北極亭日乗


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平成十六年十月



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平成十六年十月三十一日(日曜)曇

 《31日朝》 新潟中越地震、震度7だった。川口町「阪神」以来2度目。気象庁発表/仮設住宅、用地確保が難航/自衛隊テント設営「足伸ばして寝られる」、「車中泊」やっと解放

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 本日午前十時過ぎ、「イラクの聖戦アル・カーイダ組織」と見られる武装組織に拉致・拘束されおりし香田証生氏(24)の遺体確認せる旨、町村外相発表せり。已んぬる哉。残虐非道、卑劣なテロリストの手に掛かりし若者の理不尽なる死を悼み、今は唯々冥福祈るのみ。

 午後、香田氏の家族、「支えて頂いた多くの方々に大変なご心労をお掛けしましたことを心からお詫び申し上げると共に、お礼と感謝の気持ちでいっぱいです。このようにはなりましたが、イラクの人たちに一日も早く平和が訪れますようお祈り致しております」とのメッセージ発表せり。

 小泉首相も午後、「1)この度、我が国政府として、人質解放のため、可能な限りのあらゆる努力を尽くしたにもかかわらず、香田証生さんがテロの犠牲になられたことは、痛恨の極みであります。衷心より哀悼の意を表するとともに、御家族に、心からお悔やみを申し上げます。2)無辜の民間人の生命を奪った今回の行為は、非道かつ卑劣極まりないものであり、改めて強い憤りを覚えます。3)我が国は、引き続き、国際社会と協調し、イラクの人々のために自衛隊による人道復興支援を行っていくとともに、断固たる姿勢でテロとの闘いを継続してまいります。4)国民の皆様の御理解と御協力を心からお願いいたします」とする声明を発表しおるなり。


   香田さんの遺体確認 バグダッドで発見 首切断、邦人犠牲5人目

 イラクの首都バグダッドで日本時間の三十一日未明、首を切断された若いアジア人男性の遺体が見つかり、日本政府は同日午前、イスラム過激派を名乗る武装組織の人質になっていた福岡県出身の香田生さん(24)と確認した。政府は、国際テロ組織アルカイダとの関係が指摘されるアブムサブ・ザルカウィ幹部が率い、香田さんを拉致した「イラク聖戦アルカイダ組織」が殺害したとみている。事件は発覚後四日で最悪の結末を迎え、小泉政権へ打撃となった。自衛隊の撤退要求を拒否した影響との見方もあるが、細田博之官房長官は派遣継続を明言した。

 イラクでの日本人殺害は昨年十一月の奥克彦大使ら外交官二人、今年五月のフリージャーナリストの橋田信介さんら二人に続き五人目。人質にとられる形では初めて。

 町村信孝外相は三十一日午前十時すぎ記者会見、バグダッド.の遺体の指紋などを東京に電送し、警察庁の専門家の意見を踏まえ、香田さんと確認したと説』明。「無辜の民間人の命を奪った卑劣極まりないテロには憤りを覚えている」と強く批判した。
                            (04.10.31 道新号外)

事件ドユメント(30〜31日)  04.10.31 朝日
30日
未明 イラク駐留米軍から在イラク日本大使館に「バグダッドとティクリートの中間にあるバラドで日本人らしい遺体が発見された。香田さんの特徴と一致する部分がある」との連絡
1:15 在イラク大使館からアンマンの現地対策本部に連絡
2:30 香田さんの家族に外務省から連絡
3:12 細田長官が官邸に。記者団から「香田さんらしい人が見つかったということか」と問われ、「まあ、それに近い」と答える
4:00 外務省で高島肇久外務報道官が記者会見。「バラドで日本人らしい遺体が発見された。遺体は、香田さんの体の特徴と一致する部分がある」と語る
5:00 自民党本部で与党対策会議。細田長官が経緯を説明
午後 政府は、米軍が「香田さんと身体的特徴が似ている」と伝えてきた遺体は別人だったと発表
31日
未明 バグダッドで、首を切られた若いアジア人男性とみられる遺体が見つかったことをイラク内務省の広報担当者が明らかにした
午前 町村外相が、アジア人男性の遺体について「(香田さんと)指紋が一致した。すでに総理に報告している」
午前 細田官房長官が、香田さん殺害を「卑劣極まりない非道な行為」と非難。その上で「イラクでの人道復興支援を続ける」
小泉首相が12月14日に期限切れを迎える自衛隊派遣の延長問題について「今回の事件は直接には影響しない。イラクの情勢、総合的によくみて判断しないといけない」
香田さんの家族が「支えていただいた多くの方々に大変なご心労をおかけしましたことを心からおわび申し上げるとともに、お礼と感謝の気持ちでいっぱいです。このようにはなりましたが、イラクの人たちに一日も早く平和が訪れますようお祈りいたしております」とするメッセージを発表

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 《30日朝》 新潟中越地震1週間。暮らし復旧難航、車中泊また犠牲者/変わり果てたわが村、山古志2時間の帰村/ライフライン復旧、寸断道路が足かせ。人不足・余震、工事進まず/新幹線脱線現場の地盤、液状化に近い状態/被災者聞き取り。余震の恐怖で心に傷、「人の多い所、安心」。避難所生活、近所の絆が頼り/震災犠牲者、4人が「エコノミー症候群」。車中泊が影響、新潟県が緊急調査へ

 《30日夕》 上越新幹線一部復旧、新潟−燕三条間/皆川さん母娘告別式/「お母さん、いつ来る」優太ちゃん病室で繰り返す/土日返上、ボランティア続々

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 イラクにて武装組織に拉致・拘束されおる香田証生氏(福岡県直方市)に似た日本人と見られる遺体を、米軍がイラク北部のティクリートとバグダッドの中間に在るバラドで発見せし旨、三十日未明、米国より日本政府に連絡有りたり。身元確認を急ぎ、政府は同日夕、歯型及び身体的特徴より見て、香田氏とは別人と発表せり。一先、安堵す。

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 《29日朝》 車内生活、急死相次ぐ。28日も2人、「関連死」18人/真優ちゃん死亡確認収容中断、苦渋の決断/消えた35の命、衝撃・疲労が体むしばむ/「スイカ食べたい」優太ちゃん回復順調、笑顔

 《29日夕》 扉の音だけでも怖い、子どもたち避難生活で心に傷/山古志村、一時帰村始まる。特産ニシキゴイ搬出も/優太ちゃん「お母さんは?真優ちゃんは?」/ヘルパー奔走、被災の自宅の片付け後回し。「待ってる人がいる。やめるわけにはいかない」

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 人質の解放条件とせし自衛隊撤退期限の四十八時間経過せるも、武装勢力に拠る新たな声明等は無く、二十九日夕現在、人質の拘束場所や安否は未確認らし。又、バグダッド北方のティクリート近郊にて二十八日、手錠を掛けられ銃で撃たれたアジア人の特徴を持つ男性の遺体が発見されしとの独メディア報道有りて、外務省は二十九日、イラク暫定政府に対し男性遺体の身元確認を要請せりと。

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 《28日朝》 2歳男児、4日ぶり救出。長女なお車中、母は死亡。優太ちゃん、岩のすき間に/子供の声「まさか!」、車の底に奇跡の空間。看護師に「ママ」、再会の父に「水が飲みたい」/祈る思い、救出見守る。歓声から一転、沈痛

 《28日夕》 姉の真優ちゃん無念。死亡を確認、懸命の救出作業及ばず/避難生活9万8000人/「奇跡だと思った」。優太ちゃん救出の消防士が状況語る/気象庁「余震、確実に減少」/十日町市、最低気温3度。「寒くて眠れない」「体の限界近い……」

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 昨二十七日より夜を徹して続けられし真優ちゃん救出作業は、押し潰された車内の土砂、伸し掛かる岩石、二次崩落の危険に晒される現場状況に阻まれ一向に進捗せず、車内より運び出せぬ侭二十八日午後、法医学者に拠り死亡確認されり。死因は母親と同様、胸部圧迫に因る窒息死にて、事故発生時に即死状態の由。遺体収容は人力手作業にては限界、余震に因る二次崩落の危険性も無視出来ず、中断の已む無きに至りたり。午後三時半過ぎ、真優ちゃんが眠る埋もれた車体付近に青色シート被せられり。……合掌

 「早く出してやってほしひ」と涙ながらに言ひおりし父親・学氏の心中察するに余り有るを思へど、不眠不休にて作業為すレスキュー隊員の命軽からず、涙呑むの他無き状況。隊員とて収容中断は断腸の思ひならん。優太ちゃん生還にて期待膨らみ懸命の努力為し来ての中断決定、「連れて帰りたかった。無念」「優太君には、お母さんとお姉さんの分まで生きて貰ひたひ」と涙したハイパーレスキュー隊長の姿が全てを語りおる。収容されし母・貴子さんも、残されし真優ちゃんも、隊員命賭しての作業に免じ許し呉るるに違ひ無く、又そう信じたし。

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 二十七日セントルイス、米大リーグ・ワールドシリーズ第四戦。三連敗の後、四連勝にてヤンキースを下したア・リーグ決勝戦の余勢を駆って、レッドソックスがナ・リーグのカージナルスに四連勝。一九一八年以来、八十六年ぶり六度目の優勝を決めり。「バンビーノの呪ひ」此れで解けしか。四連勝でのワールドシリーズ制覇は史上十八度目。

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 《27日朝》 寒気迫る被災地/死者4人増え31人に/不明母子の車発見。長岡の崩落現場、ナンバーで確認。小出の不明母子「生きていて……」、単身赴任の夫が避難所回り、ヘリで捜索/首相、被災地視察。「ライフライン復旧が大事」/前代未聞の復旧作業、新幹線吊り上げ。4両、大型クレーンで

 《27日夕》 新潟また震度6弱。避難所に悲鳴、瞬間、床に腹ばい。新幹線復旧作業が中断。余震で4人けが

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 昨夜十一時頃、就寝前カーテン越しに外を見やれば雪横殴りに降りおりて、妻に「結構積もるやも知れぬ」と言ふた通り、今朝目覚めてカーテン開け見れば雪景色。除雪道具未だ物置の中なれば、スコップにて戸口の雪左右に除けたり。べた雪にて積雪五、六センチ。日本気象協会道支社発表降雪量(正午現在)は空知・幌加内町朱鞠内三十六センチ、上川・美深町十九センチ等。札幌午前九時現在の積雪八センチ。札幌にては正午過ぎには街路、屋根の雪消へて其の後、四時過ぎより三十分程、断続的に大粒の霰降りたり。

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 全く以て忙しき世の中、行きと帰りに二度も号外手にするとは思ひもせなんだ。此の齢迄生き来て初めての事なり。号外出る様な一大事、日に二度も出来せし事、此れ迄にも在りしか。所用有りて街へ出し昼頃、札幌駅前にて「イラクで日本人拘束」の号外。用足し終へて本屋にて小一時間。其の後、街中の従弟を訪ね、号外見せて一談議。新潟県中越地震の被害等語り合ひ、母子三人救出の実況テレビ見居れば早五時過ぎ、長居を詫びて辞す。帰宅せんと五時半頃、駅地下通路歩き行けば再度の号外「母子3人発見」を手にせり。


     イラクで邦人拘束 48時間以内の自衛隊撤退要求
                          武装組織が殺害予告映像

 【カイロ=岡本道郎】イラクで暗躍する三ルダン人テロリスト、アブムサブ・ザルカウィ容疑者の率いる「イラクの聖戦アル・カーイダ組織」と名乗る武装組織は二十六日、拘束し允日本人とみられる男性一人の映像をインターネットで流し、日本政府が四十八時間以内にイラクに駐留する自衛隊を撤退させなければ男性を殺害するとの声明を出した。外務省によると、この男性はイラクに滞在中の福岡県出身、香田証生さん(24)とみられる。父親が本人と確認し、同省に連絡した。

 香田さんとみられる男性は映像の中で、小泉首相に対し、日本語で、「彼らは自衛隊が撤退しなければ首をはねると言っています。すみませんでした。また日本へ帰りたいです」と、ところどころ声を詰まらせながら訴えた。イラクでの日本人拉致は、今年四月にフリーライターの郡山総一郎さんら計五人が拉致(いずれも解放)されて以来、六か月ぶり。

   政府「撤退に応じず」 アンマンに対策本部

 政府は二十七日、アンマンの在ヨルダン日本大使館に現地対策本部を設置し、人質の解放に向け情報収集を急いでいる。アンマンには谷川秀善外務副大臣を派遣する。ただ、武装グルーブが要求する自衛隊の撤退には応じない方針だ。

 小泉首相は同日朝、台風23号の被災地視察に向かう自衛隊機から首相官邸の細田官房長官に電話し、人質の解放策を至急検討することと、自衛隊の撤退要求を拒否する方針を確認した。                    (04.10.27 読売号外)

 号外目にして思ひたは、「イラクに何故。何で又同じ事を繰り返すか」のみ。退避勧告無視してまでイラクへ行かねばならぬ理由在ったか否か、我には分からぬ。アンマンのホテル従業員が「バグダッドは危険故、行かぬ方が良ひ」と止めたに対し、「其れは分かっている。でも行きたひ」と言ひ、ホテルで出会ったドキュメンタリー映画監督に「イラクを旅行したひ。知り合ひの家にでも泊めて貰ふ」「何とか成るでしょふ」と言ふた二十四歳は一体、何を思ひ何を考へてアンマンよりイラクへ向かひしか。我には分からず。

 もし然したる理由も無く、漠然と「何かイラクの人の手助けでも」と考へたとせば……。しかし彼も四月の邦人拉致、拘束時の大騒動知りおる筈。知り乍ら尚イラク入りし、武装組織に拘束されて「彼等は自衛隊が撤退しなければ首を刎ねると言っています。すみませんでした。また日本へ帰りたひです」なんぞと子供染みた事は言ふまひ。ならば何故「すみません」と言ひしか。此れも亦、我には分からず。二十四歳の無分別、浅慮と切り捨てたくは無けれど、老ひたる我には理解し難き行為にて如何にしても其方へ傾くは已むを得ぬ処なり。

 小泉首相は例によって、「自衛隊の撤退はしなひ。テロを許す事は出来なひ。テロに屈する事は出来なひ」「救出に全力を尽くす」と言ひ、四月の人質事件にて奏功せしイラク宗教組織の仲介を再度依頼、地元部族長へも武装組織への説得方を働き掛けるらし。然りながら、今回の武装組織「イラクの聖戦アル・カーイダ組織」はイラク宗教組織との繋がり薄く、宗教指導者の指示に従ふ可能性は極めて低く、四月時同様に奏功するかは予断許さぬらし。

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 外出より戻り夕餉の後、自室に籠もりて雑然たる室内少々片付け、買ひ来た本捲りおりたれば、母親・貴子さんの死亡確認されしを知りたは今し方、午後十時のニュースにてなり。矢張り、の思ひ。運転席にて腰迄土砂に埋まり居たと言ひ、死因は胸部等圧迫に因る窒息死にて、死後かなりの時間経過せる検視所見拠り即死とみられる由。又、真優ちゃんは、体の一部が後部座席の土砂中より見へおるものの心音等は未確認にて、夜を徹しての救出活動続くらし。

 それにしても、我等が抱きし期待は何でありしか。聞きし声は……


   母子3人発見 不明4日 男児救出
              中越地震崩落現場 車中から母の声

 新潟県中越地震で行方不明になっていた同県小出町中原の主婦皆川貴子さん(39)、長女の真優ちゃん(3)、長男の優太ちゃん(2)の母子三人の救出活動を続けていた東京消防庁は、二十七日午後二時半過ぎ、長岡市妙見町の県道下の土砂に埋まっていたワゴン車の中から四日ぶりに優太ちゃんを救出した。残る二人の救出を続けている。

 東京消防庁によると、同三十一分に貴子さんとみられる声が確認され、同三十九分にまず優太ちゃんが助け出された。貴子さんと真優ちゃんは車内で岩などにはさまれ、救出には時間がかかっている。

 この日の捜索は午後一時から始まった。人命探査装置「シリウス」を使って調べた
ところ、車内で心音が確認されたという。

 レスキュー隊員に救出された優太ちゃんは、ズボンをはいておらず、隊員が脱いだ防寒着でくるまれた。ぐったりしていたが、首はしっかり据わり、隊員に腕を回してしがみついた。崩れ落ちた岩の間を隊員数人の手でリレーされ、担架に寝かせられて運ばれた。

 救出活動は余震が続く中で行われ、何度か中断された。
                            (04.10.27 読売号外)

 駅地下通路にて号外貰ひて開けば、「車中から母の声」の見出し。従弟宅を辞する前に見た母親救出のテレビ画面は明らかに絶望を物語りおりし故、目に飛び込みし見出しの七文字に妙に空々しさ感じつつも、「今少し発見早く、救出も早かりせば助かりしに」と残念でならず、号外握り締め帰りたり。

 帰り来て「何ぞ発表有りしか」と妻に問へば、「何も無し」と応ふ。テレビは残る真優ちゃんの救出続行中を伝へおりしなり。妻「声が聞こへたとか、生存反応とか、誰が発表して誰が聞ひてテレビで流すのか。旦那さんや身内の方々がどんな気持ちで……」と言ふて涙ぐみたり。我「発見が遅れ、救出が遅れし分、消耗激しく持ち堪へられなんだやも知れぬ。或ひは……優太ちゃんの声を母親の声と聞き違へたか、助かって欲しひと願ふ余り聞こへぬ声が聞こへたのかも知れぬし……」と言ひたれど、自分も釈然とせなんだ。

 確かにテレビにては「声が聞こへたと言ふ情報も有ります」と言ふていたし、「人の呼吸・心拍を感知可能な人命探査装置『シリウス』の波形から、三人の生存反応確認の模様」とも言ふていた。そして午後二時四十分頃、優太ちゃんの救出・生還場面。我も従弟も、残る二人の生存を確信して疑はなんだ。遅々として進まぬ作業に苛立ち乍らもテレビに釘付けと成り見守りおる内、徐々に雲行きが怪しく成り、軈て救出現場が青色シートで遮蔽され、午後四時四十分頃、全身覆ひ隠すかの如く毛布掛けられ搬出されるを見て、我等は母親と真優ちゃんの死を直感せり。救出開始時の午後一時四十五分、果たして生存しおりしや。疑念払拭出来ぬ侭、今暫し早ければの思ひのみにて辞したるが……。

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 手稲区の連続車上荒らし放火事件で、先に窃盗及び放火容疑にて逮捕されおりし無職男が別の三件に関与せしとして札幌手稲署は二十七日、男を同容疑にて再逮捕せりと。男は八月よりの車上荒らし放火につき「全て自分がせし」と自供、手稲署が裏付けを進めおるらし。逮捕後、心配せし模倣犯も現れず、現在迄平穏無事に経過して、十六件全てが同一犯の仕業と判明したるに拠り「一件落着」。此れにて手稲区住民も枕を高くして眠れやふ。

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 長沼町の畑作農家「西南農場」の遺伝子組み換へ(GM)大豆栽培計画に関し二十七日、宮井能雅同農場代表は栽培断念を明らかにせり。読売新聞社の取材に対し「将来、国産のGM大豆が栽培されることは確実で、其の時迄待つ方が賢明だと判断した。周辺住民の反対は、(栽培計画をやめた)理由ではない」と語りしと。消費者が受け入れず、周辺農家が強固に反対しおる中での栽培には無理が在り、理由はともあれ、栽培断念は賢明なる選択なり。

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 《26日朝》 避難、寒さ、そして雨。疲労・ショック死相次ぐ、死者26人に/仮設住宅建設へ/全力で生活支援。省庁連携し食糧確保、毛布不足分を自衛隊機で輸送へ/首相きょう被災地入り/金融市場地震ショック。株急落、終値197円安。自然災害多発、消費心理冷え込み懸念/怖い「エコノミー症候群」、車中泊の死2人。不快な睡眠、心筋梗塞も/小千谷の300世帯が苦渋の避難、東山地区「土石流来たら全滅」/山古志村、ニシキゴイ・牛の世話で避難拒否20人/上越新幹線高架橋脚に斜め亀裂、トンネル内も崩落

 《26日夕》 死者27人に/山古志村南平地区、今度は水没の危機/避難所・小千谷市総合体育館、極限の忍耐。寝床は1畳分、トイレ待ち20分、未明に余震……/被災者支援法を弾力運用、一世帯に最大300万。適用対象拡大へ/避難10万人超、ストレス深刻。「眠れない」「食欲ない」/小千谷・テント急造、雨の中、屋外で一夜/小学生3人の葬儀、裁断も遺影もなく……/震災「自分たちと重なる」。奥尻、釧路、十勝、有珠……道内各地「支援のお返し」始まる

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 二十六日、NHK又しても不祥事発覚。音響デザイン担当職員が自作曲をば、音楽プロダクションに委託制作したかに偽装、不正請求にて制作費四百五十二万円着服せりと。露見したる不祥事、此れにて何件目か。紅白歌合戦チーフプロデューサーの製作費着服、ソウル支局長の領収書額水増し、エグゼクティブ・プロデユーサーの"カラ出張"、甲府放送局の備品及び私物盗難……まだ有った様な気もするが思ひ出せぬ。此の組織も相当に箍が緩みおる故、締め直し必要なり。

 不祥事の度に聞く御偉方の遺憾の意と言ひ訳、組織の透明性高め再発防止に努めると言ひて改まらぬは如何な事か。高禄食みおる会長、理事連は組織を如何掌握しおるものやら。組織が巨大化し過ぎて末端迄は手が回らぬか。抑々、食みおる禄も番組制作費も諸々、NHKは受信料と言ふ公金にて動きおる。肝腎な此の事を御偉方も職員も忘れておりはしまひか。兎に角、我のNHKへの不信感募るばかりにて、受信料不払ひも考へたく成るなり。

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 三十日、仙台スタジアム。コンサドーレ対ベガルタ仙台戦は、1−1でコンサ前節に続き引き分け。通算成績5勝22敗13分け、勝ち点28。順位変わらず。
 次節十一月六日、対サガン鳥栖戦(札幌ドーム)。



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平成十六年十月二十五日(月曜)雨

 昨日午前九時、気象庁は今回地震を「平成十六年(二〇〇四年)新潟県中越地震」と命名せり。本日より読売新聞の見出し我が日乗に転記し、震災の推移残し置く事とす。

 《25日朝》 死者23人、負傷2200人。8万5千人が避難/未明にも強い余震、本震は「阪神」上回る/「震度4」以上33回/陸の孤島 凍える一夜/特急・急行など47本運休、高速道は緊急車両のみ、9万世帯で停電続く、断水36紙町村/孤立、寒さ……窮状訴え「ミルクを」「毛布を」/山古志村・高齢者や子供ら、ヘリで脱出/幼い命「どうして……」小千谷・過疎の集落で小学生3人犠牲、十日町・チャイルドシート2か月男児が座席ごと揺さぶられ

 《25日夕》 今朝震度5強余震、死者25人に/山古志村1700人全員避難へ、へり活用・孤立集落救済。覚悟と不安の脱出、迫る豪雪「戻れない」/中越地方、今夜から雨の予想/もろい地盤、被害拡大。雨で新たな崩落も/避難生活3日目、食料届かない。車も人手も足りず、貯水タンク空に、避難所で雨具・テント不足/新幹線脱線・事故調が本格調査。滑走2キロ軌道大破、鋼鉄ボルト飛ぶ

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新潟地震ドキュメント (04.10.25 読売)
【24日】
1・30 内閣府で「関係省庁連絡会議」
3・40 長野県警の広域緊急援助隊・警備部隊25人が小千谷市入り
4・50 情報収集のため、新発田市の陸上自衛隊駐屯地から陸自ヘリが離陸
7・50 村田防災相を本部長とする「新潟県中越地震非常災害対策本部」発足
7・59 村田防災相らが防衛庁から陸自ヘリで新潟空港へ
8・10 上越新幹線が高崎―越後湯沢間で運転再開
9・00 新潟県内の29市町村に災害救助法を適用
9・00 気象庁が今回の地震について「平成16年新潟県中越地震」と命名
9・01 細田官房長官が官邸で会見。「内閣をあげて万全の対応をする」
9・10 緊急消防援助隊員9人が小千谷市から海上保安庁ヘリで山古志村入り
9・35 本震の際、十日町市で1337・9ガルの最大加速度を記録したと気象庁が発表
9・45 天皇、皇后両陛下に随行中だった漆間警察庁長官が急きょ帰京
10・06 「今後3日間にマグニチュード6以上の余震が発生する確率は10%」と気象庁が発表
11・00 新潟県知事から陸自に対し、住民への食料支援の要請
11・20 徳島県で開かれた全国育樹祭で、皇太子さまが度重なる台風被害と中越地震の被害について、「心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます」とあいさつ
12・20 総務省消防庁が茨城県に緊急消防援助隊の出動を要請。出動人員は12都県880人に
13・15 「我々の想像を超える恐怖感、ひどい地震だったと思う」と東京の仮公邸前で小泉首相
15・00ごろ 山古志村などで孤立した住民たちの救助を自衛隊ヘリが開始
18・29 現地を視察した北側国交相が非常災害対策本部で「改めて被害の大きさ実感した」
22.17 航空自衛隊入間基地のC1輸送機2機が食料など7トンを新潟に空輸



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平成十六年十月二十四日(日曜)曇

 昨夕午後五時五十六分頃、新潟県にて震度6強の地震あり、午前一時過ぎ迄テレビ報道見居りたれば八時回りて起床せり。妻既にテレビに釘付けにて被害の甚大なるを話せり。震度6強続けざまに三度襲ひたれば被害の程度尋常ならぬは当然、更に震度4以上の余震続きおる状況なれば、情報収集進捗せる度に被害拡大するは必至。我洗顔もせで、「此れ以上被害出ねば良ひが」「余震早く収まり呉れれば良ひが」と妻と話しつ見入りたり。

 地震報道見居れば何も手に付かず、食事・銭湯・厠以外終日テレビ眺め居たる有り様。被害は発表の度に大きく成りて、午後十一時現在、死者二十人、負傷者二千人以上、四十市町村の約八万五千人が避難しおる状況なりと。避難被災者の収容場所少なく、簡易テント、車の中等にての睡眠余儀無くされ疲労重なりおる上、食料・飲料水等も不足し十分に行き渡らずとの避難住民の声、テレビにて頻りに聞きたり。政府には手抜かり無き救援・援護をば早急迅速に実施して貰ひたし。自衛隊は冬季用幕舎設営及び野外炊飯部隊派遣せよ。

 台風連続上陸の後始末つかぬ内に、又もや此れでもかの大地震。天災は忘れぬ内にやって来るのだ、近頃は。天災には勝てぬ、天災なれば誰の所為でも無ひ等と思ふまじ。我が国土が台風の通り道に在る事も、地震列島日本に住み居る事もとんと忘れて太平楽並べ、日頃より万全の対策為し来なんだ政府の付けが国民に回り来たるが如き様なもの。国際貢献も善ひが先ずは我が国土の在りやふを考へよ。戦闘機買ふ前に治山治水、地震予知対策に手厚き予算措置講じよ。何処ぞの国に占領される前に日本沈没では笑ひ話にも成らぬ。

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  新潟 震度6強3回 上越新幹線が脱線 
        民家倒壊など 乳児含む10人死亡 火災や倒壊 けが570人

 二十三日午後五時五十六分ごろ、新潟県中越地方を震源とする地震があり、同県小千谷市で震度6強を観測した。気象庁によると、震源の深さは約二十キロ。マグニチュードは6.8と推定される。その後も余震が続き、同六時十二分ごろ小千谷市で震度6強、同三十四分には十日町市でやはり震度6強を連続して観測した。同七時四十六分にも小千谷市で震度6弱を観測するなど、二十四日午前零時までに、震度4以上の余震は二十五回を数えた。民家倒壊などで新潟県内で少なくとも十人が死亡、四人以上が行方不明になり、五百七十人以上が負傷した。上越新幹線は、新潟県の長岡駅近くで脱線したが、けが人はなかった。                       (04.10.24 読売)

新潟地震ドキュメント (04.10.24 読売)
【23日】
17・56 新潟県中越地方を震源とする震度6強の地震が発生
18・00 首相官邸に対策室を設置。警察庁も災害警備本部を設置
18・12 二度目の震度6強の地震が発生
18・18 長岡駅手前で緊急停止した上越新幹線とき325号の運転士から、JR東日本の新幹運行本部総合指令室に「車両が傾いている。脱線した」と、列車無線で第一報
18・30 関越自動車道で五重衝突事故を確認
18・34 三度目の震度6強の地震が発生
18・40 小泉首相に新幹線脱線の情報入る
19・02 国交省が地震の被害情報で第一報。「小千谷市付近の国道17号線で広範囲にわたって道路陥没」
19・10 気象庁で山本雅博・地震津波監視課長が会見
19・15 NHKが教育テレビとFM放送で、安否情報の放送を開始
19・25 村田防災相が官邸で記者会見。「住民の安全確保を第一に全力を尽くして応急対策を実施する」
19・27 首相、仮公邸に着く。秘書官らが報告
19・40 東京電力が柏崎刈羽原発内に地震対策本部を設置
19・45 国立病院機構災害医療センターから2医療班が新潟に向け出発
20・15 海上自衛隊のP3C哨戒機が長岡市上空から火災2件を確認
20・15 首相が村田防災相に今後の対応を指示。「(先遣隊を)早く出せ」
20・45 気象庁で二度目の会見。山本課長は、「この付近でマグニチュード6・8の地震が発生したのは珍しい」と説明
21・00 国交省が、「関越道と北陸道の一部が物理的に走行不可能」と発表
21・05 新潟県知事が陸上自衛隊に災害派遣を要請
【24日】
00・02 地元の大阪から国交省に戻った北側国交相が、「被災施設の緊急復旧に全力を尽くすよう指示した」とコメント

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 地方馬初のクラシック制覇期待されし我らが星・コスモバルク、又もや惜敗。皐月賞二着、ダービー八着、今度こその菊花賞でありしが残念無念なり。負けん気強く競り掛けらるれば無視出来ぬとばかり一周目よりマイペースの逃げの態勢、が如何せん距離が長過ぎしか逃げ切れず、追走せるデルタブルース、ホオキパウェーブ、オペラシチーに抜かれ四着。前半今一つ抑へられなんだかと思ふは我ら人間の勝手な言ひ分。デルタに抜かれて尚懸命に食ひ下がる闘志見せしコスモの一途さに拍手送りたし。クラシック制せなんだが、此の後に控へしジャパン、有馬のGIレースにて我らを喜ばし呉れるだらふ。

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 二十三日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対湘南ベルマーレ戦は、0−0で引き分け。通算成績5勝22敗12分け、勝ち点1増やし27。順位最下位は変わらず。
 次節三十日、対ベガルタ仙台戦(仙台スタジアム)。



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平成十六年十月二十日(水曜)曇

 二十日午後一時頃、台風23号四国に上陸。今年十個目の本土上陸にて最多上陸記録を更新、死者七十三人・行方不明十五人(二十二日午後一時現在)を出し、九一年九月の台風19号時の死者・行方不明者六十二人を超して平成に入り最悪の人的被害と成れりと。土砂崩れ、家屋浸水、道路・畑地冠水等テレビ、報道写真にて見る被害の状況凄まじく、此れよりの復興難事と成るは誰が目にも明らか。被災者の先々の生活思へば、慰めの言葉も励ましの言葉も発し難きなり。我に出来るは貧者の一灯・義捐金送る位が関の山、行政の厚き手当て望むのみ。

 富山港に停泊中の練習帆船「海王丸」(2556トン)、二十日午後十一時頃、強風に因り流され同港東防波堤に衝突、航行不能。風に煽られ傾きて波飛沫浴びる海王丸、見るも無残。十四日室蘭港入港、セイルドリル見せし優雅なる貴婦人の姿既に無く、テレビ映像にては自然の猛威に弄ばれ悲鳴上げおるやに見えたり。世界の海を縦横に航海せんと訓練為せど、一旦台風襲はば無力。所詮人は人、如何に人知尽くしたとて自然に勝てる筈無きを我に実感させし光景にてありたり。我等は自然を畏れ、自然に対し謙虚で在らねばならぬ。

 茨城県岩井市のレタス、台風の影響にて被害甚大。国内有数の生産地なれば出荷量減に因る価格高騰止まず、茨城産レタス卸売価格十キロ当たり一万数千円と月初めに比して八倍なりと。当然道内にても値上がり避けられず、女房殿「高ひ、高ひ」と零し居りて、我が食卓にレタス見ぬ日多くなりたるは確か。別に大好物と言ふ訳にはあらねども、馴染みの野菜暫く見ねば無性に食したき日も有りて困るなり。時季の漬物・越冬野菜の玉菜、白菜、大根等も亦台風続きの影響にて高値傾向。生産者は台風被害に泣き、我等消費者は価格高騰に泣く、か。

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 北大大学院医学研究科医師、町立八雲総合病院看護師、医薬会社員の三人が、精神安定剤混入の酒飲ませ意識朦朧たる札幌市内の二十歳代女性に暴行、準強姦容疑にて逮捕されたるの報、二十日付朝刊にて読めり。医師三十歳、豊平区の北海道社会保険病院にて嘱託医として勤務しおりたりと。八月一日罪犯してより以降、人倫・道徳に悖る破廉恥医師が何の面下げて患者の脈取りおりしか、考へるだに胸糞悪く怒り込み上げ来るなり。斯様な者が診たれば治るものも治らず益々悪化するが落ちにて、到底医師とは呼べぬ。

 「高潔の士でなくば医道に携はる資格無し」と言ふたは何時の頃か。今は医師のモラルなんぞ意に介さぬ俗物揃ひ、然も医は算術とて人の命も算盤尽くの扱ひ様にて、嘆かはしき有り様なり。昨今、猥褻行為、診療報酬不正請求・詐欺等にて刑事処分受ける医師多きは、医師に適さぬ者を医師にせるが原因。医大入試及び医師国家試験に於ひて、学力のみならず医師としてのモラル堅持し得る人物か否か、人格性向十分に考慮して選考しおれば不適格・失格医師斯くも多く出さずに済みし筈。選考方法見直して然るべき時なり。

 猥褻行為、詐欺等にて刑事処分受けし医師につきて厚生労働省は医道審議会に諮り、医業停止及び医師免許取り消し処分決めおるも、免許取り消しは極一部の事例に限られ、医業停止処分を受けし医師は一定期間経過せば無条件にて医業再開可能。此れにては些か手緩からふ。医療ミス繰り返す者を含め、刑事罰受けし医師は罪状、罰の軽重を問はず全て免許取り消しとすべきなり。魔が差した、出来心、一時の気の迷ひ、若気の至りーーの言葉は医師には許されぬ。厚労省は、医業停止処分受けし医師を対象に来年度より試験的に再教育行ふ方針決めしと言ふが、悪事働く性根は再教育なんぞで変わる訳無し。技術無き医師、モラル無き医師は容赦無く厳罰を以て切り捨てるべし。

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 小樽市の私立北照高校女生徒六人が校内にて大麻を売買、自宅及び路地裏等にて吸引せりとして逮捕されたり。同市内の少年、会社員等より購入せし物にて、「大麻で逮捕されるとは思はなんだ」と供述せる者も居りしと言ふ。何たる浅慮、無知なるか。仮にも高校生たる者、此れ位の善悪の判断出来ぬかや。日々何を学びおるか、日々何を考へ生活しおるか。次の世を背負って立つ者等が、若き内より思考停止では先が思ひ遣られてならぬ。

 先月、隣町余市に於ひて北星学園余市高校の生徒二人が、大麻所持で逮捕されしばかりと言ふに、「逮捕されるとは思はなんだ」とは聞ひて呆れる。大麻に就きては新聞、テレビ等にて度々報道され見聞きしおる筈。縦んば新聞は読まぬテレビは見ぬとしても、隣町の高校生の話なれば生徒同士の話題に成らぬ訳は無く、教師も訓示為して注意喚起したる筈。女生徒の「逮捕されるとは……」の言辞は罪を逃れんとせる姑息な言ひ訳に過ぎぬ。厳罰有りて然るべき事犯なり。

 斯様な事件起きる度に思ふ。我が子我が生徒の非行に気付かぬ親、教師が在るかと。日々、我が子我が生徒を見守り慈しみ、真正面から向き合ふて対話して信頼関係築きおれば、如何に些細な変化も見逃しはせぬものを。忙しひと言ふて子と碌に話もせず、教育は学校に任せ置けばよひと思ひおる親では気付くまひ。生徒を慈しまず、生徒より愛されず信頼されぬ、聖職意識持たぬサラリーマン教師には感知出来まひ。親と呼べぬ親、教師と呼べぬ教師多きが子等の不幸か。

                    ☆       ☆

 昨十七日未明更に二件発生の手稲区車上荒らし放火事件で、札幌手稲署は十八日、四十歳無職男を窃盗及び現住建造物等以外放火容疑にて逮捕せり。男は昨日、一連の放火事件とは別の車上荒らし容疑者として既に逮捕済みにて、今回再逮捕は四日発生の車上荒らし放火容疑。男の自宅及び車内より被害に遭ひし車より盗まれたる品々見つかり、調べに対し「仕事が見つからず、苛々して遣りし」と言ひおりしと。同署は一連の事件への関与に就き男を追及中にて、供述の裏付け取れ次第再々逮捕の見通しらし。

 一件落着とは言へぬが、一応の終息。逮捕されし男が一連の事件の犯人であるは間違ひ無からふが、現段階にて軽々に断定は許されず、逮捕容疑は四日の車上盗・放火のみなれば、取り調べ進みて十五件全てが男の犯行と判明する迄は一件落着とは行かぬなり。又、共犯者は居らず単独犯と見られる故、男の逮捕に拠り放火騒ぎは収まったと考へたき処なれど、世に馬鹿者は一人ならず、御調子者もごまんと居て真似する輩・模倣犯出で来るやも知れず、今暫く警戒怠らぬが肝腎。

 十九日追記。男は発生せる十五件の車上荒らし放火の内、逮捕容疑以外の数件に就き犯行を仄めかす供述せるに拠り、札幌手稲署にて裏付け捜査進めおる由。又、男は逮捕前、事件現場周辺にて度々目撃され、職務質問受けおりし事も判明せりとの報。我が予想通り、矢張り目撃されおりたか。しかし、職務質問為して男に不審なる点認められなんだと言ふも御粗末至極。男の方が警察より役者が一枚上だったと言ふ事か、将又……。



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平成十六年十月十七日(日曜)晴

 朗報は一つ。十三日、サッカー二〇〇六年ドイツW杯アジア一次予選にて日本がオマーンを1―0で下し来年のアジア最終予選進出決めしニュースのみ。後は気滅入る話ばかり。埼玉の山中にて男女七人車内で集団自殺、手稲で車放火十三件目、札幌で母親と内縁の夫が四歳女児を虐待「昨日は葡萄の種と皮と蔓を食べた。今日は何も食べてない」、政府が沖縄の米海兵隊砲兵部隊を北海道・矢臼別演習場に移転する案を米側に非公式に打診等々――。斯様な報道目にし耳にし、此の処思考停止状態にて居たき気分続きたり。

 此の一週間、気滅入り気力失せて何するも億劫、日々無為に過ごし来て家事山積の状況なり。先月末には終わりおる筈の物置整理捗らず、収納場所確保出来ぬ故、網戸外し、プランター菜園の後始末も未だ手付かずの状態。他に冬支度の準備も種々有るなれば、何としても今月末迄には片付けたしと思ひおれど、天気悪しければ外仕事も出来ぬなれば、此の先如何相成るものやら……。と言ふて捨て置く訳にもゆかず、明日より為す気なれど難儀な事なり。

 美唄・宮島沼に冬の使者マガン三万羽、稚内・大沼にコハクチョウ五百羽飛来、南下に備へ羽休めて冬の訪れ告げれば、十四日倶知安にて初氷・初霜、十五日には大雪山系旭岳(標高2290メートル)の初冠雪観測の報。冬急ぎ足にて歩み来る気配なれば、難儀なんぞと言ふて居れず、冬備への準備急がねばなるまひ。

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 八月二十二日より札幌市手稲区にて頻発せる車上荒らし放火事件、又候本日午前四時頃と午前八時頃続けて発生、遂に十五件目。何処の馬鹿者が遣りおるやら、腹立たしき限りなり。放火の罪如何程重きか知っての上の仕業か。此の馬鹿者、恐らく死刑若しくは無期懲役刑も有るを知りはしまひ。車上盗の証拠湮滅図りての放火にせよ、愉快犯にせよ、刑の重さ知りおれば斯くも頻繁に犯行は繰り返すまひ。今は車だけ燃へて家屋への延焼・類焼無く済み、人的被害も出ておらぬが幸ひ、早々に自首するが身の為他人の為。一旦家屋が燃へ焼死者出しとなれば重罪は免れぬを知りながら尚放火止められずとせば、最早病と言ふの他無く、引っ捕らへて問答無用にて瘋癲病院へ送るべし。

 放火犯の心理として、放火現場去り難く付近を徘徊するか、逃げても再び現場近くに舞ひ戻る傾向有りと聞くが、手稲区の放火十五件の現場近くに怪しき人物の影見なんだか。警察は勿論、住民も未明見回り為して厳戒警備しおる中、透明人間ででも無ひ限り、犯行繰り返しおりて姿見せぬ筈は無く、怪しき人物・車の目撃情報等有って当然なるに、何も無ひと言ふも解せぬなり。十五件の現場が手稲区に限られ、二地区に集中しおるを考へれば、他区より遠路通ひ来ての犯行とは思はれず、手稲区内然も二地区近辺に住まひ居る様な気してならず。

 証拠隠滅説、愉快犯説、証拠隠滅・愉快犯合併説等、放火目的につき諸説論じられおるも、恵庭市、標津町で捕まりし放火犯始め大方の放火犯が供述しおる「もやもや、むしゃくしゃして遣った」と同様か、其れに加へて「序に金目の物を盗んだだけ」と言ふ位の処にて、確たる目的等無ひ「むしゃくしゃ気分」解消の我が儘・八つ当たり的行為。思考停止状態或ひは幼児的思考回路にて想像力皆無、我が身の不遇をば他人の所為世の中の所為にして報復せし積もりの犯行。大人に成り切れぬ、大人紛ひの人物が犯人――と我は見る。

                    ☆      ☆

 十三日、燃料店の定期給油車来て灯油補給す。原油高騰の煽りにてリッター当たり五十五円と先月比二円値上がり、来月には六十円程度に成るらしと従業員語りおりたり。家計圧迫するは必至にて、「今冬は厚着して微小燃焼、早寝遅起きで灯油節約するしか無し」と妻零すこと頻りなり。寒がりの猫どもには申し訳無けれど、確かにリッター六十円とあらば気前よく燃す気には成れず、凍へぬ程度に可能な限り節約に相努める以外手立て無き様なり。

 イラク情勢未だ不安定、産油国ナイジェリアの政情不安、ロシア油田開発の遅れ、石油関連労働者のスト等、原油供給不足へ繋がる諸々の要因存在するは確かなれど、現在供給不足に陥ってはおらぬ。OPECの生産が手一杯なるも確かなれど、現在原油は順調に供給されて逼迫せる状況には無ひ。ならば何故の原油価格高騰か。一九七〇年代の石油危機の折は供給不足に因る価格高騰にて已む無しと思へたるも、今回高騰は納得行かぬなり。

                    ☆      ☆

 十二日、所用有りて郊外へ出掛けしが、午後三時二十分頃より俄雨に遇ひて無人駅に駆け込み列車待ちおりたれば、半過ぎに雨上がりて北の空に大きなる二重の虹架かりたるを見たり。虹見たは幾年ぶりか、と考へみたれど以前見し日時も場所も思ひ浮かばず、唯其の美しきを眺め居れば懐かしき光景に巡り逢ひたる様にて沁みじみ胸中に響き来るもの有り、心温もりて帰路に就きしなり。

 車中、戻りたらば妻に虹見しを話しやらねば等と思ひおれば不意に、ローレンスの小説に「虹」と言ふが有りしを思ひ出したり。読みし筈なれど四十年余も前の事なれば内容一向に思ひ出せず、札幌駅に着く迄に考へ得たは「トム何とか言ふ農場主一家の物語だった筈」。何とも情け無ひ我が記憶力に腹立てつつも、帰りて本開けば徐々に思ひ出すだらふし、齢なれば致し方無き事と己を慰め帰宅せり。早速読みし筈の「虹」探したれど見つからず、「読みし筈と思ふて実は読みおらぬやも知れぬ、否確かに読みし、段ボールの中か?」等と右往左往しおる内、虹の事をば妻に話すも忘れたり。

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 スーパーマン死す。米国の俳優クリストファー・リーブ氏が十日、心不全の為ニューヨーク州の病院にて死去せり。一九九五年、馬術大会にて落馬し脊髄損傷、以来首より下が動かぬ車椅子生活の中で見せし彼の生き態、我が呆け脳に確と刻み置く。死する迄生き行かねばならぬが人間。自殺考へし絶望の中で命の尊さ実感し、絶望に打ち克って生き、世界の脊髄損傷患者・身体障害者等に勇気と希望を与へ続けた男、正に彼こそをスーパーマンと呼ぶべし。命弄ぶが如き傲慢不遜の輩多き世なれば、彼の生き態燦然として我が道標なり。

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 十六日、福岡・博多の森球技場。コンサドーレ対福岡アビスパ戦は、0−1でコンサ四試合ぶりの負け試合。通算成績5勝22敗11分け、勝ち点26。順位最下位変わらず。
 次節二十三日、対湘南ベルマーレ戦(札幌厚別公園競技場)。



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平成十六年十月十日(日曜)曇

 東日本に上陸せる、台風としては観測史上最大級の勢力とされし台風22号、北海道に影響無きまま東の海上に去りて午前九時頃、温帯低気圧に変わりしと。暴風雨は静岡県及び首都圏各地を襲ひ、死者が静岡五人、神奈川、千葉にて各一人の計七人、不明者は東京、千葉、静岡、岐阜にて各一人の計四人。家屋損壊、床上・床下浸水家屋も相当数に上る見込みなれば、迅速的確なる対処望みたし。

 我らの放埒な自然・環境破壊に対する竹篦返しに違ひ無からふが、其れにせよ毎年繰り返される台風被害、防ぐ手立て無きものか。しかし異常気象益々激しく成りて、襲来する台風の数増へ勢力更に強く成り行くやも知れぬを考ふれば、我らの為す手立てなんぞ無力にて何の役にも立たぬだらふ。いっその事、何もせず、奇麗さっぱり全てを破壊し洗ひ流して貰ひ、もし神仏の加護有りて生き延びたれば一から出直す方が我らの為やも知れぬが……。

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 台風に因る雨心配せしも杞憂に終わりて、曇天、気温17度前後。第57回秋季全道高校野球大会決勝、札幌円山球場にて行はれたり。夏・全国制覇の駒大苫小牧の試合見んとて例年の幾倍もの観客詰め掛け、急遽外野スタンドも開放されしなり。順当なる勝利と言ふべきか、霸者・駒苫が9―1で道大会初出場の札幌藻岩を下し、二年ぶり二度目の優勝。公式戦28連勝に加へ、一九六二年の北海以来二校目と成る春夏秋の道大会年間完全制覇達成せり。此の勢ひ持続して十一月の明治神宮大会にて優勝、北海道に二つ目のセンバツ切符獲得せよ!

 夏の霸者の貫録か、初出場にて決勝進出の勢ひに乗る札藻岩を寄せ付けず、投打に圧倒して有無を言はせぬ試合運びなりき。甲子園準決勝・東海大甲府戦に先発せるも三回途中降板の松橋拓也投手が大変身、慌てず騒がず手も抜かず、12奪三振、被安打3、自責点1と余裕の完投。甲子園より一月半、如何練習し鍛へしものか、来季を背負って立つ大黒柱に成長しおりたり。甲子園正選手の林二塁手が4安打6打点の活躍にて主将の重責果たせば、同・五十嵐三塁手も4打数3安打の大当たり。「全国制覇の威光他を圧し、優勝経験選手が居るチーム強し」を印象付けしなり。駒苫、来夏迄に如何成長し如何程強ふ成るか。

今大会の駒苫戦観客数
2回戦 対札幌第一 (5日・麻生球場) 7500
準々決勝 対北海 (7日・円山球場) 11000
準決勝 対知内 (9日・円山球場) 12000
決 勝 対札幌藻岩 (10日・円山球場) 15000

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 鈴木宗男前衆院議員が来年五月にも北海道にて新党旗揚げし、次期衆院選に立候補する旨表明せりと言ふ。受託収賄罪等にて公判中の刑事被告人である事に対し、「参院選の時にも中傷を受けしが、司法の最終判断は出おらず」と語りたると。己の置かれし立場弁へぬ輩多き世なれば鈴木氏一人を責める訳にも行かぬが、曾て選良で在りたるなれば青天白日の身と成りて後に立つが有権者への礼儀。鈴木氏に申す。礼を失しては何事も成らざるなり、と。

                    ☆       ☆

 逮捕歴十二回、刑期合計五十二年五か月、七十三歳老泥棒が小樽にて十三度目御用の記事、八日付朝刊にて読みたり。懲りなひ奴と叱りたけれど、身に染み付きし盗っ人稼業捨てられず罪重ねるも人なればの弱さ故、思へば哀れなる御仁なり。戦後間も無ひ十九歳の時に小樽市内にて盗みしが初仕事らしが、食ふ物も碌に無ひあの混乱期、我とて切羽詰まりたれば何を仕出かしたやら。考へみれば此の御仁、戦争被害者と言へぬ事も無ひが……。まあ、切羽詰まった者皆が皆、盗み働きし訳で無く泥棒にも成ってはおらぬ故、「個人の資質の問題」若しくは「ちょっとした弾み」として置くが気楽か。

 老泥棒捕まりて「刑務所にては死にたふ無ひ。もふ、此れが最後です」と神妙なる様子なるも、前回五年前の逮捕時にも「此れが最後」と供述しおると聞けば、此の台詞何処迄信用してよひやら。習ひ性と成りし盗っ人稼業、雀百迄を通す積もりか、将又「老ひには勝てぬ。ムショでは死ねぬ」と真っ当に生き行く積もりか。此ればかりは予想出来ず、出所後見守るの他無きなり。

                    ☆       ☆

 「みほん」と記された野口英世・新千円札(十一月より使用開始予定)がヤフー・ネットオークションに出品されしも、億単位の悪戯高額入札相次ぎて七日昼前、出品削除されりと。競売に興味無き我なればネット映像見れなんだが、製造番号・日銀総裁印無く、一般公開見本紙幣とは違ひて「みほん」と平仮名表記らし。新札を印刷する国立印刷局は「色合はせの為に試し刷りした物には平仮名で書かれてひる物も有る。色合ひも似てひる」とて調査始めしと。パンダの剥製競売に出で来る昨今なれば、見本紙幣出で来たとて不思議無きか。

 試し刷り紙幣は局内にて裁断、焼却されて外部流出なんぞ有り得ぬと思ふて居たに、豈図らんや斯様な事態出来せるとは。御多分に洩れず此の御役所も組織疲労来し、職務に緊張感無きか。印刷局は「部外者に持ち出されし焼却前見本札と判明せば、窃盗容疑で告訴」と言ひおるが、部外者持ち出し可能なる状況改めるが先だらふに。加へて「印刷局職員持ち出しは想定しおらず、其の場合、如何に対処すべきか判断に迷ふ」と言ふに及びては唖然呆然。其の内、印刷局内にて偽札印刷されるやも知れぬ。此の国、何処も彼処も皆おかし。

                    ☆       ☆

 三菱自動車製トラックのクラッチ部品欠陥に因る運転手死亡事故を巡り、業務上過失致死罪に問はれた同社元社長・河添克彦等四人の初公判が六日開かれ、河添被告及び三菱ふそうトラック・バス元会長・宇佐美隆被告は起訴事実を否認して無罪主張せり。三菱に於ける一連の欠陥隠しに起因せる事故であるは疑ひ得ぬに、道義的責任認めるも刑事責任負わぬで済むかや。

 河添被告「リコールすべきはリコールした積もり。クラッチ部品の不具合は全く聞ひてなかった」、宇佐美被告「クラッチの不具合発生は予見出来ず、刑事責任を負ふ立場に無かった」。斯様な言葉聞けば、「三菱の社長は気楽な稼業。誰にでも務まる」と我は言ふ。した積もりの仕事して、報告無き事は関知せず、先の事など分からぬゆへ責任は負へぬ――で済むなれば社長不要。

 弁護側は「事故を予見出来なかった以上、罪は成立しなひ。此れでは日本企業のトップは皆、罪に問はれる事になる」と検察側冒頭陳述に反論せしらしが、「企業に一旦緩急有れば全責任負ふが社長の務め、其の為だけに社長の座在りと言ふても過言ならず」の認識無き故の腰巾着的発言にて、間抜けな反論なり。「此れでは」で無く、"此れ(三菱と同じ状況)なれば"日本企業のトップは皆、罪に問はれて当然。否定はせぬ。が、今般の三菱の事例・状況と異なるなれば当然、皆が皆同じ罪に問はれる訳も無く、心配無用。三菱の者弁護せんとて、日本企業トップ皆々の心配迄するは僭越至極、大きな御世話なり。

 此の会社の首脳は揃ひも揃ふての感、斯様な者共をトップに据へるが三菱の伝統か。「三菱」の名に胡座をかひて無為無策、とどのつまりが消費者の命軽んじて会社を窮地に陥れおる。提訴されおる三つの裁判にて、三菱自動車元首脳六人と同社が無罪主張して譲らぬ道理、我には皆目理解出来ぬなり。裁判中にも次々別なる欠陥露呈してリコール続きおると言ふに、未だ目が覚めぬかや。斯ふ成りては三菱車買ふ客益々減り、経営に大打撃受けるは免れまひに。

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 我らの懐、目減りするばかりにて一向に潤はぬに、政府の視線は「増税」へ向きおる。政府税制調査会は五日、二〇〇六年一月よりの定率減税縮小・廃止案の検討に入りたる由。税調会長は「縮小・廃止せねば、国の財政が持たぬ」と言ひ、谷垣財務相は三日開催の国際通貨基金総会にて「増税方針」表明せしも、何で斯様成りしかの説明皆無。国の財政預かり来た政府自民党の責任問ふ事無く、国民に尻拭ひさせるが如き増税論議は言語道断なり。破綻銀行・会社の経営責任厳しく問はれるなれば、政府の責任問はれて然るべし。

 既に今年一月より配偶者特別控除上乗せ部分廃止(所得税)され、十月より厚生・共済年金保険料引き上げられおる。来年一月より公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止、住宅ローン減税の縮小。四月より雇用保険料引き上げ、国民年金保険料引き上げ。六月より配偶者特別控除上乗せ部分廃止(住民税)、個人住民税「均等割り」の改正――と続き、今度は二〇〇六年一月よりの定率減税半減の検討始めしなりと。

 「金足りぬ故、国民より徴収」では堪らぬ。無けなしの金叩ひて税納めれば、我等納得出来ぬ国際貢献に大金拠出し、採算度外視の施設作りて直に御手上げ投げ売り大廉売、役人どもは己等の福利厚生第一に税・保険料を使ひおる。此れで「増税」は無からふ。

 国の懐が淋しく成る様な使ひ方したは誰ぞ。尋常なる使ひ方しおれば、我等の暮らし向きも現状よりはちっとは増しに成ってひたに違ひ無く、財政逼迫も斯程に成らずに済みたる筈。国家百年の大計に思ひを致す政治家無く、官僚も亦無きが我等の不幸。“族議員”の跋扈許し圧力に屈して、場当たり的に金散蒔き来た当然の帰結なれば、「増税」論議の前に「無駄遣ひ根絶」論議為すが先決なり。先ずは根底に在る国家組織の無駄を省くが基本、肥大せる官僚機構を解体、地方に権限委譲して金の掛からぬ小さな組織作りをば論議せよ。無駄遣ひ無くなりても尚足りぬと言ふなれば「増税」も認めやふが、現状の侭にては到底認め難く、今は「鐚一文、税金払ひたふ無し」が我が本音なり。

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 橋梁工事受注を巡る談合の疑ひにて新日鉄、三菱重工等約四十社に公正取引委員会が立ち入り検査に入った五日、自民党は独占禁止法調査会を開き、談合等に対する課徴金算定率の引き上げを柱とした独占禁止法改正案を了承せりと。談合後を絶たぬ現状の中、経済界にも与党にも改善意識希薄なり。

 今年一月通常国会への法案提出を予定せる公取委なるも、現行6%より12%への課徴金引き上げ案が経済界の反発受け、経済界が反対なればと与党も物言ひ付けて結局、提出断念に追ひ込まれし経緯有り。今回は12%を10%に下げ、課徴金算定期間も公取委当初四年案を現行通り三年に据へ置き、課徴金減免制度も導入しての了承。悪事蔓延るを抑止せんが為の罰則に手心加へおる。馬鹿者め。

 「独禁法違反を割に合わ無くし、談合を根絶せん」とするが趣旨の法改正が此の有り様にては、悪事を助長するも同じ。過去のカルテル・入札談合の不当利益が平均で売上高の16.5%と言ふから、違反対象取引にて得たる売上高の10%課徴されても未だまだ旨みは充分、此れでは悪事減る訳無からふ。悪事働けば元も子も無くなる罰則でなければ罰則の意味無く、効果も期待出来ぬなり。政府与党は何故こふも経済界に気を使ふか。大口献金団体だからと言ふて、御機嫌伺ふも程々にせよ。改正後、尚違反続く様なれば公取委は躊躇無く再改正に踏み切り、不当利益分に加へ罰金も課徴して算定率20%とせよ。

 日本経団連首脳、日本商工会議所会頭は調査会了承改正案につき、「非常に厳しひ内容」と述べ、経済同友会代表幹事は「談合、カルテルを前提にせぬと経営が成り立たぬのは、非効率的企業経営が温存されおると言ふ事。自由競争のルールを犯した企業に厳しひ罰則を与へる為に、課徴金の引き上げは妥当」と述べおる。何方が正論か、言ふ迄も無からふ。今後も悪事を続ける魂胆在る故、旨みを残せと御託を並べる。「もう二度と悪事はせぬ」腹なれば、罰則が如何に重くても(例へば課徴金算定率100%であっても)受け入れる筈。悪事を悪事と認めず、"必要悪"なんぞと宣ひおる経営者の何と多きか。然様な輩が無責任経営にて企業存立を危ふくし、社会不安を引き起こす。モラル無き所には法を以て臨むべし。立法に於ける妥協は敗北、何人の介入も許さず毅然たるべし。

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 イチロー、三日(日本時間四日)の今季最終戦・対レンジャーズ戦4打数2安打にて年間最多安打記録を262本に伸ばし、打率も3割7分2厘で三年ぶり二度目の首位打者獲得にてシーズン締め括りたり。

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 十日・室蘭市入江運動公園陸上競技場。第84回天皇杯全日本選手権3回戦、対ホンダロック(宮崎代表)戦は、コンサドーレ札幌が2−1の延長Vゴールにて辛勝。



 

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平成十六年十月三日(日曜)曇

 「イチローは天才故、彼の野球に論評加へるは無駄。唯、眺め楽しめ」と我常々言ひ来りたり。矢張り天才なり。一日(日本時間二日)、シスラー選手の大リーグ年間記録を八十四年ぶりに更新する最多安打259本記録せり。大リーグ入りより四年にしての快挙、「天才」と言ふの他無し。珍しき事に新聞に折り込まれ届きし号外内容、確と記し置く。


  イチロー新記録 大リーグ年間258安打 84年ぶりシスラーを抜く

 【シアトル=下村征太郎】米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー外野手(本名・鈴木一朗)(30)は一日(日本時間二日)、レンジャーズ戦に1番・右翼で先発出場、一回の第一打席に左前打を放ち、今季通算257安打とし、ジョージ・シスラー選手が一九二〇年、(百五十四試合)に作ったシーズン最多安打の大リーグ記録に並んだ。イチロー選手は三回の第二打席にも中前打を放ち、一気に記録を更新した。

 メジャー四年目のイチロー選手は今季、四月は26安打と出遅れた。5連敗スタートとなったチームと同様、なかなか調子が上がらなかった。しかし、自ら「シーズンが始まる感じ」と位置づける五月に入って復調。通算二度目となる月間50安打をマーク、打率4割と打ちまくった。五月二十一日には日米通算2000本安打を達成した。

 六月は29安打とペースを落としたが、七月に51安打(4割3分2厘)、八月に56安打(4割6分3厘)。二か月続けて月間50安打以上記録する、驚異的なハイペース。八月十八日には頭部に死球を受けて退場したが二十日(十九日は雨天延期)の試合で3安打する"鉄人"ぶりも見せつけた。二十六日には四年連続の200本安打を達成した。

 九月に入ると、中旬に足踏み状態が続いたものの、二十一日に5安打、二十二日に4安打の固め打ちで復活。以降は、確実に安打を重ね、百六十試合目での快挙達成となった。

 《イチロー》 本名・鈴木一朗。1973年愛知県生まれ。愛工大名電高(愛知)から、ドラフト4位で92年にオリックス入団。プロ入り後、投手から野手に転向し、94年、「振り子打法」と呼ばれる独特のフォームでシーズン210安打の日本記録を達成。この年から2000年まで7年連続で首位打者を獲得した。同年11月、シアトル・マリナーズに移籍し、日本人初の大リーグ野手に。米国デビューの2001年、打率3割5分、56盗塁で首位打者、盗塁王とMVPを獲得。以後、200安打以上を毎年記録し、球宴にも4回連続出場など、米国でも超一流の道を歩んでいる。                    (04.10.2 読売号外)

 第一打席左前打でシスラーと並ぶ257安打、一際大なる観衆の拍手。第二打席中前打にて記録更新成るや否や観衆総立ち万雷の拍手、歓声、響動めき暫し続きて止むを知らず。野球の本場なれば斯く有るが当然と思ひ居りたれど、祝福されおるイチロー眺むれば、異邦より来りし者なるも差別無く、記録成し遂げし者として認め讃へる温かき拍手の嵐に、我胸中熱く成りて落涙とどめ難き有り様にてありたり。同胞の快挙祝して、夕餉に祝杯を挙ぐ。

            ◇……………◇          ◇……………◇          ◇……………◇

 野茂英雄より始まりし我が日本プロ野球選手の大リーグ入り。続ひたイチローが大記録を達成し、更に続ひたゴジラ・松井秀喜も本塁打31本の活躍。今後、我が同胞が本場の野球を変へ行くやも知れぬに、記録更新視野に入り来りし頃、一部米・記者は試合数の違ひを理由に「シスラーの記録は不滅、イチローの記録更新は認め難し」と言ひおりしが、偏狭にして尚且つ不勉強の者共何処にでも居るなれば気にもせなんだが、今彼等は何を考へおるか。百五十四試合対百六十二試合、八試合多きがイチローに有利と言へるは確かなれど、試合数のみにて不利有利判断するは単純。第一に野球の“質”をば考へみるべきなり。

 シスラーが記録残せし一九二〇年代は「打者有利」の時代と言ふ。理由は1)一九〇一年より一九年迄の「飛ばなひ球」が二〇年より「ライブリー・ボール」と呼ばれる「飛ぶ球」に変はった。2)当時認められていた投手のスピットボール(唾を付着させての投球)、球に傷を付けての投球等の禁止。3)投手のロージンバッグ使用認められず。4)グラブの性能悪く、野手の守備技術低し。5)グラウンドコンディションが悪くイレギュラー安打が出易ひ。6)対戦投手数が少なひ――等。

 現在、グラウンドコンディションは申し分無く、イレギュラー安打など正に僥倖。投手は速球・変化球に磨きを掛け、対戦投手数はシスラーの時代とは比較にならぬ程多ひ。一九二〇年、アメリカン・リーグに登板の投手は六十四人、内八人がシスラー所属のブラウンズの投手故、シスラーの対戦投手数は最大でも五十六人。比してイチローは百九十七人と、三倍強の対戦投手数。私見ながら、野球の“質”の違ひを試合数に換算せば154対120にて三十数試合の開きは有らふから、八試合多ひだけではイチローは大ひに不利。諸々考へ合はすれば、シスラーが現大リーグにて257安打記録するは到底無理なれど、イチローが二〇年代の打席に立ちたれば300安打以上、打率も5割超記録するは間違ひ無き処。斯く見ればイチローの記録、偉大なり。と言ふて、シスラーの記録をば貶めるに非ず。

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 気象庁の纏めに拠ると、九月末迄に年間真夏日の最多記録更新せるは全国十二か所。例年に比して太平洋高気圧の勢力強く、日本付近迄張り出し居りたるが為の記録更新らし。トップは熊本市の百五日にて札幌の七・五倍、暑ひ暑ひと我死に居りし十四日など物の数では無ひ。住めば都と言ふが、熊本の方々本にさう思ひ居るか。我には煉獄地獄に投げ込まれ居る様にて、想像するだに恐ろしきなり。十四日で済みしを神仏に感謝せねば罰が当たるか。

年間真夏日の最多記録更新せる12か所
熊 本 市 105   埼玉県熊谷市  77
京 都 市 94   静岡県三島市 75
大 阪 市 93   東京・大手町 70
岐 阜 市 91   千 葉 市 68
熊本県人吉市 88   横 浜 市 64
兵庫県豊岡市 82   茨城県つくば市 60

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 長沼町の「西南農場」が、特定の除草剤に耐性のある遺伝子組み換へ大豆をば来年より本格栽培の予定と云ふ。国の「生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)は、遺伝子組み換へ作物等の栽培に農水省の審査を義務付けおるも、肝心要の、組み換へ作物が拡散する施設外(開放系)での栽培には規制が無ひ全くの笊法。役人の遺伝子組み換へ作物に対する認識の甘さ故か、将又、思考停止・想像力皆無の片手間仕事の成せる業か。国、自治体共に栽培の状況把握しおらぬと言ふも信じ難き事なり。

 西南農場は米国の種子販売会社と契約、一九九八、九九年に組み換へ大豆の種子三百キロずつを試験栽培済みにて、今般北海道に適せる種子が開発されたを機に本格栽培に踏み切る事に相成りしと。道庁は同農場の試験栽培事実把握せず、生産者及び消費者両団体より批判噴出せるを受けて今年三月、「道における遺伝子組み換え作物の栽培に関するガイドライン」を策定、開放系での栽培を規制。今年度中に強制力有る条例制定の方針なるも、栽培宣言せし同農場に対し未だ何ら対処の気配無きは甚だ遺憾。早急に善処すべきなり。

 消費者団体のみならず仲間の生産者からも批判出おると言ふに、何故に西南農場は栽培に固執するか。聞く耳持たず我が儘通せば、生きる道無しと知れ。消費者在っての農産物であり生産者であろふに、此の農場は消費者を見縊りおるか。栽培者は「西南農場」と名が分かりおるから、不買運動にて“潰す”事など簡単ぞ。仲間の生産者も、「組合の忠告、要請聞かず、我らを窮地に陥れるやも知れぬ者を仲間とは思はぬ。即刻、組合員資格剥奪」と考へやふぞ。米国にて大量に栽培しようがしまひが関係無し、其れを理由に栽培の正当化は許されぬ。消費者は遺伝子組み換へ作物に「NO」と言ひおるを忘れてはならぬ。

 遺伝子組み換へ大豆の食品としての安全性は確認済みと言ふが信用ならず、我断じて食さず。遺伝子を弄くり回して作った大豆は大豆に非ず、大豆擬きが如き物にて体に良ひ訳無し。既に組み換へ大豆食品出回りおるが、其れ等食品は"擬き"表示すべきにて由緒有る食品名使ふは以ての外の所業なり。納豆擬き、豆腐擬き、醤油擬き、味噌擬き等々と呼ぶべきにて、雁擬きは"雁擬きもどき"が相応しきなり。原材料欄に小さく「遺伝子組み換へ大豆」と書かせるだけにて済ます現行規則は、消費者を欺瞞するもの。"擬き"表示にて、正真大豆との区別を鮮明にすべきと考ふるは我のみか。

 三日追記。ながぬま農協の「長沼は大豆生産高日本一を誇り、風評被害が出たらば困る。事は組合全体の問題と成るを理解されたひ」との考へに、西南農場は「栽培されおるアメリカにて被害出たを聞き及ばぬ。又、日本にて実践しておらぬに、危険と言ふのはおかし」と言ひて計画変更せぬ方針らし。縦しんば安全性確かにても、開放系栽培に因る交雑の懸念払拭出来ぬ現状なれば何としても中止させねばならぬ。道、国の強力なる指導・勧告急ぐべし。

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 二日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対京都パープルサンガ戦は、0−0でコンサ二試合連続の引き分け。通算成績5勝21敗11分け、勝ち点1加へ26。順位最下位変わらず。
 次節十六日、対アビスパ福岡戦(福岡・博多の森球技場)。



              
                  
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