ほしたびの旅

奄美・種子島・屋久島・鹿児島の旅2009

旅日記10日目:4月21日(火) 桜島、入来、阿久根うに丼

昨晩は強風がビュービュー吹いていた。テントは建物の軒下で直接の強風は当たるところではなかったが、回り込んで来る風でテントが少しばたついていた。それよりも道の駅の周りに設置されたのぼりがバタバタする音がすごくて寝付けなかった。朝5時頃起床し、すぐにテントを撤収する。雨はやみ、どんよりとした曇り空で、次第に雲が取れそうな感じ。

桜島が近いのでまずは桜島の南側に位置する有村溶岩展望所へ向かう。空は次第に晴れてきているが、山の上はまだ雲がかかっている。展望所では溶岩が冷えた岩がごつごつしているのが見られるが、だいぶ草木が生えている。


桜島南側の港

有村溶岩展望所にて

次に、Uターンして県道26号に進み、桜島を反時計回りに回る。大正3年の噴火で上部だけを残して埋まってしまった、黒神埋没鳥居を見に行った。7:40過ぎ頃に到着。そこにはすぐ隣接して中学校があり、そこの生徒や先生が、昨日の強風で飛んだと思われる落ち葉の清掃をしていた。それから桜島西側の湯之平展望台へ行った。あいかわらず山の上は雲の中で残念。反対側には鹿児島市の町並みが見える。


黒神埋没鳥居

湯之平展望台にて

展望台から下り、桜島フェリーに乗り込み、鹿児島港へ渡る。このフェリーは乗船名簿を書くことなく、有料道路の料金所のような所で料金を払ってそのまま船に乗り込む。出航してから15分程で到着する。


国立天文台VERA入来観測局

国道3号、国道328号と継ぎ、北へ向かい、入来峠を越えてさつま町に入ってすぐを八重高原の方向へ左折してしばらく走ると、電波望遠鏡が見えてきた。ここは国立天文台VERA入来観測局。VERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry) とは、超長基線電波干渉法 (VLBI) による電波位置天文学の探求という意味になる。ここでは銀河系内の星々の位置・運動の様子を調べ、正確な銀河系の地図を作ることを目標にしている。VERAの電波望遠鏡は目標天体と付近の参照天体の二つの天体の電波を同時に観測することができ、これにより大気の揺らぎを取り除くことができる。国内において、ここ入来と、水沢(岩手県)、小笠原石垣島の4ヶ所に作られており、同時に行った複数観測場所での観測データをつき合わせることにより高精細に観測できる。その内の石垣島観測局は、完成直前の2002年4月に旅した時に外観のみ見ている。まずは外回りを見る。現在は待機中のようで、アンテナは上を向いている。パラボラアンテナの直径は20mで、三菱電機製。この手の電波天文用大型アンテナは三菱電機製が多い。アンテナ横に観測棟がある。観測棟の中の見学はできないだろうかと離れた所から中をちらちらうかがっていると、中にいる人がこちらに気づいてリーフレットを持って出てきてくれた。聞いてみると、外はもちろん、観測棟の中も見学できるとのこと。まずは外で観測所の概要についての説明を受け、それから観測棟に入る。

観測棟の中には観測制御用コンピュータや他の観測所とデータを付き合わせる際に必要な原子時計や記録装置等がある。観測データの記録にでっかい磁気テープを使っていたのは驚いた。ちょうど観測を始める前の雑音特性を測定するということでアンテナがウィーンと水平方向より少し高い位置に向けて動き出した。その動く速さが結構速い。今回の観測はおよそ8時間ほど目標を追いかけるという。他の観測時もほぼ同じくらい時間をかけるらしい。見学案内をしてくれているのは鹿児島大学の大学院生で、彼にとってはVERAの観測は副業で、メインの研究対象はAGN(Active Galactic Nuclei:活動銀河中心核)のエネルギー供給源について(だったと思う)らしく、観測所内にも説明パネルがあった。そんなこんなで結構長時間解説してもらえた。


制御端末

記録装置・処理装置

磁気テープ(マジックと比較)

アンテナ前面

きんかんソフト

観測所を後にし、国道328号に出て北上する。「きんかんの里ふれあい館」という所に寄ってみる。「きんかんソフト」(250円だったと思う)というのがあったので食べてみる。食べやすい味だ。


レストラン望海

県道42号(川内加治木線)を経由して国道3号に進んで北上し、海沿いに出て阿久根に入る。風が強めで、海の波が高いが、天気が良く海が綺麗に見える。4/1~5/10まで、阿久根市観光協会が中心になって「うに丼祭り」というのをやっていて、市内18の協賛店で、うに丼を2100円で提供している。提供する「うに」の量は100g以上と決まっているらしく、店によって内容に違いはあるが小鉢の脇役もある。あらかじめ下調べしておいた第1候補はもう昼の営業が終了している時間なので、阿久根市街より南で海に面した「レストラン望海」に行った。店内からも海が綺麗に見える。「うに丼」を注文し、しばらくして出てきた。いくつかの小鉢があり、みそ汁にはあさり・わかめ・とうふが入り、脇役がなかなか充実している。満足できました。


レストラン望海の「うに丼」

阿久根市街に入り、阿久根駅のすぐ横に今年できたばかりのライダーハウス「あくねツーリングSTAYtion」に寄ってみた。廃止となった寝台特急「なは」の車両を利用した旅人の宿だ。各方面との調整もあり、北海道のライダーハウスのような畳敷きではなく、寝台をそのまま利用している。寝袋持参のライダー等の旅人なら1500円で泊まれる。空調設備を設置したそうだが、運用し始めると結構経費がかかって大変そう。まだこれからなので、がんばって欲しい。


あくねツーリングSTAYtion

客室の中

北へ進み、国道389号で長島との間の黒之瀬戸大橋が間近で見える所まで行った。潮の流れが速く、川のようだ。それから黒之瀬戸大橋で長島町側に渡ってすぐ引き返した。

それから東へ進み、一旦国道328号を少し南下して峠を越し、国道からはずれて川内川に沿って上流へ走る。曽木の滝のすぐ手前に「曽木水力発電所遺構展望所」という所があったので寄ってみた。展望所から見ると、屋根の建物の壁がダム湖の水面から少し顔をのぞかせていた。これは明治42年に作られたレンガ造りの水力発電所の建物で、昭和42年の鶴田ダムの完成によりダム湖に沈んだもので、洪水に備えて貯水位を下げる5月~7月頃には建物が完全に姿を見せるそうだ。次に、すぐ上流側にある曽木の滝へ行く。ここは「東洋のナイアガラ」と言われ、落差はそうでもないが幅が広い滝だ。幅が広いといってもあちこちの岩で分断されている。とはいえ、なかなかの眺めだ。


曽木水力発電所遺構

曽木の滝

滝を見終わると夕方6時を過ぎ、みやげ屋ほとんども店を閉めていた。さて、今晩どうしよう。またまた遅くなり、適当なキャンプ場が見つからない。とりあえず北上していくことにする。薄暗くなる中、国道268号を快走し、国道3号を北上する。八代市の御立岬公園に行ってみると、野宿できそうな所を見つけた。海岸に近いが、もう風もほとんど無くなっているので大丈夫だろうとテントを張って寝た。

  • 今日の天気:曇後晴
  • 走行距離:300.0km
  • 宿泊地:熊本県八代市 御立岬公園