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富田林寺内町の探訪

江戸時代の町並みが残る寺内町(じないまち)をご紹介します

大阪市内から近鉄電車で富田林駅まで30分。駅から徒歩10分。
ひっそりとした佇まいを残すお寺や町家を巡りながら、お手軽な歴史散歩に出かけてみませんか? 皆様のお越しをお待ちしています。

じないまち随想7 2005年2月20日

融通念佛宗「本尊御回在」回想

テレビでも放映中の「百寺巡礼」シリーズ第六巻 関西編(五木寛之著、講談社刊)及び同・ガイド編第六巻(関西編、講談社刊)の中で、第59番目に融通念佛宗総本山・大念佛寺(大阪市平野区)が登場します。「融通念佛宗」の名前を耳にする機会は関西方面以外にお住まいの方にはほとんどないかもしれませんが、その宗派の歴史は浄土宗や浄土真宗よりも古く、平安時代末期に良忍上人が開いた念仏系宗派です。現在、末寺の数は357カ寺を擁するものの、関西地区のみに存在する地理的特徴があります。

富田林・寺内町地区の西のはずれにも、この「融通念佛宗」の末寺のひとつ・浄谷寺(じょうこくじ)があります。「融通念佛宗」には「本尊御回在(ごかいざい)」と称する江戸時代から始まった独特の行事があり、これは本尊十一尊天得如来の掛軸を持って、年に一度、総本山・大念佛寺の僧侶が約2万軒に及ぶ檀家を一軒一軒回る、言わば「本尊出張サービス」です。富田林・浄谷寺では毎年4月6日に「本尊御回在」が行われています。    
 
浄谷寺(じょうこくじ)
筆者が幼稚園、小学校を過ごした昭和40年代には、寺内町地区にある壇信徒の我が家にも「御回在」があり、家の仏間に本尊の掛軸を掛けて追善供養、家々の祓いや各種の祈祷が行われていました。その後、家族めいめいの背中に本尊の入った桐箱を当てて、身体堅固を祈祷する「御頂戴」がありました。子どもの頃の記憶で、平野本山から「出張されてきた」僧侶の方に、神妙に背中を丸めて桐箱でさすってもらったことを筆者は今も覚えています。

いつの年からかはわかりませんが、もうだいぶ以前より富田林・浄谷寺では地元・寺内町を中心とした檀家一軒一軒を練り歩いて「御回在」することはなくなりました。その代わりに、檀信徒を毎年4月6日、浄谷寺に集めて今でも「御回在」の法要が執り行われています。
富田林寺内町は、戦国時代に浄土真宗(一向宗)の興正寺別院を中心に成立・発展してきた長い歴史を誇りますが、江戸時代中期以降に建てられ現在も町並み保存の中心となっている伝統的商家(町家)の多くは、意外なことに融通念佛宗・浄谷寺の壇信徒であり、各家の墓所は浄谷寺境内にあります。仲村家田守家葛原家奥谷家佐藤家北野家などがその例です。そういえば、祖父の生前には浄谷寺の御院主様が時々、足をお運び頂いて囲碁のお手合わせをされていました。

 総本山からの「出張サービス」のおかげ?で、まだ自ら足を運んだことがない総本山・大念佛寺のことについては、以前から何となく気に懸かっていました。 「百寺巡礼」シリーズ関西編に触れたことがきっかけで、関西の庶民的な宗派である「融通念佛宗」と、浄土真宗がそのルーツになって成立した「寺内町」との興味深い関係に思いがけず週末、想いをめぐらせてみました。
(2005年2月20日、管理人)
 
弁財天池、通称「カメの池」にある石塔
河内御回在(3月2日~5月29日)

融通念佛宗本山・大念佛寺(大阪市平野区)から各末寺と檀信徒の家々へ出向く、いわば出張形式をとる独特の行事である。鉦を打ち鳴らしながら御本尊十一尊天得如来をかついで檀家を回り先祖の追善回向、家々の祓い、身体堅固等の祈祷をなす。元祖良忍上人が鳥羽上皇から賜わった鉦を打ち鳴らしながら念仏を勧めて歩かれた姿を再現したもので、第三十六世道和上人の元和年間(1615~23)から始められた。
(融通念佛宗本山・大念佛寺のホームページから引用させて頂きました。)
 
融通念佛宗総本山 大念佛寺(大阪市平野区)
 
   
融通念佛宗総本山 大念佛寺(大阪市平野区)
   
万部おねり(5月1日‐5月5日)
浄谷寺
じないまち探訪記
じないまち随想
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Information


富田林寺内町
(城之門筋)
(富田林市提供、禁無断転載)

道順
寺内町へは近鉄長野線富田林駅又は富田林西口駅下車徒歩10分です。先ずはじないまち交流館へお立ち寄りください。

散策地図がもらえます
富田林駅前の観光案内所又はじないまち交流館で散策地図がもらえます。

立ち寄ってみたいお店

休憩所(トイレ)
じないまち交流館寺内町センターじないまち展望広場にあります。

車でお越しの方へ
寺内町は道幅が狭く、中には公共駐車場がありません。車でお越しの場合には、2014年2月に新しくオープンした富田林市営東駐車場(有料)をご利用ください。一般用の普通乗用車及び団体用のマイクロバス(1台分、市役所に要事前予約)を駐車できます。重要文化財・旧杉山家住宅まで徒歩5分、じないまち交流館まで徒歩15分。

尚、団体用の大型観光バスでお越しの場合は、富田林市役所にお問い合わせください。宜しくご協力をお願いします。


じないまち交流館
〒584-0033
大阪市富田林市富田林町9-29
TEL.0721-26-0110
FAX.0721-26-0110
(午前10時~午後5時、月曜休館)

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