2012年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2012年11月26日公開/2013年2月7日最終追記)
2012年8月末エプソンから2012年末モデルのプリンタが多数発表された。そして、遅れること約1ヶ月の2012年9月末にはキャノンからも2012年末モデルのプリンタが発売され、両メーカーの新製品が出そろった。そこで、新機種の全体的な傾向、そして両メーカーの傾向を検証した上で、複合機、FAX機能付き複合機、単機能プリンタ、コンパクトプリンタの4種類を価格帯別に比較していく。各比較は、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。
これもここ数年間同じ事を書いているが、今年もエプソン、キャノン共に複合機の最上位機種の画質に変化はない。エプソンが6色構成で最小インクドロップサイズ1.5plのAdvanced MSDTで解像度が5760×1440dpi、キャノンも6色構成で最小インクドロップサイズ1plで解像度が9600×2400dpiとなっているのは去年の機種と同じである。画質面で十分すぎるほど綺麗な域に入っているため、これ以上画質を向上させる意味が無いためと思われる。ただし今年は、両メーカーともインクの改良を行っている。エプソンは「つよインク200」又は「つよインク200X」の名称は同じながら、新形状の本体の機種を中心にアルバム保存を200年から300年に高めた新インクへ変更されている。一方のキャノンも、新形状の本体の機種を中心に高発色のインクに変更され、普通紙の色再現範囲が拡大している。 今年のもう一つの傾向としては、上位機種のデザインが一新されている事が挙げられる。去年は下位機種を中心に小型化が進んだが、今年は上位機種でさらなる小型化が進められた。一例では、エプソンは体積比で38.7%小型化しているし、キャノンは横幅と奥行きは同等だが、高さが14.5%低くなった。また、それら上位機種を中心にタッチパネル液晶が搭載された。エプソンはFAX無し複合機とFAX付き複合機のそれぞれ最上位機種1機種ずつの計2機種だったが、今年はFAX無し複合機で1機種増え、計3機種になっている。一方のキャノンはこれまでタッチパネル液晶は搭載していなかったが、今年はFAX無し複合機で1機種搭載している。また、両機種ともスマートフォン風のフリック操作に対応するなど、操作性の向上も図られている。 2010年末モデルで採用された本体のカラーバリエーションは2011年末モデルでは選べるカラーが増えていたが、好評だったのか、2012年末モデルではさらに広がりを見せている。エプソンは去年は3色から選べた800番台の機種の後継機種はそのまま3色だが、あらたのその下位機種の770番台も2色から選べるようになった。一方キャノンは機種数は増えていないが、去年の3色から5色に選択肢が広がっている。 機種数を見てみよう。エプソンは「多機能モデル」「単機能モデル」「コンパクトモデル」「高品位モデル」「ビジネスモデル」というカテゴリに分かれているが、そのうち「ビジネスモデル」はビジネスプリンタの一部の機種を分類したもので「カラリオ」シリーズとは異なる 製品だ。ただし「カラリオ」のカタログに掲載されており、店頭でも普通に手に入ることから、家庭向けの機種として考えて良さそうだ。FAX無し複合機は最下位機種が追加され7機種から8機種(内7機種が2012年末の新製品)となった。FAX付き複合機も下位機種が2機種追加され、A3対応2機種とA4対応5機種となった。そのうちA4対応の5機種は全て2012年末の新製品だ。A3単機能プリンタは5機種のままでいずれも継続販売だ。A4単機能プリンタは4機種のままだが、下位2機種が2012年末の新製品になっている。コンパクトプリンタも2機種のままだが、両機種とも2012年末の新製品である。 キャノンはFAX無し複合機が整理され、最上位機種と最下位機種が消え6機種から4機種体制へとシンプルになった。FAX付き複合機も2機種のままである(いずれも継続販売)。A3単機能プリンタは5機種のままだが、長年継続販売していたPIXUS Pro9500 MarkIIとPIXUS Pro9000 MarkIIが、それぞれPIXUS PRO-10とPIXUS PRO-100という新機種に移行した。継続販売のPIXUS PRO-1と併せて、「Pro」から「PRO」への以降を果たした形だ。A4単機能プリンタは2機種のままだが上位機種が2012年末の新機種である。A4コンパクトプリンタは継続販売である。 ラインナップ全体で見ると、給紙に関しての考え方が、エプソンとキャノンで逆に向かっている点が面白い。従来前面給紙のみという形を取っており、上位機種でも前面2段給紙とすることで利便性を確保していたエプソンだが、今年は前面給紙はそのままで、背面からの給紙に対応した機種が登場している。1枚ずつの手差しなので大量印刷には向かないが、封筒や厚紙、ラベル用紙など内部で曲げられない方が良い用紙が安心して使える。また1枚ずつの手差しとすることで、給紙トレイがほとんど必要なく、本体のコンパクトさを損ねていない。対応するのはFAX無し複合機の上位2機種、FAX付き複合機の上位3機種である。一方、従来は前面給紙と背面給紙の両方を備えていたキャノンの機種だが、今年は前面給紙のみとなった機種が多い。エプソンのように前面2段カセットとすることで利便性を確保しているが、エプソンとは逆に背面給紙が出来なくなってしまった。これで複合機で背面給紙が可能なのはFAX付き複合機の上位機種1機種のみとなった。また、A4単機能プリンタの上位機種も、前面給紙+背面給紙から、前面2段給紙に変更されている。 このように、両メーカーで同じような進化を遂げた部分と、逆方向に向かった部分があるのが、今年のラインナップの特徴である。それではメーカー別にもう少し詳しく見ていこう。
それでは、最新ののエプソンのラインナップはちょうど1年前となる去年の春と比べてどのようになっているか、まずは見てみよう。
まずFAXなし複合機を見てみよう。最上位のEP-905Aは基本的なプリント、スキャン、コピー、ダイレクト印刷機能は前機種EP-904Aから変化していない。しかし本体の小型化と併せて、様々な点が改良されている。プリント機能に関しては、インク構成や最小インクドロップサイズ、ノズル数、印刷速度などは変更がない。自動両面印刷機能も同じく搭載されているが、EP-904Aと異なり、自動両面印刷ユニットを取り外して小型化する事が出来なくなった。ただし、本体サイズは390×339×191mmで、自動両面印刷ユニット装着時の465×458×198mmより大幅に小型化しているのはもちろん、非装着時の465×385×198mmと比べてもかなり小さく、取り外す必要はなさそうだ。前面2段カセットというのは同じだが、従来のようにカセットが2段になっているのではなく、2段が独立して取り出せるようになっている。ただし、小型化の反面、下段のA4普通紙給紙枚数が120枚から100枚に減っている。一方、1枚ずつの手差しだが背面給紙も行える点が目新しい。背面からまっすぐ挿し込むのではなく、一般的な背面給紙と似た部分に小さな給紙トレイ開けるようになっているというイメージである。そのため背面のスペースはほとんど必要なく、また、プリンタの後ろに回り込むことなく挿し込むことが出来る。そして一般の背面給紙とは異なり、0.6mmまでの厚紙に対応しているのも珍しいところだ。一方、残念なのはCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能が、従来のトレイ内蔵タイプから、昔ながらのトレイを挿し込むタイプになってしまったことだ。従来のトレイ取り出しボタンを押して出てきたトレイにディスクを載せるだけの簡単な方式が、小型化のため従来タイプに戻されたのは残念だ。CD/DVD/Blu-rayトレイは前面給紙トレイの下に収納できるようになっているが、やや不便になった。スキャナ機能は、CIS方式であることや4800dpiの解像度、ADF搭載という点は変わらないが、EP-904AのADFでは片面スキャンだったが、EP-905Aでは両面スキャンに対応し、利便性は一気に良くなっている。ダイレクト印刷機能は大きくは変わらず、PictBridgeがUSB接続に加えてWi-Fi接続にも対応したことくらいだ。また、スマホからの印刷・スキャンにも対応している。そして、今年の新機能として、スキャンした画像を離れた場所のカラリオで印刷できる「メールdeリモート印刷」、印刷したい写真や文書をカラリオにメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、通常にプリント同じ操作で、離れた場所のカラリオで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載している。コピー機能などは同等だ。液晶ディスプレイは従来と同じ3.5インチと大型である。操作パネルは、使用できるボタンだけが光る「LEDナビ」と、タッチパネル液晶の組み合わせだが、タッチパネル液晶は前述のように、スマートフォン風のフリック操作に対応したため、ただボタンをセンサー式に変更しただけでなく、写真の選択等が素早く行えるようになっている。ちなみにアルバム保存300年の新インクを採用している。本体の小型化に伴って、インクカートリッジも小型化しているが、その分価格は安くなっており、印刷コストはほぼ同じである。ただし、アルバム保存は200年から300年に延び、耐光性も50年と同じだが、耐オゾン性は15年から10年に低下している。写真を飾っておく場合の耐保存性はどちらが上か微妙なところだ。 EP-805AはEP-905AからADFが省略され、スキャン解像度が2400dpiになったただけの下位機種である。EP-805AとEP-804Aの違いは、EP-905AとEP-904Aの違いとほぼ同じである。本体が小型化し、445×386×150mmから390×341×141mmと幅、奥行き、高さの全てが小さくなった、前面給紙カセットが独立したが、給紙枚数はやや減っている。一方で1枚ずつの手差し背面給紙が可能になり、0.6mmまでの厚紙にも対応する。CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷ではトレイ内蔵式から、トレイを挿し込むタイプに戻されている。ちなみにEP-805Aも新インクを使用する。スキャナ部は変更点はない。ダイレクト印刷機能では、PictBridgeがUSB接続に加えてWi-Fi接続にも対応した事と、EP-804Aでは省略されていた外部機器共有機能が上位機種EP-905Aと同様搭載されている点が変更点だ。また、「メールdeリモート印刷」「メールプリント」「リモートプリントドライバー」の各機能にも対応している。コピー機能も変更点はない。操作パネルは、EP-804AではLEDナビではあったものの、液晶ディスプレイが2.5型に小型化しタッチパネルでも無いなど、上位機種と差別化が図られていたが、EP-805AではEP-905Aと同じものを搭載する。そのため液晶ディスプレイが大型化しタッチパネル操作も可能になり、操作性が大幅に向上した。カラーバリエーションはEP-804Aと同じく3色から選ぶことが出来る。 EP-775Aの前機種EP-774Aは、上位機種EP-804Aの前機種EP-803Aの本体を採用した機種であったが、EP-775Aは最新のEP-805Aに近いデザインとなっている。EP-805Aを基本に、前面給紙カセットを1段とし、背面給紙と自動両面印刷機能を省略、スキャナ解像度や対応するメモリカードの種類にも差をつけ、ネットワーク接続も無線LANのみ、液晶ディスプレイも2.5型に小型化し、タッチパネル機能も省くなどの機能差が付けられている。前機種を基本とすることで最新機種での進化点を搭載しなかったEP-774Aと、最新機種を元に機能を削ったEP-775Aではだいぶ感じが異なるといえる。あえて前機種のEP-774Aと比べると、まず前面給紙カセットが2段から1段になり、その1段もA4普通紙120枚から100枚に減っているため給紙関連は不便になった。またEP-774Aではオプションながら自動両面印刷機能を取り付けられたが、EP-775Aでは完全に非対応となった。スキャナ解像度も2400dpiから1200dpiに変更され、ダイレクト印刷機能では、コンパクトフラッシュスロットと赤外線通信機能が省略されるなど、後継機種ながら劣る点は多い。一方で本体サイズは446×385×150mmから390×341×138mmに大きく小型化した他、外部機器共有機能を搭載したことと、USB接続に加え無線LAN接続が可能になったことは強化点だ。その事から、スマートフォンからのプリント・スキャンに対応した。また「メールdeリモート印刷」「メールプリント」「リモートプリントドライバー」にも対応している。インクもアルバム保存300年の新インクである。このように違いが多く、ラインナップ的にはEP-800番台の下位機種だが、EP-774Aの後継機種と言うよりは、新たに登場したEP-805Aの下位機種と考えた方が良さそうだ。ちなみにEP-774Aではなかったカラーバリエーションがあり、2色から選ぶことが出来る。 EP-705Aは前機種EP-704Aから大きくは変わっていない。EP-704A同様背面給紙で、ノズル数が少ない分印刷がやや遅い。本体デザインも変更されておらず、上位機種のように小型化していない。また上位機種EP-775Aでは省略されたコンパクトフラッシュスロットも搭載している。インクもアルバム保存200年の従来インクである。液晶ディスプレイの表示がグラフィカルなものに変更され分かりやすくなった程度の変更点である。 EP-705Aの下位機種と言うより、顔料インクの上位機種と言えるPX-504Aは継続販売となる。その下位機種PX-435AはPX-434Aからカラー・モノクロ共にノズル数が増えたため、L判縁なし印刷速度が106秒から75秒へ高速化し、かなり便利になっている。また、アルバム保存300年の新インクに変更されているが、こちらは染料インクの新インクと異なり、耐光性・耐オゾン性はそのまま、アルバム保存を延長している。その他はほぼPX-434Aと同じだが、細かい変更点として、カードスロットがSDカードとメモリースティックから、SDカードとメモリスティックDuoに変更されている。ただし、これは対応カードが減ったと考えるよりは、随分前に使われなくなった標準サイズのメモリースティックに対応すると、現在の規格のメモリースティックDuoを使用する際にアダプタが必要になるため、利便性を考えた変更と思われる。その他、「メールプリント」「リモートプリントドライバー」にも対応する(「メールdeリモート印刷」には対応しない)。PX-405Aの変更点は、PX-435AとPX-434Aの変更点とほぼ同じである。ただし、前機種PX-404Aではその上位機種PX-434Aよりノズル数が少なかったが、PX-405Aではプリント機能に関してはPX-435Aと同じものになっている。そのため、L判縁なし写真印刷速度も116秒からPX-435Aと同等の75秒になり、結果的に印刷速度の向上率はPX-405Aの方が高く感じる。また最小インクドロップサイズもPX-435と同じサイズになったため、4plから3plへと小さくなり、画質が向上している。その他、メモリースティックスロットがDuo専用に変更された点も同じだ。PX-404AではPX-434Aとは画質と印刷速度でも差が付けられていたが、PX-405AではPX-435Aと同じになり、無線LAN接続に非対応という事と、それに伴うスマートフォンからのスキャン・プリントに非対応という点だけが違いとなった。そして今年からさらに下位のPX-045Aが追加されている。型番の100の位が0というのは不思議だが、PX-405Aの下位という事で300番台を付けようとすると、すでにA4単機能プリンタが300番台となっている。200番台、100番台も同じく使われており、かといって400番台はすでに2機種がラインナップされており、これ以上400番台内で分けるのは難しいことから、0番台となったと思われる。非常に簡素な製品でPX-405Aから液晶パネルとダイレクト印刷機能を外した形となる。ノズル数も少なくなっていることから印刷速度も遅く、セット可能な用紙サイズも100枚から50枚に半減している。スキャナ解像度も600dpiに下げられ、コピー機能は液晶ディスプレイが無いこともあって、A4普通紙の等倍コピーのみでコピー枚数は1枚又は20枚と、簡易的だ。接続もUSB1.1である。複合機と言うよりは、低価格プリンタと低価格スキャナをくっつけて設置スペースを省いたような製品だ。 FAX付き複合機は下位2機種が追加され全7機種になっている。その内、A3ノビ対応のPX-1700FとPX-1600Fは継続販売である。唯一の染料インク機であるEP-905FはEP-905AにFAX機能を追加しただけの機種である。そのため、EP-904Fとの違いは、EP-904AとEP-905Aの違いと同じである。本体が小型化し、前面2段カセットの各段が独立して取り出す方式になり、A4普通紙の給紙枚数の100枚に減少、代わりに背面手差し給紙に対応した。インクもアルバム保存300年の新インクになった。CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷のトレイも内蔵式ではなくなった。ADFは両面スキャンに対応、PictBridgeはUSB接続とWi-Fiの両対応、「メールdeリモート印刷」「メールプリント」「リモートプリントドライバー」にも対応している。タッチパネル液晶はフリック操作に対応し操作性が向上している。このような変更点だが、FAXが内蔵されたEP-905Fでは、ADFが両面スキャンに対応したのは大きな変更点である。 顔料機種のPX-673FとPX-603FはそれぞれPX-675FとPX-605Fという新機種になっている。見た目は本体カラーがブラックからホワイトに変更になったのが大きい。機能面ではプリント画質や速度給紙枚数などは変わっていない。250枚セット可能な前面給紙カセットが1段なのがPX-605F、2段なのがPX-675Fという関係も同じだ。ただし、今年の機種から背面の手差し給紙が可能となっている。厚紙や封筒、ラベル用紙などへの印刷も安心だ。ただしEP-905Fの背面手差し給紙とは異なり、対応する用紙の厚みは前面給紙と同じ0.3mmまでである。スキャン機能は両面ADFなどは同じながら、解像度が2400dpiから1200dpiへと落とされている。またダイレクト印刷機能もほぼ同じだが、コンパクトフラッシュが非対応となっている。コピー機もほぼ同等だが、IDコピー機能を新たに搭載している。「メールdeリモート印刷」「メールプリント」「リモートプリントドライバー」といった新機能ももれなく搭載している。その他、スペックには現れていないが、排紙トレイのステップ数減少や前面給紙カセットの形状変更による堅牢性の向上を果たしている。その一環として、操作パネルと液晶ディスプレイが本体に固定化された。角度を付けて取り付けられているが、PX-603FやPX-673Fのように角度調整は出来なくなった。液晶ディスプレイは2.5インチ操作パネルはLEDナビとなる。PX-603Fでは2.5インチ液晶にボタン式だったため、操作性は向上している。一方PX-673Fは3.5インチ液晶で液晶ディスプレイまでタッチパネルであったため、操作性はやや悪くなった。本体サイズは、操作パネルが斜めに固定されていることもあって、数値上は奥行きが大きくなっている。ちなみに本体デザインが一新されているが、インクはアルバム保存200年の従来のインクを使用する。 そして今年から下位機種PX-535FとPX-505Fが追加されている。PX-504Aとややこしい型番だが、こちらは「505」である。PX-605Fと比べると、インク構成などは同じだが最小インクドロップサイズが3plに大きくなるほか、ノズル数も半減しL判縁なし写真印刷が56秒から74秒に、A4普通紙カラーが9.5ipmから4.7ipm、モノクロが15.0ipmから9.0ipmにそれぞれ遅くなっている。前面給紙カセットもセット可能枚数が120枚となり、背面給紙や自動両面印刷機能も省略されている。ただし、インクはアルバム保存300年の新インクである。スキャン解像度などは同じだが、ADFの機能が低くなっており、片面スキャンのみとなったのがPX-535F、ADF自体が無いのがPX-505Fである。そして、これらの機種が面白いのはメモリカードスロットが無く、ダイレクト印刷機能が無い事だ。これまでFAX無し複合機でダイレクト印刷機能がない機種はあったが、FAX付きでは初めてとなる。基本的なコピー機能は同等だが、写真の焼き増し風コピーや2アップなどの機能は無くなっている。IDコピーもPX-535Fのみである。FAXの受信データ保存枚数は同じだが、短縮ダイヤルの件数が100件から60件へ減っているほか、PCファックスも送信のみである。そして注意点は受信データの保持である。最もビジネス向けのPX-675FとPX-605Fでは停電時もデータが保持される。EP-905Fは電源を切っても保持されるが、停電時は保持されない。そして、PX-535FとPX-505Fは電源を切るだけでもデータが保持されない。注意が必要だ。操作パネルはPX-605Fと同じく斜めに固定されているが、LEDナビではなくボタン式である。そしてPX-535Fは2.5型の液晶ディスプレイが搭載されるが、PX-505Fは2行の文字表示だけのモノクロ液晶となる。両機種ともネットワーク接続に対応するが、PX-535FはPX-605F同様、有線・無線の両対応、PX-505Fは無線のみとなる。本体サイズはPX-605Fと比べると高さ、幅、奥行きの全てが小さくなっている。 続いて単機能プリンタを見てみよう。A3ノビ対応機は5機種で、いずれも継続販売の機種となる。A4対応機は2006年2月23日以来継続販売されているPX-G930と、染料インクのEP-302が継続販売となる。一方顔料インクの下位2機種は新機種PX-205とPX-105となっている。PX-205はPX-204から本体を一新している。PX-205では、本体下部の排紙トレイと給紙カセット部分が前に飛び出すような形状となった。排紙トレイの堅牢性がアップしている反面、排紙トレイを閉じる事が出来なくなった。インク構成や最小インクドロップサイズ、ノズル数などはPX-204と同じである。そのため印刷画質や速度は変化していない。新形状の本体だが、インクはアルバム保存200年の従来インクを使用する。給紙は基本的な前面給紙カセットからで、A4普通紙で250枚セット可能という点も同じだ。ただし、PX-205では背面からの手差し給紙に対応する。背面といっても従来の背面給紙に似た位置で、本体背面にスペースが必要という訳ではない。1枚ずつにはなるが、背面給紙前面排紙が可能になり、厚紙や封筒、ラベル用紙等への印刷も行いやすくなった。接続はUSB2.0と有線・無線LANという点は同じである。給紙機能の変更等により、本体サイズは。奥行きが50mm、高さが11mm大きくなっている。PX-105は前機種がPX-101であったため、実に4世代ぶりの新機種となる。当然、デザインが変更されている他、使用するインクもアルバム保存300年の新インクに変更されている。インク色数は4色で変更がないが、ブラックインクを2本搭載していたPX-101に対して、PX-105では1本になりシンプルになった。だだしノズル数は同等を確保している。最小インクドロップサイズも同じであるため画質は同等で、L判縁なし印刷速度は77秒から74秒になったが、大きな差ではない。逆にA4普通紙印刷速度は、カラーが5.6ipmから4.7ipmに、モノクロが16.0ipmから9.0ipmに遅くなっている。背面給紙からいうのはPX-101と同じだが、排紙トレイは堅牢性が増した代わりに、閉じられなくなった。大きく変わったのは接続方式で、USB2.0だけでなく新たに有線・無線LAN接続にも対応している。また本体サイズはかなり小型化し、奥行きこそ14mm大きくなったが、高さは13mm、横幅に至っては43mmも小型化している。 コンパクトプリンタは2機種とも新機種である。とはいえ本体デザインは変わっておらず、小変化に留まる。E-830はE-820との違いは、内蔵テンプレートは1055種類から1329種類に増やされた事がある。その中には、新たにディズニーキャラクター年賀状のデザインが20種が含まれている。また、AndroidスマートフォンからBluetoothを使った住所録転送機能が可能になったほか、一部携帯電話から赤外線通信を使用した住所録転送も可能である。なおそれに伴って、E-830ではBluetoothに対応しているため、スマートフォンやパソコンからBluetoothを使った印刷も可能となっている。なおBluetoothはUSB接続のBluetoothユニットとして付属しており、PictBridgeやUSBフラッシュメモリ用のUSBポートに接続するとこで、Bluetoothが利用できるようになる。E-360はE-350で用意されていた本体カラーがグリーンの機種がラインナップから外れ、ホワイトとピンクの2色から選べる形となった。スペック上の違いは全くなく、操作パネルや液晶ディスプレイの表示内容なども同じようだ。
今年のラインナップが去年と比べてどのようになっているか、まずは見てみよう。
キャノンのラインナップは、FAX無し複合機で整理が行われて、全体の機種数が減少している。そのFAX無し複合機では、これまでラインナップの最上位にあったPIXUS MG8000番台が無くなった。これにより、全メーカーの複合機で唯一残っていたCCDスキャナとフィルムスキャン機能が姿を消したことになる。今年からはPIXUS MG6330が最上位機種となるが、元々去年機種であるPIXUS MG8230とPIXUS MG6230の間に差が大きくなかったことから、PIXUS MG6330は純粋なPIXUS MG6230の後継機種と言った印象だ。とはいえ、今年の機種より本体デザインが一新されたため、変わったところは多い。まず本体の高さが抑えられ、173mmから148mmへと低くなっている。天板から側面にかけて大きく面取りされたデザインと併せて、圧迫感はかなり減少した。またインク交換時にもスキャナ部を大きく開けることなく交換できるようになり、スキャナを使う時以外は、上部のスペースも小さくてすむ。ただし、幅と奥行きはそれほど変わっていない。プリンタ部はインク構成や最小インクドロップサイズ、解像度などは変わっていない。ノズル数が若干増えたが、印刷速度に変化はない。インクは「ChromaLife100+」のままだが、高発色のインクに変更され、普通紙の色再現範囲が拡大している。本体形状の変更に伴い、給紙に関する部分は大きく変更され、背面+前面の2方向給紙から、前面2段トレイによる給紙に変更された。同時に使用できる用紙サイズの最小サイズが名刺サイズからL判に変更されている。また2段の内、下段はA4やB5といった用紙、上段はL判やハガキと言った用紙に分けられ、A4用紙を同時にセットできない上に、A4用紙のセット可能枚数も125枚と前面給紙トレイだけ比較しても減少している。また、エプソンの前面二段給紙の機種と異なり、枚数を多くセットできる下段にハガキやL判写真用紙がセットできないため、大量印刷時には不便である。スキャナ部に関してはPIXUS MG6230から解像度が下げられ2400dpiとなっている点が異なる。ダイレクト印刷に関してはメモリカードからの印刷は引き続き可能だが、USBポートを廃止したため、USBメモリからの印刷と、USB接続によるPictBridgeに非対応になった。ただし、新たにWi-Fi方式のPictBridgeに対応している。各種デザイン用紙印刷では、従来の本体内蔵の定型フォーム印刷だけでなく、Web上から最新の定型フォームをダウンロードし、印刷できるようになっている点が目新しい。。コピー機能は同等だ。操作パネルは、「インテリジェントタッチシステム」から「新インテリジェントタッチシステム」へと進化した。従来同様、キー部分は、使用できるキーだけが光る事で分かりやすくなっているが、新たに液晶ディスプレイがタッチパネルになった。スマートフォン風のフリック操作も可能である。液晶ディスプレイもPIXUS MG6230より大型化され、PIXUS MG8230と同じ3.5型になった。一方で、液晶ディスプレイは斜めになった部分に固定され、角度調整は不可能となっている。PIXUS MG6230では3色のカラーバリエーションがあったが、今回は5色へと選択肢が広がった。ただ、従来は天板がブラックで共通で、それ以外の箇所が色違いだったが、今回はホワイトを除き、天板と前面の下部の色が異なるだけで、しかも全体にブラックを基本にしているため、落ち着いた印象に変わっている。 PIXUS MG5330の後継機種PIXUS MG5430も、PIXUS MG6330同様本体デザインが大きく変わっている。前面+背面給紙から前面2段給紙になり、最小用紙サイズや用紙可能枚数が変更されている。一方、画質面ではPIXUS MG5330と同じで、ノズル数も若干増えているが印刷速度に変更はない。こちらも高発色のインクを採用している。スキャナ部は解像度などに変更はなく、ダイレクト印刷部も対応カードなどは変わっていない(PIXUS MG6330と違いコンパクトフラッシュに非対応なのも同じ)。USBポートが無くなり、USBフラッシュメモリからの印刷と、PictBridge(USB接続)に非対応、代わりにPictBridge(Wi-Fi)に対応した。その他Web定型フォームプリント機能も搭載した。コピー機能はPIXUS MG5330と同等だ。操作パネルは、液晶パネルは3.0型と同じだが、ボタン式から「インテリジェントタッチシステム」に変更され、操作性とデザイン性が向上している。ただし、「新」ではないため、タッチパネル液晶ではない。また、液晶ディスプレイの角度調整が出来なくなっている。 PXISU MG4230はPIXUS MG4130の後継機種で、デザインの若干の変更や、光沢感のあるブラックから、光沢感のないブラックに変更になっているが、本体サイズは変わっていない。機能面でも、印刷画質や印刷速度、給紙方法や自動両面印刷機能に変化はなく、スキャナ部やダイレクト印刷部も同機能だ。唯一Web定型フォーム印刷機能に対応しているのが違いだろう。インタフェースなども同じで、操作パネルもほぼ同等だ。本体左側の奥に角度調整が可能な液晶ディスプレイが搭載されるのも同じだが、サイズが2.4型から2.5型に微増している。一方、操作パネルはボタン式なのは同じだが、PIXUS MGG4130であったホイール機能が無くなったため、操作性はやや後退している。PIXUS MG3230はPIXUS MG3130と比べて、本体の光沢感が無くなっているが、サイズなどは一緒だ。印刷画質や速度、機能、スキャナの性能、コピー機能なども同等だ。液晶パネルが無いためダイレクト印刷機能はないのも同等である。去年までは、さらにここからネットワーク接続機能を省いたPIXUS MG2000番台があったが、今年はラインナップが整理され消滅している。 FAX付き複合機はPIXUS MX893とPIXUS MX513の2機種体制である。いずれも2012年春に新機種へと移行していることから、今回は継続販売となっている。 単機能プリンタではA4対応機種の内、上位機種のPIXUS iP4930がPIXUS iP7230に変わっている。4000番台から7000番台への変更という事で、機能面での変更も多い。プリント画質の面では、インク構成、最小インクドロップサイズ、解像度などは同等ではあるが、高発色の新インクへ変更されている。ノズル数は若干増えているが印刷速度に影響はない。給紙方向はPIXUS iP4930の背面給紙+前面給紙トレイの2方向から、2段の前面給紙トレイへ変更された。これはFAX無し複合機の上位機種と同じで、2段はそれぞれ用紙サイズによって分けられているため両方にA4用紙をセットするようなことも、大量印刷時に下段にハガキやL判写真用紙をセットする事も出来ない。またA4普通紙のセット可能枚数も125枚と、前面給紙トレイだけを比較しても減っている。最小の用紙サイズも名刺サイズからL判へと変更された。この変更により、幅と奥行きは大きくなり、設置面積では約30%大きくなったが、高さは約16%低くなった。その他、USB2.0接続に加えて、無線LAN接続に新たに対応した。その関係でスマートフォンからのプリントにも対応している。 A3ノビ対応機種は5機種の内中位機種の2機種が新機種へと移行した。いずれもPIXUS Proシリーズから、2012年頭に発売されたPIXUS PRO-1と同じ、PIXUS PROシリーズへと移行した。上位のPIXUS Pro9500MarkIIの後継機種はPIXUS PRO-10である。デザインが変更された他にも様々な変更点がある。インク構成は同じ10色構成ながら、グリーンインクが廃止され、クロマオプティマイザーが追加された。これは透明のインクで、印刷した時のインクによる段差を解消して光沢感を均一にする効果や、暗部の色域が向上するという。最小インクドロップサイズは3plから4plへと大きくなっている。ノズル数は同じなので、印刷速度はL判縁なし写真印刷でPIXUS Pro9500MarkIIの105秒から、65〜90秒(写真用紙により異なる)に高速化している。対応する用紙サイズは同じだが、厚紙はPIXUS Pro9500MarkIIでは1.2mm厚まで対応していたが、PIXUS PRO-10では0.6mm厚までになっている。基本が背面給紙というのは同じだが、厚紙や半切用紙の手差し給紙の方向が、前面から背面に変更されている。その他USB2.0接続に加え、有線・無線LANに対応した。それと同時にスマートフォンからのプリントにも対応している。本体サイズは全体的に大きくなっている。PIXUS Pro9000MarkIIの後継機種はPIXUS PRO-100である。PIXUS PRO-1、PIXUS PRO-10と、数字が小さいほど上位機種である。PIXUS PRO-100もPIXUS PRO-10と同じ本体であるため、PIXUS Pro9000MarkIIと比べると本体サイズは大きくなっている。インクは8色染料という点は同じだが、基本4色とライトシアン、ライトマゼンダ以外の色が、グリーンとレッドからグレーとライトグレーに変更されている。ノズル数は同等だが、最小インクドロップサイズが2plから3plへと大きくなっている。印刷速度もL判縁なし写真が21秒からやや遅くなって28〜31秒(写真用紙によって異なる)になった。対応用紙サイズは同じだが、PIXUS PRO-10と同じく、対応する厚紙が1.2mm厚から0.6mm厚になり、また手差し給紙が前面から背面に変更されている。インタフェースはPIXUS Pro9000MarkIIのUSB2.0に加え、有線・無線LANに対応し、スマートフォンからのプリントにも対応した。 A4対応のコンパクトプリンタは継続販売である。
各機種を詳しく見てみよう。価格帯別の比較、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。なお価格は、このページの作成時点(2012年11月上旬)に大手家電量販店数社の価格から、期間限定特価を除いた上で、最も多くの店舗で付けられている価格としている。 (H.Intel) 今回の関連メーカー エプソンホームページ http://www.epson.jp/ キャノンホームページ http://canon.jp/ |
(FAX付きA3複合機) |
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(A3ノビ単機能機) |
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(コンパクト) |
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