ロング・ラブレター〜漂流教室〜

◇1月9日(水)よりスタート フジテレビ 21:00〜21:54 毎週水曜日
データ S T A F C A S T H   P - -
あらすじ  1話   2話  3話  4話 5話 6話  7話  8話  9話  10話  11話
想い出の名シーン  1話  2話  3話  4話  5話  6話  7話  8話  9話  10話  11話
その他  1話
 
 《TVオンエア−チェック》
 想い出の名シーン 第6話
セリフチェック:アリス/yuma 
 
校門


回想シーン
大友をかばい、浅海が侵入者に教われ深い傷を追う。体育館で取り押さえられ縛られている侵入者に西あゆみは、
「あなた達は、何で生きているの?・・・」
西あゆみは、その侵入者の担ぐ麻袋に収まり、旅立ってしまった。自分の意思で。
体育館の倉庫には、彼女の置手紙。
“いってきます”




夕日の中で、浅海は砂漠を見つめ、「俺が、怪我なんかしてたからあいつが・・・」と自分を責める。そして、学校の門をくぐる浅海。
結花 「おかえり。」
浅海は、ふいに結花へ近づき、一瞬唇に触れる。一瞬のキス。
浅海 「ただいま。」といって、立ち去ろうとする。
(ココまでが前回のお話です。)
 結花    ねえ、ねえ今の何? ねえ ちょっと
 浅海    理由なんかあるかっつうの。
 結花    ねえってば。
 浅海    ねえよ。 ねえよ、別になんもねえよ。
 結花    なんも ねえ?
 浅海    したかったからしたんだよ。
 結花    だから 何でしたかったかって、聞いてんの。
 浅海    知るか。 そんな事、いちいち考えてやってるほど 閑じゃねえんだよ。
 
結花    何、それ。こういう時に そういう関係になんのは良くねえとか ブツブツブツブツ
        言ってたのは そっちじゃん。
        だって、なんか、あたしだって混乱するよ、こういう事されると。
        こんな非常時に こんななんか、あいまいな事。

 浅海    そっちが悪いんだろう。
 結花    え〜?
 浅海    そっちが悪いんだよ。
        
(結花を指差して)いいか、二度と・・・俺に・・・優しい言葉を吐くな。
 結花    吐くか、そんなも〜ん。(去って行く浅海の後ろ姿に怒鳴り返す結花)

結花ナレ  ほんとはそうだよね。私だって、彼だってそんなに強くない。
        ほんとは 一人では立っていられないんだ。


   (裏門の扉に気持ちをぶつけ、立ち去る浅海、その足元には 丸められた茶色の紙袋が)

現実の世界・・・本倉高校の前

レポーターの中沢が、街の人の証言を聞いている。ちょうど、地震の時にその場所に居合せていた夫婦らしきカップルに取材をしている。ノブとレイコ。ノブの話によると、揺れを感じた・・・というよりむしろ強い突風だったと語る。「学校に向う、一瞬の突風・・・」とつぶやく中沢。ノブはその突風で、何かが入った紙袋を飛ばされたらしい。そして身重のレイコは「もう、まっとうに生きようね。」と意味ありげなことを語る。その中に何が入っていたのか、中沢が更に尋ねていた。・・・・
教室
        
        我猛が他の生徒達に、 ”人類”(侵入者)達が話す言葉について、説明している。


 我猛    では あの校庭での会話を再現しましょう。

        (逃げ去ろうとする侵入者に向って我猛が言い放った。)
        我猛 「△◎×※○」=    待て。
        我猛 「○×2002◆」=    我われは2002年の過去から来た日本人だ。
        我猛 「*▽□○×」=    敵意はない。
        人類 「+○△◇※」=    過去から?
        人類 「×ソーコーナッタ+○◇」=    お前らのせいだ。
        と おおよそこのようになると思います。

        (略)
 浅海    (手を上げて) どうして我猛さんは 話ができたんですか?
 我猛    浅海先生の証言をもとに 北京後6、日本語3、ハングル語1の割合で
        言語を作成してみたのです。
        (略)
 浅海    残された人類の人種がまざってる可能性がある。
 大友    はい、質問。
 我猛    はい、大友さん。
 大友    彼女(西あゆみ)は何で行っちゃったんですか?
 我猛    求められていたからではないでしょうか・・・。

夜の学校

あんな事件があった後ということもあり、またいつ襲ってくるとも知れない侵入者達への不安から、なかなか寝つけない生徒たち。構内を見回る浅海と結花。
 浅海    眠れないんだろうな。昨日の夜、あんな事あったんだから、当然か。
 結花    眠るの怖いんだよね。体は疲れてるのに。
 浅海    自分もでしょ。
 
結花    あの〜。(浅海の胸の傷のある辺りを見て)
 浅海    あ〜、心配してくれてんだ。
 結花    一応・・・。
 浅海    
(結花を安心させるために、にっと歯を出して笑う)
 結花    浅海君てさ、生徒の前とかだと すごく冷静で落ち着いたいい先生じゃない。
        なのになんで、私とかの前だと、何かその・・・そういう感じなの?

 浅海    どういう感じ?
 結花    何か若いっていうか、子供っぽいっていうか・・・。
 浅海    だって若いし・・・。
 結花    それって私にけんか売ってるの?
 浅海   
 (首を横に振って)売ってない。
        でも・・・まあ、ちょっとは甘えてたかも。以後、気をつけます。
 
結花    まあ、私も浅海君、頼りにしちゃってるとこあるし。
        本当にやさしくていい先生だなあとか思うし。

 浅海    だから、そういうやさしい事、言わないでって。
 (浅海が結花にキスをしようとすると、突然大友がやってきて)
 
大友    キス・・・(びっくりする二人)・・・してる。そこで。
 (少しだけ開けたドアから キスをしている金沢と畑を覗き込む高松、大友、浅海、結花)

 浅海    おいおいおいおい
 
高松    きちゃったねえ。これ。
 結花    まずいよ。覗きなんて。

 高松    何先生みたいな事、言ってんだよ。

 
大友    つうかさ、チューしてたでしょ、浅海と。
 浅海    
(驚いて結花と見つめあうが )したな、した。(そして高松を見る)
 高松    思い出すんじゃねえよ、おめえは。次ぎ言ったら、殺すからな。(と、浅海に)
 (立ち去る高松と大友)

 結花    あの・・・ほんとに高松君と・・・?!。

 浅海    ちょこ〜っと。
 結花    あ〜、誰にでもするんだ。
 浅海    なんか、師弟愛みたいな・・・。
 結花    師弟愛・・・。
 浅海    
(首をひねりながら)師弟愛。
 結花    やっぱりいい先生なのね。
校内の渡り廊下

朝---。
渡り廊下で、結花が心配そうに植物を手にとりながら・・・。
 浅海    もう朝だ。
 結花    早くしないと・・・。
        早くしないと この学校にある植物、実がならないかも知れない。

 浅海    え?
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花壇では、岡津が結花に「よくきがついたね。このままじゃ種ができないとこだったよ。」と。受粉がされていないため、植物が枯れ始めていたことを知る。皆で手分けをし、手作業で受粉作業をすることになった。
 
 我猛   雨が降っていないのです。
 浅海   雨か。
 我猛   はい、私達がここに来て もう10日がたとうとしてますが、一度も雨の降る兆候が
       ありません。
 大友   ねえ、このライターなんだけどさ。
 浅海   なんか、普通だよな。
       普通にその辺に転がってるようなライターなんだよ。

       (指に力が入らず、手に取ったライターを 浅海が落としてしまう。
       大きな音が響いて、みんながハッとして振り返る。)
 浅海   後、宜しくな。(と言って席を立つ)

 大友   こっちが雌しべだっけ。
 田代   そう、で こっちが雄しべ。
 大友   こういうのも 俺らがやんなきゃいけねえの?
 田代   楽しいよ。僕、楽しいんだ、大友君。
       僕は今まで生きてきて、なんていうか、とく・・特別には世界に必要のない人間だと思ってた。
       でも、ここでは ちゃんと僕がやるべき仕事がある。
       不謹慎だよね。みんな、大変なのにさ。

現実の世界

現実の世界で今日は、本倉高校の卒業式。三年生で卒業を目前にいなくなってしまった(漂流中)柳瀬の母の姿。レポーター達に取り囲まれ取材を受けていた。
渡り廊下

植えるべき花の種をむさぼる柔道部の二宮と伊勢谷。それを見て、今まさに真剣に緑(植物)を増やすことを考えないと生きてゆく希望を失うと、男子達は空腹と疲労jから苛立ち、諍いが生じる。が、結花から“防衛大臣”を任された美雪とトメ子がその場を通りかかり、思いの他騒ぎを諌めた。
〜後ろの方で、ぼろぼろの服を着た男の人影がちらりと移る〜

校舎の屋上

痛む傷を押さえる浅海。そこへ結花がやってくる。
       (ベンチで痛そうにうずくまる浅海)
 結花   困るなあ〜。
 浅海   何が?
 結花   今からやさしくするけど、何もしないでね。
       
       そうやさしくいう結花の肩に、浅海は目を閉じもたれかかった。

教室内

教室内には高松や大友ら。ロッカーをふと開ける畑。そこには、かつて文化祭か何かの時に撮った写真が貼ってあったことに気付く。楽しそうな皆の笑顔が、写真の向こうに並んでいた。離れ離れになった仲間、その一人クラスメートの山田の笑顔もあった。高松は、山田と最後に分かれた時のことを思い出していた。そして・・・・・一ノ瀬の顔が浮かんできた。・・・
先ほどの屋上での浅海と結花の会話の続き・・・

 浅海   ずっと気になってたんだけどさ。
       あれ、ほんと?電話くれたって。
 (地震の直前の二人の回想シーン)
 浅海   あの瞬間地震が起こって、それからずっと気になってたんだけど。
 結花   よく覚えてるね。掛けたよ。掛けたけど・・・女の人出た。
 浅海   は?
 結花   それで・・・すぐにメモリー削除。
       誰にでも チューとかしてんじゃないの?。

 浅海   してない・・・絶対してない。  じゃあ、もういいよ。信じてくんないんだったら。
 結花   信じる、信じるから、浅海君も 私の事、信じて。
       後は大丈夫。私にまかして、もう休んで。
       これ以上無理して動かないで。

 浅海   そうは行きません。
 結花   一人になりたくないんだよ。
       私と浅海君ってほら、相棒でしょ。
       だから、片割れ元気でいてくれないと困る。
 浅海   
(結花が 立ち上がって浅海に向かって手を差し出す)相棒・・・。
 結花   相棒。
廊下
      
     閉じ込められているロッカーを倒して、すごい形相の関谷が出てくる。ロッカー内で暴れ
     自力で這い出てきたのだ。

 関谷   死ぬかと思った・・・。

教室

    生徒たちが話している。

 大友   前だってさ、人殺しや強盗、山ほど起きてたじゃん。
       もっと残酷な犯罪だってさ。
 高松   お前って、前向きなのか、後ろ向きなのか よく分かんないよねえ。
 大友   かなり前向きだよ。
       俺さ、前に比べると すっげえ、積極的に生きてると思うんだよね。




       (黒板の浅海が書いた「今を生きろ」の文字を指差して)
       だってさ・・・今しかないじゃん。
       生き抜くしかないっしょ、俺ら。
       (大友の言葉に 頷く生徒達)
 高松   え、じゃどうすんの。今しかないって、それは分かるけどさ。その今を一緒に生きて
       いきたい人がここにいなかったら、それは・・・俺は どうすんだろ・・・。
 
現実の世界
     
     本倉高校の仮校舎内。一ノ瀬かおると山田。

 一ノ瀬  今を生きろ?
 山田   まあ、今言いたいことは 今言っとけ・・・みたいな。そういう意味だと思うけどさ。
       俺・・・俺、かおるの事、好きだよ。
 かおる  あたしは・・・。
 山田   いねえじゃん。もう高松は。今・・・ここにいるのは 俺なんだよ。
 かおる  高松は・・・いるもん。
 山田   どこにだよ!どこいんだよ。いねえじゃんよ。いねえだろ?!。
 かおる  私の心の中にいるんだもん。
       私だって・・・私だって、今高松に会って、いいたい事とかいっぱいあるよ。
       でも言えないんだよ。声だって、言葉だって届かないんだよ。
       どうしたらいいんだよ。行くとこないじゃん、私の言葉・・・。

保健室
    
    そのころ、保健室では痛みに苦しむ浅海。胸の傷の痛みがかなり激しい。
    その胸に巻かれた包帯に、血がにじむ。

職員室

    関谷が これからは生徒のために一生懸命頑張ると 必死に結花に訴えている。
    「きゃーーーーっ!」 
    外で寒川の悲鳴が・・・。
    廊下で倒れているぼろぼろの男。
    「私の・・・学校だ。・・・水を、水をくれ・・・。」
    顔を上げるとそれは!結花を殺害しようとしたあの若原だった。
    (※第2話で教師平沼を殺し、結花達を殺そうとしたが、浅海に反撃され逃げ去り
    そのまま行方不明になっていた。)

 結花   いったい、どこに行ってたんですか。若原先生。
 若原   とても遠くだ。遠くまで歩いて行った。
 高松   何で帰って来たんだよ。
 若原   誰もいなかった。人類は滅びたんだ。いや、違う・・・いたんだ。
 高松   どっちなんだ。
 若原   でも、あれはもはや・・・人間ではない。
       人間は、恐ろしい生き物になってしまった。
       いや、もともと恐ろしかったのだ。滅びる運命だったのだ。
 金沢   (水の入ったポリタンクを持って来て)先生、飲んで下さい。
 舞岡   もったいないじゃん。
 結花   いいのよ。飲んで下さい。(コップに水を注ぐ)
 舞岡   どうせ死ぬのに。

  (結花から、ポリタンクごと奪って水を飲む若原。だが次の瞬間、苦しみ悶えながら、息絶える。)

 結花    先生?
 高松    おい。
 舞岡    ほんとに死んだの? 
 寒川    こんなのいやーーー!(泣)

現実の世界:警視庁科学捜査研究所
    
     研究員達と 地震のシミュレーションをモニターで見て、謎を解き明かそうとする中沢レポーター。


 研究員  (略)この空間を一瞬真空状態にして、空気ごと消滅させたシュミレーションです。
     〜シュミレーション〜

 中沢    !・・・消えたんですよ・・・学校は。

砂漠(荒野)
 
 (スコップを持って歩く結花を大友が追って来て)
 大友    何してんの?
 結花    あの学校の名前のプレート落ちてたのこの辺なんだ。
        なんか、他にも手がかりが見つからないかなと思って。
        
(手伝う大友に)ありがと。
 
大友    三崎さんてさあ、浅海が好きなの?
 結花    よくわかんない。
        ほら、今ってここに大人の男の人って、浅海君しかいないじゃない。
        だから、頼りにしてるだけなのかも。
 大友    岡津さんもいるじゃん。
 結花    確かに。

 
(その時、結花のスコップが何かに当たり、手で掘り返す二人)

 
大友    何これ、壁かな?
 結花    
(プレートの文字を見て)慰霊碑・・・!?。
 
大友    お墓って事・・・?神奈川県立本倉高校。
 結花    “22人の生徒と7人の教職員の思い出に”・・・。
 大友    !何これ・・・

 
(プレートには 今漂流している生徒や先生達の名前が刻まれていた。)

 結花    あそこに学校のプレートが付いてた。
       
 (製作した年月日のところがつぶれていて)いつ立てられたのかは分からない。

 (大友は、自分の名前が刻まれているのを発見する。)

 大友    ・・・何だよ。俺、死んでんの?死んだことになってんの?

 結花    これ見たこと、誰にも言わないで。


結花ナレ  本当にここは未来だったんだ。地球が滅びる寸前の未来。
        不思議だ、このお墓を建てた人々は どうなってしまったかも
        分からないのに、お墓に名前のある彼らは こうして生きている。
        私達はこれから、どうなってしまうんだろう。
(慰霊碑を埋めなおす)

保健室

もはや手の施しようがない容態になっている浅海。全身の痙攣が始まっている。苦痛に耐え兼ね声を上げて苦しむ。その声は辺りに響くほどだった。
 柳瀬   もしかして、敗血症かな・・・・。

  (生徒らが結花を残し、廊下へ出る。響き渡る浅海の声。)

 大友    この間の傷のせいだ。畜生、俺のせいだよ。
 愛川    違うよ。私の消毒の仕方が悪かったんだよ。
 安堂    どうしたら、いいの。
 柳瀬    死ぬしかないだろ。
        なにかひどい感染症なんだ。死に至る可能性も考えられる。
        あんな風に刺されたし。もうどうせ死ぬしかないんだよ。
 高松    おめえ、何言ってんだよ。
 柳瀬    だってそうだろ。薬もなければ、医者もいない。こんな環境でどうしろっていうんだよ。
 大友    殺そうか?
 高松    何言ってんだよ、お前まで。
 大友    だって、あんなに苦しそうなんだぞ。
        俺らに何が出来んだよ。あんなに痛そうで、苦しそうで・・・。可愛そうだよ。
        だったらいっそ、早く。
 高松    バカな事、言ってんじゃねえよ。しっかりしろよ、唯!
 大友    だって、俺らだって、そのうち死ぬんだよ。

    そこへ 柔道部の生徒達がやって来て、「死ぬ奴はかってに死なせろ。」
    と言って大友達とけんかになる。
    止めに入る女性徒達。
    渡り廊下で泣いている結花。

 愛川    (柳瀬に)あんたさあ、医学部に行きたいって、言ってなかったっけ。
        医学部ってさ、知ってる? 医者になりたい奴が行くとこなんだよ。
 柳瀬    そんな事、君に言われなくても分かってるよ。
 愛川    じゃあ、死ぬしかないって、それ何?
        医者になる奴の言う言葉じゃないでしょ。
 柳瀬    じゃあ、僕に何が出来るって言うんだよ。
 高松    努力すんだよ。俺らは生きるための生き抜くための あらゆる努力をすんだよ。
 柳瀬    なんで僕が?関係ないだろ。
 高松    関係なくねえだろ!
        あいつはさ、浅海は 俺らのために努力してくれただろ。
        俺らのために 教師だからって たったそんだけの理由で 
        死ぬほどいろいろやってくれたじゃねえかよ。
 大友    そうだよ。あらゆる努力をするんだ、俺らが生き抜くための・・・。
        俺、病気の事、調べて来る。
 柳瀬    お前ら、素人に何が出来る。
        こういうのはな、素人の素人判断が 一番危険なんだよ。
        先生は・・・先生は 僕が診る。

 (図書室で 浅海の怪我について必死に調べる柳瀬)

 (ベッドに横たわる浅海を見ながら)
 柳瀬     破傷風だ。
 愛川     破傷風?
 柳瀬     傷から入った破傷風菌が毒を出して、体の筋肉が次々硬直して行くんだ。
         先生のように 早くから 全身痙攣が出る症状だと・・・
         こんな衛生環境じゃ・・・まず、助からない。


 昏睡状態の浅海・・・・。


渡り廊下

ずっと花壇のふちで結花は、夜になっても泣いていた。浅海と出会ってからのことをずっと思い出していた。
 結花    亡くなんないでよ・・・。一人にしないでよ・・・。
      
      涙が、後から後から頬をつたう・・・。

保健室
      
      保健室へ向う結花。


 柳瀬   診察してみたけど、破傷風にまちがいない。しかも病状はかなり深刻だ。
 結花   どうすればいい? 治るみこみは?
 柳瀬   まず抗生物質のペニシリンを定期的に投与しなきゃ。
 寒川   ペニシリンなら、どっかの棚で見た。
 柳瀬   でもそれだけじゃだめなんだ。・・・
       破傷風菌が出す毒を押さえる、抗破傷風ヒト免疫グロブリンがいる。
       それを投与すれば、助かると思うんだが・・・。
 寒川   でもそんなの学校にないでしょ?
 川田   じゃあだめじゃん。
 結花   ・・・探してみる・・・。
 高松   何処を?
 結花   この辺りの大きな病院のあったとことか、、まだ何か残ってるかも・・・。
 高松   あるわけねーだろ、んなもん。・・・何んもかも無くなってるのに。
 結花   でもごめん!・・・行かせて。
       可能性が少しでもあるなら、諦めたくない。



     そう言って、寝ている浅海のそばに結花はひざまづく。
     生徒たちは、部屋を出ていく・・・。
     廊下では、出てきた高松達が話をしている。


 高松   なんか、無茶言ってるよ、マッシュ。
 大友   いや、可能性は無くはないだろ。
 高松   あぁ?
 川田   どういう事?
 大友   (新幹線の中にあった、まださほど古ぼけていないライターを取り出し・・・)
       なんとなく思ってたんだけどさ、今ってそんな遠い未来じゃない気がするんだ。
 安堂   じゃあ、近い未来なの?
 大友   そう、百年先とか、千年先とかじゃなくて、もっとずっと近い・・・。
 高松   おいちょっと待てよ、それってさ・・・。
 大友   それ以上考えんな。今は それ以上深く考えんな。
       今考えても、無駄だからさ。俺、三崎さんに付いて行くわ。


     保健室内ではずっと、寝ている浅海を見つめる結花。・・・

 結花   何でだろ。たった10日しか一緒にいないのに、今、浅海君いなくなったら、
       もうどうしていいか分かんないよ。

 浅海   (ベッドで唇を震わせ、苦しんでいる)
 結花   分かんない。
       浅海君。

 浅海   (苦しそうに)何泣いてんの。
       やめてよ。かっこ悪いよ。
       そんな、そんなんだったら俺・・・死ぬみたいじゃん。

 (こぼれ落ちる涙を手でぬぐって、浅海にそっとキスをする結花)
 結花   (にっこり笑って)死なないっしょ・・・っていうか、死なせません。
 (必死に差し伸べた浅海の手が 結花の頬と唇に触れる。その手を握り締める結花)
 浅海   どこへも行くなよ。頼むよ、危ねえから。
 結花   (決意を秘めた顔で)行って来る。待ってて。
       帰って来るまで 死なずに待ってろよ。


 そう言って、保健室を後にする結花。そして声を殺して泣いた・・・。


校庭

朝になった。
結花は、大友・高木を乗せ、あるとも知れない薬を探しに荒野へ車を出した。
「頼んだぞー」「任せたぞ」「頑張ってね」と、口々に叫び見送る高松達。
固い決意の表情の三人を乗せ、荒野をひた走った。・・・

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