北極亭日乗


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平成十六年八月



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平成十六年八月三十日(月曜)雨

 十七日間に亙りたるアテネ五輪閉幕せり。世界より集ひて正々堂々競ひし選手達は、勝ちし者も敗れし者も皆々素晴らしき競技者にて、全て我が記憶の中に残りて在り。今大会、日本選手の活躍目覚ましく、獲得メダル三十七個(金16、銀9、銅12)。一九八四年ロサンゼルス大会の三十二個抜きて史上最多記録したは慶賀の至り、喜ばしき限りなり。連日のメダル獲得故か、あっと言ふ間に終わりたるの感。中間に駒苫の甲子園優勝も有りて少々浮かれ気味の日々続きし所為やも知れず。先ずは何時に無くテレビ見し五輪なりき。

 今未明の閉会式、中継放送見る能わずと録画せしも未だ見おらず、内容記し置くも出来ぬなり。五輪テレビ見過ぎの所為でもあるまいが、何や知らぬが物事諸々思ふ様に捗らず、あたふたと日々過ぎ行くばかり。焦りても詮無しとて、てきぱき動かぬが一因なるは重々承知なれど、動きても高が知れたものなれば無理せず居るなり。抑、時の流れが早過ぎる。光陰矢の如しと言ふても、時の移ろふを感じられぬ早さ些か尋常ならず。其も老化現象の一端等と言はれたふは無いが、齢には勝てぬ、事実やも知れぬ。

 札幌管区気象台の纏めに拠れば、昨年一日も無かりし真夏日、今年は十四日間在りたれども、過去十年間の真夏日記録見れば一九九四年(十九日間)、九九年(十五日間)に次ぐ記録。夏日は七、八月で三十四日間在りしと。確かに申し分無き「夏」にてありたり。今日は20度そこそこ、何とまあ涼しく成ったものよ。四日よりの真夏日連続六日間、我は間違ひ無く死んでおりし。死人が飯食らひ酒呑むは不届き千万なるも、其れ以外何も為さずに居たり。諸事捗らなんだ理由、此辺に在りか。二十五日発表の三か月予報にては「九、十月は数日の周期にて天気変わるも、晴れる日多ひ秋らしき天気に成る」らしければ、気合入れて動きみる積もりは積もりなれど先の事なれば分からず。

 妻丹精せしプランター菜園、今尚僅かながらトマト、ナンバン、ササゲ取れ、時折食卓賑はせり。今季の収穫に気良くせしか、将又自信持ちしか、妻「来年はトマト、ナンバンの苗買わず。種より育てん」と言ふ。我「難し。無理なり」と言へど聞かぬ意気込みにて、本気らし。苗育ておる農家の方々聞きたれば、「素人は怖ひ」と呆れ返るは必定。種より育てるが如何に難しきか、体験するも身の為なればと強く止めはせぬが、来年雪解けて下準備に駆り出されるを思ふと些か難儀なり。と云ふて「作るは女房、食ふが亭主」では不甲斐無く格好もつかぬ故、今は「已む無し」と心に言ひ聞かせおる処、如何相成るか。


       アテネ五輪日本のメダル
 《柔道女子》☆金=48キロ級・谷亮子、63キロ級・谷本歩実、70キロ級・上野雅恵、78キロ級・阿武教子、78キロ超級・塚田真希 ☆銀=52キロ級・横沢由貴
 《柔道男子》☆金=60キロ級・野村忠宏、66キロ級・内柴正人、100キロ超級・鈴木桂治 ☆銀=90キロ級・泉浩
 《競泳女子》☆金=800m自由形・柴田亜衣 ☆銅=200mバタフライ・中西悠子、200m背泳ぎ・中村礼子
 《競泳男子》☆金=100m平泳ぎ・北島康介、200m平泳ぎ・同 ☆銀=200mバタフライ・山本貴司、100m背泳ぎ・森田智己、400mメドレーリレー・森田、北島、山本、奥村
 《体操男子》☆金=団体(米田、水鳥、鹿島、冨田、塚原、中野) ☆銀=平行棒・冨田洋之 ☆銅=あん馬・鹿島丈博、鉄棒・米田功
 《陸上》☆金=女子マラソン・野口みずき、男子ハンマー投げ・室伏広治 
 《レスリング女子》☆金=55キロ級・吉田沙保里、63キロ級・伊調馨 ☆銀=48キロ級・伊調千春 ☆銅=72キロ級・浜口京子
 《レスリング男子》☆銅=フリー55キロ級・田南部力、フリー60キロ級・井上謙二
 《ヨット》☆銅=男子470級・関、轟
 《アーチェリー》☆銀=男子個人・山本博
 《自転車》☆銀=男子チームスプリント・伏見、井上、長塚
 《野球》☆銅=日本
 《ソフトボール》☆銅=日本
 《シンクロナイズド・スイミング》☆銀=デュエット・立花、武田、チーム・日本


           アテネ五輪道出身選手の成績

競 技 名 前 出 身 順 位
柔 道 上野 雅恵 (旭川市) 70キロ級 金メダル
レスリング 田南部 力 (岩内町) フリー55キロ級 銅メダル
陸 上 高平 慎士 (旭川市) 200m予選7組
400mリレー
6位
4位
水 泳 田中 雅美 (遠軽町) 200m平泳ぎ
100m平泳ぎ準決勝
メドレーリレー
4位
9位
5位
稲田 容子 (札幌手稲高) 10mエアピストル 10位
射 撃 福島実智子 (熊石町) 10mエアピストル
25mピストル
25位
13位
小西ゆかり (八雲町) 25mピストル 19位
卓 球 梅村  礼 (苫小牧市) ダブルス
シングルス
準々決勝
4回戦
テニス 小畑 沙織 (札幌市) ダブルス
シングルス
2回戦
1回戦
自転車 沖  美穂
大菅小百合
(清水町)
(標津町)
ロードレース
500mTT
20位
10位
バドミントン 中山智香子 (旭川市) ダブルス ダブルス
バレーボール 吉原 知子
成田郁久美
佐々木みき
(妹背牛町)
(旭川市)
(室蘭市)
準々決勝

                    ☆       ☆

 IOC理事会は二十九日、陸上男子ハンマー投げ優勝のアドリアン・アヌシュ選手(ハンガリー)が、二十七日の再検査期日に出頭せなんだ為、検査拒否と認定、規定に照らし陽性と見做して金メダル剥奪、五輪より追放の処分決定せり。此れに因り二位・室伏選手が一位に繰り上がり、金獲得。

 室伏選手、記者会見にて「努力して毎日、練習に耐へてやってきた結果が、此の様な形に成った。金メダルといふ結果を残すことができ、嬉しひと思ひます」と語り、「メダルの色はいろいろ有るが、大切なのは、其れに向かって努力していく事だと思ふ」と続けしと。メダル裏側に記されおる古代詩人ピンダロスの詩をば読み上げる室伏選手、好敵手であり友人でもあったアヌシュ選手の薬物使用につき「悔しひと言ふより、寂しひ気がします」と言ふた胸中、アヌシュ選手に理解できよふか。授与されしメダルの意味考へて貰ひたし。

 正々堂々、不正無き競ひ合ひの勝者に与へられるメダルの重み、競技者は今一度熟考すべきなり。ピンダロスの詩、「真実の母 オリンピアよ/貴方の子供達が/競技で勝利を勝ち得た時/永遠の栄誉を与えよ/其れを証明できるのは/真実の母 オリンピア」を熟読玩味、よくよく噛み締めるべきなり。

                    ☆       ☆

 札幌市が纏めた市内に於けるヒグマ目撃情報件数が二十五日現在、昨年の年間件数を十五件上回る七十七件と過去最多の由。月別にては四月四件、五月十件、六月三十八件、七月十三件、八月十二件。区別にては南区五十六件、手稲区十件、西区・中央区各五件、清田区一件。

 定山渓、手稲山抱へる南区、手稲区が多ひは当然なるも、中央区とあらば奈辺に出没せるものか。市は、民家に近く五、六月に一件ずつの情報有りし西野市民の森(西区)を閉鎖、九月末迄事故防止とヒグマの実態把握の両面より調査為すとかや。札幌のヒグマ推定個体数は多くて二百頭、絶滅の危機に瀕した個体群とされおるらし。ヒグマの人と遭遇せるが不運か、人のヒグマと出会いたるが不運か。安住の地求めて彷徨ふヒグマの心中思へば哀れにて涙零るるの思ひ。

                    ☆       ☆

 二十四日深夜(日本時間二十五日未明)、モスクワ発の旅客機二機(乗員・乗客計八十九人)がほぼ同時刻に相次ぎ墜落。一機は空中にて爆発との目撃情報有り、もう一機は「ハイジャックされたり」との信号発信されおるに拠り、チェチェン分離独立を叫ぶイスラム武装勢力関係せる同時テロとの見方強し。

 ロシア連邦より分離独立せんとて武力闘争然もテロ行為続けたとて何の解決にならふか。二〇〇二年のモスクワ劇場占拠、今年二月のモスクワ地下鉄爆弾テロ事件等咎無き市民犠牲にせる自爆テロ繰り返したとて、国際世論離反するばかりにて独立支援の“輪”など生まれようも無し。武装勢力の御偉方、テロにて独立国家つくるが可能と考へおるとせば、大馬鹿者なり。露政権も考へよ、テロ生み出したは己の罪であるを。軍事力背景の強硬策にては永久に解決せず、和平交渉以外に現状打開・正常化への道無きを認識すべきなり。

 ロシアとチェチェンの関係言ふに「殺戮と憎悪の歴史二百年」の常套句有り。帝政ロシアの侵攻に敗れてより虐げられ続けたチェチェン人、一九九一年十一月ソ連邦崩壊直前の混乱に乗じ独立を宣言するも成らず、二次に亙るチェチェン戦争の残虐凄惨なる露軍、武装勢力双方の殺し合ひは憎悪を更に増幅したのみ。チェチェンの歴史顧みれば独立望む心情もっともにて、我同情もし、無下に弾圧繰り返すロシアの態度非難するに吝かで無きも、だからと言ふてテロの如き卑怯卑劣なる手段弄するは断じて認め難し。

 独立への選択肢、今は二つのみ。露軍に真っ向勝負挑むか、然も無くば話し合ひか。前者は滅びへの道であり、後者は寛容と忍耐伴ふ苦難の道なり。さて勝負挑まんとして、負けの決まりおる戦に果たして幾人が銃もて馳せ参じるか。国民より乖離して独立に意味無し。既に独立の為の血は充分に流されり。チェチェンの人々よ、苦難の道を志向せよ。民族が辿り来たった苦難の道の長さを思へば、暫しの辛抱ぞ。国際テロ組織と結託して血を流し続けたとて独立は手に出来ぬ。話し合ひに拠る和平の道を探るべし。

 二十五日追記。ロシア非常事態省は本日、両機の墜落を確認、乗員・乗客計八十九人全員死亡と発表せり。又、チェチェン・イスラム武装勢力とアル・カーイダとの結び付きは古く、最近は更に深まる傾向にありしとの報も有りたり。

 二十八日追記。露連邦保安局報道官は二十七日、「墜落機一機の破片から爆薬(ヘキソーゲン=プラスチック爆弾の主成分)の痕跡確認」と述べ、墜落原因がテロに因る爆発であるを認めたり。一方、アル・カーイダ系と目されるイスラム過激派組織が同日、アラビア語の犯行声明をイスラム系ウェブサイトに発表せし旨、AP通信報じたり。

                    ☆       ☆

 IOCは二十四日、アテネ五輪陸上男子円盤投げ優勝者ロベール・ファゼカシュ選手(ハンガリー)をドーピング違反にて失格処分とし、金メダル剥奪せり。ドーピング違反に因るメダル剥奪は、重量挙げ男子62キロ級銅のレオニダス・サバニス選手(ギリシャ),陸上女子砲丸投げ金のイリーナ・コルジャネンコ選手(ロシア)に次ぎ今大会三人目なり。

 別の新聞報道に拠ると、陸上男子ハンマー投げ優勝者アドリアン・アヌシュ選手(ハンガリー)もドーピング規定違反の疑ひ有りて、金メダル剥奪の場合、二位室伏広治選手一位繰り上げ「金」の可能性出でしらし。薬物使ふてメダル獲得して己の良心に恥じぬ者に五輪出場の資格無く、競技者の資格も無し。スポーツ界に蔓延せる「薬物使用は常識、見つかるが不運」の考へ一掃するが急務。IOCは、選手を五輪より永久追放するは勿論、連帯責任取らせ「ドーピング違反選手出せし国は、次回五輪への参加資格停止」位の厳しひ罰則規定設けるべきなり。五輪にての違反は問答無用の処断でよし。

                    ☆       ☆

 全員プロ選手、万全の態勢にて"金取り"に臨みし筈が敗れたり。二十四日の準決勝、相手は一次リーグで唯一負けし豪州。0−1の完封なり。米大リーグ・マイナー選手主力のチームとは言へ、同一チームに二度負けるとは思はなんだ。我らの長嶋ジャパンは無敵、と思ひたに残念無念なり。

 一発勝負の決勝トーナメント戦の怖さと言ふて、一次リーグでの敗因子細に検討・分析為して対戦せしか。豪州は一次リーグにて日本に勝ちて自信持ち、日本与し易ひと見たか、負ければ対日本戦へ繋がるカナダ戦にて先発より主力選手外し大敗せる作戦に出たは確か。豪の作戦勝ち、我が方の油断負け。長さんのカンピューターなれば如何な作戦に出しか、興味深き処なり。

 長嶋ジャパン悲願の金メダルは夢と消へしも、一次リーグにてキューバに快勝し「キューバに勝つのは私の悲願」と語る長嶋監督の願ひ叶へたを大なる成果とせむ。残るメダルは銅なれど、取りて当然のメダルなれば選手諸君遠慮は要らぬ。長嶋監督も言ふておる。「明日の試合も今迄通り、全力で戦って下さひ。選手諸君の為のオリンピックだったと思ふ為には、有終の美を飾る事がとても大切です」と。

                    ☆       ☆

 二十三日。駒苫全国制覇から一夜明けて尚、興奮冷めやらず。新聞各紙一面何れも「駒苫優勝」と「野口、金」なり。街の其処此処に祝ひの垂れ幕、看板等目に付きぬ。駒大苫小牧ナイン、本日午後、深紅の大旗と共に津軽海峡を越へ凱旋せり。新千歳空港、苫小牧にて大勢出迎へ、拍手と大歓声もて快挙を祝福せるテレビニュース観おれば、昨日の激闘蘇りて胸熱くなりたり。道は「雪国のハンデを克服し、道勢初の甲子園制覇を成し遂げる過程で、道民に大きな感動を与へた」として、栄誉賞授与を決めしと。

 二十四日追記。道庁前で開かれし優勝報告会に七千人、地元・苫小牧市役所での報告会に二千人の市民集ひしと。高橋はるみ知事「北海道の誰も成し遂げられなんだ優勝を果たしてくれた。夢と希望と最大の感動を本当に有り難ふ」と挨拶せば応へて佐々木主将、人差し指天にかざし「日本一取ったぞ! 北海道やったぞ! 道産子最高!」と声張り上ぐれば、会場大歓声に包まれたりと。

                    ☆       ☆

 《アテネ・オリンピック 金銀銅》
 ◇29日 レスリング・フリー男子60キロ級三位決定戦、井上謙二選手はワシル・フェルドルイシン(ウクライナ)を延長戦の末に破り銅獲得。薬物疑惑ありしアヌシュ選手の「金」剥奪決定に因り、陸上男子ハンマー投げの室伏広治選手が繰り上げ「金」。

 ◇28日 レスリング・フリー男子55キロ級三位決定戦、田南部力選手がアミラン・カルダノフ(ギリシャ)に勝って銅メダル。日本男子レスリングは一九五二年大会より、八〇年モスクワ大会を除き十三大会連続のメダル獲得。

 ◇27日 シンクロ・チーム決勝、日本(藤丸、原田、北尾、鈴木、立花、武田、巽、米田、川島)はロシアに1ポイント及ばず銀メダル。

 ◇25日 野球三位決定戦、日本11−2でカナダを下し銅メダル。長嶋ジャパン、有終の美飾りたり。シンクロ・デュエット決勝、立花美哉・武田美保組がダビドワ・エルマコワ組(ロシア)に次ぐ銀メダル。

 ◇23日 女子レスリング四階級全てメダル獲得。女子フリースタイル55キロ級決勝、吉田沙保里選手がバービーク(カナダ)を判定で下し金、同63キロ級決勝にて伊調馨選手がマクマン(米国)を判定で破り金。同48キロ級決勝、伊調千春選手は世界選手権三度優勝のメルニク(ウクライナ)に判定で敗れ銀メダル。72キロ級準決勝敗退、三位決定戦の浜口京子選手がサエンコ(ウクライナ)を判定で破り銅メダル獲得。体操男子種目別平行棒で冨田洋之選手が銀、同鉄棒で米田功選手が銅メダル。

                    ★       ★

 二十九日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対ヴァンフォーレ甲府戦は、0−2でコンサ三連敗。通算成績3勝19敗9分け、勝ち点18。順位変わらず。
 次節九月四日、対大宮アルジージャ戦(さいたま市大宮公園サッカー場)。

                    ◇……………◇               ◇……………◇

 二十五日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対アビスパ福岡戦は、0−2でコンサ連敗。通算成績3勝18敗9分け、勝ち点18。順位変わらず。
 次節二十九日、対ヴァンフォーレ甲府戦(札幌厚別公園競技場)。

 技術無く、精神力無くて勝てやふ筈も無し。J2とは云へ、プロの試合とは到底思はれず。入場者五千八十六人、厚別戦最少記録更新せり。



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平成十六年八月二十二日(日曜)晴

 遂に勝てり。13−10。球史に残る熱闘死闘、野球観戦の醍醐味悉く味わひ切ったる試合なり。我命在るうち大旗津軽海峡越へる事無しと思ひ居たに、駒苫の面々苦もなく(と言ふては香田監督にお叱りを受けるか)成し遂げおった。北国のハンデ等何処吹く風、皆で天指させば忽ち駒苫旋風巻き起こり、打つは投げるは大爆発。一戦毎に力付け来た証しの優勝、決勝迄の四戦が彼等を此処迄逞しくせしなり。何より今年は野球の神様に可愛がられたが一番。昨年は神様の気紛れから悔しき思ひせしに、我等が未熟と猛練習に励んだを神様は見逃さなんだ。真摯一途の切磋琢磨有る処、神の御加護在り。


 《駒苫全国制覇 大旗初の津軽海峡越え/甲子園 春の覇者・済美下す》 ついに深紅の大優勝旗が津軽海峡を越えた。第八十六回全国高校野球選手権大会は最終日の二十二日、道勢として夏の甲子園で初めて決勝に進んだ駒大苫小牧(南北海道)が、春夏連覇を狙う済美(愛媛)と対戦。13―10で逆転勝利を収めた。序盤につけられた4点差をはね返すたくましい試合運びを見せ、北国球児の力を存分に発揮した。

    ▽決勝
   済大苫小美 230 013 010|10
   駒大苫小牧 102 303 31X|13

 先発左腕・岩田は初回2点を先取された。その裏、林が右中間三塁打して1点。/制球に苦しむ岩田は二回、犠飛で1点を失い降板、二死満塁で代わった鈴木も連続四死球で2点を加えられ1―5とされた。/それでも香田誉士史監督の采配はどっしり落ち着いている。三回裏、単打の沢井をバントで送り、糸屋、佐々木孝の連続長打で2点に結びつけた。/四回裏は、沢井の二塁打で1点を返してなお、一死満塁。糸屋の三遊間を襲う痛烈な打球が二塁走者林に当たり、守備妨害で二死となる不運がありながら、佐々木孝が中前にはじき返して二者を迎え入れ、この試合で初めてリードした。/六回には、ソロ本塁打と長短4安打で3点をリードされたが、糸屋が左越えに2点本塁打して、エース福井を降板させ、代わった藤村から五十嵐が同点打した。/七回裏、両チーム通じ初失策で好機をつかみ、二死三塁から佐々木孝、桑島、鈴木が3連続適時打して、再び勝ち越し。八回に1点を返されると、犠打をからめて糸屋の適時打でだめ押しの1点を奪った刀九回表は併殺でピンチを切り抜けるなど、最後まで堅実な駒苫野球を通した。

                            先発メンバー

  済   美
1〔中〕甘井謙吾
2〔右〕小松紘之
3〔一〕水本 武
4〔左〕鵜久森淳志
5〔捕〕西田佳弘
6〔二〕野間源生
7〔三〕田坂僚馬
8〔遊〕新立和也
9〔投〕福井優也
  駒大苫小牧
1〔中〕桑原佳之
2〔右〕沢井義志
3〔二〕林 裕也
4〔左〕原田勝也
5〔捕〕糸屋義典
6〔遊〕佐々木孝介
7〔一〕桑島 優
8〔投〕岩田聖司
9〔三〕五十嵐大

                                           (04.8.22 読売号外)


 優勝祝ひて呑みし晩酌の旨さ格別にて、少々度過ごせしか食後暫し微睡みたり。壮絶なる打撃戦展開せる試合の興奮、未だ冷めやらずの感。諸々の場面脳裏に焼き付ひて、今鮮明に蘇る。九回表二死三塁、四番鵜久森のフライを遊撃佐々木が掴み、試合終了。鈴木、糸屋に駆け寄る駒苫ナイン。マウンドに集まり来りて皆々人さし指で天を指す。歓喜爆発。腕を突き上げ、万歳し、共に抱き合ふ光景見おれば我が目頭熱くなるを覚へたり。

 優勝見届け、御隠居連の感想や如何にと銭湯へ駆け付くれば、四時過ぎなるに客一人。番台の言ふに「皆、野球見てんだわ」。成る程、脱衣場のテレビ見れば閉会式放送中。半過ぎた頃より俄に客増へ始め、湯船にてもサウナにても話題は駒苫のみ。誰も皆、成せし偉業如何様に称賛せばよきか分からぬか、唯々「やりましたなぁ」「いゃー、やりましたなぁ」、「驚き、驚き」「まったく驚きました」、「大したもんですよ」「大したもんですねぇ」ばかりなり。登場の御隠居連、此れ又皆々「冥土へ、良ひ土産話が出来たわ」ばかり。我ら道産子、余りの嬉しさに今日は皆思考停止状態にてありき。

 二十三日追記。本日付各紙一面見出し記し置く。
 朝日 駒大苫小牧、優勝/道勢初、悲願の全国制覇/猛打、春の霸者・済美倒す
 毎日 駒苫が甲子園V/北海道勢初の快挙/済美に13−10 初勝利から一気に頂点
 道新 駒苫優勝 大旗初の海峡越え/甲子園 済美に打ち勝つ/迷いなし 伸び伸び野球
 読売 駒苫全国制覇/大旗、初の津軽海峡越え/夏の甲子園 春の霸者・済美を下す
 報知 駒苫初V/道産子の夢かなった/5万2000が心から拍手/アテネに負けない感動をありがとう

                    ☆       ☆

 二十一日。全国高校野球選手権大会準決勝、駒大苫小牧は四試合連続二桁安打となる14安打の猛攻を見せ、東海大甲府を10−8で破り、夏の甲子園道勢初の決勝進出果たせり。決勝は明日二十二日、春夏連覇を狙ふ済美(愛媛代表)と対戦。道勢初の優勝成るか、優勝旗津軽海峡渡るか。

 《駒苫決勝進出/甲子園 道勢「夏」初の快挙/14安打猛攻 東海大甲府下す》 甲子園球場で開かれている第八十六回全国高校野球選手権大会は二十一日、準決勝が行われ、駒大苫小牧(南北海道)が14安打の猛攻で東海大甲府(山梨)を10―8で破り、夏の大会、道勢としては初の決勝進出を決めた。決勝は二十二日午後一時から、相手は春夏連覇を狙う済美(愛媛)。勝てば、春夏を通じて初めて、甲子園の優勝旗が北海道に渡る。

    ▽準決勝
   東海大甲府 003 002 201|8
   駒大苫小牧 022 330 00X|10

 駒大苫小牧は、一回表の守りで、甲子園初登板の二年生右腕・松橋が、東海大甲府の一―三番の左トリオを三者凡退に打ち取る最高の立ち上がり。その裏一死二塁の好機に、準々決勝でサイクル安打を含む5打数5安打4打点を記録した林が登場。林は一塁ライナーの併殺に倒れるが、切れ目のない打線は二回にも糸屋、桑島、五十嵐の長短3安打で2点を先取した。/三回、松橋は二死から適時打されて1点を失い、なおも二塁、三塁から三番・清水に右越えに運ばれ逆転された。ここで救援した左腕・鈴木は四番・仲沢を三振に取ってピンチを切り抜けた。/駒大苫小牧は三回裏、沢井の三遊間を襲う安打とボーク、原田の四球で二死一、二塁として、前の打席まで甲子園打率8割の糸屋が中前に同点打。佐々木孝が右前に勝ち越し打して再逆転に成功した。/中盤は、鈴木を中心に守りを締め、リズムをつかんだ。鈴木は走者を出しながらも、冷静に打たせて取り、バックも堅守でこたえた。打線は四回、林の適時二塁打と暴投で3点、五回にも沢井、林の連続適時打で3点を加え、四試合連続ニケタ安打の猛攻で主導権をがっちり握り、終盤はエース岩田を投入して東海大甲府の反撃を抑え、栄光の座にあと一勝と迫った。/声援受け勢い/駒大苫小牧・香田誉士史監督「東海大甲府のねばり強い打撃に苦しんだので終わった瞬間はうれしかった。ずっと温かい声援に押してもらい、選手もその勢いでプレーしていた。岩田も鈴木が疲れ気味で、相手打線も脅威だったので、流れを切るように早めに継投した」(04.8.21 読売号外)

                    ☆       ☆

 駒苫、4強入り果たせり。全国高校野球選手権大会十三日目の十九日、駒沢苫小牧は横浜(神奈川代表)と準々決勝を戦ひ、6−1で破って準決勝に進出したり。準決勝は二十一日、東海大甲府−天理の勝者と対戦。夏の甲子園、道勢ベスト4入りは一九二八年の北海中(現北海高)以来七十六年ぶり、勿論戦後初。続ひて決勝進出となれば夏の甲子園、道勢としては初。春夏通じても一九六三年選抜大会準優勝の北海以来の快挙とかや。

 此の勢ひ持続せば何処迄勝ち進むか分からぬぞや。ひょっとして……等と思ふは強欲か。兎に角見事、我ら道産子、オリンピックどころでなひわさ。4強と成らば後は頂点目指し勝ち進むのみ。天よ、昨年の再試合済まなんだと思ふなれば、どうか駒苫に味方して下されや。

    ▽準々決勝
      駒大苫小牧 011 020 200|6
      横大苫小浜 000 001 000|1

 駒大苫小牧打線、よく横浜の涌井攻略せり。二回林のソロ本塁打にて先制せば、三回にも林の二塁打にて加点。五回には佐々木孝、林の連続長打浴びせリード広げたり。林は七回に4打点目となる左前適時打を放ちて、サイクル安打達成。横浜は六回に赤堀の二塁打にて1点を返したものの、駒大苫小牧の継投に反撃を断たれたり。

                    ☆       ☆

 沖縄ヘリ墜落事故にて米軍は十六日午前、沖縄国際大構内に散乱せる機体の回収・撤去作業に着手せるも、県警の合同現場検証要請に対する同意回答未だ無く、現場への立ち入りもならず検証できぬまま終わるらし。日米地位協定に基づく米軍の処置と言ふが、基地外での事故なるに我が警察権が及ばぬとは何たる事か。罷り間違へば幾人死者が出たか分からぬ事故ぞ、其の現場検証もできぬ協定なれば断固改めよ。間借り人の傍若無人許して家主の面目立とふか。

 毎度の事乍ら、天下の一大事なるに外務省の対応我らの耳に届かぬは何故か。県警申し入れの前に外務省機敏に動きて、現場検証等我が国の対処方針を米軍に通告するが任務の筈。地位協定が在る故、米軍の出方待ちて我が方の態度決するが無難と考へたが動き鈍き理由か。まさかとは思ふが、縦しんば今回米軍処置を外務省が既に承諾せるとせば許されざる失態、沖縄県民のみならず我ら国民を蔑ろにせる行為にて、外務大臣の更迭免れぬところなり。

 同日謝罪に訪れし在日海兵隊基地副司令官に対し、伊波洋一・宜野湾市長は「普天間飛行場のヘリ基地としての運用即時中止」等五項目の要請書渡し抗議せるも、副司令官「事故機と同型機以外の飛行を本日午前十一時から再開する」と説明。市長「再開は許されない。県民の強い反発を受ける」と批判せしも、此の後米軍は飛行再開させしと。我らを虚仮にすも好ひ加減にせいや。詫びる気など微塵も無く詫びに来て、「酷ひじゃないか」と言はれ又殴る様な手合ひに間貸しなど出来ぬ。とっとと出て行ってくれ!!

 十七日追記。米軍は十七日午前、県警が同意求めおりし日米合同現場検証を「拒否する」と回答せり。米軍法務担当官が宜野湾署を訪れ、「日米両国の合意に基づいて要請には応じられない。我々の捜査が終了した後、日本政府は日米合同委員会を通じ、捜査結果を要請することができる」との署長宛て文書を副署長に手渡せり、との報道ありたり。

                    ☆       ☆

 駒苫8強入りす。全国高校野球選手権大会十日目の十六日、三回戦第一試合にて三年前の優勝校・日大三(西東京代表)と対戦せし我らが駒大苫小牧、7−6で勝ちて準々決勝に進出せり。道勢のベスト8入りは、一九九五年の旭川実以来九年ぶりとぞ。我が胸中「頑張った!ようやった」のみ。

 大会六日目の十二日、佐世保実(長崎代表)をば7−3と力で捩じ伏せて宿願の甲子園1勝を挙げし駒苫。昨年の「再試合敗退」の雪辱果たし、やれやれにて気抜けするかと思ひきや、気合は充分。PL学園下せし強打・日大三と真っ向勝負、力負けせぬ堂々の戦ひぶりにて8強手中にせり。天晴れなり、駒苫。「昨年流せし涙の苦さ忘れずんば、勝利常に我が手中に在り」と思へ。8強なれば4強狙ふがよし。今の打撃力もってせば可能なるを信ず。

    ▽2回戦
      佐世保実業 001 100 010|3
      駒大苫小牧 002 110 21X|7

 駒大苫小牧の打線繋がりたり。三回二死二塁から、沢井の左越え2ランにて逆転。四回に同点とされるも、その裏一死二、三塁から内野ゴロの間に勝ち越し、五回には糸屋の二塁打で追加点。九回無死満塁のピンチ、二人目鈴木が三者連続三振奪ひて切り抜けたり。佐世保実は三回に村田の本塁打で先制せるも、先発当間が打ち込まれたガ痛し。

    ▽3回戦
      日三 002 000 022|6
      駒大苫小牧 121 000 03X|7

 駒大苫小牧は八回、一死二塁から鈴木の中前打にて1点勝ち越し、更に二死二塁から桑原、沢井の短長打にて2点を追加せり。九回に至り1点差に迫られ尚二死一、三塁と攻められしも、二番手鈴木よく凌ぎ逃げ切りたり。日大三は八回、3安打等で同点としたる後、一死満塁の勝ち越し機をスクイズ失敗の併殺で逃したが響きたり。

                    ☆       ☆

 《アテネ・オリンピック 金銀銅》
 ◇22日 陸上女子マラソンで野口みずき選手が2時間26分20秒で優勝、日本勢二大会連続の金メダル。土佐礼子選手五位、坂本直子選手七位。男子ハンマー投げ、室伏広治選手が82m91とアヌシュ(ハンガリー)に28センチ届かず銀メダル(陸上投擲種目での日本初のメダル)。体操男子種目別、鹿島丈博があん馬で銅メダル。ソフトボール三位決定戦、日本は豪州に0―3で敗れ決勝進出逃し銅メダル。

 《野口マラソン「金」 日本女子五輪連覇/室伏ハンマー「銀」/鹿島、あん馬「銅」》 【アテネ=読売取材団】アテネ五輪は二十二日、注目の陸上女子マラソンで、野口みずき(26)(グローバリー)が、2時間26分20秒で、前回のシドニー大会の高橋尚子(32)(スカイネットアジア航空)に続く、日本勢二大会連続の金メダルに輝いた。日本の女子マラソンは、四大会連続のメダル獲得。土佐礼子(28)(三井住友海上)は五位、坂本直子(23)(天満屋)は七位、野口は、25キロ過ぎに先頭集団を抜け出し、27キロ過ぎにスパート。終盤、昨年の世界選手権優勝のキャサリン・ヌデレバ(ケニア)の猛追を振り切り、逃げ切った。世界最高記録保持者のポーラ・ラドクリフ(英)は途中棄権した。/男子ハンマー投げ決勝では、日本期待の室伏広治(29)(ミズノ)が、82m91をマークし、銀メダルを獲得した。日本選手にとって、投てき種目でのメダル獲得は初の快挙。室伏は二投目に81m60をマークして、決勝進出十二人からのベスト8入りを決めた。五投目でファウルの失敗はあったが、最終の六投目に82m91の記録を出した。優勝は、83m19のアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)だった。/初の五輪出場だったシドニー大会で九位に終わった室伏だったが、二〇〇一年のエドモントンでの世界選手権で銀メダル、昨年のパリでの世界選手権では銅メダルと着実に結果を残してきた。二度目の五輪出場で悲願のメダルを手にした。/体操の種目別決勝では、あん馬で昨年の世界選手権種目別金メダリストの鹿島丈博(24)(セントラルスポーツ)が、の9.787点で銅メダルを獲得した。日本選手があん馬でメダルを獲得したのは、一九七六年モントリオール大会の監物永三の銀メダル以来、二十八年ぶり。/日本選手のメダルは、これで、金十三、銀六、銅七となった。金メダルの数は、七二年ミュンヘン大会に並び、過去最多の六四年東京大会の十六個に、あと三個に迫った。/野口みずき「誰が追いかけてくるかはわからなかったが、誰かは近づいてくると思った。自分のスピードでは、まだ駄目かと思った。ほぼ作戦通り。大観衆の声援を受けられて、幸せです。ありがとうございました。頑張ってきて良かったです」(04.8.23 読売号外)

 ◇21日 自転車男子チームスプリント決勝、日本(長塚智広、伏見俊昭、井上昌己の三選手)はドイツに敗れたものの44秒246で自転車競技で初の銀メダル。競泳男子四百mメドレーリレー、日本(森田智己、北島康介、山本貴司、奥村幸大の四選手)は3分35秒22の日本新記録で銅メダル。ヨット男子470級で関一人、轟賢二郎組 が銅メダル獲得。

 ◇20日 柔道男子100キロ超級決勝、鈴木桂治選手は1分17秒小外刈りでトメノフ(ロシア)を破り金メダル。女子78キロ超決勝、塚田真希選手が1分51秒後ろけさ固めでベルトラン(キューバ)に勝ち、金メダル獲得。競泳女子八百m自由形決勝、柴田亜衣選手が8分24秒54で金。女子二百m背泳ぎ決勝、中村礼子選手が2分9秒88の日本新記録で三位に入り銅。
 順位表示の電光掲示板見た柴田、「びっくりした。夢かと思っちゃいました」の言。

 ◇19日 柔道女子78キロ級決勝、阿武教子選手が4分38秒袖釣り込み腰で劉霞(中国)に勝って金メダル。アーチェリー男子個人決勝、山本博選手は109−111とガリアッツォ(イタリア)に僅差で敗れ銀メダル。柔道男子100キロ級の井上康生選手が四回戦で一本負け、敗者復活戦も敗れメダル無し。我が予想外の事なり。

 ◇18日 競泳男子二百m平泳ぎ決勝、北島康介選手が2分09秒44の五輪新記録で百に続き二冠達成。女子二百mバタフライ決勝、中西悠子選手が2分8秒04で三位銅メダル。柔道女子70キロ級決勝、上野雅恵選手が3分10秒袖釣り込み腰でボス(オランダ)を下し金メダル。男子90キロ級決勝、泉浩選手は3分3秒すくい投げでズビャダウリ(グルジア)に敗れ銀メダル。

 ◇17日 柔道女子63キロ級決勝、谷本歩実選手1分19秒合わせ技にてハイル(オーストリア)を破りオール一本勝ち、初出場で金メダル獲得せり。競泳男子二百mバタフライ決勝、山本貴司選手1分54秒56の日本新記録にて銀メダル。

 ◇16日 体操男子団体、一九七六年モントリオール大会以来二十八年ぶり六度目の金メダル成る。中野大輔、塚原直也、冨田洋之、鹿島丈博、水鳥寿思、米田功の六人、最高の演技。競泳男子百m背泳ぎ決勝、森田智己選手が54秒36の日本新記録で三位に入り銅メダル。

                    ★       ★

 二十一日、京都・西京極総合運動公園陸上競技場。コンサドーレ対京都パープルサンガ戦は、2−4でコンサの負け。通算成績3勝17敗9分け、勝ち点18。順位最下位変わらず。
 次節二十五日、対アビスパ福岡戦(札幌厚別公園競技場)。

                    ◇……………◇               ◇……………◇

 北海道フットボールクラブは十七日、今月十一日未明酒気帯び運転にて人身事故起こし逮捕された新居辰基選手と、同乗しおりし中尾康二選手との契約解除せし旨発表せり。自業自得なり。二十歳と二十二歳、若さ故の愚行とは言ふまじ。己の生きる道真摯に考へおる若者なれば斯くの如き行動、死しても為さず。プロとして大成せんと努力精進する者の姿に非ず、無分別思慮欠く事甚だし。コンサの成績を見よ。酒食らひて遊べる状況か。正に寝食忘れてサッカーに打ち込まねばならぬ時に、此の体たらく此の性根にてはプロの資格無し。解雇は当然、プロとして立つを諦めるが両人の身の為なり。サッカー続けたくば趣味としてやるがよからふ。又、チーム内に同様性根の輩居るなれば、柳下監督速やかに排除するがチームの為、サポーターへの義務と知るべし。



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平成十六年八月十五日(日曜)曇一時

 五十九回目の終戦記念日迎へり。戦世の記憶呼び覚ます記念日なれど、一九四五年八月十五日を現実の記憶に留めおる同胞既に三千万人弱、一億人が知識として知るのみの現実思へば、「不戦の誓ひ」如何許りの力持つや。昨今の政治、世相の流れ見るにつけ危惧抱くは我のみか。政府主催の全国戦没者追悼式に於ける首相式辞、衆院議長追悼の辞が心からのものであるを信じたけれど、猜疑の目向けざるを得ず。我ら心して見張らざれば国の行く末危ふし。

 小泉首相は「私は、過去を謙虚に振り返り、悲惨な戦争の教訓を風化させることなく、不戦の誓いを堅持し、平和国家日本の建設を進めてまいります。我が国は、世界各国との友好関係を一層発展させ、国際社会の一員として、世界の恒久平和の確立に積極的に貢献してまいります。平和を大切にする国家として、世界から一層高い信頼を得られるよう、全力を尽くしてまいります」(式辞より抜粋)と言ひ、河野衆院議長は「戦争の悲惨さを忘れず、平和な未来の建設に役立てていくこと、政府の行為によって再び惨禍が起こることのないよう決意を新たにし、国政に取り組んでまいります」(追悼の辞より抜粋)と言ふた。なれば、憲法九条無視の法作りてまで何故に海外派兵せしか。此の行為、何を以て「世界の恒久平和確立への積極的貢献」「平和な未来の建設に役立つ」と言ふか。

 又々閣僚の靖国参拝止まず。戦没者慰霊の為なれば戦没者追悼式に出席するがよからふ。是が非でも靖国と言ふなれば一私人として参拝せば済もふ。参るとて閣僚、国会議員の肩書何故に必要か。靖国の成り立ち考ふれば、中国の執拗なる遺憾表明も意味無しとは言ひ難く、「此れは日本国内の事だ」と言ふて済む訳も無からふ。何を考へおるか、考へなどせぬ思考停止人間が国の行く末握りおる現状甚だ堪へ難し。斯様なる人物を議員に選びしは誰ぞ。我ら眼確り開け、「不戦の誓ひ」愚直に守り行く者をば選ぶに及くは無し。

 抑、靖国神社とは如何なるものか、我が思考の参考に吉川弘文館刊「国史大辞典」の記述転記し置く。

 靖国神社 東京都千代田区九段北三丁目に鎮座。旧別格官幣社。明治二年(一八六九)六月二十九日、明治天皇の意志で東京九段に創建された招魂社に始まる。この年、伊勢神宮・春日大社に次ぐ一万石の社領を永代祭祀料として与えられた。明治七年、明治天皇はみずから参拝したが、この異例の優遇は、のち合祀の臨時大祭への天皇参拝として慣例となった。明治十二年六月二十五日、靖国神社と改称、別格官幣社に列格された。同神社は、幕末維新の政争、内戦で死亡した天皇側の「国事殉難者」と、明治初年以降の戦争の戦没者を祭神として合祀した。最も重要な祭儀は、合祀の際の招魂祭で当初は幕末に各地の招魂祭が神儒仏の葬祭を離れた形式で招魂慰霊を行なった伝統を受けついでいたが、改称列格後は神社神道形式の臨時大祭となった。その所管は陸海軍省で、臨時大祭の委員長は天皇によって現役の将官が任命された。同社は、台湾出兵・日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・日中戦争・太平洋戦争とつづく、天皇の名による戦争のたびに、多数の戦没者を新祭神に加えた。社号の「靖国」は、天皇の国家を安んずる意味で、戊辰戦争の内戦でも、幕府側の戦没者は、「賊軍」であるとして合祀されなかった。戦没者は、天皇のために忠死したという唯一点で、国によって神として祀られ、現人神天皇の礼拝を受けるという、無上の「栄誉」を与えられた。この構造は、日本人の生活でながい伝統をもつ霊魂観と祖先崇拝を、たくみに天皇崇拝と軍国主義に結びつけており同神社の存在は、国民の間に天皇崇拝と軍国主義を普及徹底させるうえで、絶大な威力を発揮した。創建時から太平洋戦争の敗戦に至る間の合祀者は二百四十万余人に達し、社殿には、神体の鏡・剣とともに、合祀者の霊璽簿が奉安されている。敗戦直後の昭和二十年(一九四五)占領軍による神道指令で、同神社は国と分離し、翌年、東京都知事認証の単立宗教法人として再出発した。以後、再軍備の進行とともに、政府と神社界は同神社の国営化に動き出した。昭和三十一年、日本遺族会は、「国家護持に関する小委員会」を設置し、昭和三十九年自由民主党はそのための特別委員会を設けた。自民党は、昭和四十四年国営化をめざす靖国神社法案を国会に提出した。同法案は毎年、国会に提出されたが、四回にわたり廃案となった。昭和四十八年同法案は継続審議となったが、翌年反対運動の高まりに直面して、衆議院通過後に廃案となった。これを機に自民党と推進勢力は、方針を転換し、首相の公式参拝による同神社の公的復権を当面の目標とした。昭和六十年政府は、「閣僚の靖国神社参拝に関する懇談会」の結論を受けて、違憲の疑いがあるとする従来の政府統→見解を改めて、公式参拝実施を表明した。同年八月十五日、中曾根康弘首相は、閣僚を従えて公式参拝を行なった。しかし中国をはじめアジア諸国の反撥と批判を受け、以後は一部閣僚のみの公式参拝となった。春季例大祭は四月二十一―二十三日、秋季例大祭は十月十七―十九日。

 閣僚の靖国参拝問題是非巡り世情騒がしくなりて、国立・無宗教の追悼・平和祈念施設建設の必要性議論されしも、自民党内の反対論根強く未だ進展無く雲散霧消の公算大。「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」会長の瓦力・元防衛長官、終戦記念日の今日「靖国神社以外にお参りする場所はなひと考へてひる」と語りしと。「不戦の誓ひ」と無縁の所に居るやに思へてならず。

                    ☆       ☆

 昨十四日、墓参りに出掛く。込み合ふを嫌ひて午前九時に家出たれど墓地に着きみれば既に人々参集して、献花焼香合掌為す家族数多在りたり。墓に被りたる砂埃雑巾にて拭き清め、花供物供へ線香蝋燭に火付けて懇ろに参りたり。誰逝きしは何時何時、彼逝きしは何時何時……早きものよ、然様に月日経ちしかと諸々感慨に浸りて、誰某今生き居れば我らが生き様何と言ふか等語り合へばしみじみ懐かしく思ひ出されて、皆々口数少なくなりたる墓参りなりき。

                    ☆       ☆

 一八九六年の第一回近代五輪開催より百八年ぶり、聖火再び発祥の地・ギリシャに燃ゆ。第二十八回アテネ五輪は十三日夜(日本時間十四日未明)、五輪スタジアムにて開会式行われ開幕せり。史上最多二百二の国と地域より参集せる選手一万人超が二十八競技、三百一種目に覇を競ふ。我が日本選手団総勢五百十三人、悔ひ残す事無く戦ひ終へるを願ふのみ。

 未明二時四十分よりの「開会式」生中継は老ひの身には見る能わず、朝八時三十五分よりの録画放送観たり。各国選手団の行進見おれば、今此の地球の何処かで血を流す無辜の民が居るなどとは到底思はれず、繰り広げられるページェントは生命と人間讃歌を謳い上げ、正に世界は一つの平和の祭典。が、此の祭典も国際テロ無視できず、NATO軍中心に七万人が厳戒警備敷きおるを考ふれば情け無き事にて、人間の愚かさ思ふばかりなり。古代オリンピックにては開催期間中は休戦せりと聞きしが、今は開催狙ひて戦仕掛け来る。愚かなり人間。我等に進化への道無く、在るは唯退化への道のみか。

 浜口京子選手(レスリング)を旗手に五十七番目に登場、堂々行進せる我が選手団の存分なる活躍期待せるは元より、期間中不幸悲惨なる事態起きぬを祈り、参加全選手が持てる力遺憾無く発揮して競ひ合ふを望みたし。

                    ☆       ☆

 十三日午後二時十五分ごろ、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大三階屋上庇部分に米海兵隊の大型輸送ヘリが接触して墜落、炎上せり。乗員一人が重傷、二人が軽傷。学生は無事。ヘリは普天間飛行場一帯にて訓練中だった由。飛行場囲む様に民家密集しおる現状、基地の島・沖縄故致し方無しと無関心・傍観の我は何様か。大惨事と背中合わせの日々送る人の痛み知らねばならぬ。

                    ☆       ☆

 明治大学野球部・一場靖弘選手へのスカウト活動に於いて現金供与の違反行為ありしとて十三日、読売巨人軍の渡辺恒雄取締役オーナーが道義的責任取りて辞任せり。「球界のドン」と呼ばれ、我が国プロ野球界の動向を左右するとまで言はれし人物が不本位なる引責辞任、況してや1リーグ制・球界再編論議囂しき折とありては胸中や如何に。毀誉褒貶合い半ばせる氏の言動なれど、邪心無く求むるはプロ球界の発展のみにて、巷間耳にする「巨人さえ良ければいいの考へ方。他球団無視」等微塵も無かりしと我は思ふ。球界"要"失へり。

                    ☆       ☆

 法制審議会人名用漢字部会は十三日、追加四百八十八字を決定せり。六月の五百七十八字追加案公表の後、七月の意見募集にて削除要望有りし九字を削除し引き続き削除対象検討の結果、新たに「蔑」「膿」「娼」「骸」「尻」「嘘」「腫」「罵」等七十九字が不評・不適切として削除されたり。此れにて名前に使用可能な漢字は常用漢字等を含め計二千九百二十八字。


 人名用漢字に追加される488字

岡 誰 頁 頃 俺 其 阪 此 薩 云 匂 菩 韓 芭 蓋 訊 脇 陀 袖 柏 腎 坐
枕 庵 卿 犀 笠 腔 宋 椅 塞 厨 幡 撫 濡 噂 斑 逢 叢 曾 廻 篇 鍵 狼
雀 菅 貌 葛 馴 撰 蘇 註 這 梶 詣 爪 瓦 迦 挨 筑 拶 或 播 貼 而 篠
窟 隙 揃 拭 喋 斯 宛 捉 蹴 稽 喰 雁 淵 膳 嶋 溜 烏 鞘 柴 鵜 昧 蒙
尖 梁 錐 鍋 柿 凄 魯 喧 讃 杖 肋 蹟 裳 劉 臥 畠 蒲 吻 謎 摺 餅 簾
楚 妖 堵 裾 臼 楕 詮 麓 峯 嘩 夷 貰 棲 鷲 崖 紐 儲 鴨 鱗 盃 勃 蔭
帖 紙 頓 汲 惚 梗 堺 溢 醍 醐 淀 醒 謂 琵 隈 袴 琶 蜂 菱 戚 洛 幌
芥 茨 鋸 釜 牙 蜜 恰 埼 淋 櫛 叉 捧 肘 馳 粟 埴 瓜 芯 牡 蓬 畏 窺
阜 侶 蓑 桶 廿 槍 寵 峨 巾 鞍 榊 穿 俣 苔 燕 戴 辻 汝 筈 辿 惹 輿
窪 諺 兎 鞭 樋 磐 勾 諏 徽 冥 詫 娩 晦 莫 憐 樽 牟 煎 禰 厩 葺 箸
縞 笈 玩 嘗 遡 纂 窄 襖 蔓 裡 庇 焚 蕨 勿 牽 漕 藁 屑 釘 弛 綴 噌
函 荻 碗 杵 饗 肴 槌 忽 昏 殆 畿 茸 賑 榎 鄭 晒 捻 汎 僅 芦 栃 梯
湊 悉 葡 蟹 仔 膏 廟 迄 糊 羨 疋 蕎 董 曳 柵 堆 駈 撒 蝦 姥 壬 輯
遁 疏 燭 堰 甥 壕 歎 竿 桁 螺 串 杭 按 閃 俄 楯 劫 粥 迂 逗 栖 瓢
挽 樫 蔽 硯 箔 舵 鎧 挺 痩 兜 鞄 套 杷 薙 坦 纏 圃 灼 枇 灸 酎 舷
掠 轟 牒 鳶 椀 柘 箕 柑 闇 巷 寓 姪 閏 鷺 砥 倦 櫓 托 哨 灘 些 耽
鱒 宕 竺 傭 庚 尤 蕃 凧 秤 碓 鋒 乎 萄 斡 卜 錫 戊 珂 蒐 遜 曝 煉
擢 錆 恢 戟 頗 籾 沫 瞥 砦 薗 鍬 湛 斧 萱 捲 跨 佃 蕪 奄 鼎 撞 瀕
竪 訣 沓 煤 砧 鰯 塙 沌 畢 閤 釧 冨 禽 祁 楢 頬 呑 掴 諦 葦 繋 填
蝉 祷 臆 莱 蝋 鴎 蹄 倶 蒋 顛 焔 箪 醤 繍 桔 雫 漣 浬 埜 檎 椛 珊
豹 禾 湘 桧 侠 哩 祢 孜 樟 娃 煌 絆 遙 橙 萬 曖 刹 檜 已 凉 蕾 徠
苺 凛 琥 珀 萠 稟 凰 禮 櫂 實 麒 釉 榮 槙 珈 尭 圓 惺 昊 逞 梛 羚
晄 驍 俐 掬

 当初案から削除された88字

【前回削除分】糞 屍 呪 癌 姦 淫 怨 痔 妾
【今回削除分】腫 腺 膝 顎 脊 尻 叩 喉 狙 鼠 疹 股 斬 腿 潰 蛋
痕 覗 膿 咽 呆 乞 歪 洩 萎 塵 賭 唾 狐 妬 苛 吊 仇 嫉 餌 悶 怯 髭
剃 叱 厭 綻 狗 蔑 弄 垢 牢 挫 娼 溺 廓 罵 讐 爺 吠 贋 蛙 姑 狽 煽
禿 蟻 蜘 狸 蝕 噛 蕩 誹 蛭 賂 掻 脆 牝 嚢 嘘 剥 骸 咳 妓

(一部字体は法制審議会人名用漢字部会発表のものと異なる)

 意見募集にて削除・追加諸々の要望寄せられ混乱したは、部会の選定基準が問題。「戸籍法が使用用件とする『常用平易』以外の要素にて選定せば、戸籍法の趣旨に反する」とせる法務省幹部の認識が部会委員にも影響せしか、「常用平易」基準に使用頻度高き字をば機械的に選定せるが当初案。しかし、漢字は一字で一語を表す表意文字、「意味」有るを忘れおる。人格冒涜するが如き「意味」持つ字は当初より入れてはならぬ。役人、部会委員が「我が子の名前には使ひたふは無ひ、と考へる字は追加せず」を基準に選定しおれば余計な混乱招かざりき。

 人名漢字選定につきては「我が子の名前、親がだふ名付けよふが自由」「名前に相応しき字なるか否かを国が決めるなぞ無意味、僭越」等種々意見在るも、自ら名前を選択出来ぬ子の人格保護考ふれば止む無しと思はる。と言ふて、今回選定過程に見る如く、人名漢字選定方法には尚幾多の問題残されおるは明白。又、常用漢字内、人名漢字内の組み合わせ、両漢字の組み合わせに因って不適切なる名前出現するは免れず、かつて我が子に「悪魔」と名付けたき親居りしを考慮せば、出生届時の拒否権・不受理権につきても一考の要無きや。

                    ☆       ☆

 九日午後、関西電力福井・美浜原発3号機タービン建屋にて復水配管破れ、タービンを回す高温高圧二次冷却水が蒸気となりて噴出、現場に居りし定期検査準備作業員十一人火傷負ふ事故発生せり。四人が全身火傷にて死亡、二人が意識不明の重体、五人が重軽傷。運転中原発事故にて複数死者出たは初。

 配管破断原因は高温高圧水流にて配管削られし「減肉摩耗」の可能性大なりと。当初約一センチ厚の炭素鋼配管、事故後現場検証にては最も薄き所は約一・四ミリと判明、技術基準で定めおる最小肉厚四・七ミリの三分の一に満たぬ数値と言ふ。一九八六年、米・サリー原発にて炭素鋼配管減肉摩耗に因る破断で二次冷却水浴び四人死亡せる事故ありしに、関西電力は一九七六年の発電開始以来今日迄、破損場所の超音波検査一度も行ひおらずと聞けば、起きるべくして起きし人災と言ふの他無し。

 放射能含みし一次冷却水の取り扱いには神経尖らせるに、放射能無き二次冷却水なればと扱ひ無頓着杜撰に成りしか。「原発安全ならず」肝に銘じおれば施設全体隈無く定期検査実施するが基本にて、「他原発で起こりし事は何処の原発にても起こり得る事」の認識在らば今回事故も起こさずに済みしなり。検査費用惜しまず配管も検査し、炭素鋼管をば丈夫なステン管と交換する費用惜しまなんだら防げ得たる事故。僅かな金惜しんで人命失ひ、信用失ひ、事後処理に莫大な出費迫られる。近くに三菱の例在るに、学習能力皆無。

 十日追記。破損個所が主要点検場所であるにも拘わらず管理システムに登録せず、検査対象より漏れおりし事、破損個所とは別の配管にても点検対象リストより漏れおりし個所在りし事判明、と関西電力発表せり。点検リストは米・サリー原発事故を受け原子炉メーカー三菱重工業が関電より請け負ひて作成せしらし。破損個所リスト漏れは昨年四月、三菱重工の下請け点検会社が気づきたれども関電に報告せず、十一月に報告受けし関電も緊急点検行はず今回事故に至りしとぞ。三社共、原発に関わる会社とは思へぬ安全管理意識なり。

                    ☆       ☆

 何故に……の事件又しても発生せり。九日午前、石狩市花川北にて四十六歳女性刺殺されり。容疑者は同市に住む私立高校一年の少年、十五歳。被害者の長男(札幌の公立高に通学)と中学時代の同級生にて、逮捕後「中学時代に長男とトラブル在りし。長男殺さんと家に行きしも不在なれば、代はりに母親を殺害せり」と供述しおる由。中学時、容疑少年が長男より苛め受けおりしと別の同級生語りたるの報道も在りたれば、動機は苛めに対する恨みに帰するか。

 教育現場の反応、毎度お馴染みの言ばかり。中学校長は「二人の間に苛め在りしとは聞き及ばず」と言ひ、私立高校長は「教職員一同、大なるショック。中学時代の交友関係、トラブル等一切聞き及ばず。現在悩みおる様子も窺へず、思ひ当たる節無し」と言ふ。少年犯罪起きる度に「対策」「防止策」話し合われおる筈なるに、起きる度に「何故だ?」「考へられぬ」「兆候無し」の言ばかり。対策・防止策論じるばかりにて講ずるを忘れおるやに思へてならぬが、講ずると言ふて如何な策も結局は子と対する教師に資質無くば成らず。面倒なる事は嫌、厄介に巻き込まれるは真っ平御免とて見ぬふり知らぬふりの教師にてはどふにもならぬ。

 恨み憎しみ極に達しての長男に対する殺意が何故、母親へ転換せしか。訪ねて不在なれば辞するが普通、「長男が不在だったから、代はりに母親を殺した」と語りおると言ふが、十五歳の年齢考慮しても尋常なる思考回路の主とは思へぬが……。不在と聞きて即母親を刺しはしまひ。少年と母親の間に如何な会話交はされしか知る由も無けれど、其の会話が母親への殺意を醸成し殺人へ至らしめたる気してならず。幾ら推測せど「何故に」は解けまひ。

 十二日追記。札幌地検に対し殺害動機供述の報。概略《八日に中学の卒業アルバム見おるうち苛められし事思ひ出し、次第に腹立ちきたり。八日午後七−八時頃、長男殺さんとリュックに折り畳み式ナイフと着替へ(「刺したらば服に血が付くと思ふた」)入れて自宅を出で、午後九時頃長男宅に着きし。不在告げられ一度は帰らふとせり。なれど、途中にて「母親殺したれば、長男悲しむだらふ」と考へ五分後引き返し、「長男に渡してほしき物あり」と告げ、出て来た母親にいきなり襲ひかかり胸や頭等刺したり。母親に対する反省の言葉口にせるも長男に対する反省の弁無し》と。両者に会話無し。我「何故に」の思ひ更に深まりぬ。

                    ☆       ☆

 《アテネ・オリンピック 金銀銅》
 
◇15日 競泳男子百m平泳ぎ決勝北島康介選手、1分0秒08にて宿敵ハンセン(米)を破り金メダル。柔道男子66キロ級内柴正人選手オール一本勝ち、決勝クランツ(スロバキア)を1分46秒小外刈りで倒し金メダル。同女子52キロ級決勝横沢由貴、1分7秒横四方固めにて洗東妹(中国)に敗れ惜しくも銀メダル。柔道勢の活躍目覚ましく、今後も金獲得有望なり。男子サッカー1次リーグB組の日本、優勝候補イタリアに2−3(1−3、1−0)で敗れ1次リーグ敗退決定。

 北島康介選手談話。「気持ちいい。チョー、気持ちいい。やる前からハンセンとの勝負だと思った。強い気持ちで、スタート台に立った。応援してくれた人立ちに感謝したい。鳥肌ものです。二百mでも、最高のパフォーマンスを見せたい」
 山本昌邦監督の話。「小野の合流後、十分な時間がなかったのは事実。イタリアはセリエAの開幕を遅らせてでも、OAを三人そろえてきた。現場は与えられた中でやるしかないが、監督としては悔いが残る」

 ◇14日 野村V3、谷V2。柔道男子60キロ級決勝にて野村忠宏選手はヘルギアニ選手(グルジア)を優勢勝ちで下し、世界初の五輪三連覇。女子48キロ級にて谷亮子選手はジョシネ選手(フランス)を優勢勝ちで下し、全競技通じ日本女子初の五輪二連覇。日本選手団夏季五輪通算金メダル、谷が九十九個目、野村が百個目。幸先よし。他に北島康介選手、男子百m平泳ぎ予選にて1分0秒03の五輪新記録出し準決勝に進出せり。此も金メダルの予感。

                    ★       ★

 十四日、佐賀・鳥栖スタジアム。コンサドーレ対サガン鳥栖戦は、1−0でコンサ六試合ぶりの勝利。通算成績3勝16敗9分け、勝ち点18。順位変わらず。
 次節二十一日、対京都パープルサンガ戦(京都・西京極総合運動公園競陸上技場)。

 酒気帯び人身事故による新居の逮捕がチームに如何響きおるか懸念されし所なれど、危機意識持ちてよく戦ひたり。内容は? 北海道新聞の見出し「札幌 ともかく勝った/ミス連発 最後は執念」に集約されおるか。

                    ◇……………◇               ◇……………◇

 十一日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対川崎フロンターレ戦は、1−3でコンサ勝てず。通算成績2勝16敗9分け、勝ち点15。順位は変わらず。
 次節十四日、対サガン鳥栖戦(佐賀・鳥栖スタジアム)。



 

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平成十六年八月八日(日曜)晴

 四日より五日連続の真夏日。かふ暑さ続けば最早「暑ひ、暑ひ」の言葉も出で来らず、「参った」の一言。昨日より我が商店街の夏まつり始まり、納涼ビヤガーデン催しおるとて昨夕銭湯より戻り早速女房と出掛けみたり。皆々涼求め集ひしか人出頗る多く、冷夏の昨年とは大違ひの賑わひぶりなり。未だ日中の暑気残り人いきれ加わりて納涼には程遠けれど、人垣掻き分けビール買ひて喉潤せば、折しも余興のYOSAKOI踊りの一団、暑さもものかは元気溌剌の群舞爆発させり。銭湯にて絞り出した筈が、二杯目呑み干す頃には額に汗噴き出し流れ落つる有り様なれば早々に退散、我が家に戻りたり。

 夕六時頃銭湯より戻れば、女房「今日は如何します」と宣ふ。今日の気温、昨日の30度超へる33度なれば又しても汗流しつつ戻るは必定、「止めとこか」と答へたれば「残りの券、どうしましょ」。券残りおるなれば勿体無しと出掛けみれば、案の定昨夕以上の人出と暑さ。既に座る場所も無き様なれば買ひたる所で立ち呑み一杯にて終わり、残りし券にて焼き鳥贖ひて帰宅せり。先程九時過ぎ迄は拡声器の音して祭りの気配在りたれど、今は静まれり。昨夏のまつりは寒ひぐらひにて納涼無用、今夏は暑過ぎにて納涼に成らず仕舞ひ。適度と云ふは中々に難し。と言ふて、暑くて帰り来たは我くらいなものにて、大方は真夏日の夏祭り楽しみたる様子なれば充分に納涼に成りしと言ふべきか。

 夕刻の天気予報に拠れば明日も真夏日らし。此の暑さ後幾日続くか、難儀なれど愚痴りても致し方無し。暑きが夏と心得て乗り切らん。今は室温も下がり来れば早々に床に就くが身体の為、いざ口漱ぎて床に入らん。本日終了。

                    ☆       ☆

 七日行われしサッカー・アジアカップ決勝戦、日本代表は地元中国代表を3−1で下し二大会連続三度目の優勝。準決勝対バーレーン戦の勝利にて優勝確信したれば対中国戦は余裕の観戦、前半31分同点となりて「心配なり」と慌て騒ぐ女房制して悠々たり。辛勝せしオマーン、ヨルダン、バーレーン戦にて見せし粘りと集中持ってせば中国恐るに足らず、と思ひ居たる故か。優勝確信揺るぎ無く、思ひ通り後半20分中村のCKを中田浩押し込み勝負つきしに、終了間際又しても中村より玉田へ絶妙なるスルーパスにて御負けの3点目。我「よっしゃ、よっしゃ」と拍手せり。見事なりジーコ・ジャパン。

 今大会に於ける中国サポーターには大ひに失望せり。試合中罵声浴びせしのみならず、決勝戦終了後も会場外の其処此処で数千人ずつ固まり騒ぎて日の丸を焼き、日本チームのバス取り囲みて騒然、駐北京日本公使の車に物投げ付け窓硝子破損せしむる等の蛮行誠に残念なり。戦終わりてより六十年余、遺恨捨てるには良き時期なるに中々に考慮されぬは如何か。戦時思へば反日感情在りて当然、謝罪反省無く居るが気に入らぬと思ふも当然なれど、と謂ふてスポーツの場に持ち出しあからさまの反日ブーイングでは興覚め甚だし。小人なり。我大人なれば、「斯くの如き国に平和の祭典・五輪開催の資格無し」とは言はぬ。

                    ☆       ☆

 旭川市・旭山動物園の七月入園者数、東京・上野動物園抜きて初の全国一を記録せる事、各園集計(速報値)にて六日分かりたる由。旭山十八万五千四百六十一人、上野十四万九千百十七人で三万六千三百四十四人の差。北海道の一地方都市の動物園が上野抜きて日本一とは驚きなり。規模が小さからふが動物の種類少なからふが、展示に工夫凝らし子等の興味引き付ければ、大動物園にも負けぬと云ふ見本。旭山は昨年七、八月に上野に次ぐ全国二位の入園者数記録しおり、全国一目指し園職員一丸と成りて練りし策なるか、今年六月、新施設「あざらし館」開きて入園者一気に急増せりと。

 比して道都の円山、元気無く、どないしたんじゃろか。道内一、国内にても有数の規模・施設に胡座かきて無為無策かや。今や公立施設と雖も独立採算にて経営・運営為すの気概才覚無くば立ち行かぬ時代、官の思考回路捨てて民の考へ方・感覚・手法取り入れるが鉄則。先ずは旭山を師と仰ぎ、謙虚に教へ乞ふ事より始むるがよし。上に立つ者も一線で動物の世話為す職員も、旭山の成功の源が那辺に在るか考へみるがよし。

                    ☆       ☆

 六日、五十九回目の広島原爆忌迎ふ。原爆死没者は此の一年間に五千百四十二人加わりて計二十三万七千六十二人。平和記念式典に参列せる約四万五千人の人々、原爆死没者慰霊碑に何を祈りしか。我「二度と許すまじ原爆を……」と歌ひし始めは小学何年頃でありしか、「原爆の子」見て湧き来る憤り宥める術も知らずただただ原爆に怒りアメリカを憎みしは幾歳の時でありしか。原爆被災我が事と受け止めて反戦・核兵器廃絶運動の列に加はりたは何時の日か。年々歳々広島の風化叫ばれるを耳にせる我が内にても「許すまじ原爆を」の思ひ薄れ来て、此の日合掌黙祷せるも恥ずかしき限りなり。


 《平和宣言全文》 「七十五年間は草木も生えぬ」と言われたほど破壊し尽くされた八月六日から五十九年。あの日の苦しみを未だに背負った亡骸――愛する人々そして未来への思いを残しながら幽明界を異にした仏たちが、今再び、似島に還り、原爆の非人間性と戦争の醜さを告発しています。/残念なことに、人類は未だにその惨状を忠実に記述するだけの語彙を持たず、その空白を埋めるべき想像力に欠けています。/また、私たちの多くは時代に流され惰眠を貪り、将来を見通すべき理性の眼鏡は曇り、勇気ある少数には背を向けています。/その結果、米国の自己中心主義はその極に達しています。国連に代表される法の支配を無視し、核兵器を小型化し日常に「使う」ための研究を再開しています。また世界各地における暴力と報復の連鎖は止むところを知らず、暴力を増幅するテロヘの依存や北朝鮮等による実のない「核兵器保険」への加入が、時代の流れを象徴しています。/このような人類の危機を、私たちは人類史という文脈の中で認識し直さなくてはなりません。人間社会と自然との織り成す循環が振り出しに戻る被爆六十周年を前に、私たちは今こそ、人類未曽有の経験であった被爆という原点に戻り、この一年の間に新たな希望の種を蒔き、未来に向かう流れを創らなくてはなりません。/そのために広島市は、世界百九か国・地域、六百十一都市からなる平和市長会議と共に、今日から来年の八月九日までを「核兵器のない世界を創るための記憶と行動の一年」にすることを宜言します。私たちの目的は、被爆後七十五年目に当たる二〇二〇年までに、この地球から全ての核兵器をなくすという「花」を咲かせることにあります。そのときこそ「草木も生えない」地球に、希望の生命が復活します。/私たちが今、蒔く種は、二〇〇五年五月に芽吹きます。ニューヨークで開かれる国連の核不拡散条約再検討会議において、二〇二〇年を目標年次とし、二〇一〇年までに核兵器禁止条約を締結するという中間目標を盛り込んだ行動プログラムが採択されるよう、世界の都市、市民、NGO(民間活動団体)は、志を同じくする国々と共に「核兵器廃絶のための緊急行動」を展開するからです。/そして今、世界各地でこの緊急行動を支持する大きな流れができつつあります。今年二月には欧州議会が圧倒的多数で、六月には千百八十三都市の加盟する全米市長会議総会が満場一致でより強力な形の緊急行動支持決議を採択しました。/その全米市長会議に続いて、良識ある米国市民が人類愛の観点から「核兵器廃絶のための緊急行動」支持の本流となり、唯一の超大国として核兵器廃絶の責任を果たすよう期待します。/私たちは、核兵器の非人間性と戦争の悲惨さとを、特に若い世代に理解してもらうため被爆者の証言を世界に届け、「広島・長崎講座」の普及に力を入れると共に、さらにこの一年間、世界の子どもたちに大人の世代が被爆体験記を読み語るプロジェクトを展開します。/日本国政府は、私たちの代表として世界に誇るべき平和憲法を擁護し、国内外で顕著になりつつある戦争並びに核兵器容認の風潮老を匡(ただ)すべきです。また、唯一の被爆国の責務として、平和市長会議の提唱する緊急行動を全面的に支持し、核兵器廃絶のため世界のリーダーとなり、大きなうねりを創るよう強く要請します。さらに、海外や黒い雨地域も含め高齢化した被爆者の実態に即した温かい援護策の充実を求めます。/本日私たちは、被爆六十周年を、核兵器廃絶の芽が萌(も)え出る希望の年にするため、これからの一年間、ヒロシマ・ナガサキの記憶を呼び覚ましつつ力を尽くし行動することを誓い、全ての原爆犠牲者の御霊に哀悼の誠を捧げます。
                          二〇〇四年(平成十六年)八月六日 広島市長 秋葉忠利

 《小泉首相文挨拶(全文)》 本日、被爆五十九周年の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式が執り行われるに当たり、原子爆弾の犠牲者の御霊に対し、謹んで哀悼の誠をささげます。そして、今なお被爆の後遺症に苦しんでいる方々に対し、心からお見舞い申し上げます。/被爆者の方々に対しては、これまで保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護施策を充実させてまいりました。本年秋から、在外被爆者が現地の医療機関において適切な医療を受けることができるよう保健医療費の助成を行う予定です。今後とも、高齢化の進行など被爆者の実情を的確に反映させながら、援護施策の推進に誠心誠意努力してまいります。/戦後、広島は国際平和文化都市として、大きな発展を遂げました。今日まで、広島の復興に尽力した多くの方々に心から敬意を表します。戦後一貫して世界平和実現に向けて取り組んできた市民の願いは、「ヒロシマ」の名前とともに、世界中の人々の心に届いています。今後とも、広島が、世界平和を考えるシンボルとして、また、平和を希求する人々を惹きつける都市として発展することを確信します。/人類史上唯一の被爆国である我が国は、広島、長崎の悲劇を再び繰り返してはならないとの堅い決意の下、今後とも、平和憲法を遵守するとともに、非核三原則を堅持してまいります。また、国際社会の先頭に立ち、各国政府に対する包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准の働きかけを一層強化するなど、核軍縮・核不拡散の取り組みを推し進め、核兵器の廃絶に全力で取り組んでまいります。/終わりに、犠牲となった方々のご冥福と、被爆者並びにご遺族の今後のご多幸をお祈り申し上げます。                            平成十六年八月六日 内閣総理大臣 小泉純一郎

                    ☆       ☆

 チャールズ・ジェンキンス氏は五日午後、入院中の東京女子医大病院にて米軍独立法務官と面会。問はれおる脱走、脱走教唆、利敵行為等四つの罪に関し司法取引を含む司法手続き全般につき詳細なる説明受けたる模様との報道有りたり。面会には日米両政府関係者同席しおらず、双方のコメント勿論無く、あくまでも推測の域出ぬ報道なれども大方は斯様なものに相違無からふ。

 六日以降も数回程度行ふ予定にて、焦点は司法取引の成否唯一点に絞られ行く見通しなり。政府内には「不名誉除隊等の処分で済むなれば、ジェンキンス氏は有罪認め司法取引に応じる」との見方出ておるらしも、司法取引にて軽き量刑得るには氏が深甚の反省姿勢示し情状酌量求める事に加へ、他の脱走米兵や北朝鮮当局の内部事情につき価値在る情報を提供できるかどうかが鍵と言ふ故、楽観は禁物にて熟慮に熟慮が肝要。政府も米側に対し、「寛大、特別の配慮」間断無く働き掛けるが必要なり。

 七日追記。ジェンキンス氏、正午前より米独立法務官と面会、五日より三日連続となりたり。米政府当局者が六日迄に明らかにしたところに拠ると、ジェンキンス氏の訴追問題は早くても来月以降に決着ずれ込む見通しにて、軍法会議設置の場合は在日米陸軍司令部所在の「キャンプ座間」が最有力らし。

                    ☆       ☆

 道警裏金問題の犠牲者と言ふてよからふ。四日、裏金の事実認めるかの様なる遺書残し、興部署長縊死せり。不正露呈する度に当該署長、次長の責に帰し、道警全体の組織的不正を認めぬ内部隠蔽体質が生みし悲劇。一線の現場幹部より道警幹部への悲壮痛烈なる批判抗議の死と言ふべきか。痛ましき限りなり。合掌。

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 サッカー・アジアカップ、三日の準決勝対バーレーン戦にて我がジーコジャパン得意の粘り見せ延長に持ち込みて4−3で勝利せり。40分遠藤まさかの退場、日本敵視の中国サポーターの喚声の中、十人で戦ひし日本は90分に中沢ダイビングヘッドの同点ゴール、延長に入り玉田が決勝ゴール決めたり。二大会連続三度目の決勝進出。決勝は七日北京にて、イランを下せし中国と対戦。キックオフは午後八時(日本時間午後九時)。

 PK戦制して激闘勝利の三十一日対ヨルダン戦に続く粘りと執念の一勝、主力欠く中、見事なる戦ぶり天晴れ極まり無し。準々、準決勝と見て来たれど負ける要素微塵も見当たらず、連覇確実を信ず。中国サポータの如何な喚声怒声ブーイング有りても我がジーコジャパンの勢ひ止まるまひ。

 遠藤の一発退場、微妙なるところ等と言へぬ完全なるミスジャッジ。スロービデオ眺むれば一目瞭然。今回試合の主審、選手の動きよく見へなんだ様にて我には納得しかねるジャッジ散見されたは残念なり。国際試合仕切る審判の質の向上につきては、問題起きし前回W杯後に対策講じられおるやに聞き及びしも未だ成果見へずの感。決勝戦にては厳正、的確なるジャッジ望みたし。

                    ☆       ☆

 七月の猛暑により道内の家畜相次ぎ病死せること道酪農畜産課の調べにて判明せり。二十五日迄に日射病・熱射病等に罹りし乳用牛三十八頭。内、病死或ひは弱りて処分されし頭数は網走、根室等七地方にて十五頭に及びしと。又、鶏も網走、十勝地方を中心にブロイラー九千三十八羽、採卵用三百二羽病死せり。一九九四年以降、日射病・熱射病に因る乳用牛病死数最多年は九九年の三百四十五頭、鶏病死数最多年は二〇〇〇年の十五万六千七百五十羽と云ふ故、今夏被害少なき方か。家畜にせば猛暑対策も飼ひ主が頼りなれば、確り面倒見やるが人間の務め。暑さ「モーケッコー」と鳴きて逝くも哀れなる哉。

                    ☆       ☆

 二日未明、兵庫県加古川市にて二家族七人刺殺事件発生す。被害者は悉く加害者(四十七歳)の親類家族にて、「恨み有りてやりし」と話しおる由。其の恨み如何なものか不明にて動機解明ならず、一挙に七人刺殺せるも尋常ならざる行為なれば「狂気」の果てと云ふの外無きか。日頃より近所と揉め事繰り返しいたも精神病みし証しにて、住民より相談受けし警察が何ら手を打たなんだが不思議なり。適切なる対応、措置有らば未然に防ぎ得た事件と思はるが、如何に。

 《民家2軒で7人殺害 親類の男に逮捕状 殺人容疑「長年の恨み」供述》 二日午前三時半ごろ、兵庫県加古川市西神吉町大国の藤城とし子さん(80)方、男が侵入し、家族が血を流して倒れている、と110番通報があった。加古川署員が現場に駆けつけたところ、とし子さん方で四人、近所の親類の藤城利彦さん(64)方で四人の計八人の男女が倒れているのが見つかり、病院などでうち七人の死亡が確認された。いずれも刃物で首など、を切られた跡があるという。同四時十分ごろ、とし子さんのおいの無職藤城康孝容疑者(47)が現場の南約一キロの路上で交通事故を起こし、署員に犯行を認めたことから、県警捜査一課は加古川署に捜査本部を設置し、とし子さんに対する殺人容疑で逮捕状を取った。(04.8.2 朝日夕刊)

 加害者は三年前より再三、些細なる事で住民と揉め事起こしおりたると云ふ。「殺すぞ」と恫喝為し或いは包丁振りかざし追ひ回す等したる故、住民が加古川署に相談せしも「事件と成らぬ限り手は出せぬ」とて放置、何ら具体的対応せなんだは何故だ。相談内容からして「『法は家庭に入らず』と民事不介入持ち出す場合に非ず、事件として即座に対応」となるが筋、と思ふ我が甘きか。なれど考へ見よ。普段より「殺したろか」と脅し包丁持ちて近所の人を追ひ回すは、銃刀法違反、脅迫に問へるまさしく犯罪行為ぞ。相談内容が既にして事件通報なれば警察が即刻対応介入せなんだは怠慢、責任問われて然るべし。

 新聞に「津山事件に酷似」のコメント記事有りたり。今回事件が横溝正史『八つ墓村』のモデルとなりし「津山の三十人殺し」と酷似せると云ふに驚き読みたれど、我賛意保留す。結核患ひし二十二歳青年と無職四十七歳壮年、両人が同じ怨念、殺意を共有し得るや。否なり。全ては事件の結末が物語りおる。

                    ◇……………◇               ◇……………◇

 《津山事件に酷似》 戦前の津山事件(岡山県)を題材にしたノンフィクション「津山三十人殺し」の著者、黒木曜之助さんの話「一挙に大量の犠牲者を出した点、被害現場がかたまっていることなど、津山事件に酷似している。津山では、集落の中で迫害されているという被害妄想が加害者を犯行に走らせた。現代とは時代状況が異なるが、今回の事件でも人間関係の中で、加害者にエキセントリックなものを引き起こさせる何かがあったのではないか」 (04.8.2 読売夕刊)

 《犯罪史上無類 頭にランプ、日本刀 猟銃携へ32名を殺傷 岡山県下の惨劇》【津山電話】廿一日午前一時四十分頃岡山県苫田郡西加茂村字行座平井農業都井睦雄(二二)は部落への送電線を切り頭にナシヨナル・ランプをくヽりつけ猪狩用口径十二番十連発の猟銃と日本刀を携へ先づ自分の母都井いその首を斧で刎ね、即死せしめた上隣家の難波てい(四七)方に闖入、ていに重傷を負はせ(午前九時死亡)同人娘かめよ(二一)を即死せしめついで日本刀と猟銃で次ぎ次ぎに村民廿七名を殺害、更に二名に重軽傷を負はせ中国山脈内に遁入午前十時半頃同村青山の荒坂峠附近の山林中で猟銃を以て自殺をした。
 犯人都井は小学校時代級長を勤めたほどの秀才であつたが小学校教員検定試験の勉強中神経衰弱となり漸次兇暴となつて来たので今春警察署で取調べを受けたこともあつた、平素は極くおとなしい男であるがこの兇行は計画的のものと見られ兇行に用ひた猪狩用の猟銃の如きは二、三年前から同人所有の田一段歩を売つて買つてゐたものである、又犯人は肺病で近所の者ののけ者にされ、しかも最近女の問題で失恋してゐた。 (昭和13.5.22 朝日)

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 読売新聞社が七月十七、十八日に実施せる全国世論調査に拠るに、「老後の生活に不安感じおる人」が83%、「国の年金制度を信頼しおらぬ人」が71%に上りしと。老後の生活不安は三十・四十代で89%を占め、六十歳代迄の全年代で八割に達し、年金不信は若ひ世代ほど目立ちて二十歳代にては87%に及びしと。

 折も折、政府税制調査会は一日、月給取りの退職金への課税強化方針打ち出せり。長期勤続退職者に対する課税優遇措置を廃止、控除額算定方法厳しく為して徴税せんとするものなり。年金信頼ならず、雀の涙程の退職金にて老後幾十年生き行かねばならぬが現実と云ふに、まさしく老後の不安抱へる民の心をば逆撫でするものにて、「官、民情に疎し」と言ふよりは「官、民情全く斟酌せず」と言ふべきか。月給取り嘆くのみ、「ユメもチボウも無ひべさ」と。

 今や転職珍しく無く働き方も多様化、非常勤労働者や派遣労働者の増加も踏まえ、終身雇用前提の退職金税制を抜本的に改めると言ふ。しかし考へてもみよ、月給取りの幾人がスキルアップの転職為すや。大方は倒産・リストラにて失業、止む無く転職せざるを得ずの類ひなり。又、非常勤・派遣労働者の増加とて経営側の人件費削減策に起因せるものにて、誰が好き好んで身分・待遇不安定なる雇用形態を選択するや。都合良き理由挙げ国の無策棚上げにして増税目論むが如き政府税調の議論、言語道断。

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 三十一日、宮城県南方町にてワゴン車がトラックと「正面衝突、80歳4人死亡」の報。四人は同級生、泊まりがけの同窓会より戻る途中の事故と言ふ。八十迄生き来て交通事故死とは。何の為の長生きでありしか。地域の生き字引、生活の知恵者同時に四人失ひたるは大ひなる損失、痛ましきも勿体無き死なり。八十歳まだまだ元気と運転せしも、其の元気が徒となりたり。身体能力から云ひて車の運転は七十歳が限度やも知れぬ。関係機関は老齢運転者の免許証返上促すべく啓発広報活動に力入れるべきなり。

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 猛暑収まらず道内各地にて熱中症相次ぎおる由。暑さに弱き我なれば他人事ならず、暑気中りせぬ手立て何かなしやと思ひ巡らせど妙案も無く、唯当たり前に用事在らば朝の内に済ませ日盛りの外出極力避けて屋に籠もり汗噴き出し来れば水にて顔洗ひたりなどして凌ぐばかり。なれど夕刻に至り銭湯へ駆け参じサウナに入りて汗流せば、日中体内に溜まりし熱気汗と共に消え失せる心地せど、サウナも常より温度高くなりおれば長居もできず存分に汗流し帰るもならじ。其れにても湯上がりの麦酒旨く食欲も湧き来りて、女房も驚く呑みっぷり食いっぷり。夏痩せ止む無しと思ひいたれど、杞憂に過ぎなんだか。

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 八日、神奈川・平塚競技場。コンサドーレ対湘南ベルマーレ戦は、1−1でコンサ引き分け。通算成績2勝15敗9分け、勝ち点15。順位最下位変わらず。
 次節十一日、対川崎フロンターレ戦(札幌厚別公園競技場)。

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 三十一日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対モンテディオ山形戦は、1−2でコンサ勝てず。通算成績2勝15敗8分け、勝ち点14。順位変わらず。
 次節八日、対湘南ベルマーレ戦(神奈川・平塚競技場)。

 一連の流れの中にてプレーしおればホイッスル鳴りて即座に中止と言ふ訳にはゆかぬ。ハンドの反則有りとしてホイッスル鳴らそうとも、プレー中の相川に反則の意識無くば気にせずプレー続行は当然。或いは聞こへなんだと言ふ事もあらふ。相川の場合、一度の警笛でイエロー出す理不尽。審判の能力疑いたし。



              
                  
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