北極亭日乗


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平成十六年六月



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平成十六年六月二十八日(月曜)晴

 本日気温25度位なるも暑さ感じたは老体些か疲れおるせいなるか。此の二、三日気力萎へて何も手に付かず猫ども同様ごろ寝ばかりにて暮らしおりたり。選挙と謂ふて街頭演説の声聞こへ来るでもなし、至って静かなればごろ寝には持って来いなり。日乗記すも億劫なれば狡決め込みて一行も書かず来たれど、今日辺り幾らかでも記さねばとて筆執りたるも遅々として進まず、早々に筆投げ捨てぬ。

                    ☆       ☆

 連合国暫定当局は三十日に予定されおりしを二日間前倒しし、日本時間本日午後三時半前、イラクに主権移譲せり。昨年四月九日のフセイン政権崩壊より十四か月余、ようよう占領統治終わりて主権取り戻せしイラクなるも、悪化の極みにある治安改善・回復迄は多国籍軍の駐留続くは既定。暫定政権の要請に基づくものとは申せ、「主権戻りても状況に変化無し」と言はれれば返答に窮す。

 新生イラクを造り守り行くは国民自身でなければならぬは重々承知ながら、武装勢力・テロの跳梁跋扈止むを知らず、即席にて脆弱なる治安部隊の育成充実には今暫し時を要す状況なれば、多国籍軍駐留せるは已む無き事とも思はる。先ずは来年一月の暫定国民議会選挙を成功させよ。さすれば民主化プロセスに弾みつきて日程短縮、来年末を待たず本格政権発足とならば多国籍軍駐留終了も早まらふ。

 部外者口出し無用と謂ふなかれ。我らは多額の金を出し、復興支援部隊も派遣しおる故、失礼ながら一言申す。イラク国民各位は、「イラクに駐留せる軍隊は既に占領軍では無く、完全な主権を持つイラク暫定政権が治安回復の為駐留を要請せる軍隊なり」と考へられぬか。此処迄来ても尚「米軍は去れ! フセイン時代の方が未だ増しなり」等と言ふておる者は、自ら国を造り守り行くの気概無く、他人の事ばかり論ふて無為に日を送る余程の暢気者に思へてならじ。報道カメラに向かって不平不満叫びおる暇有らば、自らテロに対峙して民・隣人救ふ手立てを考へよ。

 「イラクに主権移譲」のニュース、各国の反応様々。歓迎せるもの、非難せるもの、懸念示せるもの、無視せるもの……諸々在りたり。一つ事なるに何故にこふも違ふのか。此れが争ひのそもそもの根源やも知れぬ、と考へてはみたが……。面倒、面倒。老体には休養必要なれば、此れにて。

                    ★       ★

 二十七日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対サガン鳥栖戦は、1−2でコンサ連敗。通算成績1勝13敗6分け。勝ち点9、順位最下位は共に変わらず。コンサ3引き分けを挟み十三連敗、チーム連敗記録又もや更新せり。
 次節七月四日、対京都パープルサンガ戦(函館千代台公園競技場)。

 微笑持ちて眺めやるのほか手立て無し。其のうち勝つんでないかい。

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平成十六年六月二十四日(木曜)曇

 本日、第二十回参院選公示日。年金改革、多国籍軍への自衛隊参加等を争点に、届け出終へし各候補、札幌市街中心部にて第一声発せり。寄り来たりて耳傾ける者、選挙車にて熱弁ふるふ候補横目に行き交ふ者、関心・無関心の両極見る如くに有権者の反応様々なり。投開票日来月十一日、投票率前回以下の懸念有る中、結果如何相成るか。

 参集者に若者の姿少なきは毎度の事なれど寂し。青年諸君、此の先幾十年も生き行かねばならぬ己の国の未来を思ひ描くこと無きや。生活し辛きよりはし易きを、住み辛きよりは住み易きを、生き辛きよりは生き易きを願はぬか。未来と謂はず今此の時点にて日々の生活に、暮らす社会に、住む国に不平不満無きや。「誰が当選しても同じ」「投票しても何も変わらぬ」「政治不信は払拭出来ぬ」「棄権も亦意思表示」等々の棄権理由聞こへ来るも、我「善し」とせず。「一票」は主権在民の証、行使せずして政治変へるは不可能なり。自ら国を背負ひ行かねばならぬ青年諸君が政治を動かさずして何とする。国の主たる我ら有権者が政治を動かさずして何とする。投票せずして何とする。

 他人の胸中、潜り込みて探る手立て無ければ其の決断・行動如何にでも解釈自由なれど、我考へ推測する気にもなれず。論外。道選挙区より鈴木宗男・前衆議、大阪選挙区より辻元清美・元衆議、今回参院選に立候補せしなり。応援・後援する者ありて自身が決断せし出馬、是非は有権者各位の一票に委ねられおれば論評無用、開票結果が全てを語り呉れよふ。出馬会見(十四日、大阪市内)にて辻元氏、「事件や判決もひっくるめて生身の自分を曝け出し、有権者の判断を仰ぎたい」と云ひ、後援者会合(十四日、苫小牧市)にて鈴木氏応援の松山千春氏、「勘違いしては困る。辻元さんは罪を本人も認めている。此方は絶対にやってないと言って戦っている最中だ」と云ひしと。

               ◇……………◇               ◇……………◇

 121の議席争う立候補者数は選挙区選(改選定数73)192人、比例選(同48)八党128人にて、前回比175人減。競争率は1.64倍(選挙区選2.63倍、比例選2.67倍)にて、選挙区選と比例選組み合わされし一九八三年以降最低。党派別立候補者数は自民81(選挙区48、比例33)、民主74(48、26)、公明20(3、17)、共産71(46、25)、社民15(10、5)、諸派31(9、22=みどりの会議10、女性党10、維新政党・新風2)、無所属28(28、―)。前回137人おりし女性立候補者は66人とほぼ半減。北海道選挙区は二議席に七人立候補せり。

    道選挙区立候補者(届け出順)

千代 信人
岡  千陽
山内 恵子
西川 将人
中川 義雄
鈴木 宗男
峰崎 直樹
(せんだい・のぶひと)
(おか・ちはる)
(やまうち・けいこ)
(にしかわ・まさひと)
(なかがわ・よしお)
(すずき・むねお)
(みねざき・なおき)
40
41
64
35
66
56
59
維新政党・新風
共産党
社民党
民主党
自民党
無所属
民主党




現@

現A
                    (丸数字は当選回数)

                    ☆       ☆

 思ひし通り「出生率過去最低の1.29」の中間報告は五月二十四日に纏めたる後、二週間以上公表せなんだと二十二日、政府明らかにせり。六月五日の年金改革関連法成立前の三日、参院厚生労働委にて民主議員が出生率の早期発表を求めたるも、中間報告纏まりたるも知らず報告も受けおらぬ坂口厚労相は「急ぐよう指示している」と述べるに止まりおりたり。

 厚労省が年金法案の可決成立に配慮せしは明らかにて、斯様な行為は断じて許されぬ。年金の根幹に関わる数値なれば法成立遅らせてでも法案練り直すべきなるに、頬被り為して遣り過ごすなど以ての外。官僚の思考回路如何に成りおるものか、我には理解出来ぬなり。政府は早急に改正案を策定、「出生率1.29」基にせる給付及び負担等の財政見通しを国会審議の場で明らかにするが国民への当然の義務と考ふるが、政府も此の儘遣り過ごす気なるか。

                    ☆       ☆

 道警不正経理問題に関する旭川中央署並びに弟子屈署の特別監査につき、道監査委員事務局は二十一日、「署長、副所長を務めし元道警幹部九人の内、五人が事情聴取に応じぬ」ことを明らかにし、徳永・道代表監査委員は道議会予算特別委にて、「(事情聴取)出来ない場合には監査の実効性に影響を与える」と答弁せり。

 怪しからぬ者どもなり。斯様なる態度、不正在りしを自ら露呈せしも同じ。有体に言へぬ不正を隠し持つ故、監査委の事情聴取が恐ろしゅうて出て来れぬか。腐敗せる道警の再生願ふて実名にて不正告発せし元幹部おると言ふに、仮にも元公僕たりし五人の振る舞ひ甚だ見苦しく不届き千万、腹立たしき限りなり。幼き頃より「嘘は泥棒の始まり」と教はりしが、警察が泥棒の巣窟とありては笑ひ話にもなるまひに。早々に監査委の聴取受け入れ真実話すが各々の義務であり、人の道と思ふが如何か。

                    ★       ★

 二十三日、川崎・等々力陸上競技場。コンサドーレ対川崎フロンターレ戦は、0−6でコンサ惨敗。通算成績1勝12敗6分け、勝ち点9。順位最下位変わらず。
 次節二十七日、対サガン鳥栖戦(札幌厚別公園競技場)。

 首位と最下位、両チームの力の差を如実に示せし試合。横綱に序ノ口が挑みしようなもの。負けたとてサポーターが熱り立つ程の事でも無く、監督自ら「すまなんだ」と頭下げる必要も無し。ペットボトル投げ入れ、フィールドに乱入するなどはコンサ・サポーターの為すべきに非ず。斯かる所業、コンサのみならず我ら道民の顔に泥塗るに等し。二度とすなや。J2ではクラブ史上最多失点「6」ながら、我は6ゴールで済んだはまずまずと思ひおる。



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平成十六年六月二十日(日曜)曇

 正午の昼食迄二時間余、新聞眺め終へ猫ども撫で摩りおれば、女房殿買い物に同伴せいとて商店街のスーパーへ出掛くる。食品売り場回りおりて「何か食したき物有りや」と女房問ひたれば、我「別に無し」と答ふ。女房言ふに、今日は「父の日」なれば食したき馳走を作りたき由。「何を今更。父の日の馳走など無用、いつもと変はらぬ食事でよし」と言ひたれば、不満げに「そうしましょ」と一言。其れにても何やかや買い込みて戻りたり。

 「父の日」なるもの一九一〇年米国のブルース婦人の提唱にて始まり、五〇年代には我が国にても始まりたりと聞き及ぶ。一家の大黒柱の日頃の働きを労い感謝するが本来の趣旨なるも、今やバレンタインデー、クリスマスと同様に商売の種にされおる状態。子等小さき頃、我が家にて「父の日」祝ひしこと幾度有りしか。日々生活に追はれ我が働くは当たり前、家族が感謝するも当たり前、勤めより戻りて「御苦労様」と麦酒注ぎくれる妻子の感謝の気持ち毎日受け取りおりたる故、日を定め改めて感謝されるなど無用なれば祝ひもせなんだだけのこと。最近の「何の日」「かんの日」皆商魂に躍らされ、祝ひの食事だ贈り物だと表面のみにて心籠もりおらぬ気がしてならず。「父の日」と云ふて年に一度だけ感謝されたふは無し。

 此の齢に辿り着きて「我、父親の役割果たし得たるや」と自問せど、「得たり」と答へるに躊躇在り。豊かと言ひ難けれど家族を養ひ、子等を一人前に育てたは確か。なれど、妻や子が我を必要とせし時に傍らに居てやれなんだ日々の多きを思へば、到底役割果たし得たとは言へぬなり。妻子が其の事につき不平不満漏らしたること無けれど、我が胸中に重し。仕事の都合上致し方無き事と切り捨てるは容易きながら、唯其れのみにては理由にならず、我も能ふ限り努力せしと胸張れず、今以て内心忸怩たるもの引きずりおる始末なり。

                    ☆       ☆

 二十日付某紙に「竹中経済財政・金融相が参院比例選に自民党から立候補を決めたことが、道州制特区構想を進める道や自民党関係者の間に波紋を広げている。竹中氏は政府内で同構想に深くかかわっており、道内での『竹中票』の出方次第でその行方に影響を及ぼしかねないからだ」とありたり。竹中氏に一票投じねば道州制構想うまく進展せぬ、と言ふ関係者の話なり。

 続けて「高橋知事、自民党の武部勤衆院議員、竹中氏の三人が十八日、道州制特区構想をテーマに都内で会談した。関係者によると、武部氏は竹中氏立候補の件に触れ、『道内でしっかり応援する』と、全面支援を約束した。竹中氏は経済財政諮問会議(議長・小泉首相)の司会役で、同構想の担当大臣でもある。道州制の『旗振り役』を自任する武部氏にとって、竹中氏の選挙は非常に気がかりなところ。周辺には、『道内の得票があまり低いようだと、構想が失速しかねない』と漏らす」とあり、道民は是が非でも竹中氏に一票投じねばならぬが如き口振りにて、雲行き怪しと不安煽る心理作戦らし。

 担当大臣代はりても道州制特区構想白紙に戻る訳でもあるまひし、道内での得票少なしと云ふて意地悪為す竹中氏でもあるまひに……。「参院比例選の非拘束名簿方式は、候補者個人名での投票も可能なため、都道府県別の個人の得票成績が明確になる。道幹部も『竹中氏の得票率が他の都府県に比べて高ければ道州制には追い風になるが、逆だと……』と不安を口にする」とは情け無し。大臣は国民が使うもの、大臣の顔色窺い使はれる様では何も為せぬ。

                    ☆       ☆

 一九九八年七月に起きし和歌山・毒物カレー事件裁判で黙秘を続け、一審・死刑判決を受けたる林真須美被告の控訴審第二回公判が十八日、大阪高裁にて開かれたり。一九九九年五月の一審初公判以降、検察側被告人質問に無言を通し来たった真須美被告が一転、口を開きしは如何な理由有りての事か。今公判で初めて、然も六年前の事件当日の自身の行動を澱み無く滑らかなる口調にて証言出来たは何故か。控訴審公判出だしより疑問ばかりなり。

 一審判決が犯行時刻とせし七月二十五日午後零時二十分より午後一時迄の間につき真須美被告は、「正午前に病院から帰宅、直ぐに調理場の民家ガレージに行ったが、三女が来て空腹を訴えたのでいったん家に帰った」「再びガレージに戻ると、主婦が一人で見張りをしていた。間もなく主婦は用事で自宅に帰ったが、入れ違いに自転車で二女が来て、二人で話をするなどして、二十分か三十分かはずっと一緒だった」「二女が鍋のふたを開け、指をつけてなめたので閉めるよう注意したが、私はふたを開けていない」(6.18 読売夕刊)と語り、一人にて居た時間は無く、目撃されずに毒物(砒素)混入の機会無しとせり。

 真須美被告の証言を立証し得るは被告本人と娘のみ。被告が当日の行動を幾ら詳細に再現したところで、録画テープでもない限り無罪の証拠には成り得まひ。今後の検察側及び高裁の被告人質問に対し、真須美被告が如何答へるか。再度、澱み無く破綻来すこと無く受け応へ出来るか否か興味深きところなり。弁護側の被告人質問には答へて検察側及び高裁の質問に黙秘、と云ふは今控訴審に於いてはよもやあるまいが、もし為せば万人の心証悪くすは確かなり。

                    ☆       ☆

 政府は十八日、多国籍軍への自衛隊参加を閣議決定。同参加に関する政府統一見解も了解し、自衛隊初の多国籍軍参加を決せり。「政府統一見解」全文、後日事有りし時の為に記し置く。

       《多国籍軍への自衛隊参加に関する政府統一見解全文》
     平成16年6月8日、国際連合安全保障理事会において決議1546が全会一致で採択された。この決議にあるとおり、イラクにおいては同月30日をもつて占領が終了し、完全な主権が回復されることになる。
     我が国としては、イラクに完全な主権が回復され、本格的な復興に向けた新たな局面が開かれたことを歓迎する。
     これまで、我が国の自衛隊は、日本国憲法の下、イラク人道復興支援特措法及びその基本計画に基づき、イラクの人々のため、人道復興支援を中心とする活動を行ってきた。その活動は、現地で高い評価を得ており、イラクヘの主権の回復後も、その活動の継続に強い期待が寄せられている。
     今般、イラク暫定政府が国際社会に対し多国籍軍の駐留を含めた支援を要請していることを踏まえたこの決議が全会一致で採択されたことを受け、イラクの復興と安定が我が国自身の安全と繁栄にとっても重要であるとの認識に立ち、イラクへの主権の回復後も、自衛隊が引き続きこのような活動を継続することとする。
     その際、この新たな決議において、これまで我が国の自衛隊が行ってきたような人道復興支援活動が多国籍軍の任務に含まれることが明らかになったこと等を踏まえ、政府として十分な検討を行った上で、自衛隊は多国籍軍の中で今後とも活動を継続する。
     6月30日以降、自衛隊は、多国籍軍の中で、統合された司令部の下にあって、同司令部との間で連絡・調整を行う。しかしながら、同司令部の指揮下に入るわけではない。自衛隊は、引き続き、我が国の主体的な判断の下に、我が国の指揮に従い、イラク人道復興支援特措法及びその基本計画に基づき、イラク暫定政府に歓迎される形で人道復興支援活動等を行うものであり、この点については、今般の安保理決議の提案国であり、多国籍軍及びその統合された司令部の主要な構成国である米、英両政府と我が国政府との間で了解に達している。
     なお、自衛隊は、これまで同様、憲法の禁じる武力の行使に当たる活動を行うものではなく、イラク人道復興支援特措法に基づき、いわゆる「非戦闘地域」において活動するものであり、他国の武力の行使と一体化するものではない。
     以上のとおり、自衛隊が多国籍軍の中で活動を行うことは、憲法との関係で許されないとしてきたいわゆる多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない。

                    ☆       ☆

 十六日。自民党は参院比例選候補に竹中平蔵経済財政・金融相の擁立を決定、本日夜、首相が安倍幹事長らと出馬要請し、竹中氏受諾せり。党内にては氏の経済・金融政策への不評と民間人大臣否定論相俟って「辞めろ」の声頻り、大方は「閣僚たる者、国政選挙で信問はれるが自然」とて閣僚は国会議員たるべしの考へなれば、其れ等の口封じが為にも出馬するが宜しからふ。又、己が政策の是非を問ふ意味からも意義有る出馬と思はるが、如何。

 我には然程人気有る様に見えぬが、知名度抜群なれば集票候補の役割充分果たし得ると踏んでの擁立、出馬要請なるは確か。百万票は軽く戴けると言ふ自民幹部もおるとかや。無党派層狙ひて都市部での街頭演説中心に選挙運動展開するらしも、果たして無党派層思惑通りに動くか。落選の事態万に一つも無けれど、当て外れ獲得票数伸び悩めば、「国民、竹中政策を支持しおらず」とて党内の「交代せよ」の声一段と激しさ増すは必定。我の推測にては……。

                    ☆       ☆

 自衛隊の「多国籍軍」参加につき政府は十五日、統一見解概要を纏め与党に提示。自衛隊は日本独自の指揮下で活動する旨、多国籍軍司令部主要構成国となる米英両国に伝え、既に承認得しと表明せり。慎重の上にも慎重であれ。

       政府統一見解骨子次の通り。
    ▽自衛隊は多国籍軍の中で活動するが、日本の主体的な判断、指揮に従ふ。統合された司令部の指揮下に入ることは無い。
    ▽イラク特措法に則り、「非戦闘地域」で活動を継続し、他国の武力行使と一体化することは無い。
    ▽こうした方針に反する要請があった場合、日本は断ることが出来る。方針に則った活動が困難な場合、自衛隊は活動の中断、撤退等の措置もとる。
    ▽以上は、米英両政府との間で了解に達している。

 一九九〇年の国会答弁にて当時の中山太郎外相が「国連軍への関与は参加と協力がある。参加は指揮下に入り、行動することを意味する」と「参加」を定義したが為、政府は「参加」の表現を避けることに苦慮しおると言ふ。が、無頓着なるか、首相構わず「参加」を口にすは中山定義通りの「参加」想定しての事ならん。緊急の場合、「超法規的措置」持ち出し司令部指揮下入り為す積もりか。今暫し慎重に慎重を期して熟慮すべき重大事と認識せぬが不思議なり。

 危急の折、多国籍軍司令部の要請を拒否できるかや。非戦闘地域にて活動中、「近接地に駐屯せる他国軍奇襲受け全滅の危機なれば急行応戦されたし。助け得るは貴国自衛隊のみ」の要請受け、「自衛隊は戦闘部隊に非ず、他国部隊の武力行使と一体化出来ぬ故、応援には行けぬ。助けられぬ」と拒否するかや。常々「国際社会に顔向け出来ぬ」と云ひおる首相、「他国部隊を見捨て全滅させし日本は何たる国か」と非難されるは死ぬより辛いと思ひよる。恐らく拒否はせず、斯くして憲法違反現実のものと成るに至るか。

                    ☆       ☆

 一九九九年二月一日放送のテレビ朝日「ニュースステーション」にて埼玉県所沢市産野菜より高濃度のダイオキシン検出と報道され、農家が提訴せし名誉毀損訴訟は十五日、差し戻し後控訴審の東京高裁にて和解の見通しと成れり。

 民間調査会社のデータを基に「所沢産野菜より高濃度ダイオキシン検出」とせるテレ朝報道に対し、農家側は「最高値を示せし検体は野菜・農産物にあらぬに、所沢産野菜なりと虚偽の報道せし」と集団提訴。一、二審は「テレ朝報道は真実」と棄却せるも、昨年十月最高裁判決にては「番組の重要部分が真実であるとの証明は無い」と高裁に差し戻されしなり。

 報道せんとする事項が真実かどうか検証・確認無きまま報道された故の誤報。真実と証明出来ぬものは報道してはならぬ。憶測、推量が混入せる報道は常に捏造の危険性をも孕みおるを報道人は肝に銘ぜよ。又、センセーショナル報道ばかり追ひ求むるも亦虚偽報道の罠に陥る道なれば、厳に慎むべきなり。我等、真実・虚偽入り交じりて垂れ流し状態のテレビ観る側は、画像もアナウンスも無批判に受け入れぬが肝要にて、内容の悉くを疑い観る位が良し。一番良きは「観ぬ」ことか。

                    ☆       ☆

 十四日。札幌、朝より気温上昇して正午で29.9度、午後一時頃に30.6度を記録せり。札幌にては今年初、二年ぶりの真夏日にして六月に観測されたは一九九七年以来とかや。

 気温高けれど湿度30%以下なれば蒸すこと無く、過ごし易き真夏日にてありき。折しも北海道神宮例祭開幕。此の好天の下、露店軒を並べる中島公園への人出夜迄続きしとテレビニュース報ず。札幌まつり斯くも晴れたるは幾年ぶりか。昨年は前夜来の雨午前中迄残りて肌寒く、夕刻より縁者の仮通夜に出でて街路に立ち並ぶ幟見しも祭り気分せず、此処数年山車も見ず神輿渡御も見ず了ひなるを妻と語り合ふて戻りたるを思ひ出す。明日、明後日と晴れくれれば良きが、と言ふて今年も祭り見物へ出掛くる気など無からふに……。

               ◇……………◇               ◇……………◇

 銭湯より戻りて夕餉の麦酒呑み始めて、コウ君今夜予定無きやも知れずと携帯に電話せば案の定、独り狸小路ぶらつきて今し方焼き肉屋に入りて成吉思汗突つきおると言ふ。なれば我らと呑もふと、早速勘定済ませ店を出て地下鉄に乗車せよと告ぐ。即行動起こせしか三十分も経ずして地下鉄駅にて落ち合ひ、我が家にては何の用意もしおらぬ故、駅近くの居酒屋にて盃交はせり。

 今日一日何をせしと問へば、昼前より昔住みおりし簾舞訪れしが、離れしより既に四十年余経ちて往時の街並み偲ぶよすが無く、今浦島の心地にて歩ききたりと寂しげに笑ひたり。我が故郷とて、離れしより五十年超経ちおれば変わり様如何ばかりか。訪ね行けば我も亦コウ君と同じ感慨持ちて彷徨ひ歩くに違ひ無し、と慰む。盃干しつつ布教使、節談説教の事ども聞きて多くを学びたり。

 今のところ布教使のみにては生活ならず、カルチャーセンター講師、雑誌の原稿書き、ゴーストライター等にて糊口を凌ぎおるらしも、東保流節談再興への思ひ情熱益々たぎりおるを知りて感服せり。「一生を賭して為さんと決せる仕事なれば、事成る迄は死ねぬぞ」と激励し遣り、近々の再会約し半時前別れ戻りき。

 書き記し置くべき事まだまだ有れど、酔ひ回り来て思考停止状態なれば考へ纏まらず、眠気催したるに因り此れにて終了とせむ。

                    ★       ★

 十九日、山梨・小瀬スポーツ公園陸上競技場。コンサドーレ対ヴァンフォーレ甲府戦は、1−2でコンサ十一連敗。通算成績1勝11敗6分け、勝ち点9。最下位変わり様無し。
 次節二十三日、対川崎フロンターレ戦(川崎・等々力陸上競技場)。

 真夏日の試合なれば最後迄スタミナ、集中力持続させるは困難か。先制しながら後半2ゴール許しての逆転負け、暑くなれば此のパターン多きか。



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平成十六年六月十三日(日曜)晴

 概ね晴れ模様にて暑からず寒からず期待通りの天気となりて、昨年の今日亡くなりし縁者の一周忌法要に参列せり。昨年此の日、訃報ありし早朝迄、前夜来の雨降りしきり日中止みて夜再び雨、九時頃には雷鳴轟きたるを思ひ出し、今年も降るやもしれぬと昨夜妻と話しおりしが、仏様気遣い呉れたか式服着しても汗かかぬ良き御参り日和とはなりぬ。

 午前十一時四十五分会場着。親類縁者皆々参集、一年ぶりに見る顔も在りて挨拶交わすこと頻りなり。今日、御経読み呉れたは浄土真宗本願寺派布教使にて節談説教東保流再興に心血注ぎおる身内のコウ君。彼と会うも十数年ぶりか。二年前、「東保流再興が我が天命なれば、書籍編集者の職を辞し五十にして布教使の道に就かんと思ふ」と便りありて驚き、妻共々先々を案じ危惧したれど、今日の姿見て杞憂に終わりたりと安堵せり。真摯に仏の道説く者に仏の加護在るは当然、心底仏法に帰依せる者に加護在るも亦当然とせば、経をあげし者あげられしもの共に仏の加護の下に在るを疑はず。唯、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。

 読経焼香終はりて会食。それぞれに近況など語り故人偲びて酒酌み交わしたり。故人が言ひおりし「人は死ぬ迄生きる」の意味未だ解けず我が心に掛かりたる侭なれど、仏前にて談笑しおれば心和みて深く安らぎゆくを感じたり。死するも亦生の一端と思はば楽しき哉、か。二時頃散会、コウ君明日夕刻帰る予定とて近々の再会約し別る。帰路、義兄夫婦、義妹らとビアガーデンに寄り小ジョッキ一杯にて暫し歓談の後、帰宅す。佳き一日にてありき。

                    ☆       ☆

 十二日。今年も亦、我が商店街にYOSAKOIソーラン来たり。近年は興味薄らいでいたに昨夜、前夜祭「ソーランナイト」の模様をばテレビにて観て少しばかり心動きたれば、見物に出掛くる。両側歩道に観客夥しく参集して通行ならぬ程なれば、先客の後ろより踊り眺めたり。二チームばかり踊り見おりたれど、轟音凄まじく鼓膜破れんが如きにてあれば退散す。眺めおりても心躍らず楽しくも無く、昔日味はひし感動既に失せて蘇る事も無し。我が感性も老ひて鈍麻せるか、将又衣装着飾りし群舞に我が感性揺さぶる力無くなりしか。

 戻りて早々に銭湯へ赴けば、商店街の御隠居連集ひて語りおりたり。「よさこいも見るだけじゃ駄目だわ。踊らにゃ損、損よ」「喧しくて見る気もせん。店に居れば煩いから湯に来たのさ」「昔は見ててぶるぶるっと身震いしたもんだが、今じゃ、ご苦労さんてなとこだな」「元気いいの見てるだけで、こっちが疲れるんだわ。齢食ってくると駄目だね。何見ても、何やっても、面白くも何とも無いんだわ」「まあ、湯に浸かって一杯遣る程度かね、年寄りは……」。我も戻りて麦酒呑む。能無き話なれど此れが一番やも知れぬ。

                    ☆       ☆

 十一日昼(日本時間十二日未明)ロナルド・レーガン元米大統領の国葬行はる。政府特使として中曽根元首相参列せり。報道に拠れば中曽根氏、「ある程度、自分が犠牲になるのを覚悟で相手を助けるということをやったから、ロン・ヤスと言われ、本当に信頼する関係ができた」と語りたると。「日本列島は米国の不沈空母だ」と云ひし中曽根氏の信頼関係、我ら納得せしか。

 国葬はレーガン氏自ら作成の式次第に依り行はれしと。ケネディ大統領暗殺後、米大統領は葬儀の混乱を避けるため、自ら葬儀の段取りを決め置くが慣例にて、前大統領クリントン氏は未だなるもフオード、カーター、ブッシュの三元大統領は段取りの文書既に作成済みのとの事なり。

 《レーガン元米大統領国葬》 【ワシントン=永田和男】5日に93歳で死去したロナルド・レーガン元米大統領(1981―89年在任)の国葬が11日昼(日本時闇12日未明)、首都の北西部にあるワシントン大聖堂で行われた。/国葬にはフォード、カーター、クリントン氏ら歴代大統領と議員、閣僚ら約2000人の招待客が参列。「強いアメリカ」を掲げて80年代の米国を率いた故人に党派を超えて哀悼の意を示した。/また、主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)から駆けつけたブレア英、シュレーダー独、ベルルスコー二伊各首相のほか、中曽根元首相、サッチャー元英首相、ゴルバチョフ元ソ連大統領らかつての「東西両陣営」の首脳も参列、冷戦終結の立役者となった故人に別れを告げた。/健康を害しているサッチャー氏は事前にビデオ録画された弔辞の中で「レーガン氏は一発の弾丸も撃たず冷戦に勝っただけでなく、かつての敵を友人へと変えていった」と故人の業績をたたえた。この後、弔辞を述べたブッシュ大統領は「偉大なアメリカの物語が終わりを迎える」と死を悼んだ。ワシントン大聖堂で大統領経験者の国葬が営まれるのは1973年のジョンソン氏以来31年ぶり。     (2004.6.12 読売)

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 九日。米ジョージア州シーアイランドにて開催の主要国首脳会議に出席の小泉首相はブッシュ米大統領と会談、イラク復興支援につき「イラク暫定政権にも歓迎される形でイラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の派遣を継続する」とし、新たな国連安全保障理事会決議に基づく多国籍軍に自衛隊を参加させる意向である旨表明せり。政府の独断専行きわまれりの感……

 指揮権は自衛隊が掌握、任務も現行通りの復興支援のみとせる――が政府見解なるも、多国籍軍の一部隊として何処迄単独行動が許されるか。多国籍軍の指揮系統に入らず多国籍軍の一翼を担ひ得るか。危急の場合、武力行使へ繋がる戦闘行為への参入を要請される事なきや。テロの標的となる可能性の拡大懸念なきや……等々。危惧すべき点多々在るを考ふれば危ふき選択、此れが国際社会の一員として当然の責務なりや、今一度考へみるも無駄ならず。イラク特措法の精神からせば多国籍軍への参加は出来ぬ相談にて、既にして「軍隊」たる多国籍軍への参加は海外派兵に該当せる憲法違反、とならぬか。

 国連安保理が八日採択せし決議1546(イラク新決議)に記載の条項「国連加盟国及び国際組織、地域組織に多国籍軍への支援を求める。支援には、イラク政権との合意に基づいて、治安と安定、人道・復興支援で、イラク国民の要請に応えたり、国連の活動を支援するための軍隊派遣が含まれる」が政府の拠り所か。が、明確に「軍隊派遣」と記されおれば拠り所に成りよう無し。

               ◇……………◇               ◇……………◇

 同会談にてジェンキンス氏の件。訴追問題は日米双方にとり「極めて微妙な問題」と政治問題化するを避け、首相は脱走罪等の訴追免除や恩赦の要請はせず「継続協議」と為し、何ら進展無き侭に終わりたり。どう政治問題化せるか我には分からぬが、政治問題の前に此れこそが人道問題ではなからふか。

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 八日。二〇〇四年版「高齢社会白書」に拠れば、六十五歳以上の高齢者人口は二〇〇三年十月一日現在で二千四百三十一万人、総人口に占める割合(高齢化率)は19.0%と過去最高を更新、内男性は一千二十六万人とぞ。高齢化率は今後二〇一五年26.0%、二〇五〇年35.7%に達する見込みと言ふ。

 高齢化は喜ばしき限りなれど、高齢者が喜びて暮らし行ける世の中か? 否否否……否が幾つ重なることか。「老害」なる言葉が飛び交ふ世に、長らく御邪魔にならふと考へる爺婆は居らぬに、寿命ばかりが何故延びる。少子化傾向続き、爺婆背負ひ行かねばならぬ若ひ衆の苦労嘆きは重々承知なれど、何故にもうちっと優しく成れぬかや。世の中、若い衆ばかりでは面白ふも楽しゅふも無ひと思ふがのふ。皆笑ふて生きて行くには如何せいばいいんかのふ。

 なだ・いなだ氏が提唱しおる「老人党」の事、我らの年代は真剣に考へる必要有るやも知れぬ。年寄りには住み辛い世の中よ、と嘆き愚痴言ひ合ひてばかりでは埒明かぬ。老人パワーとやらで一発逆転、世の主導権握らにゃ損か。

               ◇……………◇               ◇……………◇

 九日。厚生労働省纏めに拠る二〇〇三年人口動態統計で、出生率が過去最低の1.29となること判明せり。新聞に「二〇〇二年の1.32を大きく下回り、少子化は予測を上回るスピードで進行している。先進国の中でも最も低いの水準であり、政府は事態を深刻に受け止めている」と報じ在りたり。

 先頃、自民のごり押しにて成立せる年金改革関連法にては、給付及び負担等の財政見通しを計算するに必要な予測将来人口の算出に当たり出生率を1.32と想定しおる故、年金財政先々厳しく成り行くは必定。「百年安心プラン」と胸張りし厚労省、政府は何とするかや。基本数値をば都合良き様に想定せしか。出生率発表時期も関連法成立後、間置かずと云ふも解せぬ。法案審議中、既に「1.29」の数字判明しおりたに発表控へしか。審議長引くを恐れ成立急がんと不都合な「数値」隠したとせば、欺瞞に満ちし年金改革法に相応しき行為なるも、制度の根幹に関わる数値隠しいたとあらば此の侭では済むまひ。

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 七日。イラク復興支援から帰国せし自衛官四人、酒に酔ひて一般市民と乱闘せり。四人は名寄駐屯地所属にて、旭川での隊旗返還式後の慰労会に出席、飲酒。其の後私服に着替へて繁華街にて飲み、すれ違いし市民との間で「肩が触れし」と口論の末、女性を含む八人と殴り合いに至りしと。双方示談にて済ますらしも、我なれば断固たる処分「軍籍剥奪」をもって臨みたし。

 酒の上での事、飲食店街にては日常茶飯かも知れぬ。が、国防を担ふ自衛官たる者の在るべき姿か。「勤務を離れれば一般人と同じ」と考へてよきか。我さふは思はじ。兵士としての訓練受けし者が一般人と争ふなど言語道断なり。国民を守る自衛官としての矜持持つなれば斯様な振る舞ひ断じて為すべきに非ず。「国を守る」の誇りが「守ってやる」の驕りと成りおるの感。自衛官皆が皆同じとは言はぬが、斯くの如き兵士を復興支援とて海外へ派遣すは大ひに不安。幹部連には「酒の上の事」等と軽く見て貰ひたふは無し。

                    ★       ★

 十二日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対大宮アルディージャ戦は、1−2でコンサ敗れ、引き分けを挟み十連敗。通算成績1勝10敗6分け、勝ち点9。最下位変わらず。
 次節十九日、対ヴァンフォーレ甲府戦(山梨・小瀬スポーツ公園陸上競技場)。

 三引き分け挟みての十連敗。連敗更新記録何処迄続くか、怒りやる気にもなれず。ピッチ上に唯立ちおるだけにて仕事せぬ者は去れ! 最早、未熟の一語では片付けられぬ。守れず攻められずでは勝ちよう無し。



 

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平成十六年六月六日(日曜)曇

 暑き一日なりき。夕刻、テレビの天気予報見るに最高気温27度を超したる由。されど陽落つれば熱気失せ、早々に窓閉じたり。午後十時前の今は既にして其の余熱皆無、日中の暑さ嘘の如く消へて無し。世上騒がす諸々の事どもも亦、斯くの如きに陽落つれば悉く雲散霧消して無に帰するなれば如何程良きか。此の国の惨憺たる有り様日々見聞きしおれば心安らかならず、鬱々として楽しまず滅入るばかりにて、日乗記すも老ひの身に重し。

 女房殿、プランターにて豆育てんとて昨日、黒土・肥料など買い足し置きたれば午前中に植へ付け終ふ。先に植へしトマト、エンドウ等は苗になりしを購ひて植へたれば今順調に生育しおるも、今回植へしインゲンは種子から。果たして芽が出るものか、些か覚束無き俄農民。我は三粒程纏めて植へるが良しと思へるも女房一粒ずつを譲らぬ故、好きにせい。幾日にて芽いずるか楽しみと言へば言へるも、出なんだら悔しからふ悲しからふ寂しからふ……。

                    ☆       ☆

 五日午後(日本時間六日未明)、米国のロナルド・レーガン元大統領(共和党)、カリフォルニア州の自宅にて肺炎の為死去せり。九十三歳。

 一九一一年、米・イリノイ州生まれ。靴屋の二男がラジオ局アナウンサーを経て映画俳優として活躍後、政界に転身。カリフォルニア州知事から遂には第四十代大統領に就任と、正にアメリカン・ドリームの体現者なり。「力による平和」を基本理念に国防重視で「強いアメリカ」を主導、旧ソ連を「悪の帝国」と呼びて対決姿勢崩さず堅持せる信念見事。盟友サッチャー氏をして「冷戦の勝利を誰よりも誇れる指導者であり、其れを一発の銃弾も発射せずに成し遂げた」と言はしめり。冷戦終結の立役者は亦、「レーガノミックス」なる経済政策にても有名。比較の対象外なるも、我が首相比べ様も無し。

 新聞報道に「ブッシュ米大統領は六日未明、レーガン元大統領死去を受け、訪間中のパリで声明を発表、『偉大な米国人の人生が終わりを告げた』と語り、深い哀悼の意を示した」と有り。「レーガン氏こそ大統領の理想像」と仰ぐブッシュ大統領、「悪の帝国」ならぬ「悪の枢軸」叫びて「強いアメリカ」たらんと欲するもならず。国民の圧倒的支持にて再選されしレーガン氏とは異なり、再選に暗雲漂ふ支持率低下で、控へる大統領選接戦必至。師を越へるは難し。

                    ☆       ☆

 五日。年金改革関連法は午前の参院本会議にて自民、公明両党等の賛成多数に因り可決・成立せり。四日午後一時開会の参院本会議は、野党議員の長時間演説(フィリバスター)、牛歩戦術等により遅々として進展せず、可決迄に二十時間以上を要せり。野党の抵抗、参院選睨みのパフォーマンスの域を出ず、不毛の一語。展望無き抵抗は自らを消耗させるのみにて大方は支持せざるなり。却って政治不信を増幅せるものと反感買うが落ち。時代遅れの戦術、然も後手後手で繰り出しても無意味なるを承知の上か? 少しは進歩しおるかや、と訊きたし。民主・岡田党首「政治を国民の手に取り戻す」と言うふて、此れにては益々国民より離れ行く思ひしてならず。

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 「ネット書き込み引き金? 補導女児『殺すつもりだった』」(2日夕刊)、「『容姿の話 嫌で殺意』 カッター自宅から」(3日朝刊)、「『殺す方法 数日考えた』 弁護士『鑑定必要ない』」(3日夕刊)、「『ぶりっ子』書かれ殺意 HP掲示板に」(4日夕刊)。佐世保・小6事件の翌日より今日四日迄の読売新聞一面見出しなり。犯行の動機、経緯等徐々に報道されるを読み継ぎ考へても、未だ「何故に」の明確なる答へ我に無し。

 又々出で来る。思考停止なるまま、否思考などせぬが如き愚言暴言吐き散らす政治屋後を絶たず。佐世保・小6事件につきて井上防災相申す。「従来の考へを或る意味で覆す。(此れ迄)男が無茶やって何か仕出かす事は在ったかも知れないが、女が遣ったというのは初めてではないか。最近は男女の差が無くなってきた。元気な女性が多くなってきた。総じて何処の社会も」と。斯様な見方しか出来ぬ御仁が我らの政治を担い来た(担わせし我ら国民の責任皆無とは言はぬが)所に現在の精神的荒廃、混乱の一因在りと認むは誤りか。

                    ☆       ☆

 三日。年金改革関連法案、参院厚生労働委員会で可決。共産、社民両党等の質問残せしまま質疑打ち切り採決に至りしは論外。今国会最重要法案審議にあるまじき愚行、良識の府・参院の存在意義を問はれる行為なり。自ら率先して政治不信を増幅助長せる自民・公明両党の姿勢、断じて許すまじ。質疑打ち切りと採決を求める動議を提出せし自民党・伊達忠一氏、党より指名ありての事とは申せ罪重きを知るべし。数に驕りし与党の斯様な愚行を阻止できず、御先棒担ぐようでは……。年金法案に不安不満抱く者なれば彼に一票投ぜず。

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 二日の自民党整備新幹線建設促進特別委員会にて、整備新幹線未着工路線のうち北海道新幹線・新青森−新函館を含む三線・四区間(北陸新幹線・富山−石動、金沢−松任。九州新幹線・長崎ルートの武雄温泉−諌早)の二〇〇五年度同時着工方針を決せり。残念ながら先行着工区間から漏れし新函館−札幌間につきては、現在建設中の三区間完成後に見直す事となれり。

 ほんの第一歩。先は未だ遠しの感。フル規格での所要時間(時速三百キロ)は乗り換へ無しで札幌−東京間四時間二十三分、新函館−東京間三時間三十五分。東京−札幌間乗り換へ無しの一本にて繋がれば、大きなる経済波及効果期待できるは確かなり。建設費試算額一兆五千億円は膨大、伴い地元負担分も生半の額にては非じ。されど経済基盤整備、社会資本充実の観点からせば相応の額。不況風払拭できぬ北海道なれば、新幹線建設を景気回復の起爆剤とすべく、道単独にても早期全線開通を目指すの意気込み欲し。道予算全額投入の気概持ちて遂行すべし。

 「新函館駅」建設予定地のJR函館線・渡島大野駅付近にては既に値上がり期待の土地売買が為されおる由、今夕の銭湯にて聞き及ぶ。「新函館駅」は在来線函館駅との乗り継ぎ駅と成る故、かなりの乗降客見込めるに因り商店が進出すると踏んだ不動産屋の動きらし。銭湯客の話にては、五十坪から百坪前後を利殖対象に個人が買い求めおると言ふ。予定地が変更にならず、買ひし人が皆幾らかでも儲けて大野町が賑わい豊かになれば万々歳、其れでいいのだ!

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 松江市の四十八歳無職男が三月十六日夜、己が養女(二十一歳)に対し「俺を怒らせた。前からの約束だ。指を切り落とせ」とて、包丁にて左手小指を切断させし事、一日明るみに出でり。やくざの落とし前、指詰めが如きを我が娘に為すとは何たる事か! 冷血非情の人非人、否鬼畜以下の所業なり。うら若き乙女が指切断、然も自らの手で……想像するだに胸詰まり、怒り収まらず。斯様な男には同じ指切断の罰与へるがよし。恐らくは、己が手で己の指を切り落とすなど死しても出来ぬ臆病者だろふが……。如何な経緯にて養女になりしかは知らねど、現在の境遇余りに不幸。福祉関係機関・者は早々に対策を講じ養父との縁切らせ、此の養女が負ひし心の傷を一刻も早く癒さしめよ。

 子への虐待多過ぎる。此の一、二日の間でさえ幾件も報じられおる。淡路島・洲本市の市立母子支援施設に入所中の三十二歳母、生後十か月の男児が泣き止まぬとて突き飛ばし、後頭部を床に強打する等して死に至らしむ。旭川にては三十四歳無職男、内妻の連れ子二歳女児に殴る等の暴行を加え頭、足等に怪我を負わしむ。「ストレスが溜まる」「言うことをきかなくなったので、躾でやった」等々、何れも此れも親の勝手な言い分。十か月児、二歳児への殴打が死に繋がりおるを想像できぬかや。思考停止人間が一時の感情に任せて殴るが「躾」と言へるかや。当事者本人以外誰が見ても、己の鬱憤晴らしに幼気な子を虐待しおるとしか見えぬ。躾が必要なは暴力を振るふ親の方なり。

 佐世保・小6事件で河村文科相は「人を傷付けてはいけないとか、暴力を振るってはいけないという教育は、此れ迄ずっと行われてきたが、現実にこういう事件が起き、命の教育、心の教育がどうあるべきかを、もう一度考えないといけないと思う」と言ふたが、命の教育・心の教育が必要なは果たして子供の方か。子は大人を手本に成長するを考へれば、教育が必要なは大人の方。暴力が日常茶飯の中で成長せば如何に相成るかは自明。虐待為したる親に対しては悉く精神鑑定を義務付け、暴力性向在りと認められる者には精神科治療を以て対処すべきなり。又刑事罰のみならず、命の教育・心の教育の定期的受講を義務付けるも忘れてならじ。虐待は重罪に処するが相当、と我は考へる。

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 一日夕刻のテレビニュースにて、支笏湖のチップ釣り解禁の模様放映されたり。魚体大きく数も上々、釣り上げて満足げなる太公望の笑顔羨ましく眺めおれば、昔の事ども脳裏に浮かび来りて暫し懐かしむ。

 我後にも先にも唯一度釣行せしは幾年前か。装備万端整へ友人数人連れ立ちて勇躍出掛けたるも全員釣果無しにて戻りたるを思ひ出せり。二十年程前迄は苫小牧にて釣具店営みし義兄が解禁初日に届けくれたに今は亡く、湖畔の宿に遊びたる時に食すが精々とはなりぬ。届けくれしチップ刺身の旨さ忘れ難し。画面の太公望の笑顔に亡き義兄の笑顔重ね合わせて、合掌す。

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 六月幕開けが、「小学六年の女児、同級生女児にカッターナイフで頸部切られ死す」の報。嗚呼……唯々、嗚呼……と溜息のいずるのみ。切りし者切られし者共に無惨、悲痛なり。何故に? 如何な訳にて斯くなりしか。精神・心の荒廃既に小学生をも蝕みおるやに見ゆ。あな恐ろしや、嘆かわしや。

 血まみれで倒れおる我が子を確認せし父親の言、「自分の目に映っているものが、『ウソだろ』という感じだった」。我、胸中了解す。半世紀も前にならふか田舎に住み居りし頃、近所に住まいし小学生が交通事故に遭ひ血まみれで倒れおる現場に臨場せし事有り。朝に登校する姿を見、午後に倒れおる姿を見て正しく「ウソだろ」の思ひ。眼前に在る光景の意味を咄嗟に呑み込めず、不思議な出来事を傍観せる感じと言へばよきか。ロケでも遣りおるんかい、悪い冗談は止してくれ、ウソだろが……他人の我でさへそんな気持ち、親御さんなれば尚の事と思わるる。父親の「ウソだろ」の言、我が胸にも響きたり。

 教育問題、教育臨床学等を研究しおる大学教授の話、新聞に載りし。曰く「何か前兆はあったはずで、教師は前兆情報が入ってくる信頼関係を子供たちと築いていなければならない」、曰く「二人の女児の確執や、加害女児の心の内を見抜けなかった周囲の責任も大きい」と。事在る毎の識者の意見、其の都度確かに「ごもっとも」なれど、だから如何せば良きかが見へぬは何故。斯く言ふ教授の方々、教師を目指す学生に「信頼関係の築き方」「心の内の見抜き方」の実践を徹底的に教育せしか。理想的教師像、理想的教育方法の御題目なれば我にも唱へられる。問題は其の先なり。コメントを求められて応へる識者の方々よ、問題の正解を知った上で宣ひおるかや。

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 五日、仙台スタジアム。コンサドーレ対ベガルタ仙台戦は、1−1でコンサ二試合連続の引き分け。通算成績1勝9敗6分け、勝ち点9。順位変わらず最下位。
 次節十二日、対大宮アルディージャ戦(札幌厚別公園競技場)。

 引き分けたは悔しき事なれど、チーム一体となりし攻撃の姿勢大いに良し。後半もだらけず走りに走り、果敢に敵陣狙う貪欲さ見せたは立派なり。今日の精神力を持続せよ! コンサの夜明け近しの予感、我に有り。清野の三試合連続ゴール、今季5点目でJ2得点ランキング八位。良く当たりおるのも好アシストあってのこと。個人技のみにての得点と思ふでない。驕ることなく、「チームあっての我」を忘るな。さすれば必ずや果報有り。



              
                  
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