北極亭日乗 |
平成十五年七月 |
平成十五年七月二十七日(日曜)曇 二十五、二十六両日久々に晴れて最高気温25度を超すも、今日は下がりて20.9度の曇天なり。暑さには弱き方故、冷涼は有り難きことなれども、夏の日差し今少し浴びたき気すなり。夏バテなど起こしようも無き日々なれど、本日土用の丑なればとて女房が買い求めし鰻、晩酌の肴に食す。 オホーツク海高気圧の張り出し例年より強く、梅雨前線を押し上げて夏をもたらす太平洋高気圧が北に張り出して来ぬ故、前線停滞して各地に豪雨もたらし気温上がらずとかや。東北地方にては低温、日照時間不足による冷害凶作の懸念もありて気懸かりなことなり。 海の日の二十一日、おたるドリームビーチ海水浴客でにぎわうも、水温20度前後にて泳ぐ姿少なく、日光浴するばかりと謂ふ。。二十三日には市電、地下鉄車内に南部鉄の風鈴お目見えせしも涼を運ぶの風情ならず、寒々しくもありて耳楽しまず。 隣接の商店街にて夏祭り開かれ、ビアガーデン設けられしも、陽落ちし後は風もありて肌寒く、売れ行き今ひとつ、賑わいも昨年ほどでなし、と銭湯で耳にす。我が商店街の夏祭り来月初めの予定なれば、真夏日とは言わず、せめて夏日をば期待したし。 ☆ ☆ 二十五日、友人の送別の宴ありて薄野にいず。半年ぶりなり。妙齢の娘ら浴衣姿にて界隈をそぞろ歩きおるに、何事か在らんと思いおれば、ドドーンと音して夜空の一画明るみ、大輪咲きて散りゆきぬ。新聞社主催の花火大会にて三千発を打ち上げるらし、と宴に集いたる面々に聞く。先週の花火大会のことは知りおりたれど今回は知らず、世事に疎くなりしかと面々に笑わるるも悔し。 麦酒、紹興酒呑みて台湾料理をば食す。台湾梅干なるものを紹興酒に入るれば味甘くまろやかになりて美味し。梅干の一片千切りて口に含めば甘味料の塊が如きなり。紹興酒専用の甘味梅干らしも、帰り際、「焼酎に使ふは如何」とて店主に乞ふて数粒頂戴し来たりぬ。諸々の酒に試したるところ、甘き酒好む者には頗る評判良し。酸味、渋み強くなり少々劣化せし赤ワインに入るればポートワインが如きに変身せるには驚きたり。 久々の薄野とて、若き連中に誘われ呑み歩きたれば午前様となりて戻りたり。足元確かにして然程酔わずも、疲労大にして翌朝九時頃迄目覚めず。 ☆ ☆ 昨日の全国高校野球選手権南北海道大会決勝、駒大苫小牧は白石投手の力投と十二安打の猛攻をもって、北海道栄を9−0で下す一方的勝利。二年ぶり三回目、春夏連続の甲子園出場。天晴れなり、拍手惜しまず、甲子園での健闘に期待す。 室蘭支部勢同士の戦いとなりて、札幌勢無きは淋し。北海、札幌南、国際情報、札幌日大、立命館慶祥、尚志学園と六校出場せしも決勝に残りたるは無し。無念残念は選手のみならず我も同じ。常勝名門既に無く、各支部代表の実力拮抗しおる中、かくなる結果も予想したれどやはり淋し。 ミス無きチームが勝ち残るが道理。駒苫は投攻守共に他校を圧倒、最高の仕上がりで臨み得た道大会なれば順当勝ちか。かくなれば練習量が勝負、どこよりも多く投げ、打ち、守り、走り込んだチームが勝利するやに思ふ。それぞれに厳しき練習を積み来たりての敗退なれば、笑顔持て明日に立ち向かえ。窮地に遭いても、これまでの試練汝らを助けくるるを信じよ。 ☆ ☆ 二十六日、山形県総合運動公園陸上競技場。コンサドーレ対モンテディオ山形戦は、1−2の逆転負けでコンサ四連勝を逃せり。通算成績9勝7敗8分け、勝ち点35。4位から5位に逆戻り。 試合内容悪しとは思えず。果敢なる攻め随所に見え、守りもそこそこ。が、またしても後半息切れ逆転の悪パターン。先制の「1点」を守りきる集中力と体力が欠如しおるは確か。専任コーチによる身体、運動能力面の強化を徹底すべし。 ★ ★ ◆27日=損壊5801棟に、宮城北部余震続く。26日に震度6クラスの地震が相次いだ宮城県北部で、建物損壊は5801棟、けが人は569人に上ったことが同県の調べで判明。余震も続いて以前、約2600人が避難中。 ◆26日=宮城、未明「震度6弱」に続き早朝、午後にも「震度6」。午前0時13分ごろ、宮城県北部を震源とする震度6弱、マグニチュード5.6の強い地震。同7時13分ごろ、同地域を震源とする地震があり、宮城県の3地点で震度6強を観測。マグニチュード6.2と推定。その後も断続的に震度5弱の余震。午後4時56分ごろ、震度6弱、マグニチュード5.3の地震。3度の地震により同県内で重傷27人を含む421人が負傷、家屋損壊1516棟。土砂崩れ(237か所)、断水、停電の被害も相次ぎ、約2500人が避難。 ◆25日=シュレシンジャー監督死去。英国出身の米映画界の巨匠、ジョン・シュレシンジャーかんとくが死去。77歳。長編映画初監督の「ある種の愛情」(1962年)でベルリン国際映画祭で金熊賞受賞、ダスティン・ホフマン主演「真夜中のカーボーイ」(69年)でアカデミー賞の作品、監督両賞を受賞。他に「日曜日は別れの時」「イナゴの日」「マラソンマン」「2番目に幸せなこと」など。 ◆24日=200平、北島世界新で2冠。スペイン・バルセロナで開催中の水泳世界選手権の競泳男子200m平泳ぎ決勝で、北島康介選手が2分9秒42の世界新記録で優勝し2冠達成。 ◆23日=民主・自由、合併に合意。民主党の菅代表と自由党の小沢党首が会談、両党が9月末までに合併することで合意。自由党は解散して民主党に合流し、菅氏を代表とする民主党の執行部体制や政策は維持。今後、社民党を巻き込んだ野党再編に発展の可能性も。 ◆22日=民主・自由、合流交渉へ。民主党の菅代表は自由党との合流協議を進める意向を固め、小沢党首に会談を申し入れ。一両日中にも会談が行われる見通し。 ⇒京都議定書、露が批准へ。地球温暖化防止のための京都議定書の批准を巡り、ロシア政府がプーチン大統領に提出した検討結果文書が、批准を支持する内容であることが判明。議会の同意も確実で、離脱の米国を除いた発効へ大きく進展することに。 ⇒日勝峠で観光バス衝突、横転。午後4時40分ごろ、日高町千栄の国道274号線の日勝峠で乗用車と大型観光バスが衝突、路外で横転。乗用車の運転手、バスの乗客ら二十数人が重軽傷。 (以上、読売新聞から抜粋要約) |
平成十五年七月二十日(日曜)晴 先月亡くなりし縁者の納骨式ありて円山墓地に赴く。朝方曇天なるも徐々に晴れ来たりて、暑くもなく寒くもなくの良き日和。集い来し者皆、「これも仏の思し召し」と語らいて焼香、遺骨をば墓に納め合掌せり。 式終わりて墓地近くの和食処にて会食、故人の在りし日を偲ぶ。散会後、「メメント・モリ(死を忘れるな)……我ら生かされてあり」と、呪文の如く反芻しつつ戻り来ぬ。「死ぬまで生きる」の言葉、今尚我が脳裏に焼き付きて在り。 ☆ ☆ 札幌市が敬老優待乗車証(敬老パ)の交付を見直すと云ふ。約十六万人が交付を受け、事業費は約三十五億二千万円。老人福祉費の三割を占めるとありては、財政逼迫せる折、市としても考えざるを得まい。市営交通機関のみならず民間バス四社の市内停留所区間もフリーパスでは、事業費が嵩むも道理。 敬老パス交付につきては誰も異存無かろふ。予算潤沢に在らば乗り放題のフリーパスが理想ではある。が、老人介護及び関連事業への予算措置が増え続ける中にては見直しは当然。老齢者とてこのご時世、七十歳を超えたから「おんぶ」に「だっこ」と考えぬが肝要なり。他人、御上を頼りてばかりおれば自ずから生存を危ふくす。乗車賃くらい自分で払うの気概、忘るまじ。 この制度残すとあらば、所得制限導入、一定額のプリペイドカード方式、割引制など財政規模に見合いたる制度にするがよし。 ☆ ☆ 札幌高裁職員が酒に酔って鋪道でリュックを振り回し、止めようとした通行人の顔を殴って怪我を負わせ、停職一か月の処分を受けしも公表せなんだ、という報道。 職員は「酔っていて記憶に無い」と謂ふ。酒の上のこと、当事者間で示談成立、刑事事件にもならなんだ、世間ではよく在ること、職員のプライバシーも考慮せにゃ。と云ふことらし。事務局長曰く、「職場外の私的な行為であり、事案の性質や内容、関係者のプライバシー保護を考慮して発表しなかった。この程度なら今後も公表しない」と。思い上がるでない。 何たる阿呆か。裁判所と謂ふ、人を裁く立場に関与しおるを何と心得おるか。裁判官だけが人を裁く立場にあると思ふでない。事務方職員も亦、裁判官に劣らぬ重責を担いおるを忘るでない。己を厳しく律せずして、人を裁くこと能わず。身内は別が如きに振舞う裁判所に公平正大な裁きを期待できようか。このままでは不信感募るばかりなり。「法」に関わる者は謹厳実直であるべき、が我が持論なれば、斯様な職員、事務局長は即刻免職にせよ、と言いたし。巷に人材は溢れおる。 ☆ ☆ 十九日、神奈川・平塚競技場。コンサドーレ対湘南ベルマーレ戦は、2−0でコンサ今季初の三連勝。通算成績9勝6敗8分け、勝ち点35。五位から四位に浮上せり。 カルロス監督との確執が噂されしMFホベルッチが十七日退団、元名古屋グランパスMF、フランス・セダン所属のウリダを獲得せり。コンサにおける退団は今季既に三人目。ホベルッチは十七試合5得点と期待以下の成績で、監督の構想外となるも已む無きことか。プロの世界、勝つために温情は無用。選手起用は監督の権限、選手は不平不満を吐く前に己を鍛えることをせよ。 ★ ★ ◆20日=九州豪雨、死者3・不明19人。梅雨前線の影響で九州中部を中心に未明から記録的豪雨が襲い、土石流やガケ崩れが各地で発生。熊本・水俣市、鹿児島・菱刈町、長崎・琴海町で計3人が死亡、19人が行方不明。水俣では土石流が集落を直撃して16人が行方不明。(追記=21日夕現在、死者14人、行方不明8人に) ◆19日=土井党首、「辞めません」。社民党の土井党首は夜、辻元清美・前衆院議員らによる秘書給与詐欺事件を受けて党本部で会見し、自らの進退問題について「自らを戒め、社民党の信頼回復のため力を尽くすことを天命と心得ている」と述べ、党首を辞任しない考えを明らかに。 ◆18日=辻元前衆院議員を逮捕、土井党首元秘書も。社民党の辻本清美・前衆院議員が、勤務実態の無い女性2人を政策秘書に登録し国から給与をだまし取ったとして本日夜、警視庁は辻元容疑者と土井たか子社民党党首の元政策秘書ら計4人を詐欺容疑で逮捕。 ◆17日=北朝鮮と韓国、非武装地帯で銃撃戦。ソウル北方50キロの南北軍事境界線に沿った非武装地帯で午前6時10分ごろ、北朝鮮側から4発の銃撃があり、韓国軍は警告放送し17発応戦。 |
平成十五年七月十六日(水曜)曇 暑がりの我が身には大助かりなれど、このところの天気、如何になりおるや。朝晩にはシャツ一枚にては身震いすることもありて、未だ夏来たらずの感。散歩せる犬達は舌も垂れず、涎も出さず皆々「結構な日和」と嬉しげに尾を振りて歩きおりぬ。ワンちゃんが結構と云ふなれば、人間が我慢するも必要か。 我が家のプランター菜園は玄関フードの中故、温室が如きなればミニトマト、シシトウなど実りたれど露地ものを扱いおる農家の田畑の具合、いささか心配なり。前線の停滞今暫く続くとの予報故、なかなかに夏日来たらずの予感。昼餉に冷素麺、冷麦を食す気にもなれず、熱い蕎麦をすすりおるも興無きことなり。 ☆ ☆ 北海道南西沖地震での奥尻島の惨事、思い起こすも戦慄せることにて、テレビ画面で観し映像未だ忘られず。淡路大震災の折の衝撃もさることながら、地元のこと故尚更に心に残りおる。一九九三年七月のあの日から丸十年、十二日復興成りし奥尻にて追悼式挙行さる。死者・行方不明者二百三十人の内、この島での数は百九十八人。被害の大きさ筆舌に尽くし難し。 十年に亘る復興工事によって街並みは蘇っても、心の傷は治らず、癒されること無きを思へば被災関係者への慰めの言葉も出ず。ただ、犠牲者の霊の安らかならんことを、生存被災者の日々の暮らしの平穏ならんことを祈るのみの他無し。合掌。 最近とみに涙腺緩くなりてか、新聞を読みて涙込み上げてならなんだ。野呂由美子さん(24)の遺族代表の言葉、飾らず今現在の心情を吐露したに相違なき言葉。感動せり。聡明で意志の強さを思わせる横顔の写真と併せ見ておれば、彼女ら一家の幸せな十年前の日々が瞼に浮かび来て、涙が止まらなんだ。我女々しきにあらず、人なれば当然なりと思ふ。以下に記事を記し置く。 遺族代表の言葉(全文から抜粋)野呂由美子さん(03.7.13 朝日新聞) ☆ ☆ 我が国の政治家が如何に愚劣極まりなきかの証左ともなる発言、また飛び出せり。鴻池祥肇防災相(政府の青少年育成推進本部の担当閣僚)が十一日午前の記者会見にて、長崎市の男児誘拐殺人事件に関連し発言したる旨、報じらる。内容以下の如し。 「少年自身の罪が問えないなら、(加害者の)親なんか、市中引き回しで打ち首にすればいい。それが道徳心のある子供を育てようということにつながる」 語るに落つか……。日頃より何を考えおるものやら、凡々人の我には皆目見当つかず。従来、役人と政治家は建前論のみにて本音は吐かぬと云われておりしに、今日びは頼みもせぬのに嬉々として本音をば吐いてくるる。その本音、正鵠を射るものなればよけれど、往々にして隠し来たった己が愚かさを曝け出す。鴻池発言もその口。 このお方、昭和十五年の生まれなれば、信賞必罰、勧善懲悪があまりに欠落した戦後教育を受けた中の一人。しかも政治家になられた。「私は別格で範疇外」と申されるおつもりか。教育と申せば、このお方、早稲田大の教育学部を御卒業なされた。凡々人の素朴な質問にお答え頂きたし。「大学で、教育について何を学ばれたるや」 ☆ ☆ 先ごろ厚生労働省が発表せし「2002年簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は女性八十五・二三歳、男性七十八・三二歳にして、共に過去最高齢を更新したる由。男女間の差六・九一歳、八十歳まで生存する人の割合は男52.2%、女75.9%。がん、脳血管疾患による死亡の減少が主たる要因とぞ。 長生きは慶賀すべきことなれど、このご時世なりせば長生きなどしたくなしと考ふるところもあり、さて如何したものか。人の寿命をあれこれ申すは不遜の謗りを免れ得ぬが、人は今少し短命であっても良きように思われてならず。老いたる者を敬い尊ぶの心忘れおる輩多き世に長居は無用、「もう結構、いざさらば」と老いぬ間に逝きたし。八十、九十迄までも共白髪と謂ふても老々介護の苦労、悲惨ありてはその気にもならず。ユメもチボウも無く長生きして何としょ。長寿なんざぁ、まっぴら御免。あっしにゃぁ関わりの無い事でござんす……か。 ☆ ☆ 十五日(日本時間十六日)シカゴのUSセルラー・フィールドで行われし米大リーグ・オールスター戦。我らが夢と希望の星、イチロー、松井、長谷川の三選手、アメリカン・リーグの選手として出場せり。 シアトル・マリナーズのイチロー1番・右翼、ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜7番・中堅で先発出場、マリナーズ長谷川滋利投手は四番手で登板。松井は二回第1打席で左前打を放つも第2打席は二ゴロに倒る。されど球宴初打席で初安打を記録したるは天晴れなり。イチローは一ゴロ、2四球なれども四回にカージナルス・プホルスの右中間へのライナーをば背走してジャンプ一番好捕。三年連続出場の貫禄か、この美技さすがなり。四番手登板の長谷川はロッキーズ・ヘルトンに逆転2ランを食らい、三分の二回を投げ3安打4失点。何時もの調子出なんだは残念なるも、臆せず真っ向勝負、堂々のピッチング大いに賞賛したし。 札幌にては市内七か所で大型画面による街頭放映があつた由、伝えらる。観戦する者皆々、三選手の動きをば注視。打ちては拍手、走りては拍手の熱狂ぶりにて沸きたるとぞ。 ★ ★ ◆16日=竹中経財相の問責決議案を否決。15日に民主党が提出した竹中経済財政・金融相に対する問責決議案は、午前の参院本会議で採決され、与党3党などの反対多数で否決。 ◆15日=辻元清美元議員、事情聴取。社民党の辻元清美・元衆院議員が、元政策秘書の給与を流用したとされる問題で、警視庁捜査2課は15日までに辻元氏から事情聴取。詐欺罪での立件の可否を判断する模様。 ◆14日=「危険な輸血」2200人分? 肝炎やエイズのウイルスに感染した可能性のある献血が、1年間に約2200人分もあった疑いが日本赤十字社の推計調査で浮上。厚生労働省が該当血液の回収を指示、日赤は未使用分の回収を開始。 ◆13日=「イラク統治評議会」発足。米英占領下のイラクで、イラク人に一定の統治権限を認める暫定機構、「イラク統治評議会」が発足。 ◆12日=土屋・埼玉県知事が辞職。長女の政治資金規正法違反事件を受け、未明の記者会見で「これ以上、県民に迷惑をかけることは申し訳ない」と辞職を表明。 ◆11日=「米、北の核再処理を確認」報道。米NBCテレビは、北朝鮮が使用済み核燃料棒の再処理を既に開始したことを米政府が確認したと報道。 |
平成十五年七月十日(木曜)雨 昨夜来の雨降り続き、風伴いて断続的に雨脚強し。外出難儀す。女房も亦、外出躊躇せる様子にて「今夜は有り合わせで」など言いて、市場に出掛けず仕舞いなり。確かに夕飯、残り物の集大成が如き様相にてはありし。これも亦良しとす。 昨夕刊「12歳中1男子聴取」の記事読みてより暗鬱なる気分去らず、今朝また「12歳、殺害認める」の見出し見て終日心暗し。昨日の記者会見にて官房長官曰く、「少年だけのことなのか、社会全体として考えなければいけないのか、大いに反省しないといけない。社会の風潮についての警鐘となるかもしれない」。何を暢気、悠長なことをと呆れ、一夜憤りを禁じ得ず。かくて迎えたる朝なれば、心沈みおるも已む無しと捨て置くも心休まらず、雨また加勢して、暗き一日とはなりぬ。 ☆ ☆ 長崎男児殺害事件、犯人は十二歳中学一年男子。この事実に衝撃を受けざる者無しと考ふ。読書好きで学級でトップクラスの成績、おとなしく優しい性格、普通のいい子という印象。然れども、男児殺害以降も休まず登校し、変わった様子微塵も無かりしとあらば、この子の心の闇は暗く深きを思わざるを得ず。 識者曰く、「今回は極めて異常で例外的な事案」「社会に対する犯行。最近相次ぐ動物虐待と同じような感覚で事件を起こしたのか非常に気になる」「犯行に至る兆候を、なぜ家族や学校が拾い上げられなかったのか大変気になる」「少年の成育歴、親との関係など非行の背景を解明していく必要がある」「少年法の趣旨を見直し、終身刑の導入など制度の変革を考えなければならない」と。どれも、これまで少年犯罪が起きる度に聞きし物言いにて新鮮味無し。一理ある意見にてはあれど、「気になる」「必要がある」「考えねばならぬ」等々にて、具体策を欠きおるものばかり。これら意見が、かへって問題を混乱させ来たったやにも思わるる。少年犯罪の多発、低年齢化に歯止めがかからぬ現実が、それを物語りおる。子を持つ親は、傍観者的姿勢の識者、評論家の類を頼むより、自らを賭して子と関わり育てるのほか無きを胆に銘ずるが肝要なり。 思うに、欧米風に毒されし子育てが第一の原因なり。我が国古来からの老に慈、親に孝の心をば涵養し来なんだが故に、我のみにて他を顧みぬ自己中心的な子を生み出したり。加うれば、昔日当たり前の隣近所、地域社会が互いに子育てを支え合うの気持ちを見失いたる罰にてもあり。 被害者両親の談話「心が煮えくり返り、中学生といえども極刑に処してもらいたい心境です。……あなたには一生をかけて、罪を償ってもらいたいと切に願います」。最愛の子を失いし両親であれば、当然の言い分、怒りであるを疑わず。されど何故か、虚しさのみが胸に突き刺さりて止まず。
☆ ☆ 大通公園の花壇、マリーゴールド、サルビア等の夏花に植え替えられ、その彩、眼に鮮やかなり。そぞろ歩き眺めおれば心安らぐを覚ゆ。五十の花壇に十種類以上の花々、その数約十五万本とかや。手入れ、管理為す人の温き心根を思へば感謝の念持ちて労をねぎらいたし。ありがたふ。 五日、旭川28.3度、北見27.0度、札幌26.2度。七月中旬並みの陽気となりて暑し。靴底ちびて見苦しとて、新調せんと近くの靴屋まで約十分、自転車転がせば汗噴出し来たり。帰り、自転車道に入りて、沿道の花々愛でつつ戻りたり。夕刻のテレビニュース、石狩浜海開きの模様映し出す。幼き子ら喜々として波と戯れるを観て、少しく夏到来を実感す。 PMF2003が五日、札幌コンサートホール「Kitara」で開幕せり。このところ演奏会もご無沙汰なれど、この時期やはり気になるはPMFのこと。二十五日までの期間中、札幌などで音楽レッスンや公演活動の予定。十二日夜、大通公園にて野外コンサートが開かれる由、今年は出掛けたし。 ☆ ☆ 六日に行われし第四十六回札幌国際ハーフマラソン、日本勢男女共に優勝はならず残念至極。アテネ五輪に向け大丈夫かやと、つまらぬ心配などす。かつて見し高橋尚子が如き溌剌たる熱気と気迫を発散せる選手見当たらず、日本の主力が勢揃いせるレースにてはあらねど、ちと頼り無き走りっぷりは淋し。 コース気温26.5度の暑さの中でのレース。女子はケニアのキャサリン・ヌデレバがリディア・シモンの記録を28秒塗り替える1時間8分23秒の大会最高で二連覇せり。シモンは出産七か月後の初レースのためか13位となりしも、アテネを目指して己の肉体を総点検するが如き走りは、試走と自覚してのものに相違なく、なかなかに目の離せぬ選手であるは間違い無し。 男子はジョン・カーニー(ケニア出身)が四年ぶり二回目の優勝。日本勢女子は二位・原裕美子、三位・高仲未来恵。男子は三位・佐藤敦之。 ☆ ☆ 五日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対サガン鳥栖戦は、3−0でコンサ今季初の二連勝。通算成績は8勝6敗8分け、勝ち点32、五位。 立ち上がりからボールを支配、素早い連係からのシュート申し分無し。最終盤、オフサイド後も集中して1ゴールをもぎ取りたるも天晴れ。監督と主力選手間に不協和音ありとの報道あるも、この試合見る限りにては主力不出場でもOKなり。 ★ ★ ◆10日=土屋義彦・埼玉県知事の長女逮捕。同知事の資金管理団体の不正資金処理の疑いで、東京地検特捜部は同団体の銀行口座を管理していた土屋知事の長女の会社社長・市川桃子容疑者ら2人を政治資金規正法違反(虚偽記入)の疑いで逮捕。1億余を過少報告、会社の運転資金に流用の疑い。「ダスキン」元会長の特別背任事件が今回の事件に発展。 ◆8日=長崎男児殺害事件。県警捜査本部は、防犯カメラに映っていた若い男を制服、靴から長崎市内の中学生と特定、近く事情聴取の予定。 ◆7日=長崎男児殺害事件。防犯カメラに映っていた若い男は、中学・高校などの夏の制服によく似た白い半袖シャツに黒ズボン姿であることが分かる。 ◆6日=長崎男児殺害事件。防犯カメラに映っていたのは、男児が行方不明になった約四十分後の一日午後八時過ぎだったことが判明。また、現場靴跡はスニーカーで、十年前から製造され、当初は中高生が学校用に購入していたもの。防犯カメラの映像で若い男が履いていた物と酷似していることも分かる。 ◆5日=モスクワで自爆テロ14人犠牲。モスクワ北西部のツシノ飛行場の野外ロックコンサート会場で、自爆テロがあり、犯人の女性2人のほか14人が死亡。負傷者は60人以上。犯人の一人はチェチェン女性と判明。 |
平成十五年七月四日(金曜)曇 本日、イラク特措法案衆院を通過せり。人命にかかわる法案審議なるに、拙速に過ぎる。イラン復興が急務なるは重々承知しおるも、解散へ向けた政治日程に追われるが如き斯様な審議は尋常ならず。まして如何様にも解釈可能ならしめる大枠のみの粗雑法案を、かくも簡単に審議終了とするなど狂気の沙汰。事在りたる時、如何な責任を取り得るや。石破防衛長官始め議員連中が「あっしの命にゃ関わりの無いことでござんすから」と考えおるように思へてならず。 今尚、現地にては米英軍に死者が出ておる状況を考ふれば、自衛隊派遣など軽々にでき申さず。イラン復興の手助けは文民にても可能なれば、敢えて軍隊もどきの自衛隊など派遣するに及ばず。事を為さんとするは、国連決議に基づかぬ戦争行為に加担したが故の負い目か、はたまた贖罪か。ならば、加担に賛成せし者が自ら出掛けて行くがよかろう。誰が、幾人の国民が「加担せよ」と申したか。 数で押す政治は危うい。多くが危惧し、懸念を語りおる法案が十二分に審議されぬまま、いとも簡単に衆院を通過するも数の論理。法案提出の与党議員以外、納得し得ぬ法案でも賛成多数があれば成立する仕組み。少数意見諸々を尊重せず、数だけを頼みおる政治手法なれば、いつの日か国民無視で暴走するやも知れず。危ういかな、我が日本…。 ☆ ☆ 発泡酒、たばこ等値上がりし「何たる政治か、愚か者めが。無策のツケを主権者に転嫁するが如き政治家は去れ」と毒づき、「我ら庶民のささやかなる楽しみを…何でだ…減らすか」とボヤきつつも、その量一向に減らぬは如何な訳か。増税を機に酒・たばこ嗜む程度にせば、体にも良く出費も軽減、女房大いに喜ぶは確か。それは分かりおる。ならば何故に… 例えば、町内商店街の居酒屋に顔を出す。銭湯での顔見知り既に上機嫌、「ようよう、まずは一献」とて冷えた麦酒を賞味。 これが理由なり。我も亦、居酒屋で同席せし「俺」氏と同じ思い。今や、へべれけになるまで呑みたとしても全盛期の半量に満たず、たばこは吸うにあらず燻らすが殆ど。金がなけりゃ香典の前取りも可能なる齢。愚策に自衛必要なし。然る故に止めもせず、減らしもせず。安易、無定見なる愚策に抗いての自棄のやんぱち日焼けの茄子、矢でも鉄砲でも持って来いの変哲、臍曲がりを通したし。それが理由なり。 ☆ ☆ 二日、札幌ドーム。コンサドーレ対大宮アルディージャ戦は、6−2でコンサ六試合ぶりに勝利す。通算成績7勝6敗8分け、勝ち点29。 新加入のFWアンドラジーニャ、移籍二試合目にして初ゴール。前節、対福岡戦にても良き動きを見せていた故、期待しおればなかなかの活躍。やはり我らの希望の星か。 ★ ★ ◆4日=イラク特措法案が衆院を通過。イラクへの自衛隊派遣を可能とするイラク復興支援特別措置法案は、衆院本会議で自民、公明、保守新の与党3党などの賛成多数で可決、参院へ送付。7日に参院で審議開始、23日にも成立の見通し。政府は10月下旬から順次、自衛隊派遣の予定。 ◆3日=懸賞金2500万ドル。連合国暫定当局は、フセイン元大統領逮捕に結びつく情報提供への懸賞金を2500万ドル(約29億5000万円)に増額と発表。 ◆2日=4歳男児誘拐・殺害。午前、長崎市万才町の立体駐車場敷地内で、男児が死亡しているのを発見。男児は、前夜買い物中の家族から離れ、行方不明になっていた同市内の4歳児と判明。長崎県警は誘拐殺人事件と断定して捜査を開始。 ◆1日=中国返還6周年の香港で、反体制的活動を規制する立法作業に反対する50万人規模の市民デモ。 ◆30日=法科大学院72校申請。来年4月開校の法科大学院の設置認可申請が締め切られ、文部科学省の調べでは国公私立合わせ72大学が申請、定員総数は5950人。 ◆29日=パレスチナ自治政府との合意に基づき、イスラエル軍がガザ北部から撤退。これより先、解放機構主流派ファタハは6か月間の対イスラエル攻撃停止声明を、原理主義組織のハマスとイスラム聖戦は3か月間の攻撃停止の共同声明を、それぞれ発表。 |