸人集ひ来て投票所受付に行列成しおりたり。我等夫婦も末尾に並びて待つこと数分、選挙区選、比例選、最高裁判事国民審査の順に投票用紙受け取り、「たかが一票、されど一票。立候補せし者よ、我等が一票へ託す思ひ知りおるかや」等と考へつ、一票投じ終へたり。 先程十時半現在、テレビの選挙速報眺めたれば既に当、当確出でて自民優勢の傾向に有るを報じおりたり。其の侭速報見続け大勢見届けてより就寝せんと思ひたれど、大勢分かるは恐らく明日未明の事なれば、眠気催し来りし老体に起き居る気力無く、中止す。日乗認めおりても眠気先に立ち、書き記す事共思ひ浮かばぬ状況なれば今夜は此れにて筆置くなり。選挙結果は明朝、新聞にて篤と拝見せん。老人の夜更かしは体に悪しければ、早う寝るが一番。此れにて御仕舞ひ。 ☆ ☆ 八日。台風14号、昨深夜せたな町付近に再上陸、日本海沿岸部縦断して今早朝オホーツク海に抜けたり。道内にては死亡、怪我人等無く、大なる被害被らなんだはやふにて先ずは安堵す。台風の名残か、曇天時々雨降りて風昼過ぎ迄吹きぬ。昼餉済ませし後、晴れ間見て我が菜園の状況如何にと見に行きたれば、妻心配しおりたる通り、支への竹棒悉く傾きてトマトの茎数本折れて風に揺らぎおりたり。早速に竹棒立て直し、生き延びるやも知れぬと、茎伸ばし折れし部分に紙テープ巻きて竹棒に括り付け遣りたれど、果たして結果や如何。 投票日迄残すは三日。まさか台風の所為でもあるまひが、我が町内にては昨日今日と「御願ひします」の声聞こへ来ず、ちと淋しき思ひも湧けり。銭湯にては選挙談議日増しに白熱、今日は早、衆院選後の政局予想に話し及びたり。「自民単独過半数」「自民単独過半数成らず、与党で過半数」「与党で過半数割れ」の三結果想定しての政局談議、中々に面白く何れの論も有り得べき道筋にて興味深く聞きしなり。御隠居連、皆々よふ勉強しおるに関心せり。我は又聞き役に徹す。選挙戦は如何にと眺むれば、各党政策論ぜず、他党批判ばかり。此処は再度、各党政権公約じっくり読み直さねばならぬか。 ☆ ☆ 七日。台風14号の影響にて昨夜遅くよりの雨終日降り続きて、一日外へ出る事無く猫共と窓より雨脚眺めつ過ごしぬ。北海道へ接近中にて深夜より未明にかけ道南地方への上陸濃厚と報じらる。今(午後九時三十七分)尚雨止まず、風伴ひて時折激しく降り注ぎおる状況なり。昨日昼過ぎより夜にかけ九州縦断せる台風14号、各地に記録的豪雨齎し、九州・四国・中国・近畿・北陸等にて約二十五万人避難せしと聞きしが、縦断コースに当たる道内日本海沿岸部に被害無きを祈るのみ。カトリーナ被害の轍踏む事無きやふ、「逃げるが勝ち」にて早めの避難心掛けて貰ひたし。「命在っての物種」なり。 ★ ★ 十日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対サガン鳥栖戦は、0−3でコンサ完敗。通算成績13勝10敗7分け、勝ち点46。順位暫定四位に下げる。 |
平成十七年九月四日(日曜)曇 二日の真夏日の後、昨日今日と22度台にて一気に涼しく成りたり。今朝も菜園に水遣りす。午前中三十分程、自転車にて町内散歩せり。塵芥収集日でも無ひに塵芥出しせる集積場散見されたは不快にて、腹立ちぬ。収集日以外は塵芥出しせぬやふ注意書き有るに、何故守れぬか。「公徳心の欠如」等と仰々しき事は言はぬが、斯様に小さき約束事も守れぬ輩が我が町内に居住しおるは許し難し。如何な育ち方し来たる者共か、引っ捕らへて品性篤と吟味した上、己が塵芥持たせて町内より追放して遣りたし――と思ひつ戻りたり。 銭湯に出掛け行き、サウナにて汗流しつ今朝の塵芥集積場の事話したれば、面々皆我と同様苦々しく思ひおりて、一頻り塵芥出し談議に花咲けり。「塵芥出しは収集日の朝と決まりおるに、前日夜に出す者、収集終へし後に出す者等おりて、収集日で無ひに塵芥出されおるは斯様な出し方せる者共の所為」と言ふも居れば、「分別収集なるに生塵芥も資源、不燃塵芥も一緒くたに出す故、収集されず残って散らかり放題」と言ふも居り、「粗大塵芥は有料にて収集方申し込まねばならぬと知り乍ら、テレビ、冷蔵庫、長椅子、自転車、絨毯、布団類等々何でも投げ捨てて、丸で塵芥捨て場。町内会の役員が見回りても、人目避けて夜更けに出されては御手上げだ」と嘆くも居りたり。 兎に角町内彼方此方にて塵芥出しの決まり守られおらぬは確か。酒屋の御隠居の言ふ如く、「長く住んでる人はせんが、最近アパート、ワンルームマンションが増へて、一時の仮住まひ、旅の恥じは掻き捨て位にしか考へて無ひ」のかも知れぬが、其れでは困る。己が塵芥捨て場に住んで平気でも、我等は違ふ。塵芥捨て場に住みたければ塵芥捨て場へ行くがよかろふ、我が町内に塵芥捨て場作る事だけは絶対に許さぬ。難儀なれど、不法見つけたれば口煩く注意せねばなるまひ。 ☆ ☆ 二日。曇天なれど朝より蒸し暑く、最高気温30度の真夏日となれり。此の一週間雨降らず、隔日菜園への水遣り続けおるなり。今朝も、外部水道栓よりバケツ両手に提げ十五米往復すること三、四度。身に応へる程の事にてはあらねど、今日の暑さ故、一汗掻く労働にて楽々と行かぬが老ひの辛さ。長きホース買ひ来て散水せば苦も無き事なるに、「運動がてら我が水運びす」と妻に申した手前、意地にても今年は運び通す所存。――なんぞと気張るのも、収穫出来るのも今月末頃迄、此れよりは日照り続く事も無き故、水遣りも然程必要にはなるまひと踏んでの言。来年は早々にホース買ひ来るが賢明のやふなり。 ☆ ☆ 一日。昨夕、バグダッド北部に位置せるイスラム教シーア派聖地カジミア・モスクへ向け巡礼行進中の信徒数千人が、自爆テロの噂に恐慌を来し大混乱。或ひは其の場にて押し潰され圧死、或ひは通行途次の橋上よりチグリス川に転落して水死せしと。多くは女、子供にて其の数少なくても八百人以上に上る由。此の惨事の数時間前、同じ場所にて迫撃砲に拠るテロ発生し、七人死亡しおる事が恐慌に一段と拍車かけしらし。信ずる者は救はれしか……。 巡礼に出る程信仰篤き人々が、何故「自爆テロ」の噂に慌てふためきしか。「神は御心の侭に或る者を迷ひの道に陥れ、又御心の侭に或る者を正しき道に導き給ふなり」「天と地の主権は神に属す。誰を赦し、誰を罰するも全ては御心次第なり」「万物を生かすも殺すも、全ては此の神の御計らひなり」とコーランに記し有るに、何故先を争ひ逃げ惑ふたか。アッラーを信じておれば、「死ぬも生きるも御随意に」とコーラン朗誦しつつ粛々と巡礼の歩み進め得たであらふに。信仰とは斯くなるものか。神の名の下にテロ為す輩の信仰も亦同じとせば、イスラム教の下に在る民悉く哀れなり。 シーア派信徒に対しテロを仕掛けるスンニ派過激派。シーア派がスンニ派を母体とする分派であるを考ふれば、シーア派を「異端」として否定したきスンニ派の思ひ分からぬでは無ひが、狭量に過ぎやふ。スンニ派はイスラム教信徒の九割占める大勢力乍ら、イラクに於ひては少数派。フセイン政権下にてはスンニ派にしてティクリート出身者が主導せるも、新生イラクにては其れも為らず、憲法草案も暫定国民議会多数派のシーア派、クルド人勢力主導にて承認され、スンニ派の不満憤懣鬱積しおるは確か。なれど、テロにては何事も為し得ぬを知るべきにて、新生イラク撹乱狙ひおるなれば止めよ。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 士別市と朝日町が合併し新「士別市」に、大成町、瀬棚町、北檜山が合併し「せたな町」と成りたり。平成の大合併に呼応せる新設合併にて、早々に首長選実施の予定なりと。新「士別市」は当初、剣淵町、和寒町も含めた合併の道探りおりたれど、両町独自路線を行くとて合併協議より離脱せしなり。合併即、自治体財政健全化達成と行く筈も無く、所帯大きく成りたる分だけ隅々に目行き届かぬ事多く成りて、住民の不満増大するを懸念す。今日現在、道内市町村数は二百四。 ★ ★ 四日、山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場。コンサドーレ対ヴァンフォーレ甲府戦は、1−0でコンサ連勝。通算成績13勝9敗7分け、勝ち点46。順位三位に上げたり。 |