北極亭日乗


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平成十四年八月

平成十四年八月二十九日(木曜)曇

 昨日、札幌の気温28度を記録、一時雨も降りたれば蒸し暑き一日と相成れリ。「ここにきての28度は無用」と愚痴れど詮方なく、北には珍しき残暑と思うて我慢す。されど人一倍の汗っかきにて、街より戻りて早々に銭湯へ駆け込みたり。暑き日の風呂上がりのビール、やはり格別旨し。

 先月十日、覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕され、今月二十一日に同法違反(営利目的所持)にて再逮捕されたる道警元警部の事件で、元警部逮捕のきっかけとなる供述をしたる被告男性(覚醒剤取締法違反で起訴)が札幌拘置支所で自殺せり。元警部の事件においては、元上司の釧路方面本部課長が自殺しており、不可解なる点多し。被告男性の死は、事件の全容解明と元警部の公判に大きく影響するは必定なり。
 元警部につきては、映画・テレビで見る悪徳刑事が如きにして信じ難かれども、魂の腐敗せる輩少なからずの現今、至極当たり前の事なりとも思う。ただ、道警組織の弛緩、疲弊に起因するものなれば…の懸念消し難く胸中に残りたり。真相究明と再発防止に全力を尽くすは言うまでもなきこと。されど、道警上層部の面々、皆己の出世のみを考えて組織内を浮遊しおるのみなれば、改善覚束なく、再発の可能性大なりと言うべきか。

 二十六日午後三時ごろ、南富良野町金山のトウキビ畑で七十八歳の男性がヒグマ(六、七歳で推定体重二百キロ)と遭遇して格闘、右手にて顔面にパンチ一発を見舞い、ヒグマを撃退したるよし報道さる。愉快なり。頬をば摩りつつ、あたふたと退散するヒグマの姿を想像するだに愉快なり。左腕に十日間のけがを負いたるのみとは、将に驚異の七十八歳なり。「老いて益々勇あるは危うきことなれど、蛮なければ益々強し」を知りたり。快哉を叫ぶはこの時ぞ、と思うこと頻りなり。

 この夏、暑き日幾日もなかりしに、海にての事故多し。このところ小樽・銭函海岸で水上バイクの事故続きて、発生三件、計四人の死亡を記憶せり。安全確保の上で楽しみたるや、無謀なる行為はなかりしや。免許取得が殊のほか容易とありて、海の怖さを知らぬまま荒天にても海に出る者多しとかや。遊びで落命するなどは口惜しきことなり。もし逆縁とあらば親御の悲しみ推し量るに余りあり。新しきレジャーとして定着しつつあれども、事故予防の策、備えは万全とは言い難し。免許取得においては厳しき実地試験を課し、水上バイク運転海域を指定するなど強力なる規制が必要と認む。規則尽くめは息苦しきことなれど、人の命を思えばある種規制は必要なり。



平成十四年八月二十二日(木曜)曇

 十九日、偉大なる種牡馬サンデーサイレンス死す。日本では一度も走りたること無き馬なれど、名知れ渡って大いなる遺産を残す。新聞見出しに「死して夢残す」と在りたり。
 以下にサンデーサイレンス産駒のGI勝ち馬(海外、地方含む)を記し置く。

   馬  名   
フジキセキ     
ジェニュイン    
ダンスパ−トナ−  
タヤスツヨシ    
バブルガムフェロ− 
イシノサンデー   
ダンスインザダーク
マーベラスサンデー 
スペシャルウィーク
サイレンススズカ   
スティンガー   
アドマイヤベガ  
チアズグレイス  
エアシャカール  
アグネスフライト 
メジロベイリー  
アグネスタキオン 
マンハッタンカフェ
トウザヴィクトリー 
ステイゴールド  
ゴールドアリュール
    レ ー ス   
94年朝日杯3歳S
95年さつき賞、96年マイルCS
95年オ−クス、96年エリザベス女王杯
95年ダ−ビ−
95年朝日杯3歳S、96年天皇賞秋
96年さつき賞
96年菊花賞
97年宝塚記念
98年ダービー、99年天皇賞春、同秋、ジャパンカップ
98年宝塚記念
98年阪神3歳牝馬S
99年ダービー
00年桜花賞
00年さつき賞、菊花賞
00年ダービー
00年朝日杯3歳S
01年さつき賞
01年菊花賞、有馬記念、02年天皇賞春
01年エリザベス女王杯
01年香港ヴァーズ(香港)
02年ジャパンダートダービー(地方)

 昨夕、大雪山系黒岳(1984メートル)に初雪降りたるを観測したる由。これまで最も早き初雪は一九八二年の九月三日にて、八月に観測されたるは初のことなりと言ふ。昨年に比して二十九日早きとかや。今年は暑き夏なく、冬の訪れるも早きか。

 丸井今井独自ブランドのコンビーフに偽装肉。「偽装」なる言葉ついに札幌にも出現したり。製造元を信頼しての商売なれば、丸井に責任なきが如くなるも、販売品について責任を持つもまた商売なり。中国産冷凍牛肉が山形県産米沢牛に化けたと言うは、ちと強欲に過ぎる。食品に対する消費者の眼一段と厳しき折なれば、商品についての品質管理は販売側の責任と思うべし。未だ再建途上の丸井なれば、細心万全の注意怠るべからず。

 「出会い系」事件急増。若年者の出会い系サイト絡みの事件急増との調査結果を警察庁発表せり。最も多かりしは児童買春事件にして、昨年同期の三倍に達したる由。ほとんどは携帯電話からのアクセスによるとかや。見ず知らずの人間の素性はメールでは分からぬ。危険に近づかぬが一番なり。極悪は、己が欲望を律し切れない未熟、無分別な大人・餓鬼親爺の類なり。しかも教育者の買春多きは言語道断なり。若者に苦言を呈してばかりもいられぬ。歳にても、未だ大人に成り切れぬ夜郎自大の輩、近頃とみに多ければ、若者の言動乱るるも当たり前。やはり、この国の在り様ぶざまなるか。



   

平成十四年八月十六日(金曜)晴

今はもう送り火の風習など何処にて行われしか。気忙しき世相にては忘れ去られたるにや。老人を敬い労わるの心なく、誰もが俺が俺がの日々なれば、ご先祖様に思いを馳せるの気持ち薄れゆくももっともなり。げに嘆かわしき事と思うは我ら老人ばかりにてあらんか。亡き人々の思い出尽きず、先々の事ども語りつつ、女房と二人、静かに酒を酌む。今年もよきお盆にて終わりたり。全ての仏さんに感謝す。

牛肉偽装問題により、札幌ドーム内に開設予定の日ハム球団仮事務所は当分の間、設置を見合わせることとなりぬ。早影響が出始めたるは悔しきも、記し置く。

 明日は久々にサイクリングに出掛けんとて、今宵は心地よい酔いのまま早々に床に入ることにす。



   

平成十四年八月十一日(日曜)曇

 盆に入らば込み合うとて、早々に墓参りす。暑くなる前に済ませんとて、午前十時一家揃いて出発したり。同十時四十五分墓地に着く。あちこちに墓参の家族見えて、意外に人出多し。備えの手桶出はらい無かりせば、持参せしペットボトルの水をかけて墓石を拭き清む。花、お供物を並べ、燭をともし線香を焚く。各自思い思いに合掌、黙祷をなせり。例年の通り墓地近くの食事処にて中食を済ませ、帰る。銭湯へ…。

 九日、田中真紀子議員、衆院議長に辞職願提出。これも真紀子流か。如何せん、決着つけざれば生きる道なしの状況打開策にしてはお粗末。辞めたとて疑惑の解明はなされように、逃げの一手にもならざり。疑惑の真相全てを公にして辞したれば生きる道もありたるに、残念なことなり。これにて田中真紀子氏の政治生命は断たれたり。惜しきことよ。

 コンサ2勝目。昨十日の対ガンバ大阪戦(札幌・厚別公園競技場)1−0で勝ち連敗脱出、二勝目を挙ぐ。砂を噛む思いにて待ちたる勝利、うれし。山瀬の攻撃よし、古川、藤ヶ谷らの守りよし、やれば出来るべや。この一勝忘るべからず、残り試合に全力を尽くせ、健闘を祈るのみ。



   

平成十四年八月七日(水曜)曇後雨

 賛否両論かまびすしき中、五日、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)始動せり。大方の自治体参加せるも、六市区町不参加となりぬ。政府は早急に、堅固万全な個人情報保護対策を構築し、法制化せねばシステムの定着は覚束なし。不参加の自治体が増えるやもしれず、前途多難の兆しあり。桂信雄市長の強い参加方針の表明によるものか、札幌にてはさしたる反対行動もなく動きだせり。

 六日、五十七回目の「広島原爆の日」。風化が言われおる。九日の「長崎原爆の日」と共に、「原爆」忘るまじ。落とした方が悪いのか、落とされた方が悪いのか。その論議はそろそろお終いにしたし。これからは被害者、加害者双方の視点を統合し、恒久平和実現へ踏み出さねばならぬ。今を生きる者の義務として…

 本日、日本ハムがBSE関連牛の政府買い上げに絡み、輸入牛肉を国産牛肉に偽装の疑い浮上す。「お前もか」の思い強し。雪印に続き大手日ハムもこの体たらく。経営者の倫理感覚なしや。金儲けならば悪事も平気で為す脳の回路は如何なるものか。この問題で、日ハム根拠地札幌移転の話にも支障が出るは必定、どう展開するか見守る以外なし。



 

 

平成十四年八月四日(日曜)晴

 雪解けてより此の方、家周りの草むしり怠りおれば、雑草繁茂して浅茅が原の様相を呈す。女房の苦言もありて、ようよう腰を上ぐ。暑くなりては厄介なりと、午前中のみ作業す。昨日三時間、今日二時間かかりて終了す。かがみていた故、足腰痛み、湯に入りても治らず。これも歳のせいとて如何ともし難し。幾分さっぱりとせる家周りを見るが慰めか。

 町内商店街の夏祭り昨日から始まり、昨夕街頭ビアガーデンに出掛くるも、肌寒く早々に引き揚ぐ。今夕はまずまずにて、人出も多く賑わいおりたり。

 二日に始まりたる青森ねぶた、またもや傍若無人の振る舞いにて祭りを打ち壊さんとせる「からすはねと」出現をテレビにて観る。いずれも暴力団、シンピラの類にてやあらむ。酒を喰らって踊りの列に乱入するなど勝手し放題。警備中の警官の制止も聞かず、逮捕さる。齢若き者多く、「馬鹿者が」の一言なり。この国の有りよう、益々憂う。

 先月十七日に逮捕されたる姑の嫁殺し事件で、二日に嫁の夫の歯科医も逮捕。未作為の殺人容疑とか。殺人を見て見ぬふりの心理、心の闇は深し。テレビドラマなれば如何様な結末にあいなるか。考えるだに恐ろしきことなり。

 二日、鈴木宗男議員再逮捕。ただ、あきれるのみ。こちらの闇も、また深し。

 三日札幌ドームで行われたるコンサ対清水戦、2−3にてコンサ8連敗。「しっかりせい」と思うのみにて詮方無し。どん底の闇も、またまた深し。

 本日、寅さんの七回忌。没後六年、東京・柴又の寅さん記念館に三千三百人集いて、献花す。寅さんは、我らの心の古里なり。忘らるることなく、忘るることなし。