■新参者
短編集と思いきや
『…これで終わり?』
加賀恭一郎の新作ということで期待して読み始めた新参者。 しかし第1章で話が完結してしまいました。
あれ…この本って嘘をもうひとつだけのように短編集だったのか。。。
加賀恭一郎おなじみの人情モノだったのですが、なんとなく消化不良感がアリ… しばらく山積みの中に埋もれさせた状態となりました。
それでもドラマがはじまるということでその前に読んでしまおうと思い、 第2章、しばらく間が経ってから第3章と読んでいくと…
『ん? もしかして…』
…どうやらそういうワケだったようです。 読み終わってから改めて帯を見ると、東野圭吾のこんなコメントが載ってました。
“こんなことが出来ればと思った。でも出来るとは思わなかった”
3章まで読み終わると、あとは最後まで一気に通読です。
- 小説現代2004年8月号:煎餅屋の娘
- 小説現代2005年6月号:料亭の小僧
- 小説現代2005年10月号:瀬戸物屋の嫁
- 小説現代2008年1月号:時計屋の犬
- 小説現代2008年8月号:洋菓子屋の店員
- 小説現代2009年2月号:翻訳家の友
- 小説現代2009年5月号:清掃屋の社長
- 小説現代2009年6月号:民芸品屋の客
- 小説現代2009年7月号:日本橋の刑事
巻末にこのような初出一覧が載っているのですが、足掛け5年掛かっているようです。 ひさびさに東野圭吾の当たり作品でした。
加賀恭一郎シリーズ
加賀恭一郎シリーズということで“赤い指”を思い出しますが、 ここでは改めて書き出してみました。新しい順です。
- 新参者
- 赤い指
- 嘘をもうひとつだけ
- 私が彼を殺した
- 悪意
- どちらかが彼女を殺した(未読)
- 眠りの森(未読)
- 卒業
このように書き出してみると、やはり“赤い指”から加賀刑事にスポットが当たりだしたかなと思います。 嘘をもうひとつだけは短編集ですし、私が彼を殺した/悪意は犯人側にスポットが当たってますし。 卒業に至っては初期作品ということで、まだシリーズ化云々どころではなかったのではないかと。
赤い指からは加賀刑事の人間性にもスポットが当たりだしているので、 加賀刑事に興味を持った方にはおすすめです。 ただ全幅の信頼を寄せておすすめできないのも“赤い指”という作品かと。。。
ちょっぴりイヤな気分がニジみ出ている作品ですが、 1ヶ所だけ超良いシーンがあります。
実在のお店探し
『加賀恭一郎、日本橋へ』
帯にこのようなコメントがあり、また章タイトルの中にもありますが、 この本の舞台は日本橋で、江戸風情の残る情景が出てきます。 ちょうどこの頃、ブラタモリの影響を受けて銀座〜浅草橋あたりを歩いてみたのですが、 ひさびさゆっくり日本橋を歩いてみたいナと思いました。
煎餅屋さん、刃物屋さん、瀬戸物屋さん、時計屋さん、そして水天宮に人形町の交差点風景… 実際に東野圭吾さんも取材を兼ねてブラタモリしたのでしょか。
新参者の次に読む作品
というわけで。新参者は、1つの作品の中にいろいろな要素が詰め込まれてる作品になってます。 キティちゃんなんかも出てきたりして、個人的には一番のお気に入り人情話です。
あともうひとつ。 この作品を読みながら“ある作品”がいつも頭をよぎってました。
ベストセラー作品ですし映画化もされた作品ですが、まだの方は読んでみてください。 新参者が良かった方はこちらの作品も印象に残るかと思います。