北極亭日乗 |
平成十四年六月 |
平成十四年六月二十九日(土曜)晴 W杯、韓国の躍進目を瞠るものあり。二十三日対スペイン戦にてはPK戦の末、5−3で4強入りを果たしたり。二十五日の準決勝、対ドイツ戦にては0−1と敗れたりとはいえ、欧州勢を相手に果敢なる攻めを見せたるは天晴れにて、本日の三位決定戦を楽しみに観戦するも、またまたあと一歩足りず、3−2にてトルコに敗れたるは悔しい限りなり。されど、これまでの戦いぶりに大いなる拍手を送りたし。アジアの戦士に栄光あれ! 韓国チームの活躍に水を差すかの如き事件勃発せり。本日午前、韓国西岸沖の黄海にて北朝鮮警備艇と韓国警備艇が交戦、韓国国防省の発表せしところでは、韓国兵四人が死亡、一人行方不明、重軽傷十九人のよし。北朝鮮側の被害は不明。韓国艇一隻沈没、北朝鮮艇一隻が炎上せる模様にて、双方の非難合戦始まりたり。先制攻撃は北朝鮮側と見らるるも、金正日総書記ら指導部の指示によるものとは考え難し。現場での逸脱行為か? 然れども、軍をよく統率せざるの指導部にありては責任免れず。政治体制の相違による同胞相争うの愚だけは為すべからず。南北対話の道を堅実に構築することを望むのみ。 この一週間、奥歯ぐらつきて咀嚼に難儀す。食する物、おかゆ、豆腐、はんぺん等ばかりにて、丹田に力入らず。歯の手入れ怠りきたる報いなれば、この苦痛甘受するほかなし。ようよう回復の兆しある故、今暫し、おかゆにて我慢を心す。 |
平成十四年六月十九日(水曜)晴 残念、残念の一夜明けても、なお残念なり。朝刊の紙面W杯関連記事にて埋まりたるの感。韓国はイタリアを破り、8強入りを果たす。ゴールデンゴールを決めたるはベルージャ所属の安貞桓選手、何たる皮肉、何たる巡り合わせか。 五百万円と少額の収賄にても罪は罪なれど、逮捕許諾請求を発してまでもの地検特捜部の行動の真意はなにか。諸々のこと胸に支える思いするも、先は見えず。 鈴木氏本人にはその気微塵もなき議員辞職なれど、もし辞職したれば比例選の惜敗率から、六区にて浪人の身をかこつ今津寛氏が繰り上げ当選となるらし。今津氏、鈴木氏とは三十年来の盟友にてありせば、その胸中や如何。鈴木氏の逮捕、地方政界に与うる影響も少なからず、来春の統一地方選にひと波乱か? |
平成十四年六月十八日(火曜)晴 W杯決勝トーナメント日本初戦、対トルコ。残念至極。1−0にて敗れたり。8強の可能性大いにありと思うていた故、返す返すも残念なり。論ずるところ多々あるも、論評は明日の新聞に委ぬ。今はただ、監督・選手に限りなき賛辞と共に絶大なる拍手を送らん。 前半終了して1−0。今日の調子から見て逆転勝利間違いなし、後半は見るまでもなかろうとて、銭湯に出掛けたり。午後四時半、客皆無なり。第一陣は皆、サッカーを見んとて三時半には引き揚げたるよし、番台の女人より聞く。日本チームの勝敗、今や国民的関心事となりしかと驚きつつ、独り湯船に浸かる。「…8強間違いなし。トルコの戦略、我が方の動きから推して後半の逆転は…」などと考え、サウナにて汗を流しおれば、やがて五時を前に、壮年の客ひとりサウナに入り来たりて「だっめだー」の一言。試合続行中のはずなるも嫌な予感。「今日の風呂屋は君の名はだねェー」とまた一言。五時二十分になりて客次第に増えだす。皆一様に顔こわばり、黙りいたり。嫌な予感的中。水風呂に入りて帰る。 第11回YOSAKOIソーラン祭り開幕せり。W杯の熱気に浮かれ気味にて、ソーランのことをば忘れいたり。今宵五時より大通西8丁目広場特設舞台にて、学生16チームの競演を手始めに開幕せるをテレビニュースにて見る。23日までの祭りには道内外340チーム、約3万6千人、大編成パレード「ソーランイリュージョン」4チーム、約8千人の計344チーム、4万4千人が参加の予定。我が商店街にては22、23の両日、ソーランの舞ありと聞く。 |
平成十四年六月十四日(金曜)曇 北海道神宮例祭宵宮なり。W杯の話題勢い強く「札幌まつり」今ひとつ盛り上がりに欠くる。街に幟などはためき、中島にては露店軒を連ねおるも、なかなかに楽しめず。我が家にても恒例の祭り馳走とりやめることになりたるが、さして寂しき思いもせず変わりなし。この齢まで生きくれば、祭りにも飽きしか。 年番第十五菊水祭典区のパンフ手に入りたれば、歴史・ご祭神の事どもを抜粋、記し置く。 ◆北海道神宮例祭「札幌まつり」 HP:http://www.hokkaidojingu.or.jp |
平成十四年六月十日(月曜)晴 昨夜のW杯日本対ロシア戦にて、我が日本歴史的一勝を挙ぐ。ビール片手に一家うち揃いて応援。終わりし後は祝勝の酒によろめきて、日乗の記載怠りて寝床に倒れ込みたり。目覚めて少しく頭痛せるも、新聞各社の報ずるところおば眺めて満足せり。これにて、決勝トーナメント進出濃厚。 夕方、銭湯に赴けば、いつもの面々「日本勝利」の話題にて大いに盛り上がりたり。日頃、「球を蹴飛ばしてなにが面白いか」と申しおりし魚屋の大将、上機嫌にて「お国を背負って出たからは、勝たにゃ。たいしたもんだ。初めて勝ったってぇじゃないの。球蹴りだってお国のためになってるだぁねえ。今夜ぁ、カツオの叩きで一杯呑まにゃあ。どうでぃ、薬屋のご隠居。そうでないかい」と、のたまう。 |
平成十四年六月八日(土曜)晴 W杯札幌最終戦、注目のアルゼンチン−イングランド戦は昨夜、ベッカムのPKゴール1点を守り切りてイングランドに凱歌。数々の伝説に彩られおる両者の戦いに、また一つ伝説を加えたる一戦となりぬ。両者譲らぬ攻防、まさに熱闘。敗れたりとはいえ、後半20分からのアルゼンチンの猛攻は見る者を圧倒せり。やはり優勝候補の一角なり。 四日行われたるW杯日本対ベルギー戦、2−2で引き分け、W杯初の勝ち点1。初出場の98年フランス大会にて三戦全敗を思わば格段の進歩にて、立派なり。解せぬは後半41分の稲本のシュートがファウルになりたること。何がファウルだったのか、今もって解せぬ。 稚内にて五日発生せる冷蔵庫遺体事件で、捜査当局は遺体男性の妻を殺人容疑で逮捕したり。この夫婦の間に何がありしか知らねど、恐ろしきことにて身震いせり。近頃、女性による殺人事件の多きは如何したるや。女はみな心優しく、猛る男の心をば和らげくるるものでありしに、如何したるや。 |
平成十四年六月三日(月曜)晴 街に外国人の姿多し。JR駅、地下鉄駅構内にては警察官の姿目立ち、過剰警備の感あり。治安維持は第一義のことなれど、客を迎ふるに似つかわしからず。表面に出ずることなく陰にありて、透明人間の如く警備をなす方法は無きや。我も少しく不快を覚えたれば、異国より訪れ来たりし人の心中推して知るべし。得策なきや。 W杯札幌第一戦ドイツ対サウジアラビアは8−0にてドイツ圧勝。今日の第二戦イタリア対エクアドルは2−0にてイタリアの貫禄勝ちなり。札幌最終戦は七日、因縁対決と喧伝されおる注目の一戦・アルゼンチン対イングランド。フーリガンで名高きイングランドサポーター大挙して押し掛けるの報ありて、他県警から応援部隊来るらし。またまた一段と騒がしきことに相成るにや。考えるだに憂鬱なり。 本日、コサドーレ柱谷哲二監督解任さる。W杯開催中のこととて驚き隠せず。W杯に水を差すの言一部にあり。第七節まで1勝6敗のリーグ最下位、ナビスコ杯も1勝3敗2分けのA組最下位にて予選落ちの惨状。この成績にては経営陣、サポーターならずとも先に不安を持つは必定なれど、新人監督への温情忘るべからずの思い強し。ベテラン監督率いるセ・リーグ横浜の惨状を見よ。比すればまだましなり。二次落ち覚悟で新人監督を育てるの気概、経営陣、サポーターに無きか。「優勝を目指す」と豪語せる新人監督を不遜と見るか、大いなる夢を抱く我らが星と見るか、再考を要す。 不法の食品添加物の使用にて連日新聞紙上に「お詫びとお知らせ」の企業広告が掲載されおる折、コンビニのおにぎりに人の指が混入せるの記事。女性が口にして異物に気付きたりと言う。この女性、二度と握り飯を食さざるのみか、作ることもなさずと思わる。心的被害いかばかりか。この国の企業の在りよう、慨嘆のほかなし。 |