北極亭日乗


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平成十六年九月



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平成十六年九月三十日(木曜)曇

 台風21号の影響に因る昨夜よりの雨、朝には止みしなり。今回台風、本日正午頃、宮城沖太平洋にて温帯低気圧に変わりて、本道への被害殆ど無く去り行き呉れたは有り難きなり。然れども愛媛、三重にては土砂崩れ・土石流が発生、正午現在十六人死亡、十一人が行方不明の他、家屋全半壊十六棟、床上床下浸水約四千二百棟に上りおる由。続け様の台風被害、黙して耐へる外無きか。我が国への台風の襲来例年に無く多きも、米国にてハリケーン猛威を振るひおるも、全て地球温暖化に因ると聞けば、我等は罰受けおるのかも知れぬ。

            ◇……………◇          ◇……………◇          ◇……………◇

 近頃、我が家の猫どもミャオニャウと五月蝿し。何処からとも無く寄り来りて猫撫で声発し擦り寄り、視線合はすれば一際妙なる声出し鳴きて背中撫で呉れとせがむなり。二、三度は撫ぜやれども日に幾度となくせがまれては煩はしき事限り無く、「もふ、御勘弁下され」と逃げ惑ふ始末。我に撫ぜる気無しと知らば、今度は流しに立ち居る妻の脚に絡み付きて離れず、二匹交互にミャオニャウと鳴き止まず、妻「仕事に成らず」と閉口する事頻りにて往生し居るなり。つい先日迄、「此方へ来ひ」と呼びても知らぬ顔していたに、如何な訳にて急に人恋しく成りしか。人より先に秋の憂ひ感じ居る訳でもあるまひに。

           ◇……………◇           ◇……………◇          ◇……………◇

 二十八日中秋の月、銭湯帰りに眺めたり。一昔前迄は我が家にても芒、団子供へて月見しおりしが、徐々に家並み立ち込みて窓辺より仰ぎ見る能はず、而ふして月見せぬ様に成りたる経緯、馬鹿馬鹿しくも寂しき限りなり。夕餉時、銭湯帰りに眺めたる満月脳裏に思ひ浮かべつつ、月見ぬ月見酒独り酌みたり。

                    ☆       ☆

 《【ローマ=共同】AP通信によると、「老人と海」などの作品で知られる米国の文豪アーネスト・ヘミングウェー(一八九九―一九六一年)による未発表の短編小説が二十七日までにローマで見つかった。/小説は後に名作「日はまた昇る」の舞台にもなるスペイン・パンプローナでの闘牛について一九二四年に描かれたものでわずか四ページ。牛を素手で殺す男が登場するなどヘミングウェーらしいハードボイルドな作品という。劇作家ドナルド・O・スチュワート氏の息子が、父親がヘミングウェーから受け取った手紙の中から見つけた。同氏は当時、ヘミングウェーと親交があり、牛を殺す男のモデルでもあるという。/作品は遺産管理者の意向で出版はされず、十二月十六日、ニューヨークのクリスティーズで競売に掛けられる予定。》
                                           (04.9.28 読売夕刊)

                    ☆       ☆

 小泉首相は二十七日午前、幹事長・武部勤衆院議院運営委員長、政調会長・与謝野馨元通産相、総務会長・久間章生幹事長代理の自民党三役人事を決定せり。辞任表明しおりし安倍晋三幹事長は幹事長代理にて残りたり。小泉後継配慮しての処遇か、将又武部新幹事長の党内基盤脆弱なるを危惧しての補佐役か。

 同夕刻、第二次小泉改造内閣発足。留任六人、新任十一人(内九人が初入閣)、女性閣僚二人、民間人抜擢無し。所謂“中二階”組は明確に選別、平沼・高村・古賀氏は完全除外し、麻生・谷垣両氏を選択。郵政民営化担当相は竹中経済財政相が留任して兼務。此れ迄の小泉流"吃驚仰天"人事見られず、初入閣九人の手腕も未知数。皆々首相の意向に沿ひて忠実に動く、扱ひ易き人物選びしとの評も有りて、清新さ重量感に欠けるは否めず。小泉首相は同日夜、官邸記者会見にて「(改造内閣は)郵政民営化実現内閣、改革実現内閣と名付けて良い」と語りしも、此の布陣にては国民に痛み伴のふ改革断行迫るは難しからふ。

 道内選出議員初の幹事長と成りし武部勤氏、経済産業相留任の中川昭一氏、外務相就任の町村信孝氏と、三議員が主要ポストに就きて道内経済界、与党各党期待する処大なれど、道州制も道新幹線も景気回復も北方領土返還もそうそう旨く事は運ぶまひ。過剰な期待先行させて後で泣き見る事無き様、浮かれ踊るも程々が肝要。三議員はリップサービスにて道民を惑はす事の無き様、呉々も注意願ひたし。道への利益誘導等考へず、常に広く天下国家の為に働くが使命と心得るが最良。

                    ☆       ☆

 東京地検特捜部は二十六日、日本歯科医師会の一億円ヤミ献金事件で、自民党旧橋本派の元会長代理・村岡兼造元官房長官を政治資金規正法違反(不記載)の罪にて在宅の侭、東京地裁に起訴せり。本人は不記載への関与、否定しおる由。又、同法違反容疑にて告発されおりし野中広務・自民党元幹事長を起訴猶予、同派前会長・橋本竜太郎元首相及び青木幹雄・同党参院議員会長を嫌疑不十分にて不起訴とせり。臼田・日歯前会長が「都内料亭にて小切手渡し、受け取ったは橋本前会長、居合はせたは野中、青木両人」と供述せるも、三人共に「献金につきては一切知らず」と言ふて起訴猶予と不起訴。解せぬ。

 同派政治団体の会計責任者は同法違反にて既に起訴され、当時同派会長代理の村岡元長官の指示に従ひて収支報告書に記載せなんだ旨供述済みの上、一億円の巨額を会計責任者一人の考へにてヤミ献金処理せるは不可能――との理由を以て起訴されし村岡元長官。「抑、一億円の献金を知らぬに、指示出来る訳無し。報告、相談も一切無かりき。……起訴は誰かの陰謀。罪被せられたり」とて「裁判にて無罪勝ち取る為に戦ふ」と語り居りしと。献金せる側と接点有りし三人が「知らぬ」と言ひて起訴されず、接点無き者が「知らぬ」と言ふても起訴されたは何故。報告書未記載へ至る道筋知るは会計責任者唯一人、「知らぬ」と言ふが四人。夫々が真実を語りおるか、嘘つきおるか、面白し。

                    ☆       ☆

 仏の女流作家フランソワーズ・サガン(本名フランソワーズ・クワレーズ)氏が二十四日、仏北西部オンフルールの病院にて心不全の為死去。享年六十九歳。「悲しみよこんにちは」引っ提げ十八歳にて鮮烈デビュー、当時我が国にても話題に成りしを記憶す。彼女の作品殆ど読みおらぬ我なれど、事起こせば伝へられる彼女の私生活・生き様見続け来たれば、些かの感慨持ちて彼女の訃報記し置くなり。

                    ☆       ☆

 ライブドアの新規参入申請に続き二十四日、楽天も日本プロフェッショナル野球組織(NPB)に対し来季よりの参入申請行へり。NPBは申請書の妥当性、親会社の経営状況等を審査の方針。楽天・三木谷浩史社長は申請後の会見にて、球団運営会社「楽天野球団」(仮称)の十月中旬設立を明らかにせり。球団本拠地は仙台市、専用球場は県営宮城球場とライブドアと同じ。選手につきても確保方法は殆ど同じ。来季十二球団に戻るなれば、参入認められるは一社のみ。経営状況が参入への決定的要因と成るか、将又別なる要因左右するか。

                  プロ野球入りを目指す両社の概要と加盟構想

楽天 ライブドア
三木谷浩史 代表者 堀江貴文
ネット商取引、ネット証券 業務内容 ネット事業コンサルテイング、ネット証券
180億円 売上高 108億円
44億円
(ともに2003年12月期)
経常利益 13億円
(ともに2003年9月期)
398億円 資本金 239億円
716人 従業員数 1288人
宮城県 保護地域 宮城県
仙台市の宮城球場 専用球場 仙台市の宮城球場
楽天野球団(仮称) 球団会社 ライブドアベースボール
4億円 球団資本金 1億円
楽天が100% 株主 ライブドアが100%
今年中に決定 球団名 今年中に決定。公募も検討
仙台市内の企業から施設取得か賃貸を予定 練習場 仙台市内の企業から施設取得か賃貸を交渉中
オリックス、近鉄のキャンプ地で統合球団が使用しない施設が有力 キャンプ場 四国、九州、沖縄のどこか
オリックス、近鉄にプロテクトされなかった選手軸にFA、外国人など 選手確保 オリックス、近鉄にプロテクトされなかった選手軸にFA、独自のルートでの外国人など
10月末までに確定 監督など 10月末までに確定
楽天チケットを通じたオンライン販売。ネット中継。IT活用した科学的野球教室 事業概要 ネットによる試合中継。選手年俸の一部を自社株購入権で。J2ベガルタ仙台と提携
地域に根ざした球団を目指す。野球だけでなくスポーツファン全体の期待に応える施策を実施 地域 地元密着型球団を目標に。プロアマ交流を積極的に支援。球団が構築したファンのデータベースを用いて地元企業のマーケティング支援

                                        (04.9.25 読売)

                    ★       ★

 二十六日、東京・江東区夢の島競技場。コンサドーレ対横浜FC戦は、1−1で引き分け。通算成績5勝21敗10分け。勝ち点1増やし25、順位変わらず。
 次節十月二日、対京都パープルサンガ戦(札幌・厚別公園競技場)。



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平成十六年九月二十三日(木曜)晴

 秋分の日にプロ野球スト収拾せり。NPBと選手会の協議・交渉委員会は二十三日午前より開かれ、「NPBは来季にセパ十二球団に戻す事を視野に、新規参入球団の参加資格審査を速やかに進め、適正に対処する」等七項目で合意に達し、収拾せり。此れにて来季も十二球団維持の見通しとなれり。

 要求に対する回答を小出しにするは、労使交渉に於ける経営側の常套手段なれど、今回は妥協限界点につき経営側協議無きまま交渉に臨み、其の都度場当たり的協議為して回答せるが如くに見受けられしは如何。選手会反乱の意味をば全く把握、理解せず、経営に楯突く不心得者として対処せんとする思ひ上がり、NPB側に無かりたるか。十日の暫定合意後、選手会要求に真摯誠実に耳傾け妥協限界点突き詰め協議しおれば、今日提示の七項目導き出されたは疑ひ得ず、然すれば十八、十九日のストライキも無かったであらふ。

 「ファンあっての野球。スト為してはならじ」の声、処々方々より聞こへしが、其のファン減りて経営立ち行かず統合したが故に起こりしスト騒動なれば、選手会はファンの為と言ふてスト中止する必要全く無く、責められる謂れも無ひ。大体ファンは「ファンあっての野球。ストならじ」とは言はなんだ。責められるべきは、プロ野球界に山積せる諸問題に眼瞑りて考へ来なんだ頑迷固陋のNPB、オーナー会議側にて、「ファンあっての野球」口にせしは笑止。二日間のストライキのみにて解決せし僥倖を、経営側はよくよく噛み締めるべきなり。


 《プロ野球スト中止/来季参入速やかに審査 球団と選手会の交渉妥結 プロ野球への新規球団の参入時期などを巡り、第二波ストライキを設定していた労組・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロフェッショナル野球組織(NPB)との協議・交渉委員会が二十三日、前日に引き続き名古屋市内のホテルで開かれ、七項目で合意。NPB側の瀬戸山隆三・選手関係委員長(ロッテ代表)と古田会長が文書に調印、二十五、二十六日に予定されていたストは回避された。
 球団の新規参入に関し、来季からの加盟を視野に入れて速やかに審査することをNPBが確約し、選手会が了承した。また、新規参入が決まった場合統合するオリックス、近鉄の両球団の選手のうち、統合球団の「優先確保枠」選手以外の選手を振り分ける「分配ドラフト」に新規参入球団の参加を認めることも合意された。
 二十五、二十六日の巨人―阪神(東京ドーム)、横浜―中日(横浜)、広島―ヤクルト(広島)の計六試合は、予定通り開催される。

     球団と選手会 7項目合意
     1、NPBは来季(2005年シーズン)に、セパ12球団に戻すことを視野に入れ、野球協約31条、32条に基づくNPBの参加資格の取得に関する審査(以下「審査」という)を速やかに進め、適切に対応する。
     2、審査は、実行委員会の下部組織として組織される「審査小委員会」が担当し、審査開始後1か月を目処に実行委員会およびオーナー会議に答申する。来年(2006年シーズン)以降の審査については、第三者を委員とする新規加入球団審査委員会(仮称)を設置する。
     3、NPBは、現行野球協約の加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金等の制度を導入する。
     4、審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り、開示するなど、透明化に努める。
     5、審査小委員会の答申に基づいて、実行委員会及びオーナー会議が、来季参入を可とした場合は、NPBは、その参入が円滑になされるよう最大限の協力をする。
     6、新規参入が決まった場合、分配ドラフトヘの新規参入球団の参加を認め、統合球団のプロテクト選手(2巡目、3巡目の指名選手を含む)を除いて柔軟に対応する。また、既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する。
     7、NPBは、選手会との間で、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、1年間をかけて、ドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制限の緩和などについて徹底的に協議する。》 (04.9.23 読売号外)

                    ☆       ☆

 二十一日開かれしNPB実行委員会は、新規加盟申請せるライブドアにつき、野球協約に基づひて三十日以内に審査為す方針を確認。加へて新規参入加盟料(六十億円)及び参加料(三十億円)を撤廃、預かり保証金制度(保証金二十五億円、入会金五億円)導入決めたる由。記者会見せる実行委議長は「公正且つ適正な審査をする予定。基本的には三十日間で審査したひ」と語りき。来季よりの新規球団参入求め二十五、二十六両日に第二波ストライキ設定しおる選手会、協議・交渉委員会に如何影響せるか注目される処なり。

                    ☆       ☆

 二十一日、東京・大手町にて午前九時二十一分、30度超へて真夏日と成り、東京の真夏日は計六十八日。一九二三年大手町にて観測開始以降、最多記録らし。又、埼玉県熊谷市にて観測史上最多の七十六日、京都市にても同最多の九十三日を記録。大阪にても二十日記録せる最多日数を更新、九十日に成りしと。我「暑ひ、暑し」と騒ぎ居た札幌の真夏日はたったの十四日、最高気温と言ふても33.2度。暑さに弱き体質とは申せ、何とも堪へ性無き脆弱なる精神にて、「死せる如きに暮らし居た」と聞けば京・大阪人腹抱へて笑ふやも知れず。

                    ★       ★

 二十三日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対水戸ホーリーホック戦は、2−1でコンサ勝利、ホーム二連勝。通算成績5勝21敗9分け。勝ち点24、順位最下位は変わらず。
 次節二十六日、対横浜FC戦(東京・江東区夢の島競技場)。



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平成十六年九月二十日(月曜)曇

 本日「敬老の日」なり。日々敬老の念持ちて老齢者と接するが当然の事なるに、今はもふ年寄りは邪魔者、厄介者扱ひされ居る御時世。せめて一日たりと敬ひ奉らねば、死したる後も魂魄此の世に留まりて害悪撒き散らさぬとも限らぬとて、申し訳に設けたるが国民の祝日か? 老人施設へ入居叶わず我が家で臥せ居れば子が虐待、手厚ひ看護受けんと施設へ入れば介護師が虐待――国中に斯様な状況蔓延しおるに何が敬老ぞ。我ら年寄りが長寿寿ぎ祝ふは夢のまた夢。

 今日も今日とてテレビ見居れば、寝たきり七十三歳夫を一人にて介護しおりし七十一歳妻「私が先に死したれば夫は如何成る」と窒息死させたるニュース、「頑固で我が儘。居なひ方がいい」と言ふて夫が妻の母(八十八歳)を絞殺せるニュース。思ひたふは無ひが、此れが我が日本の「敬老」の実情なり。斯様な話耳にして、大方は些かの同情憐憫の情持ちて「敬老の日に、何でまた」程度の感懐抱き、極少数は「敬老の日に、怪しからん」と憤慨し居りたやも知れぬ。が、其の時だけ其れだけの事、と成りて忘却の彼方へ葬り去られるに違ひ無く、「何でまた」「怪しからん」の言葉出で来る事象の根源へ思ひ巡らせる事も無ひであらふ。日々三省する間も無き忙しき世なれば他人の死、然も老人の死の訳なぞ考へる暇無しと言ふて済ましおる限り、此の国に「敬老の日」存せず。

 昨日、妻所用有りて昼過ぎに出掛けしが、手間取りて帰宅六時頃と成りたれば夕餉支度するも面倒とて、近くの居酒屋にて一献傾けり。ビールジョッキ運ばれ来て乾杯せば、妻唐突に「一日早けれど、敬老の日の祝ひ」と言ふ。我「何が敬老の日か。嫌老の日だ。年寄り生き辛くなるばかり。長寿祝ひとてプラスチック製の金杯銀杯配って如何成る。呉れるなら酒も一緒に持って来ひ。官の遣る事は万事が万事、気が利かぬ」とぶつくさ宣へば、「了解。祝ひで無く、単なる居酒屋での食事にしましょ。御酒は此の麦酒で御仕舞ひ」と切り返し来れば、此処は不味き仕儀に相成りて酒呑めぬは困る故の御愛想「女房殿と老ひ祝ふに異存無し。大ひに祝ひたし」と切り抜け二時間余、酎ハイ、燗酒、濁酒と呑み継ひで戻りたる為体。性根定まらぬ情け無き我にてあり。

                    ☆       ☆

 旭川市旭山動物園の今年度入園者が二十日、百万人超へたり。同園初の記録にて、道内の動物園では一九七九年度に札幌市円山動物園が記録以来、二十五年ぶりらし。道内動物園の年間入園者百万人突破は一九七三−七六、七八、七九年度の六回何れも円山にて、最高は七四年度の百二十四万七千三百九十五人なるも、今年度の旭山は此れに迫る勢ひなりと。旭山職員の「発想と努力」、官にて禄食む者は皆々見習ふがよし。

                    ☆       ☆

 十七日開かれし日本プロ野球選手会と日本プロフェッショナル野球組織(NPB)の協議・交渉委員会は、「新規参入時期」を巡り合意に至らず決裂、日本プロ野球史上初のスト突入と成れり。対象試合は十八、十九両日の全ての公式戦(二軍も含む)。

 《交渉は、午後五時までとしていたスト実施決定の期限を四時間も延長して続けられた。新規加盟球団に関する審査委員会の設置など根来コミッショナーが前日に示した収拾案に対し、選手会は新規参入の時期を巡り、来季からの参入に「最大限の努力」を求めた。しかしNPB側は「『最大限努力する』とすれば、公正な審査にタガをはめてしまう。要求は受け入れられない」と反論。最後まで折り合いがつかなかった》(04.9.18 読売)

 「最大限努力する」事が何故、公正な審査にタガを嵌める事に成るのか。公正な審査とは、何人も疑義を挟む余地の無ひ参入条件基準に照らして合致せるか否かを判断するだけの話。選手会側の言ふ「最大限の努力」とは、是が非でも来季よりの新球団参入を約束せよと言ふ意味では無からふ。時間的制約も考慮し、根来コミッショナー提案の新規加入球団審査委員会を早急に設置して審査に着手する事が「最大限の努力」と我は解す。仮にライブドア、楽天が基準満たし居らず承認されなんだとしても、公正なる審査の結果とあらば選手会もファンも傍観者各位も皆々納得して審査委の決定に従ふであらふ。

 スト決行に対しファンの支持有るとは申せ選手会側への風当たり強き様にて、読売社説に「ファン裏切る"億万長者"のスト」と有りしが、大方の論調異口同音。球団側の無為無策をば「ファンへの裏切り」と言ふ言葉で覆ひ隠し、己が責任を選手会に転嫁せるが如き物言ひ、毎度なれど情け無き事なり。違法スト故、損害賠償請求せんとのNPBなれど、今回騒動は労働争議では無く"日本プロ野球丸"の乗組員(選手会)の"反乱"なれば的外れの請求なり。プロ野球人気は凋落気味、経営は先行き不透明−−の荒天の中、乗組員が此の侭球団側に舵取り任せては沈没免れぬと勇を奮って反乱起こせしだけの事。

 NPBは元より報道に登場せるプロ野球OB、経済界の御歴々、其の他大勢皆々ストライキの弊害ばかり並べ立ておるが、選手会の反乱無ければ球界・球団改革への糸口すら掴めなんだを考ふれば今回ストの意義は大。大ひにスト決行せよ。野球を面白くせんが為のストなれば、ファンは「裏切られた」等と露些かも思ひはせぬ。協議・交渉は今後も続けられよふが、選手会側は文面に「来季、二〇〇五」が入らぬ限り合意はしまひ。NPBは舵切り替へよ。


 《古田敦也会長(ヤクルト)「この週末の試合を楽しみにしていたファンには、心苦しく思う。セ・リーグ六、パ・リーグ五の十一球団は、いびつな形。合併の凍結ができないなら、新規参入を促してほしいと交渉したが、最大限努力するという言葉を頂けなかった。あいまいな言葉では妥結できない」

 瀬戸山隆三・選手関係委員長(ロッテ球団代表)「門戸を開放し、開かれた球界を築きたいと思っている。新規参入の申請については、誠意を持って審査する。しかし、来年からということになると、時間的に問題が出てくる。審査を公正に行うことに力点を置けば、選手会の要求は受け入れがたかった」》

ストに関するこれまでの動き(04.9.18 読売)
6月13日 オリックスと近鉄の球団統合構想が表面化
7月7日 オーナー会議で両球団統合の基本的枠組みを了承
10日 選手会臨時総会で、統合の1年間凍結などを求める決議
8月10日 両球団が統合基本合意書調印
12日 選手会のスト権確立明らかに
9月6日 選手会、統合の1年間凍結なければ11日からのスト実施を決議
8日 オーナー会議が両球団の統合承認
9日 協議・交渉委員会は平行線
10日 協議・交渉委員会で6項目の暫定合意に達し、11、12日のストは回避
16日 協議・交渉委員会に根来コミッショナーが、新規加入球団審査委員会(仮称)などを提案。スト回避できなければ辞職、を示唆
17日 協議・交渉委員会で、最終的に交渉が決裂。18日からのスト突入が決定

                    ☆       ☆

 札幌市の職員給与、寒冷地手当引き下げ勧告に続き、道人事委員会も十七日、国の支給水準上回る諸手当につき国並みに引き下げるやふ勧告為す方針決めしと。国上回るは、初任給上積み、昇給短縮措置、退職時特別昇給、僻地勤務教員の昇給短縮措置等五項目にて、減額給与総額は百億円にも上るらし。公務員と言ふは、我らが知らぬ所で何や彼や名目捻り出して旨ひ汁啜り居るか。財政逼迫なぞ御構ひ無し、己の取り分は一円たりとも握りて離さずでは道民は納得せぬ。此の際、給与制度の抜本改革に取り組むべきなり。

                    ☆       ☆

 ライブドアは十六日、NPBに対し参加申請行へり。申請書に拠るに、1)仙台・宮城球場を本拠地とする事にて宮城県、仙台市との協議を進行中 2)選手は、統合するオリックスと近鉄の優先確保枠より漏れた選手を中心に、FA移籍及び外国人選手獲得等にて確保の方針 3)十一月の新人ドラフト会議への参加も希望――らし。報道に拠ると、堀江貴文社長は参入時期につき「来年からと言ふ事しか考へていなひ。駄目なら其の時に考へる」と語り、「三年や五年で止めると言ふ事は考へていなひ」とも語りしと。

 参加申請出されたからには、NPB腹据へて早急に態勢整へ審査始めるべし。十六日の協議・交渉委員会の席上、根来コミッショナーが「自己の進退を含んで考慮した」収拾案が文書にて示されしも、内容は球界の抜本改革案とも言ふべきものにて、NPB側も「実際の新球団の参入は二〇〇六年より」と解し居り、我にはスト回避の収拾案と成らぬやに思はれる。古田選手会長の弁「コミッショナーの提案は評価するが、NPBとしてやらないといけない事」より察すれば、選手会側が無条件にて収拾案を受け入れる事は無からふ。同委は合意に至らず十七日も協議続行と成りしが、NPB側が参加申請球団在るにも拘わらずもたつき、来季よりの参入躊躇せば十八日のスト決行は必至と思へ。


       根来コミッショナー【新規提案事項】

     @新規加入球団審査委員会(仮称)
     日本野球機構の諮問に応じて新規加入を申請している球団についてその可否を審査する。委員は、法律、経済、経営等の専門家、プロ野球OBなど7人程度で構成する。委員会に新規加入申請球団関係者、既加入球団関係者、同球団所属選手等からの意見を聴取し、新規加入申講球団の財務内容等を調査する権限を与える。

 Aプロ野球有識者会議(仮称)
 プロ野球のみならず・法律、経済、経営全般に通じた有識者を以て構成し、オーナー会議の諮闇に応じて答申する。
  ▼審議事項(例)
   ・公益法人たる野球機構とは別に営利を目的とする株式会社組織を設けること    の可否
   ・リーグ構成のあるべき姿の検討
   ・国際交流試合の在り方の検討
   ・加盟料等の検討
   ・プロ、アマのあり方についての検討
   ・選手OBの再就職先確保の検討
   ・野球協約の根本的改正についての検討
   ・選手に関する諸制度、参稼報酬、ドラフト、FA制度等の検討
  ▼小委員会の設置
   必要に応じて專門小委員会を設け関係者等の意見を聴取する権限を与える。

 B加盟料について
 当面、加盟料については、加盟の際の預かり金として野球機構に保管する。その金額は、当該球団が10年以内にプロ野球から撤退することがあった場合の所属選手の1年分相当の参稼報酬の合算額とするQさらに加入に際し、経費等に充てる必要から若干の金員を加算する。なお既設球団についても脱退する場合の諸経費に充てるための出捐(しゅつえん)を要するとするか否か、要するとした場合はその額は如何(いかん)とすべきか、加盟料を含めこの種制度の確定については有識者会議の答申を侯(ま)って行う。  (04.9.17 読売)

                    ☆       ☆

 「プロ野球の球団経営参入を検討中」と十五日報じられしインターネット商取引大手「楽天」の三木谷浩史社長は十六日、都内にて会見、参入意思を改めて表明せり。先に新規参入表明しおるIT関連企業「ライブドア」共々、参入時期につきて「可能なれば来期より」と語りたれば、本日午前より再開されし選手会とNPBの協議・交渉委員会にも少なからず影響するは必至なり。

 野球協約では、新規加入球団は「前年十一月三十日迄に承認を得なければならなひ」と規定されおるなれば、ライブドア、楽天の早急なる申請望みたし。NPBが二球団の参入認めるか一球団に絞り込むか、先は分からねど、来季よりの参入となれば十二球団以上が揃ひ、選手会の要求満たす事と成りてスト騒ぎも終了、万事丸く収まる訳なればNPBも参入させるが得策。参入歓迎を前提に検討為されるを切に願ひ、見守りたし。

                    ☆       ☆

 佐世保小六女児殺害事件の加害女児(十一歳)に対する審判が十五日開かれ、長崎家裁佐世保支部は「児童自立支援施設に送致。九月十五日より向こふ二年間、強制的措置を取る事が出来る」保護処分を決定せり。送致先は女子専用施設「国立きぬ川学院」(栃木県氏家町)。

            ◇……………◇          ◇……………◇          ◇……………◇

    佐世保小6事件 地裁決定骨子
    ▽女児は、認知面・情緒面に偏りがあり、怒りには回避か、相手への攻撃かという両極端な対処行 動しか持たない。
    ▽女児にとって、交換ノートやインターネットが自己の存在感を確認できる「居場所」だった。被 害者が、そこに女児への反論や否定的な感情を表現したと見られる文章を掲載したことを、「居 場所」への侵入ととらえ、計画的に殺害行為に及んだ。
    ▽被害者に特段の落ち度は認められない。
    ▽女児を児童自立支援施設に送致。二年間は強制的措置をとることができる
                                            (04.9.16 読売)

 報道されし家裁支部の決定要旨読みても尚、我が内の「何故に」は消へず。「女児の人格特性」「本件の概要」の項読み返し読み込みても「何故」は残るなり。人格、心理を如何に科学的に分析為せど、解明に限度在るは自明。「何故」残りて当然やも知れぬ。唯、被害女児の父親は家裁決定を納得して受け入れたるや。加害女児の両親は我が子の「人格特性」聞きて納得し得たるや。尋ねたけれど……。

                    ☆       ☆

 十四日、厚生労働省が「長寿番付」発表。国内の百歳以上の高齢者は今月末時点にて二万三千三十八人、昨年より二千四百七十七人(12%)増へて過去最多更新、此の五年にて倍以上の増加らし。男性三千五百二十三人(前年比三百六十四人増)、女性一万九千五百十五人(同二千百十三人増)にて、女性が全体の84.7%を占めたりと。現在の平均寿命、男七十八・三六歳、女八十五・三三歳にて、寿命越してより尚、女は十五年、男は二十二年も生きねば百歳迎へられぬを考ふれば気の遠く成る話にて、我御免蒙りたし。

 毎年、平均寿命・長寿番付発表の度に思ふは、「長寿祝ふに吝かでなかりしが、敬老精神希薄にて疎外は疎か虐待横行せる悍ましき世、高齢・長寿喜びて生き行ける程優しき御時世とは到底思はれず、せめて寝たきり呆けに成る前に御さらばしたし」の一事なり。老人力結集せば世直し為して生き易き世にも成らふが、皆々心優しく成りしか御上に楯突きもせず、「世の中成るようにしか成らぬ」と人生達観せる様にてあれば、老人力結集望むべくも無き状況。ビルの谷間の方丈に隠棲蟄居、木乃伊と化するが今時の老人の死の美学やも知れぬ。

 と言ふて悲観ばかりでは平均寿命も覚束無ければ、此処は一番空元気にても良し、生き難き世をば笑ひ飛ばし老害遠慮無く垂れ流して「老人我、此処に在り」と声高らかに宣言せんか。「我、狷介孤高なれど頑迷固陋に非ず。世の不人情、不条理正さんが為物申す」とて小言幸衛に徹せんか。

 長寿の所為ばかりでもあるまひが、今年七月の世界人口は昨年比七千六百十万人増の六十三億七千七百六十万人に達したりと。十五日、国連人口基金は二〇〇四年版「世界人口白書」を発表、斯く推計せり。人口増加の80%超が開発途上国の貧困層にて、白書は「富裕層による大量の資源消費と、(貧困層の)人口増加が、地球環境への負荷の増大の一因」と警告しおるらし。此の地球にて戦為す国々の戦費をば開発途上国に投入せば貧困撲滅も夢で無きに、何故為さぬ。先進国(と思ひおる)首脳の御歴々、時に集ひて何を議論せしか。


      現在と2050年の世界人口上位10か国(推計値)
                         (2004年版「世界人口白書」に拠る)

2004年 2050年
順位 人口(万人) 人口(万人)
@ 中国 13億1330 インド 15億3140
A インド 10億8120 中国 13億9520
B アメリカ 2億9700 アメリカ  4億870
C インドネシア 2億2260 パキスタン 3億4870
D ブラジル 1億8070 インドネシア 2億9380
E パキスタン 1億5730 ナイジェリア 2億5850
F パングラデシュ 1億4970 パングラデシュ 2億5460
G ロシア 1億4240 ブラジル 2億3310
H 日本 1億2780 エチオピア 1億7100
I ナイジェリア 1億2710 コンゴ民主共和国 1億5160

                    ☆       ☆

 羅臼・中標津両町合併協議会は十四日、合併後誕生の新市名称を「東知床市」と決めり。「知床は共有の財産」と町名変更せぬ事を決め、両町に「知床」を使用せぬよふ要請しおりし斜里町は強く反発せしと。世界自然遺産登録成れば……の思惑見へ隠れする「合併」致し方無けれど、標津挟みての飛び地合併では中標津と「知床」は結び付かぬと思ふが。兎に角、斜里・羅臼両町手携へて遺産登録目指し来るを忘れず、登録迄歩調乱す事無きを願ふ。

 十七日追記。斜里町が強く反発せる問題で、同町の午来昌町長が本日の町議会にて「町議から『大人に成れ』と言はれた。今は一歩引く事で、将来二歩、三歩進むなら良ひと思ふ」と、「東知床市」の名称使用を容認する方針示せりとの報道有りたり。

                    ☆       ☆

 十四日午前、大阪教育大付属池田小事件の宅間守死刑囚の刑執行されり。二〇〇三年八月二十八日に大阪地裁にて死刑判決受けし後、弁護団控訴せるも同年九月二十六日、自らの訴訟取り下げに依り死刑確定しおりしなり。通常、死刑確定より執行迄に七−八年、異例の早さと指摘されし二〇〇二年九月執行の二人の場合にても確定より四年余経たる後と比較せば、本人が早期執行望みしとは申せ、刑確定より一年足らずでの死刑執行は極めて異例なりしと。死刑執行は刑確定より六か月以内に法相が命じねばならぬと規定せる刑事訴訟法からせば「在るべき姿」と言へぬ事も無けれど、一年経ずしての"超早期執行"は矢張り特別の理由在りての事と解すべきなり。

 本事件の重大性、社会的影響等を考慮、誤判の恐れ皆無にて本人も早期執行望み居り、何より遺族及び国民感情斟酌したればの"異例の早さ"と解するが妥当とわれには思はるるが……。子を殺されし親は「死んだ子が浮かばれぬ。一刻も早く死刑を」と言ひ、聞く国民は「我も人の親、然もありなん。凶悪犯は命を以て償ふべし」と言ふ。一部に死刑廃止論在るも未だ国民の声六、七割は存続容認。凶悪事犯多発傾向の中、「凶悪殺人事件の犯人に対しては極刑も已む無し」が一般の声、「凶悪殺人犯には死刑在るのみ」が被害遺族の声とあらば法務省とて捨て置けもせず、法相に死刑執行指揮書への署名促せしか。其れにしても野沢太三法相、任期切れ間近にして署名せる訳は何処に。

 二〇〇三年五月二十二日の論告求刑公判にて、検察側は被害者感情につき刺殺されし八児童の両親の証言・意見陳述明らかにし、「本件被害の惨状と遺族の悲痛な思ひを見る時、所謂死刑廃止論が如何に被害者や遺族の立場、心情を無視した空疎なものであるかと言ふ事を実感せざるを得なひ」と論告、「被告人の刑責は誠に重大であり、如何なる観点からしても、極刑以外に科すべき刑は在り得なひ。拠って、相当法条を適用の上、被告人を死刑に処するを相当と思料する」と求刑せしが、既にして遺族・国民感情を代弁しおりたとも言へようか。とせば、大阪地裁で死刑判決出でし時点にて即、法務省は執行へのカウントダウン始めたやも。


 《全国犯罪被害者の会代表幹事・岡村勲弁護士の話「従来、死刑確定から十年、二十年とかかる例が多かったことから、執行の早さに非常に驚いた。しかし、法律では本来、六か月以内に執行することとされており、評価したい。どうしてこの件が早かったのかは当局でないとわからないが、今後ともこのように迅速な運用を期待したい。確定しながら長期間執行しないのは、死刑囚にとってもよいことではない」

 死刑廃止運動を推進している岩井信弁護士の話「異例中の異例の執行と言える。仮に、本人が早期執行を希望していたとしても、希望は変わりうる。死刑の究極性を考えれば、執行までに一定の時間をおいて、確定順になされる方が、まだ合理的だ。事件の重大性や遺族感情も、早期執行を客観的に説明できる要素とは言えない」

 前田雅英・東京都立大法学部教授(刑事法)の話「これまでの死刑執行は、国民の目から見れば不透明な部分も多かったが、今回は誤判の可能性もなく問題ない。刑の確定から一年たっており、遺族感情からすれば、短いとはとても思えない。国内で凶悪犯罪が増えている中で、最後は犯罪に対する世論の厳しい声が後押ししたと言えるだろう」》(04.9.14 読売夕刊)


 上記談話読むに、立場に拠り受け取り方異なる事鮮明なり。根底に在るは「死刑廃止か、容認か」の唯一点。我、現時点にては死刑容認す。「己の命で償へ」と言ふ凶悪犯に対する遺族の報復感情を野蛮、人権無視と誰が糾弾出来ようか。「出来るものなれば此の手で殺して遣りたひ」と言ふ遺族感情を愚かな事と無視出来ようか。「生きて償って貰ひたし」と言ふ少数の遺族が居るは確かなれど、其れが廃止への大きな理由とは成り難ひ。米国の一調査にて「死刑の在る無しにて殺人事件発生率等に有意なる差見られず」の報告有るを以て、死刑の犯罪抑止効果につき疑義を挟む意見有れど、「死刑在る故、犯罪を犯さなんだ」事例の数値化が不可能なる以上、客観的調査とは到底言ひ難く、抑止効果無しを理由に廃止を主張するは無駄、と我には思はるが……。

 死刑制度存廃に関する五年毎の総理府調査を見るに、一九五六年より一貫して存置派が60−70%台、オウム・サリン事件等相次ぎし後の九九年九月調査にては過去最高の79.3%。存置容認理由は「凶悪犯罪は命を以て償うべき」「死刑廃止に因り凶悪犯罪が増加」「被害者及び家族の気持ちが収まらぬ」の三つが上位。此の理由、「廃止か、容認か」の対立点と成りおるも興味深し。宅間被告に対する論告求刑公判廷にて検察側が開陳せし被害者感情の激しさ考ふれば、死刑も已む無し、早期執行も亦已む無しと思ふ我は冷酷か。

 アムネスティ・インターナショナル日本に拠るに二〇〇四年四月現在、七十九の国が凡らゆる犯罪に対する死刑廃止、十五の国が戦時等緊急事態下にての犯罪を除く全ての犯罪に対する死刑廃止、二十三の国が法律上は死刑存置せるも過去十年以上執行停止されおる等事実上の廃止。今尚存置・適用せるは日本、アメリカ(一部の州は廃止)、中国等七十八か国に及ぶも、世界の趨勢は概ね廃止の方向。日本にても死刑廃止推進議員連盟が、廃止への過渡的措置とし「死刑存置のまま、仮釈放無き終身刑導入」案を検討しおるらしも、「凶悪殺人犯は命を以て償へ」とせる世論の大勢「存置容認」を納得させ得るか。

                    ★       ★

 十八日、山形県総合運動公園陸上競技場。コンサドーレ対モンテディオ山形戦は、0−1でコンサ勝てず。通算成績4勝21敗9分け、勝ち点21。順位変わらず。
 次節二十三日、対水戸ホーリーホック戦(札幌厚別公園競技場)。

 相変はらずのパスミス続出、シュートは二本。「攻」無く「防」のみにては勝つ術無し。J2とは言へプロの筈、アマ並みの現在の技量では如何にも成らぬなり。



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平成十六年九月十三日(月曜)雨後曇

 芦刈道警本部長は本日、道議会総務委員会に出席し、道警不正経理問題につき、裏金作りは組織全体にて行はれ一九九八―二〇〇〇年度迄の三年間に執行の捜査用報償費・捜査費ほぼ全額約十四億円が裏金なりしを正式に認め、陳謝せり。又、十月末の道議会にて特別調査結果を最終報告、現在調査中の二〇〇一年度と〇二年度分を合わせ五年分の不正執行額を纏め、年内を目処に国及び道に返還すると同時に関係者を処分する旨、明らかにせり。

 「道議会並びに道民の皆様に深く御詫びします」と陳謝されても、何を今更の感。組織ぐるみ認めはしたものの私的流用無し、道警幹部の関与認められずと報告。本来なれば「詐欺、業務上横領、虚偽公文書偽造・同行使」の罪に問はれる犯罪をば不問に付して身内基準にて処分したとて我ら道民、納得する訳無からふ。調査自体、当事者の供述鵜呑みにして裏付けの証拠・資料皆無では信憑性疑はざるを得ず、結局此れ迄の調査報告と変はらぬなり。


 《道警不正経理中間報告要旨》 捜査用報償費・捜査費
 
◆98〜00年度◆〈総括〉98〜00年度の捜査用報償費(道費)と捜査費(国費)は、一部の部署および一部の部署の一部の年度において、現段階では不適正な執行は認められなかったが、多くの部署では正規の予算執行手続きを経ず、日常の捜査活動の効率性、機動性を考慮して捜査担当課・係または捜査員にあらかじめ交付し、または必要な都度、捜査活動に要する経費として執行するほか、捜査用報償費や捜査費として執行できない交際経費、激励経費などとして使用していた。
 不適正な執行をしていた部署では、所属長は不適正な予算執行が行われていたことを認識し、次席ら、または会計担当職員が執行実態と異なる支出関係書類を作成するなどの予算執行形態が継続していた。

 〈執行方法〉過半数の部署で次席らが捜査用報償費と捜査費を区分せず一括管理し、月初めに捜査担当課・係または捜査員に一定額を活動に要する経費として交付し、または必要な都度、個別に捜査活動に要する経費に執行するほか、交際経費、激励経費などに使用するという執行方法がみられた。
 多くの部署で次席ら、または会計担当職員が電話帳などから抽出した氏名を架空の協力者として選定して支払精算書の下書きを作成し、捜査用報償費と捜査費を執行するに清書させ、証拠書類とした。領収書については、自部署の捜査用報償費と捜査費を執行しない職員あるいは他部署の知り合いの職員に依頼して作成するという証拠書類の作成方法がみられた。

 〈使途〉次席らから交付された捜査用報償費と捜査費の使途について捜査員らから聴取したところ、執行実態と支払精算書などの証拠書類とは一致していないが、捜査協力者への情報提供謝礼、協力者との接触費、拠点の借り上げ費、追尾中のタクシー代、張り込み中の夜食代、携帯電話使用料、駐車料金、高速道路利用料金など捜査活動に要する経費として執行していた、と説明した。
 捜査活動に要する経費以外の使途について、所属長および次席らに聴取したところ、主に交際経費、激励経費に充てていた。交際経費は関係団体との懇親会費、正規の交際費で執行できない職員分の会費、部内会議終了後の懇親会費、職員に対する慶弔費などに使用し、激励経費は事件捜査終了時の打ち上げに伴う激励費、事件・事故に伴う他部署からの応援捜査員に対する差し入れ経費、術科大会の選手に対する激励費、警察学校入校者に対する激励費などに使用した、と説明した。

 〈慣行的・組織的執行〉多くの所属長は捜査用報償費と捜査費の執行に関し、日常の捜査活動を効率的へ機動的に展開できるようにと考え、捜査用報償費と捜査費を捜査担当課・係(捜査員)にあらかじめ交付するという執行方法を慣行的に行っていた。
 また、執行事実と異なる支出関係書類が作成されていたことは認識しているが、当時の執行方法としてはやむを得ないものと理解していた、と説明した。
 多くの次席ら、および会計担当職員は、暗黙のうちに当該部署において一定の執行方法がとられていたので、その慣行に従った、と説明した。その結果、全く同じではないが、多くの部署において組織的な類似の予算執方法となったものと認められる。
 内部における会計検査においては、それぞれの所属が執行した捜査用報償費と捜査費の証拠書類と関係文書などを基に、捜査用報償費と捜査費が適正かつ効率的に執行されているか、それぞれの書類に矛盾がないか、さらには取り扱い者である所属長や、補助者である次席らから現金の保管・管理状況、現金が捜査協力者に渡るまでの過程について聴取し、聴取した結果と作成された関係書類に矛盾がないかなどを確認し、矛盾がなけれぱ適正に執行されているとの結果を得ていた。

 ◆01〜02年度◆〈一般執行〉01年度に14部署、02年度に4部署で捜査用報償費と捜査費から交際経費、激励経費などを捻出するという不適正執行が認められたが、00年度までの多くの部署で行われていた慣行的な不適正執行の形態とは異なり、適正な予算執行を行う一方、それぞれの部署の事情に応じて、一時的、部分的に必要経費を捻出していたことが認められた。
 また、これ以外にも一部の部署で、捜査員が事件捜査による長期出張で支払精算書の作成ができず、提出が遅れたため、その金額に見合う書類の作成を他の職員に指示して作成させるなど、支出関係書類の整合性を保つため、事務処理上、執行事実と異なる書類作成などが行われていた。

 〈捜査諸雑費〉01年度から捜査諸雑費(機動的な捜査遂行のため、捜査員に前渡しして執行させる少額な経費)が導入されたが、一部の部署で執行事実はあるものの、捜査諸雑費制度の趣旨、運用および、手続きに関する認識不足や誤解から、事務処理上、執行事実と異なる書類作成などが行われていた。

 旅費 98〜02年度の旅費(道費・国費)の執行についで、一部の部署に旅行事実のない執行があるとの説明があったことから、事実関係について継続調査中である。現段階の判明分として、98年度の道費旅費について、警察本部の1部署において旅費を交際経費などを充てるという不適正な執行がみられた。

 交際費 交際費は、執行のあった各部署について所属畏などから聴取するとともに、関係書類を審査した結果、現段階で不適正有執行は認められなかった。

 食糧費 食糧費(留置人食糧費を含む)は、執行のあった各部署について所属長などから聴取するとともに関係書類を審査した結果、現段階で不適正な執行は認められなかった。
                                              (04.9.13 毎日)


 上記中間報告に「……と説明した」の記述の何と多きか。関係者よりの聴取のみ、審査すべき関係書類も無く裏付けゼロ。調査対象者の記憶を頼りに、「……と説明せるに拠り、間違ひ無ひと思はれる」とせる調査側の心証報告と言ふてよからふ。道監査委員或ひは外部監査の者が得たる心証と言ふなれば些かなりと信用もしようが、身内の調査者の心証記した調査報告とありては信用するは無理。内部調査の限界、今回も露呈せるの感否定出来ず。

 「百条委設置無くして真相解明無し」の思ひ強けれど、道議会与党の自民党・道民会議慎重姿勢崩さず一向に設置の動き出ぬはどうした事か。報道に拠るに「中間報告は不十分にて道民の理解得られず」と一斉批判の野党会派に対し、自民党・道民会議は「近々道の特別監査結果も出るし、確認監査も残りおる。先ずは其れ等を見守りたし」と慎重、公明党は「会派として道に特別監査を求め、議会からも監査委員を出しおる。其の結果が出る前に百条委を作るは議会ルール上おかしひ」と設置に否定的、と言ふは如何なものか。「真相解明には程遠ひ。此れ以上、道議会が傍観しおれば、道民に対する説明責任は果たせぬ」とせる民主党・道民連合、「内部調査の限界露呈。中間報告は心証に依拠しており、犯罪捜査なれば公判維持出来ぬ杜撰調査」「偽証が許されぬ百条委を設置、真相解明の必要あり」とせる共産党。野党二党の言ひ分、我が考へと変はり無く我の望む処なる故か、与党の弱腰とも見へる姿勢に割り切れぬもの在り。

 一九九八―二〇〇〇年度三年間の裏金十四億円の内七億三千万円を裏付けも無く心証のみにて「適正支出」とし返還対象とせぬ方針らしが、公金扱ひて、領収書存在せぬに「適正支出」でもあるまひ。一九九五年の道庁裏金事件の際、返還に当たり道は「領収書無きは全て返還対象」との基準設けしが、道警も道庁の一部局なれば、返還に際しては同一基準適用が妥当なるは言を俟たぬ。道監査委員は、領収書等物証無き支出は全て不正と見做し返還勧告の対象とする方針らしが、道民挙りて至極当然の措置と思ふは疑ひ無き処なり。

            ◇……………◇          ◇……………◇          ◇……………◇

         道警不正経理をめぐる経過
03年
11月23日
旭川中央署の1995年5月、97年9月分の捜査用報償費の不正支出疑惑が発覚
28日 芦刈勝治道警本部長が報道機関との定例記者会見で「不正経理の事実はない」と疑惑を全面否定
29日 問題の書類で「捜査協力者」とされた市民のうち、12人が新聞社の取材に受領を否定
12月1日 旭川中央署の不正支出が署ぐるみだったと元会計課幹部らが取材に証言。電話帳を使い、受領者を捏造したと認める
2日 不正支出が道警全体で行われていた疑いが浮上。二十数人の現職幹部やOBが裏金をつくっていたと取材で証言
3日 道議会で芦刈勝治本部長が「不正経理はない。コピー文書の出所も不明」と疑惑を否定
高橋はるみ知事が道議会で「道警本部長が不正はないと言っており、その発言は重い。調査は求めない」と答弁
6日 道監査委員がこれまでの報償費の監査で、道警の「捜査上の秘密」をうのみにし、実質的に調べていなかったことが判明
8日 高橋知事の説明要請に対し、芦刈勝治本部長が再説明の意思はないと新聞社の取材に回答
9日 知事が一転して来年度予算案で報償費の知事査定を表明
10日 元釧本本部長が裏金づくりを証言
12日 旭川中央署の元署長2人が約50万円の報償費を不正受給したとして、札幌の弁護士グループが損害補填を求めて、道監査委員に住民監査請求
13日 警察庁が予算執行調査委を設置
18日 道警本部の各部署の裏金が道議会対策や警察庁幹部への接待のため、総務部に上納されていた疑いが強いことが判明
道警が報償費総額を2004年1月から毎月公開すると発表
25日 道監査委員が弁護士グループの住民監査請求を受理
 04年
1月7日
宮城県警の食糧費関連文書をめぐる訴訟で、警部補以下の氏名の開示を命じた控訴審判決に対し、宮城県が上告を断念。同県では警部補以下の氏名も開示へ
14日 旭川中央署の疑惑に関する住民監査請求の意見陳述があり、道監査委員が当時の捜査員への聴取を求めたが道警が拒否
20日 警視庁の領収書偽造訴訟で、最高裁は上告を受理せず、東京都の敗訴が確定
23日 上川管内の男性が「捜査協力者として勝手に名前を使われ、精神的苦痛を受けた」として、道に約70万円の損害賠償を求めて提訴
28日 芦刈勝治本部長が記者会見で「捜査協力者との信頼関係が損なわれる」と、監査委員への協力拒否を強調
2月3日 道警の佐々木友善総務部長が2003年12月3日の道公安委員会の席上、報償費の領収書作成時に「本名は記載しないことがある」と、偽名便用を認めていたことが判明
4日 道警総務部長が偽名領収書の作成があることを認める
6日 吉沢慶信副知事が偽名使用について「適当でない」と指摘
7日 全国市民オンブズマン連絡会議が8月に函館で開く全国大会で、報償費疑惑を議題に取り上げる方針を決定
9日 道監査委員が旭川中央署に関する住民監査請求を棄却。会計書類は「本物の可能性が高い」とし、報償費の支払先に関しては「不実の疑いが思慮される」と指摘したが、捜査員への事情聴取を道警に拒まれたため不正を断定できず
10日 元釧路方面本部長(警視長)の原田宏二氏が記者会見を開き、裏金づくりが道警の組織ぐるみで行われていた実態を証言
12日 旭川中央署の元署長2人が「不正はないが、後輩に迷惑を掛けたくない」として、報償費とその利子分約70万円の返還を道警本部に申し入れ。道警は受け取りを拒否し、2人は現金を札幌法務局に供託
13日 警察庁が裏金づくりの真相解明を内部調査する「予算執行検討委員会」(委員長・吉村博人官房長)を設置
17日 道警が報償費の不正支出疑惑を内部調査する「予算執行調査委員会」(委員長・芦刈勝治本部長)を設置
18日 道は新年度道予算案で報償費を前年度比3割減の約8400万円にすると発表
19日 衆院予算委の質疑の中で「道警本部長にも現金が渡っていた」とする原田氏の証言が明かされる
24日 道議会総務委員会の理事会が、3月4日に原田氏を参考人招致することを決定
25日 弟子屈署(釧路支庁弟子屈町)で裏帳簿が作成され、裏金が管理されていたことが発覚
小泉首相が裏金疑惑について「単なる北海道の問題ではなく日本警察全体の問題と認識している」と国会で答弁
26日 警察庁が全国の警察に対し、都道府県監査委員から捜査員への事情聴取要請があった場合は、支障がない限り応じるように通達を出す
道警が弟子屈署の裏帳簿問題も調査対象とすると発表
3月1日 弟子屈署裏帳簿問題で元同署次長の斎藤邦雄氏らが住民監査請求し、斎藤氏は会見で裏金の実態を証言
2日 道議会の答弁で、山田博司副知事が高橋はるみ知事の意向として、報償費などについて特別監査を求める考えを表明
芦刈勝治本部長が定例道議会の代表質問で、「疑惑を増幅させた」などとして陳謝した
3日 監査請求を棄却された弁護士が住民投票を提訴
報償費が不正支出されたとして弁護士グループが道を相手取り、旭川中央署元署長2人に返還を求めるよう提訴
4日 道議会総務委員会委が元釧本本部長を参考人招致
5日 静岡県警が不正経理認め返還表明
8日 道監査委員が弟子屈署に関し弁護士からの監査請求を受理
11日 警察庁が偽名領収書の廃止を通達
旭川中央署の領収書に名前を無断使用された男性の損害賠償請求訴訟発弁論。道警側は「出所不明の文書」などと争う姿勢
12日 芦刈勝治本部長が旭川中央署の報償費に関し「不適正支出」を認め陳謝。道公安委員会が監察を指示
15日 高橋はるみ知事が道監査委員に道警全組織の過去6年間の報償費・食糧費などを対象に特別監査を要求
4月7日 全国の市民オンブズマンが捜査用報償費などについて44警察本部に一斉に開示請求
28日 道監査委員が弟子屈署の住民監査請求で、全国初の報償費返還勧告。道警全体に不正の疑いがあると言及
5月11日 道議会総務委で道警が旭川中央、弟子屈両署の組織的な裏金づくりを認める最終報告を提出。225万円以上を当時の署長らに返還させる方針を示すが、私的流用や上部機関への上納は否定
6月25日 道議会が、民主党・道民連合、共産党が提案した百条委設置決議案を自民党・道民会議などの反対で否決
30日 道監査委員が旭川中央、弟子屈両署の特別監査で、1998―2000年度の捜査用報償費全額の約714万円が裏金になっていたと認定
8月2日 道監査委員が定期監査で道警本部と旭川、函館、北見各方面本部の03年度の捜査用報償費と旅費のうち約1400万円について「予算執行が確認できなかった」との結果をまとめた
4日 興部署長(警視)が自殺。遺書に裏金問題を苦にしたとみられる記述
28―29日 函館で全国市民オンブズマン大会開催。内部告発した現職やOBの支援ネットワークの設立や、統一弁護団で情報公開講求に取り組む方針を決定
9月13日 道警が裏金が3年間て114億円にのぽると認定。幹部らが6億7000万円を返還する方針を表明

                    ☆       ☆

 ジェンキンス氏は十一日午前、病院を退院し、曽我ひとみさんと娘二人を伴ひてキャンプ座間の在日米陸軍司令部に出頭せり。新聞、テレビ共に三十九年ぶりの直立不動の敬礼場面を報道、今後の司法手続き等につき説明・解説有りたり。訴追されおる「脱走」「脱走教唆」「利敵行為」「軍への背任奨励」の四つの罪認め、不名誉除隊或ひは執行猶予判決等実刑回避へ司法取引求める見方有力なり。ジェンキンス氏の現役軍曹への復帰に伴ひ、一家は司法手続き終了迄、基地内に用意されし転勤者用宿舎に仮住まひの由。

 今回出頭に際し在日米陸軍は基地内に報道陣の為のプレスセンターを設置、内外メディアに向けジェンキンス氏の出頭場面を公開する異例の対応を取りし他、ホームページにても「ジェンキンス軍曹 リターン」の表題で特設ページ設け広報せりと。在日米軍に対する我が世論気遣ひての措置か。イラク駐留米軍の軍紀考慮せば、如何に朋友・小泉の頼みとは申せ「特別なる政治的配慮」出来なんだブッシュ大統領。今回は気遣ひ呉れるか。一家の佐渡永住を支援する国内世論も在り、沖縄ヘリ墜落事故等にて米軍への反発強き折、実刑判決にて国民感情逆撫でせる様な事在ってはならじ。「不名誉除隊」が妥当なり。

                    ☆       ☆

 プロ野球、スト回避さる。日本プロ野球選手会と日本プロフェッショナル野球組織(NPB)の協議・交渉委員会が十日開かれ、六項目につき暫定合意に達して十一、十二日に設定されしスト回避されり。スト設定済みの十八日以降の試合につきては、十六日よりの協議・交渉委員会にて再協議される事と成れり。交渉期限は十七日午後五時。未だ予断許さぬ状況に変はり無し。

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    《野球組織と選手会の合意事項》

 日本プロフェッショナル野球組織(以下「NPB」という)と、日本プロ野球選手会(以下「選手会」という)は、本日の時点で、暫定的に以下のとおり合意する。

 @NPBは、「大阪近鉄、オリックスの球団統合の実施時期を1年間延期する」との選手会の申し入れに対して、交流試合の導入をふまえた来季の影響等諸問題について具体的分析を行った上で速やかに回答する。

 ANPBは、現行野球協約の加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金制度を導入する等新規参入への環境を整え、新規参入球団の加盟の促進を積極的に検討する。

 B新たな球団削減があるかもしれないとのファンの不安を払拭するため、NPBは、来季(2005年シーズン)は、セ・リーグ6球団以上、パ・リーグ6球団以上とすることを確約する。

 CNPBは、第1項の回答及び第2項の検討、その他選手会の要求事項の検討に時間を要するため、選手会と引き続き協議・交渉を行うこととし、選手会は、9月6日に予告したストライキ日程のうち、9月11日(土)、12日(日)のストライキは実施しない。

 DNPBは、選手会との間で、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、1年間をかけて、ドラフト改革、選手の年俸のあり方などについて徹底的に協議する。

 E選手会は、9月17日の午後5時までに、上記協議が整った場合、9月18日(土)以降、9月6日に予告したストライキを行わない。
                               2004年9月10日 NPB 選手会 
                                               (04.9.11 読売)

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 スト回避の理由につき古田選手会長は「交流試合でのシミュレーション等で大阪に近鉄バファローズを残す可能性を探して頂くと言ふこと故、十一、十二日にストは出来ぬ。可能性に賭けて柔軟な対応をした」と語るも、小林・近鉄球団社長は「統合に向けた作業は続けて行く。望みは持つなとは言はぬが、統合を再検討する積もりは無ひ」と言ふ。両者の隔たり大。球団トップが「再検討の余地無し」と言ひおるに、交渉の余地在りや。小刻みの協議・交渉にて全面解決への道見出せるや。次回、NPB側は如何な回答持ち来るや。

 シミュレーション云々は時間稼ぎに過ぎず、解決の糸口にも成らぬは双方重々承知の上? 古田選手会長は結果に期待しおるやに語りおるも、交流試合導入したとて近鉄の経営状態好転するとは思っておるまひ。黒字に成るなればNPBもオーナー会議も統合許さず、交流試合導入を決する筈。NPB側は既にシミュレーション済みにて、其の結果以て「統合已む無し」に至りしと考へられ、小林球団社長強気の発言も頷けるなり。抑、シミュレーションの如きは入力次第で如何様にも変化するものにて、結果の恣意的改変可能なれば期待せぬがよし。

 選手会は下手に妥協する必要無く、スト決行を怖がる必要も無し。此れ迄幾度となく為されし選手会の提言に耳貸さなんだ球団・組織に覚醒促す良き機会、米・大リーグ手本に進み来た日本プロ野球なれば先の大リーグ・ストを手本に二百日でも三百日でも続けなされ。選手会「統合すな」とは言ひおらず、「一年間凍結」と言ひおるを、野球の神様よりの忠告と思ふて聞けぬ球団、NPBなればスト打つも致し方無からふ。スト決行せば「悪ひは選手会」と言ふに違ひ無きNPBの思ひ上がり正すにも必要なるストやも知れぬ。

                    ☆       ☆

 道警裏金・不正経理問題につき全部署にて実施された内部調査結果の中間報告内容が九日、明らかになりたり。一九九八―二〇〇〇年度の三年間に支出の捜査用報償費(道費)及び捜査費(国費)約十四億円の内、少なくても六億五千万円が不適正支出と言ふ。道警は不正認定分につひては幹部に負担させる等して全額返還の方針の由。詳細は十三日、道議会総務委員会にて芦刈本部長が公表の予定。漸く組織ぐるみを認める気に成りしか。果たして本部上層部の関与認めおるや。又、適正・不適正の判断基準は? 適正と認定せし根拠は? 今度こそ、我等を納得させ得る内部調査結果であるを望みて止まず。十三日を待ちたし。

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 台風18号は八日、北海道の西の日本海を北北東に進みて道内を暴風域に巻き込み、各地にて被害続出せり。午後八時現在、発生以来の死者全国で三十一人、行方不明者十四人、負傷者三十四都道府県にて七百七十一人。道内にては死者七人、行方不明者二人、負傷者七十五人に上りたり(午後八時現在、道警災害警備本部の纏め)。

 札幌市にては午前十一時十七分、観測史上最高の最大瞬間風速五十・二米を記録。又、雄武町にては五十一・五米、室蘭市にて四十五・七米、江差町にて四十三・三米、小樽市にて四十三・一米を観測せし由。此の暴風に因る倒木、家屋倒損壊、農業被害等も続出。高波に因る海岸沿ひの被害も甚大、橋梁流失にて各所で道路寸断されおるらし。JR、航空、フェリー、札幌市電、路線バス等交通機関にも影響。JR北海道は全線で一時運行中止、午後六時過ぎより札幌圏の運転再開されたる模様なれど、平常ダイヤに戻るは明日の見通しなり。航空も夕方より一部運航再開の報道有りたり。被害は拡大の方向なれば、国・道等関係機関は被害情報の収集・確認、被害状況の把握に全力を挙げ、早急に対応策立てて迅速に対処するを望みたし。

 未明より強風襲ひて我が家屋、裏の老桜悲鳴上げおりたれど早朝少しく収まりて、台風最早通り過ぎたるかと思へたに再び徐々に強く吹き始めたれば、我妻共々外へ出るを控へたり。テレビニュース見るに、街路樹倒れ電柱倒れ下敷きになりて死せる者在り、屋根のトタン・看板の類吹き飛ばされて宙を舞ひ当たりて負傷せる者在り、と報じたり。「如何な火急の用有りしか知らねど、斯様な日に外出せなんでも」と妻見おりたれど、台風来たとて世の中全体臨時休業に成る訳も無く、皆々働き生活営みおれば外出控へる訳にも行くまひ。今少し若く野次馬根性衰へおらぬ頃の我なれば、暴風吹き荒れる町内見て回り、街へも足延ばし確と様子見届ける為だけに外へ飛び出すに違ひ無し。今日は、老ひの身なれば危険避け得ず不慮の死に遭遇するが恐ろしゅうて外に出なんだだけの事なり。

 四時のテレビニュースにて「台風18号は午後三時、宗谷海峡にて温帯低気圧に変わりたり」と聞きて裏に植へ在るササゲ、トマトの状態見に行けば、支への竹の棒皆傾きて茎・蔓の折れおるトマト、ササゲ数多有りて見るも無残なる姿晒しおりたり。葉は何れも陽に灼かれた如くに縮み萎れて生気無く、緑保ちしまま枯れ死にしたるが様相。驚き、妻呼び来て見せるに「あやや……」の一声のみにて言葉無く、驚き居るか呆れ居るか将又落胆し居るか我には判断為兼ねる顔付きにて葉に触れ、支への竹立て直し始めたれば我も黙して手伝ひたり。夕餉の折、「枯れるかねぇ」と我問ふたれば「残ってる分、食べ終わる迄は枯れませんよ。……絶対」と妻答へたれど、付け加へし「絶対」が妻の落胆象徴しおる様にて不憫に思ふたり。後幾つも生りおらぬトマトとササゲ、早く食べられる大きさに成ると良ひが、時季過ぎ気温も低く目なれば無理やも知れぬ。我が家初の台風被害なりき。

 十六日追記。台風18号の被害が総額約三百八十七億八千万円に上ることが、道の調べにて判明せり。農業被害は約二百九十一億五百万円に達せる由。

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 八日午前七時十六分、水上勉氏、肺炎のため長野県東御市の仕事場にて死去の報。享年八十五歳。台風18号荒れ狂ひたる日に、一九五四年の洞爺丸台風絡めた作品「飢餓海峡」書きし水上氏逝くも奇しき因縁なり。希有の才能は永久の眠りに就きたれど、残されし名編は永久に生き続けるだらふ。「海の牙」等推理小説は勿論、「一休」「良寛」等伝記迄読み来りて飽く事無かりき。我、一番の名作と思ひおる「越前竹人形」手に暫し黙祷せん。

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 大型の台風18号が七日午前九時半、長崎市付近に上陸せり。暴風伴ひて午前七時、熊本県牛深市にて最大瞬間風速五十二米を記録せりと。当初、午後には日本海に抜ける予報なりしも、其の侭北上を続け明日北海道上陸の可能性在るらし。札幌管区気象台発表に拠ると、台風の接近に伴ひ道内は今深夜より明日夜にかけ大荒れの天気と成るらしも、日乗記しおる今午後九時十三分現在然したる変化兆候見られず、外眺めても何時もと変はらぬ夜の佇まひなり。

 今年日本に上陸せし台風は18号で七個目。一九五一年気象庁の統計開始以降、九〇年と九三年の記録抜きて過去最多となりしと。又、例年八月末迄に平均十四・一個の発生なるも、今年は十九個にて約五個上回るハイペースの由。上陸は「偶然の要素」が左右するらしければ、つまりは手の施しやふ無く、発生したらば後は運否天賦。上陸せぬやふに祈るの外無しと言ふも能無き話なり。

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 六日、日本プロ野球選手会はオリックス、近鉄両球団統合問題につき臨時運営委員会を開き、「両球団統合の一年間凍結等の要求が受け入れられぬ場合、毎週土、日曜の公式戦にてストライキ決行為す」旨決議せり。日本プロフェッショナル野球組織(NPB)も同日開かれし実行委員会にて、球団統合は経営上の問題なれば選手側に口挟む権利無しと言ふ事か、九球団(棄権の広島、当該球団を除く)が統合を承認、八日のオーナー会議にて正式承認の見通しなりと。

 経営権持ち出したる以上、最早「統合」覆る事は無からふ。此の先、選手会の手詰まり目に見へおるが、スト仕掛けたまま逃げる訳にも行くまひから、両者妥協点見出すは難しひやも知れず。選手会への回答期限十日なれば、オーナー会議にて何らかの妥協案話し合はれるを望みたし。日本プロ野球史上初のスト突入となるか。交渉決裂せば、十一日以降の九月の毎週土・日の公式戦(二軍含む。一軍公式戦は三十試合)にてスト決行と相成る。

 《選手会の要求内容》 近鉄、オリックスの統合を1年間凍結して、その是非、労働条件、および以下の@、Aについて協議、交渉を行う。/@新規参入要件の緩和=新規参入球団の加盟料、参加料を撤廃、または大幅に緩和し、新規加盟・参加を促進するため、加盟・参加の承認要件を明確化すること。/Aドラフト改革、収益分配策の具体的検討経営難による球曲消滅を避けるための今後の方策として、不透明な金銭支出を生む原因となる現行ドラフト制度の抜本的改革(完全ウエーバー化)と、球団間の不均衡を是正するための収益分配(たとえば放映権収入の全部または一部の集一中管理など)を、来年度中に制度化すべく、直ちに具体的検討を開始すること。(04.9.7 読売)

 赤字に伴ふ球団経営の窮状打開策(オリックス、近鉄統合)が、ストに因るファン離れにて更に赤字を増やしたとあらば泣くに泣けまひ。選手会側が統合の白紙撤回では無く一年間凍結を求め、全面無期限ストでは無く期日を切ったは何故か。球団経営の事、ファンの事共々考慮せる結果のぎりぎりの妥協であるを球団、NPBは認識すべきなり。選手会要求には両球団統合凍結の他に球団新規参入条件の緩和、ドラフト制度見直し等、本来なればNPB側が率先取り組まねばならぬ問題も含まれおる。「経営に選手の口出し無用」と言ふて球界の改革等閑にし来った結果が今回の問題生みたを反省し、此処はじっくり選手会側の意見に耳を傾けるがNPB側の取るべき態度と思ふが。

 「ファンの事考へスト為すべきに非ず」「スト決行せばファンの野球離れ確実」等々スト決議せし選手会への風当たり少々強きやふにて、「ファンの事考へ統合すべからず」「統合せばファンの球団離れ確実」等々の意見少なきは如何な訳か。選手会が通告せるスト日数は六日間にて、一九九四年米・大リーグの二百三十二日間とは比較に成らぬに、「教訓とせよ」の論調有るは笑止。六日間とした選手会の胸中理解せぬ物言ひにてスト反対せる野球評論家、OB等居るは残念なり。交渉にて妥協点見出し得ぬなれば、選手会は躊躇臆すること無くスト断行するがよし。日本プロ野球七十年の垢落とすに絶好の機会やも知れぬ。六日間のストにてファンが離れたとせば、其の程度のファン其の程度のプロ野球と言ふだけの事にて、大騒ぎする事も無からふ。

 八日追記。本日開催の臨時オーナー会議はオリックスと近鉄の球団統合を正式に承認、来季はセ・リーグ六球団、パ・リーグ五球団の二リーグにて運営する事を確認せりと。選手会との交渉への影響、延ひては選手会設定のストライキへの影響免れぬ処にて、選手会だふ反応するか注目したし。

 九日追記。選手会とNPBとの協議・交渉委員会が開かれ、NPB側は選手会側の要求事項の一つ「新規参入条件の緩和」策として、「加盟料六十億円、参加料三十億円を撤廃、新たに保証金的制度を設ける」事等を提案せり。なれど「両球団統合の一年間凍結」要求への回答無く協議は難航、明日改めて委員会開催となりたり。スト回避期限は十日午後五時。オリックス・小泉球団社長「統合の凍結? 実行委員会、オーナー会議で承認を頂ひており、此の段階で統合を止める積もりは無ひ」と言ふ。ストしか在るまひ。

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 十一日、札幌ドーム。コンサドーレ対ベガルタ仙台戦は、1−0でコンサ五試合ぶりの勝利にて四勝目。通算成績4勝20敗9分け、勝ち点21。順位最下位変わらず。
 次節十八日、対モンテディオ山形戦(山形県総合運動公園陸上競技場)。



 

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平成十六年九月五日(日曜)晴

 九月に入りて未だ五日と云ふに、何故にこふも矢継ぎ早に事起きるや。浅間山噴火、北京の日本人学校に脱北者二十九人駆け込み、露で学校占拠・児童ら人質、タクシー強盗・運転手殺し門に吊るす、韓国が極秘にウラン濃縮、「出光」道製油所また火災、パチンコ店部長誘拐、小3女児・自宅で刺殺さる、近畿・東海に二度の強ひ地震、パンダ剥製ネット出品――等々、からりと晴れた秋空に似合はぬ気の滅入る話ばかりにて、当分新聞もテレビも見たふは無ひと言ひつつも目に入り耳に入れば眺め居る始末にて、些か鬱気味の日々なり。

                    ☆       ☆

 懸念せる最悪の事態、現実と成りたり。二年前のモスクワ劇場占拠テロ時の轍踏まぬ事願ひ居たに、正に再現の形。プーチン大統領は二日、人質救出最優先の方針示し、特殊部隊突入させ百二十九人の人質死なせしモスクワ劇場の再現避ける構へ見せしに、結果斯く成りたは如何な訳か。チェチェン問題とは関はり無き国・北オセチヤが何故テロの舞台と成り、何故子供等が死なねばならなかったか。此処でも亦、凡人我には何故、何故、何故ばかり。恐らくは「チェチェン紛争」「武装勢力」「テロ」の意味も知らぬまま死したであらふ子等を思へば、悲痛極まり無し。


 《露部隊突入 死者150人超/銃撃戦、子供ら犠牲 500人負傷、武装勢力ほぼ制圧/北オセチヤ 人質は1200人》 【ベスラン(ロシア・北オセチヤ共和国)隔古本朗】チェチェン武装勢力と見られるグループがロシア・北オセチヤ共和国の中等学校を占拠していた事件で、ロシアの特殊部隊は三日午後一時(日本時間同六時)ごろ、犯行グループが立てこもっていた学校に突入、学校を制圧した。露政府高官は、突入作戦による死者が「百五十人をはるかに超える」と述べた。人質は約千二百人いたことが判明し、負傷者も児童・生徒を含め五百人を超えた模様だ。事件は発生から丸二日でほぼ終結したが、二〇〇二年に起きたモスクワの劇場占拠事件を上回る大惨事になった。

 アスラハノフ露大統領顧問は三日夜、ロシアの記者団に「死者数は百五十人を超す」と語った。同顧問は、突入作戦の前に犯人と電話で接触、犯人側は「人質は千二百人。うち70%は子供だ」と語ったという。また、救出された人質の一人は本紙の取材に、「体育館内には約千五百人の人質がいた」と語った。犠牲者の中に、多数の子供が含まれているのは確実だ。

 英民放テレビITVは、「体育館に入ったカメラマンが遺体約百体を目撃した」と報じた。体育館は犯行グループによって爆破され、屋根が崩落したという。ロシアの民放NTVは、死者は最終的に数百人に達する見通しと伝えた。

 現地対策本部は三日午後現在、正確な死傷者数を明らかにしていないが、「人質救出作戦は終了した」と発表した。地元当局者は、子供を中心に人質少なくとも五百二十人が負傷し、病院に搬入されたとしている。インターファクス通信は、犯入グループのうち二十人が殺害されたと伝えた。

 犯人の一部が逃走し、子供を人質に取って三日夕も立てこもりを続けているとの情報もある。同日午後八時(日本時問四日午前一時)ごろには、学校付近で大きな爆音が響いた。

 現地当局筋によると、同日午後、現場付近に放置されていた十―二十体の遺体を搬出することで犯人側と合意、作業員にまぎれこんだ特殊部隊員と犯行グループの間で激しい銃撃戦が始まった。遺体の搬出に際し、犯人側が爆発物を爆発させ、銃を乱射したため、銃撃戦になったとの情報もある。現地入りしているロシア政府高官は、「状況の変化で、実力行使を余儀なくされた。武力行使は計画していなかった」と述べた。

 現場では二時間以上にわたり銃声が響き、ロシア軍のヘリコプター四機も出動した。銃撃戦が始まって約三十分後から、人質が次々に徒歩で逃げ出し、救急車での搬出も始まった。

 犯行グループは、逃げる人質を後ろから銃撃しており、救出現場で倒れ込む人質もいた。体育館の暑さのためか、裸や下着姿で救出される女性や子供が目立ち、救出直後に水を飲む光景が見られた。 (04.9.4 読売)


 ロシア・チェチェン紛争の中で繰り返され来たった武装勢力のテロなれど、彼らは其れで何を手にせしか。国際的批判とロシアの強硬な武装勢力掃討策を呼び寄せたに過ぎず、彼らの望みであらふ政治目的など果たすべくも無ひ。如何なる人間に対してもテロは卑怯卑劣なる手段、然も子供に仕掛けるなど言語道断の振る舞ひなり。己等は誰が為に独立せんと言ふか。未来に生きる子供達の為の独立でなきや。子は宝ぞ、親にとり国にとり此の地球にとって全ての子供が掛け替へ無き宝ぞ。宝の子供等の命奪ひて、子供達の未来思ひ描ける訳は無からふに。簡単な道理が何故判らぬか。斯様な輩が国造りなど笑止千万。

                    ☆       ☆

 一九九五年三月の国松・警察庁長官(当時)狙撃事件に関し、七月七日に殺人未遂容疑にて逮捕され、同二十八日に「狙撃の実行犯を特定し、各被疑者の共犯関係を認定することは困難」として刑事処分保留のまま釈放されし元オウム真理教信者の小杉敏行・元警視庁巡査長ら三人につき、東京地検は近く嫌疑不十分にて正式に不起訴処分とせる見通しと成りたる由。

 公安警察の勇み足確定と言った処か。此れにて事件の御宮入り免れず、真相解明ほぼ不可能になりたり。事件発生後間もなく取り調べしも釈放せし小杉巡査長を、発生九年後に再び逮捕し又釈放するなんぞは茶番以外の何物でも無し。公安の面子賭けし筈の今回逮捕劇、確たる裏付け・証拠も無く為せしとは驚き呆れるばかりなり。裏付けを取り、こつこつ証拠を積み重ねる刑事の捜査手法が公安には存在せなんだか。事件発生直後より刑事、公安協力して捜査しおれば斯様な無様見せなんで済みたらふに、残念なり。刑事、公安の間に軋轢在りて協力関係無ひなれば早急に修復、両者の風通し良くするが先ず以て肝要ならん。公安其れに気づき改めるなれば、御宮入りの事件も浮かばれやふ。

                    ☆       ☆

 札幌市人事委員会は三日、市職員の給与を四月に溯り平均0.98%引き下げ、寒冷地手当につきても来年四月より国並みに引き下げるよう市長及び市議会議長に勧告せり。財政悪化の現状、民間給与との格差考慮せば札幌市職員の給与下げ妥当なり。国の勧告0.01%を大きく上回る率なれど、現実に民間との給与格差0.98%有るとせば止む無き数値。期末・勤勉手当据へ置かれた分、民間よりは未だ増しと考へよ。寒冷地手当にしても民間との格差、国支給額とのバランス考慮せば現状は貰ひ過ぎにて、下げるが当然。札幌市労働組合連合会は、国の勧告と大きく懸け離れし下げ幅に不満を示し、「地域経済に悪影響を与へぬか心配」と言ふておるらしが、杞憂に過ぎぬ。此の際、市職員は黙って勧告の完全実施了承するがよし。

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 テレビ、新聞連日のチェチェン関連事件報道。露で学校占拠、児童ら四百人人質。テロと変わらぬ卑劣なる行為、全員無事解放されたとしても許されず。「学ばねば」と思ふ間も在らばこそ、心中より湧き来るは「何故だ、何故に」の嘆息と遣り場無き憤りばかりなり。イスラムも知らずコーランに何記されおるかも知らず何も知らぬ無知なる我なれど、「如何なるテロにも正当性無く、況してや大義等有り様も無し」と断言して憚らず。テロ為す者共断じて許すまじ。既に警察との間に銃撃戦ありて九人死亡と報じられおれば、人質になりし子供達の安否気掛かりなり。当局は早急に解放へ向けた話し合ひ始めよ。間違ってもモスクワ劇場占拠時の轍踏むなかれ。話し合ふべし、兎に角話し合ふべし。

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 《児童ら400人人質/露で学校占拠 チェチェン勢力か/北オセチヤ共和国》 【モスクワ=古本朗】ロシア南部・北オセチヤ共和国東部のベスランで一日午前九時(日本時間同日午後二時)ごろ、十七人の武装集団が始業式直後の中等学校を襲撃し、児童・生徒や父母ら四百人近くを人質にとって立てこもった。犯行グループは、隣接するイングーシ共和国で今年六月に拘束された武装勢力の釈放やチェチェン共和国からの露軍撤退を求めており、チェチェン独立を求める武装勢力による犯行の可能性が強い。

 北オセチヤ内務省報道官によると、自動小銃などで武装した犯人グループには女性も含まれ、多くは爆弾付きのベルトを着用。「(グループの仲間が)一人殺されるごとに、人質五十人を殺す」と脅している。

 タス通信によると、現地当局の対策本部が生徒の父母や親類に確認した結果、人質のうち児童・生徒は百三十二人であることが分かった。人質の総数は不明だが、インターファクス通信が北オセチヤ内相の証言として報じたところによると、全体で「三百―四百人」に上る模様だ。この中等学校には、日本の小、中、高校生に当たる年齢の児童・生徒約九百人が通学しており、教員数は約六十人という。

 犯人たちは、人質を体育館に移動させ、付近に爆発物を敷設している模様。イスラム法学者が交渉のため占拠中の校舎に入ったが、犯人側は話し合いを拒否、北オセチヤ、イングーシ両共和国大統領との直接交渉を求めている。

 人質のうち約五十人は自力で脱出したほか、犯人側が占拠から数時間後に児童ら十五人を解放したという情報もある。/犯人たちはトラックで学校に乗り付け、校舎突入の際、警察との間で銃撃戦になった。タス通信によると、父母ら八人が死亡、武装勢力側も一人が死亡した。

 独立を求めるチェチェンの武装勢力の最高指導者アスラン・マスハドフ元共和国大統領は、モスクワ・ラジオニ対し、事件への関与を否定した。          (04.9.2 読売)

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 先月二十四日の旅客機連続墜落事件より一週間、又してもテロなり。我が「何で馬鹿な事を」と思ひ居ても、彼らは「当然の事」として遂行に躊躇無きらし。三十一日午後八時十七分(日本時間一日午前一時十七分)、モスクワ市の地下鉄駅入り口付近にて女性に拠る自爆テロ発生、通行人等十人死亡、五十一人負傷せり。連続墜落事件同様、イスラム過激派組織「イスランブリ旅団」犯行声明を出し、チェチェン共和国のイスラム武装勢力との連携表明せりと。

 又イスラエルにても三十一日、イスラム原理主義組織「ハマス」に拠る自爆テロありてバス二台ほぼ同時に爆発、十五人死亡、九十人負傷せるの報道有りたり。血流さずして独立・建国成らずと言ふてテロにて成るとも思はれず、国際世論がテロを支持する訳も無し。十三億のムスリムが無謬を疑はぬ「コーラン」に、テロ称揚せるアッラーの言葉記されおるか。ムスリム皆挙ってテロ支持せるか。テロリストが信じるイスラムとは何か、イスラム原理主義とは何か。我不勉強故、分からぬ事ばかり。学ばねばなるまひ。

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 一日午後八時二分ごろ、群馬・長野県境の浅間山(2568メートル)噴火せり。噴石は山の中腹迄飛散、火口西側にては山火事も発生、火口より北東約六キロ山麓で最大二−三ミリの降灰、直径一センチ程度の火山礫が一面に敷き詰められし状況も確認、北東約四キロの地点にては直径約八センチの軽石も見つかりしらし。中腹迄噴石を飛ばす規模の噴火は一九八三年四月以来、最近二十年にては最も大きひ噴火の一つなりしと。

 二〇〇〇年の有珠山噴火の如き被害もたらす事も無く済みたは先ず以て有り難き幸せなり。とは申せ群馬県長野原町、吾妻町、片品村等にては特産キャベツ、レタス、ハクサイ等収穫前の野菜類に降灰被害出でおる状況も在りて、農業被害の拡大心配されるところなり。噴火を四、五日前に予知できたれば急ぎ収穫為して幾分なりとも被害食い止める事も可能なりしが、常時観測続けおりても尚、噴火予知は困難とて其れもならぬは口惜しし。奇しくも「防災の日」に起きし浅間の噴火、「自然災害に無防備であってはならじ」と警告受けし気持ち。研究・観測体制の強化等にて一日も早く噴火予知可能となるを願ひたし。

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 三菱自動車製大型車の欠陥虚偽報告事件初公判が一日、横浜簡裁にて開かれり。三菱ふそう元会長・宇佐美隆被告ら三人は罪状認否に於いて、いずれも起訴事実を否認、無罪を主張せりと。往生際が悪ひと言ふべきか、己等の責任微塵も感じおらぬ鉄面皮には恐れ入る。「死亡事故が起きた事は誠に申し訳無く、深く御詫び申し上げます」と謝罪せるも、「国土交通省への説明に虚偽は無ひ。国交省から法に基づく報告を求められた事は無ひ」と全面的に争ふ姿勢見せたは如何なものか。虚偽報告罪、最高刑にて罰金二十万円。

 「本件捜査及び起訴は実態を見誤ったもので、被告らは無罪」「本件については、成立要件をことごとく欠く。検察官が、報告要求があったか否か、どの行為がそれに該当するか等を意識して捜査した形跡がうかがえない。本件は空中楼閣である」。弁護側意見陳述読むに、あくまでも規則・法上の問題を争ふ裁判にて、もたらされし事故に因る「死」につきては一顧だにせぬ態度。被告の利益第一、最優先に考へるが弁護士の務めとは申せ腹立たしき限り。縦しんば此の裁判にて全員無罪になりても、我らは「人命軽視企業・三菱」忘れず。

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 《弁護側意見陳述の要旨》 ◆本件捜査及び起訴は実態を見誤ったもので、被告らは無罪。@本件が成立するには道路運送車両法に基づく国土交通大臣の報告要求が不可欠だが、その報告要求が存在しない。あいまいな報告要求では、恣意的な処罰を招くおそれがあり、罪刑法定主義に反する。

 国交省は、一般的な行政指導として報告を求めることもできる。仮にこれに虚偽報告をしても、それ自体は処罰対象とならない。

 死亡事故発生後、国交省側との間で種々のやりとりが行われたが、その過程で国交省側から、同法に基づく報告要求の事実は全くなく、虚偽報告罪の根幹的構成要件を欠く。

 A二〇〇二年二月一日当時、ハブの破損は設計・製造上の欠陥に基づくものではないと信じ、自主点検を始めていた。(当日は被告以外の)社員四人が国交省へ赴き、摩耗量〇・八ミリを基準にした自主点検の途中経過及び今後も同基準で自主点検を続けることを説明した。その際、各種資料に基づき理由を説明したが、当時の技術的知見からすれば、合理的根拠に基づくものだった。

 B被告らには「虚偽の報告をする」という故意の成立に必要な、報告要求があるとの認識、国交省への説明がその報告要求に対する「報告」であるとの認識、その「報告」に「虚偽」があるとの認識が、いずれもない。

 ◆本件については、成立要件をことごとく欠く。検察官が、報告要求があったか否か、どの行為がそれに該当するか等を意識して捜査した形跡がうかがえない。本件は空中楼閣である。(04.9.2 読売)

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 ジェンキンス氏は一日、近く在日米陸軍司令部に出頭し脱走罪等に関する司法手続きに入る旨、声明を発表せり。司法取引に応じる意向にて、取引成立せばジェンキンス氏が脱走・利敵行為等四つの罪を認め米軍に北朝鮮等の情報を提供、引き換へに量刑軽減となりて「不名誉除隊」或いは執行猶予等に拠り実刑は回避される見込みなり。一方、声明との関連不明なれど、香港誌「ファー・イースタン・エコノミック・レビュー」(電子版)が一日、ジェンキンス氏との単独インタビュー記事を掲載した旨新聞報道有り、各紙に内容概略記事載りたり。此の時期、然も外国プレス単独……軽々に裏読むまじ、か。

 《ジエンキンス氏声明要旨》 私は、日本国民並びに政府、特に小泉首相に大変感謝しています。来日して以来、私は優れた治療を受け、妻と子供たちが大変お世話になりました。日本の方々がよくしてくれたことは決して忘れません。/私の法的な問題に関しても、日本の方々の精神的な支援に大変感謝しています。首相並びに政府は、私たち家族が日本で一緒に暮らすため、願った以上のことをしてくれました。私の法的な問題は、米陸軍と私自身の間で解決しなければならない問題です。インドネシアから日本に向かう飛行機に搭乗した時、私に対する罪に向き合うため、在日米陸軍に自主的に出頭しようと心に決めました。日本に到着した時は体調が悪く、すぐに治療を受けなければなりませんでした。日本の医師らの治療で日々健康を回復しており、近く退院できると思います。/私は東京女子医大を退院し次第、キャンプ座間に自主的に出頭し、懸案だった法的問題を決着させる手続きを始めます。妻と娘二人、独立法務官もキャンプ座間に同行します。家族の愛や日本の方々の支援を得て、近く米陸軍による訴追に自ら向き合います。/米陸軍軍曹チャールズ・ロバート・ジェンキンス  (04.7.1 読売夕)

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 旭山動物園の入園者、七月に続き八月も上野動物園を抜き全国一となりたる由。両園八月三十一日集計に拠ると、旭山三十二万千五百人、上野二十三万四千七百二十五人。首都圏猛暑にて人出少なきを考慮しても大差なり。「夜の動物園」開催中の十四日には二万九千五百二十二人が入園、月間最高を記録せりと。報道に拠るに、上野は「旭山は凄ひと聞き及びしも、職員も魅力ある動物園作りに相当頑張りおる結果だと思ふ」と脱帽とかや。

 良き職員を抱へて旭川市は鼻高々ならん。赤字を嘆く公立施設は皆々、「旭山」を教訓とせよ。各自治体とも財政逼迫の折、公立施設だからと言ふて赤字経営で良ひ筈は無く、採算度外視の経営は最早罷り通るまひ。勤務せる職員も、「公務員故、身分は保障されリストラ・解雇の心配無し」と危機意識も持たず改革の気概も無き勤務態度は許されぬ。赤字累積の事業は早晩清算されて然るべきにて、企業意識を持ち事業の業績向上に努めるの気持ち無き職員も亦、淘汰されて然るべし。何処も彼処も赤字だらけの札幌市、管理職は勿論現場職員も挙りて重々考へみるがよし。己に公務員なればの甘へ無きか。

 自治体幹部職員の天下り先となりおる出資団体も同様、後ろに親方控へおるに拠って先々安泰心配無用の太平楽、独立独歩の企業意識など微塵も持たぬでは困る。事業効率悪く人件費率ばかり高くなりても危機意識皆無、改革など何処吹く風にて、役員数増やし報酬は懐具合無視――のところも在るやに聞く。其の好例、北海道住宅供給公社に見るか。出資団体にて働く職員は「旧弊持続体質の天下り幹部に毒さるれば組織の健全なる維持発展困難」なるを肝に銘じよ。而ふして旧弊打破、上よりの指示待たず危機意識持ちて下より業務改革断行すべし。

 別記。と言ふても幹部に公務員出身者頂きては下よりの改革難しければ、出資団体への天下り禁じるが最善。自治体との癒着に因る悪弊に批判頻々の現状鑑みるに、自治体出資団体、指名登録業者への自治体幹部天下り全面禁止とすべきなり。就職難、況して定年後再就職ともなれば大変な御時世に好待遇の天下り、然も一般職員ではなく幹部職員ばかりが優遇されおる。斯様な状況は一刻も早く改善されて然るべし、と考へるは我のみか。

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 四日、さいたま市大宮公園サッカー場。コンサドーレ対大宮アルディージャ戦は、0−1でコンサ四連敗。北海道新聞見出しに「ああ札幌二十敗目」と有りたり。通算成績3勝20敗9分け、勝ち点18。順位最下位変わらず。
 次節十一日、対ベガルタ仙台戦(札幌ドーム)。



              
                  
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