ロング・ラブレター〜漂流教室〜

◇1月9日(水)よりスタート フジテレビ 21:00〜21:54 毎週水曜日
データ S T A F C A S T H   P - -
あらすじ  1話   2話  3話  4話 5話 6話  7話  8話  9話  10話  11話
想い出の名シーン  1話  2話  3話  4話  5話  6話  7話  8話  9話  10話  11話
その他  1話
 
 《TVオンエア−チェック》
 想い出の名シーン 第11話
セリフチェック:アリス


とうとう、最終回です・・・。
それぞれいろんな思いでご覧になられたのではないでしょうか。
私達に向けて、放ってくれた大事なメッセージを、
しっかりと胸に受け止めて・・・。
私達も、心をこめてラストのチェキをさせていただきます・・・。
後半のストーリーは、さまざまな捉え方があるので、
画面のとおりに進行致します。したがって、後半部分の説明書きは、
極力控えていますこと、ご了承下さい。
では・・・。


砂漠
 

  突然出来た大きな地割れにより、離れ離れになってしまった結花と浅海達。


浅海     何だ?これ。
高松     ・・・嘘だろ。


   一同、目の前の巨大な地面の亀裂に言葉も出ない・・・。


大友     地割れ?
高松     (後ろを振り返って)浅海!雲来てるよ。


   後方からは、緑色の毒ガスが迫ってきている。
    その時、浅海の足元の土が崩れ落ちる。
   学校がある側には結花とトメ子、反対側には浅海たち生徒ら。
   浅海たちはこれを飛び越えなくてはならない。


結花     危ない!
浅海     飛び越えるしかないぞ。
        飛ぶぞ!飛べない距離じゃない。

柳瀬     無理に決まってるよ。落ちたら死ぬのに。
伊勢原    あんたが先に飛べよ。
浅海     俺は、最後に飛ぶ。よし急げ!
大久保    俺行きます。陸上部だから飛びます。
浅海     頼む。
大久保    あぁーーーっ!(大久保、助走をつけて無事に地割れを飛び越す。)
        やったぁ。
浅海     よし、次。
深沢     いや〜、絶対にいや。怖い、怖いよ。
浅海     落ち着け。幅跳びだと思えばいいんだよ。
        (足で地面に線を引きながら)ここが踏み切りだ。早く!
伊勢原    うわあーーー!(無事に地割れを飛び越える)
浅海     よし!急げ。
結花     急いで!
伊勢原    大丈夫だ。早く飛べ舞岡!
浅海     だめだ、こっから二人ずつ行け。
深沢     いや〜、絶対に嫌。
高松     ビビんなって。
深沢     だってあの人達落ちそうだった!
高松     手前から飛びすぎただけだよ。
        あの線からまっすぐ前をみて飛ぶんだ。下見ないでまっすぐ。
愛川     飛ぼう、サエ。
愛川・深沢  (手を握りしめ、キャーといいながら飛び越える)
浅海     よし、次。


  川田・安堂、畑・金沢、柳瀬・愛川、舞岡らが次々と無事に飛び越える。


荏田     (座り込み)出来ねえよ。ダメだ、飛べない。
田代     行こう、・・・・・大丈夫。
浅海     荏田、誰も失敗してないんだ。自信持って行け、なっ! 
田代・荏田  いくよ。いち、にの さん!(無事に飛び越える)
結花     (飛び越えてきた生徒達に)先に行っといて。
浅海     急いで!急げ!
西       置いてって。ほんとにいいの。
高松     何言ってんだよ。こう腕とかもってさ、向こうに投げるとかなんとか、出来んだろ。
浅海     無理だよ。俺がおぶって飛ぶ、いっしょに。
高松     いいよ、俺が行くよ。傷まだ治ってねえじゃねえかよ。
        唯だって、もう体力無くなって・・・・。
大友     大丈夫だよ。俺の方がお前より、幅跳べてただろ。
        俺が行く。俺が守るよ。 ・・・まじ決めたんだ。
西       大友さん・・・・。


(地割れの向こう側では)
結花     腕組もう。(そう言って、みんなと体勢を整える。)


高松     先行くぞっ。
        (高松が 無事に飛び越える)
高松     (大友に向かって)しっかり飛べよ。落ちたら一生笑ってやっからな。
大友      うるせっ。
        (クラッカーを取り出し)最後の一枚、食うよかあちゃん。




浅海     大友・・・。
大友     (西をおぶって)飛ぶよ。君は要らない人間なんかじゃないからね。


  西をおぶった大友が飛ぶ。大友の足がかろうじて向こう側の地面を踏むが 
  足元の土が崩れてそのまま落ちそうになる。大友と西を必死でひっぱりあ
  げる結花と生徒達。


  大友と西はなんとか引き吊り上げられるが、結花は苦痛に顔をゆがめる。


浅海     (地割れの向こうから、そんな結花の様子を見て)三崎さん・・・。
高松     浅海、雲が来てるぞ。


  緑色の雲が浅海の頭上に迫ってくる。
  むこう側では、結花が手を広げている。
  最後の力を振り絞り、
  地割れを飛び越える浅海。


高松    よっしゃ、早く行くぞ。


  雲から逃げるように走る生徒達。しかし結花は走れない。


浅海    三崎さん、どうしたの?
結花    浅海君、早く逃げて。
浅海    (結花をかばいながら)どうしたの。


<タイトルロール>
洞窟


  毒ガスを避けるため、入り口を持ってきた毛布でふたをし、一夜を洞窟の中であかす生徒達。
  結花の容態を皆が心配している。想像以上にその容態は悪化している。


?       なんであんな事に。
東       うちらかばって、落ちてきた瓦礫に・・・。
結花    (痛みに顔をゆがめる)
浅海    (栓抜きを渡しながら)死ぬなよな。
       約束したろ?ずっといっしょにいるって。
(痛みに耐える結花を抱きしめる)


  大友と高松が洞窟を探索しながら。


高松    ここも生き残りの棲家だったのかな?
大友    浅海。




  大友が洞窟の壁を懐中電灯で照らすと、そこには生き残った人類達の残した絵や文字が。


大友    文字?
       (灯りに浮かび上がった、緑色の絵を見て)これ、さっきの雲じゃん。
柳瀬    世界地図? 年代が書いてある。 沙・漠・化・・・。 ※「沙」と書いてあります。
浅海    (世界地図らしき絵を照らしながら)
       砂漠は内陸からどんどん広がっていった。
川田    じゃあ、2015年には 中国の砂漠が九州に上陸したって事?
田代    2015年・・・すぐじゃないか。
浅海    (雲の絵と化学式の文字を照らして)
       やっぱり化学兵器だ。
       砂漠は地球全体を覆い、食料や資源をめぐって、破滅的な最終戦争が起きた。



  東に連れられて結花がやって来る。壁には 「突然変異」や「第二人類」の文字が・・・。


学校


一方学校に残っていた我猛と岡津も、新人類についての話をしている。


我猛    あの生き物は、人から生まれたものです。
岡津    うそだろ?人とは全然、違うじゃないか。
我猛    あくまで推測ですが、医療の進歩で不治の病も治るようになり、しかし、
       気づかぬうちに人間の本来持っていた抵抗力、免疫機能が失われていった。
       地球人口が増加する一方で、環境が砂漠化や戦争による荒廃などによって、
       益々悪化し、やがてその環境にあった人類が、突然変異によって生まれ
       るようになった。
岡津    それじゃあ、今の人間は・・・。
我猛    おそらく、旧型と新型の人類は生き残りをかけて激しい生存争いとなり、
       その結果、我々旧型人類は・・・・。


洞窟


  画面は再び先ほどの洞窟。その続き・・・。


〜西の声〜(回想)
  「お前達人類は、21世紀に滅び去った。そして我々は生まれた。
  いや、人類がこのような形となって、生き延びたと言うべきか。」


東      (壁に描かれた新人類の絵を見ながら)美雪はこいつに殺されたんだ。
柳瀬    今、この世に生きている人間はこれなのか?
       僕達みたいな人間は、もう僕達しかいないのか。
       やはり僕達は滅びる運命なんだよ。
       生きる意味なんてもう無いんだよ。
結花    生きる意味はあるわ・・・・あるよ。(苦痛に顔をゆがめる)
浅海    三崎さん・・・。


  一夜が明けて、洞窟の外に出てみる大友と高松。
  あの化学兵器の産物の雲は消えていた。


高松   (洞窟の中の生徒に)おい!もう大丈夫そうだぞ。


  結花をおぶい、疲れ切った生徒達を連れて再び学校を目指す浅海。


浅海   (途中で 疲れ切って動けなくなり、座り込む生徒達に)
       よし、最後のひと踏ん張りだ。
       学校まで一気に行くぞ。頑張るぞ。
(再び立ちあがる生徒達)
西     (自分をおんぶしようとする大友に)ありがとう。もう大丈夫。


  最後の力を振り絞って歩く生徒達。


田代   (双眼鏡を覗いて)あっ!みんな、学校が見えてきた。


  学校の校門へようやくたどり着いた。
  畑・田代・金沢らが口々に「ただいま」と言いながら、門をくぐる。


高松    ただいま・・・。


  最後に、結花を背負った浅海が門をくぐる。
  学校で待っていた岡津が、座り込んだ生徒達に水を持って走って来る。


浅海    三崎さん、帰って来たよ。俺達の家に・・・。
我猛    浅海先生、関谷先生が職員室から脱出しました。
浅海    (結花をおろしながら) 岡津さん。
岡津    マッシュ。大丈夫?
大友    浅海・・。


  結花の状態がよくないのを見た大友が、関谷を探しに行こうとする浅海を
  引き止めて代わりに自分が行く。


岡津    保健室連れて行こう。
柳瀬    待って。動かさない方がいい。保健室。薬。早く。・・・
岡津    分かった。
浅海    急いでくれ。


本倉高校前(現実の世界)


藤沢が高校の前を通りかかる.。本倉高校の卒業式。


中沢記者    今来たんですか?
川和ハツ子   さっき。
中沢記者    けっこう、人集まってますよね。
          (藤沢を見つけて)あっ、どうも。
藤沢       どうも・・・あの、これって・・・。
中沢       ああ、今日は卒業式だったんですよ。
藤沢       ああ。


  新しく建てられた慰霊碑に献花し、合掌して去って行く生徒達.


川和ハツ子   あいつらにさ、あいつらに、私だけは卒業してやったぞって言いに来た。


  そう言って、慰霊碑に卒業証書を見せるハツ子。


〜回想シーン
  藤沢が渡り廊下で再びけんか騒動を起こし、
  それをかばった結花が連れて行かれる場面が流れる。


ここから、シーンは未来と過去を行ったり来たりします。


〜渡り廊下(未来)〜
  関谷が、やっと芽が出てきた花壇の苗に灯油を撒いている。


関谷     全部燃えろ、全部燃えろ。
大友     何してんだよ、おい。
関谷     全部燃やすのよ、私のものにならないなら。みんな死ぬがいいわ。
        食べ物も、あんたも・・・(いい終わらないうちに 大友に頬を叩かれる)
大友     あんたって、悲しい女だな。
関谷     大友君・・・。(大友を蹴って、彼にも灯油をかけ始める)
川田     止めて、 止めて!


  川田の声を聞きつけて、他の生徒達も駆けつける。


関谷     はははは・・・。(狂ったように笑う)
        (マッチを取り出し)みんな死ぬがいいわ。みんな死んでみんな燃えればいいのよ。


  突然、再び地震が起こる。富士山が噴火したらしい。


西      うわ、何だこれ。(現実の世界でもハツ子が「うわぁ、何だこれ」と同じことを言う。)


  ハツ子が残していったつけ爪(未来の渡り廊下の先に落ちていたつけ爪)を取ろうとして、東が手  を伸ばすと、その付け爪の先に手、腕が・・・・。


東      ハツ子の・・・手? 
 
  なんと過去にいるハツ子の手は、未来にいる関谷のところに飛んで行って
  その首を絞めつけている。


〜本倉高校高校前(現実の世界)〜

  ハツ子の左腕の肘から先が消えている。


川和ハツ子  うわぁ、何だこれ。何つかんでんの、私。



  そして一瞬ハツコの目には、過去から未来の結花達の姿が見える。


川和ハツ子  マッシュ?


〜渡り廊下(未来)〜
  ハツ子の手は、なおもどんどん関谷の首を絞め続ける。
  ついに関谷が倒れると、ハツ子の手は藤沢が拳を叩き付けて出来た壁の穴
  の中へと消えて行く。


〜本倉高校前(現実の世界)〜
  手が元に戻ったハツ子には、漂流して消えてしまったトメ子達が苦労しながらも
  必死に生きている姿が見えていた・・。


藤沢     未来・・・未来を見たの?
ハツ子    いた。あいつら生きてた。
        (慰霊碑の前で リポートをする記者に)止めろよ!死んでねえんだよ!
        奴ら生きてたよ、泥だらけで。
        学校にいたんだ。髪とか服とかボロボロで、でもみんなすっげえ汚い顔して 
        でも必死に生きていた。


畑ゆり子   お兄ちゃん。


ハツ子    うっせえよ。
        (記者のマイクを奪い取ってテレビカメラに向かって 話始める)
        私は見たんだ。見たんだよ。誰も信じないんだろうけど聞けよ!
        消えた奴はみんな生きてるんだよ。止めろ。離せ。生きてるよ。生きてんだよ。
        誰も死んでなんかいないんだよ。消えた奴は みんな生きてる。生きてんだよ。
        みんな生きてるんだよ。止めろよ。どうせ、生きてるんだよ。
        服とか髪とかボロボロで それでも必死に生きてたんだよ!


  テレビ中継されている画面に映ったハツ子を見つめるかおるや重雄。


〜渡り廊下(未来)〜


トメ子    (倒れた関谷を見て)あいつ無事だったのか?
川田     どうする?
トメ子     やり直させようよ。人生いちから・・・。
大友     だな。 もうこれ以上死人見たくねえし。
関谷     (悔恨の涙を流す)


校庭


  苦しむ結花を抱きかかえる浅海。


柳瀬    折れた肋骨が内蔵に刺さったのかもしれない。
       どうしてこんな事に。
高松    まじかよ。それであんなとこまで歩いて来るなんて。
結花    浅海君、死にたくないよ。
浅海    三崎さん。
結花    私・・・、ごめん、ごめんね・・・みんな。私・・・。
浅海    何も・・・・しゃべんないで。
結花    ごめんね。
浅海    もう しゃべんなくていいから・・・。
結花    ねえ、私 泳げてた? 泳げてたかな?
       広い・・・海を・・・いっしょに、手 つないで・・・。

浅海     (頷いて、結花の手を握りしめながら) 泳いでるよ。ずっと泳いでるよ。
         ずっといっしょに。 これからも ずっと・・・。



  結花は、浅海に微笑みかけながら静かに息絶える。


  浅海と結花の周りに呆然と立ちつくし生徒たちはすすり泣く・・・。




現実の世界(公園)


  再び目を開けた結花が立っていたのは・・・・藤沢と約束した公園だった。


結花   お待たせ。
藤沢   (びっくりしてベンチから立ち上がる)
      (結花がそして藤沢がベンチに腰をおろし)先生の声、聞こえたんだ。
      何度も 何度も聞こえた。でも俺なんも出来なくて・・・・。
結花   ううん。届いたよ、藤沢の気持ち・・・。よく頑張ったね。
      あたしね、藤沢の先生になれてよかった。
      「よかった・・・。」ずっとそれ言いたかったんだ。

      (涙ぐむ藤沢に)な〜んか、りっぱになっちゃって。
藤沢   俺もずっと言いたかった事、ある。 「ありがとう。」
      先生がいたから 俺、人生変わったんだ。
      人生は変えられるって 教えてくれたんだ。
結花   (藤沢の手の傷跡をじっと見る)
藤沢   なんだ、会えるんだったら、寿司握ってくりゃよかった。
結花   そうだね。 食べたかったな、藤沢のお寿司。
藤沢   今までどうしてたの。
結花   (満足そうな笑みを浮かべて)
       幸せだったよ。この世界に生まれてよかったって思う。
藤沢   (うれしそうな顔をして 隣の結花をみると・・・そこに結花はもういない
        びっくりして立ち上がるが、納得した顔して再びベンチに腰を下ろし空を見上げる。)


結花ナレーション   この世界に生まれて、あなたに会えて、私は幸せだったよ。 


砂漠


  浅海は、冷たくなった結花を抱きしめる。
  後から後から、涙が溢れ出てくる・・・。





〜結花との思いでの回想シーン〜
 <正月の花屋でのシーン>
  結花  「今年もよろしく。なんか、今年ちょっと縁あるらしいし。」


 <夜の砂漠に出かけ、朝、学校へ手をつないで戻るシーン>
  結花  「いっしょに生徒を守っていくんだよね。」


 <破傷風で苦しむ浅海を見守る、保健室でのシーン>


 <砂漠から帰ってきた浅海が、校門で待っていた結花にキスをするシーン>
  結花  「おかえり。」


 <破傷風に苦しむ浅海が、屋上で結花の方にもたれかかるシーン>


 <学校の昇降口で、浅海が結花と束の間の喜びに、結花の手を後ろ手にとり
  手を握るシーン>
  結花  「私達、生きていけるね。
        あなたや、大事な仲間達がいるから。」



 <朝焼けの砂漠で、くちづけをするシーン>
  結花  「ずっといっしょにいよ・・・。」

------- ※回想シーンはここまで ---------


   生き絶えた結花を抱きしめ、泣き続ける浅海・・・。


   ふと視線を砂漠の向こうに向けると、そこには無数の新人類達の影が・・・。


浅海     (新人類達に向かって)殺すのか。殺すなら殺せよ。
        弱えーんだよ、俺達は。
        お前らはさ、悲しいとかうれしいとか、誰か守るとか何か守るとか
        生きる意味とか、そういうの何もねえんだろ。
        シンプルに生きてんだろ。
        俺はダメなんだよ。弱えからさ。
        そういうの無しじゃ、生きらんねえんだよ!
        ただ生きるだけじゃ 足りねえんだよ!
        それが無駄だっていうんなら・・・
        でも、それでも俺達は生きるしかねえんだ!



  「心」や「生きる意味」は
  「生存」には 必要ない。
  「弱い生き物は・・・滅びるしかない世界だ」
  ・・・・という新人類のメッセージが浅海の心に届く。


  新人類達が 砂漠の向こうに去って行く。
  水の流れる音が聞こえて来て、振り向く浅海。


保健室


  浅海は、結花が未来へ漂流してからずっとつけていた日誌を見つけ、
  1ページ1ページ読んでいる。


教室


川田    ねえ、火山が活動してる間に戻れないの?
我猛    時空の壁が不安定な今、仮に、時空を越えることが出来たとしても 
       出口が見つからなければ、永遠にどこにも辿りつかず、
       衝撃で燃え尽きる可能性すらあるのです。
荏田    死ぬって事?
金沢    やっぱり・・・戻れないんだ。
田代    でも結局帰ってもこんな世界になるんだよ。
       戦争とかになって、もっと辛い思いをするよ。
畑      でも、俺らで未来変えられるかも知んねえだろ。
川田    そうだよ。未来を砂漠じゃなくする事だって・・・。
大友    俺らがいた頃から、砂漠化なんか始まってたじゃん。
       過去は変えられないんだよ。俺らにはさ、今しかないじゃん。


「今を生きろ、この一瞬を生きろ。」という浅海の声が聞こえて来る)




浅海    (「今を生きろ」と自分が書いた黒板の字を見て)
       俺が言ったんだよな。
       実践は辛えわ。でもさ、それでも俺ら、今を生きてるよ。
       電気つけて、種植えて。
       考え方変えてみようか。
       世界で何かが起きて、全部滅びて全部無くなった。
       きっと今ここで生きてる人間は俺達だけだ。
       だとしたら、俺達ここで生きてくべきなんじゃないかな?
       俺達は、何者かの手によって過去から未来に蒔かれた人類の種なんだよ。
       裏に川が出来た。 きれいな水だった。
       火山の影響で地下水が戻って来たんだろう。
       俺らの植物だって生きてる。
       俺らのしていく事は、少しづつでも世界を変えていくんだよ。
       それにお前ら自身もどんどん強くなっているしね。
       戻れたらって思うよ。俺だって過去をやり直して取り戻したいって思うよ。
       でも今まで俺らが過ごしてきた時間はさ・・・
       俺らの人生は、きっと一秒だって
       無駄じゃねえんだよ。
        きっと意味もあるよ。この世界で生きるためにここに来た。
        ここにいるみんなで生きようぜ、これからも。



高松    それでも 帰りたいって言ったら・・・・。
大友    翔ちゃん・・・。


  我猛が、毛布の包みの中から円筒形の筒を取り出す。


我猛    理論上では、光より早い振動を起こす事で、物体が過去に行く可能性はあります。
       しかし、そのような振動を起こすには、無限大なエネルギーが必要で
       出量から見ても無理があります。
大友    っていうか、それ何なの?
我猛    可能性は、ゼロに近いと言えます。でも次の噴火の衝撃で、無限大な
       運動エネルギーが生じると仮定して、過去に・・・飛ばしてみたいと思います。
高松    それだけ飛ぶの? 俺らもいっしょに飛べるの?
浅海    手紙・・・・書かないか。
       元の世界の人たちに・・・親とか兄弟とか・・・みんな、それぞれの大切な人たちに
       どうか・・・どうか未来が こんな世界になりませんようにって・・・祈りを込めて。



(生徒達が、それぞれの思いを込めて手紙を書く)
    結婚を報告する金沢
    看護婦になる事を決めた愛川
    総理大臣になる事を夢見る川田
    大友に助けられた事を書く西
    未来は環境破壊が起きているとつづる我猛
    母親に感謝の気持ちを書く大友
    荏田、そして大久保・・・。


高松ナレーション    (宛名に「かおる」と書きながら)
              かおるへ・・・。もし、この手紙が届いたら。  
              届いたら・・・もう、俺の事は忘れてください。
              かおるには幸せになってほしいから。


高松  (手紙の上に涙がひとしずく落ちる。そして、大友に向かって)
     お前みたいになれねえよ。お前みたいに・・・強く・・・。


  突然、教室の後ろで高松の携帯が鳴る。
  かおるからのメールで画面には「わすれないよ。かおる」とのメッセージが。


〜かおるの部屋〜
  「送信出来ません。宛先を確認してください」とメッセージが出てる携帯を置くかおる。
  そして、高松からの年賀状を手に取る。


〜教室〜
高松    (携帯の後ろに貼ってあるかおるのプリクラ写真を見て泣き)
       俺、やっぱ諦めねえわ。
       勉強して、努力して、いつか絶対会いに行く。
大友    (高松を励ますように叩いて)手伝うよ。


  教卓の上に置かれた、浅海の紙は、真っ白のまま・・・。


渡り廊下


  日誌の続きを読む浅海。しかし日誌は終わってしまっていて、後には白紙のページが
  続くばかり。だが そのノートの最後の方に 「2002年にいるあなたたちへ」と題した
  結花のメッセージがつづられていた。


西門


  門の外の池垣農園を見て、結花の言葉を思い出す浅海。


・・・・結花   「あの花が咲いたらさ、そしたら そん時、いっしょに寝よか。」・・・・・

浅海       (黄色い花に 水をやろうとして)
         三崎さんの嘘つき・・・。


結花ナレーション  「2002年にいるあなたたちへ」
            私たちは、砂と岩だけの砂漠に囲まれ、水も食べ物も、
            何も残されていない未来の世界に来ています。
            世界はいつか、そんな風になってしまうのです。
            「だから何?今がよければいいじゃない」って 
            あなたは思うかも知れない。未来がいつかそうなるなら、
            それはそれで仕方ない、関係ないって。
            でも本当は 未来は開かれている、
            未来には、人には、たくさんの可能性がある・・・。
            現になにもなくなったこの世界でも、私たちは生きています。
            希望を持って生きています。
            何故だろう。迷ったり、辛い事もあるけど、私は今、幸せです。
            そして2002年を生きるあなた達が、幸せで、
            その幸せが、長く続く事を祈っています。
            そして・・・・そして・・・。



  未来で助け合って生きる生徒達・・・
  三崎フローリストで働く重雄・・・
  寿司の出前をする藤沢・・・の場面が、結花のナレーションのバックに流れる。


浅海     (屋上から 遠くに噴煙を上げる富士山を見ながら) 
        地球は生き返る・・・生き返れ・・・生き返れ。


校庭


※このシーンでは、過去と未来が行ったり来たりします。
実験装置を取り囲んで並ぶ浅海と生徒達.


浅海    火山噴火でそれに伴う断層や雷のエネルギーが 空気中に放電するだろう。
       それが伝導率の高いこの筒だけに集中すれば、ただたとえ飛んだとしても
       いつどこに届くかわからない。でもこれがちゃんと誰かの手に届いたとしたら、
       俺らの目の前から消えた瞬間に、世界は変わるかもしてない。



  我猛が、生徒達から手紙を受け取り筒に入れていく。そして結花の日誌も入れられた。


大友    まじで・・・・・?


  実験装置に火花が散り、倒れこむ浅海達。円筒が帯電していく。


浅海     どんな未来が来ても、懸命に生きよう。
        俺達の未来のために・・・・・。



〜本倉高校グランド(幻想:山口P)

   つぎの瞬間、気が付くと浅海は、(過去・幻想)の校庭に立っていた。
   いつもの情景。これが現実のものなのかそうでないのかはわからない・・・。
   茫然としながら校舎に入り、自分の教室、2年C組に向かう浅海。
   次々と漂流してた生徒達とすれ違う。授業の始まりを知らせるチャイムがなり、
   浅海が教室に入る。するとそこには、結花の姿(幻影かもしれない)が・・・。


浅海        (結花を抱きしめて)三崎さん・・・ごめんね。
           俺達は生きるよ・・・いいよね。 俺、間違ってないよね。

結花       (浅海を見つめてにっこり微笑み、おでこを浅海の額にぶつける)
浅海結花 (再び抱きしめあう)


〜未来(漂流中)の校庭〜

  つぎの瞬間、浅海は再び未来の筒を飛ばす瞬間に意識が戻っている。
  実験装置が作動して、円筒は時空間に消えていく。
  その過程で、円筒、そして生徒達の手紙も粉々になってしまう。





冒頭のカフェテラスシーンへ


  このドラマの冒頭シーン。
  出会ったばかりの結花と浅海が、カフェテラスで楽しそうに話をしている。


結花     想像してみるんだ。そうだな、たとえば危機的状況、船が難破して 彼と私が
        こう広〜い海に投げ出されたりとかして、そういう時に、ああ、この人だったら
        どうするんだろうとか、想像して見るの。



冒頭のシーン、ベンチに腰掛けている浅海


  ベンチに座って、自分の携帯電話で結花から教えてもらった携帯番号を確認する浅海。
  その時 空から雪片のようなものが降ってくる。その一片を両手でキャッチしてじっと見
  る浅海。
  もしかしたら、あの皆が書いた手紙の切れ端かもしれないし、結花が書いた日誌のもの
  かもしれない・・・。


三崎フローリスト


結花        (浅海と分かれて帰って来る)ただいま。
重雄       おかえり。
結花       (携帯が鳴って)もしもし・・・。
浅海(電話声) もしもし。あの・・・今の今でなんなんですけど、会えません?
           あの〜もうちょっと話したい事あって。 はい、 うん。



  浅海のベンチのそばを、あの甘栗の袋を持った女性が通り過ぎて行く。
  ※冒頭の第1話では、この甘栗を持った女性が、浅海の携帯を盗んだことで、
   結花と会えなくなってしまう。が、ここのシーンでは、その女性はそのまま
   通りすぎていく。


浅海       (笑いながら)じゃあ、ゆっくりと、はい、は〜い、後で。


  浅海の手には、先ほど降ってきた紙切れ(手紙)の断片が3枚手のひらに乗っている。
  それぞれの紙片には 「だけの砂漠」「どうか今を」「未来をきっと」と書かれた文字が読める。


結花ナレーション
  「2002年にいるあなたへ」
   何もかもあるその時代にだって、迷ったり、悲しいことはいっぱいある。
   でも、どうか今を大事にしてください。
   あなたの今は、その思いは、時間を越えて、きっと明日へと続いて、未来をきっと、
   変えてくれる。
   心を込めた、長い長い手紙のように・・・・。




横浜みなとみらい




   橋の上で、ライトアップされた帆船を見ながら、結花を待つ浅海。
   後ろまで近づいて、足踏み(ステップ)して知らせる結花。
   振り向いて、同じく足踏みして答える浅海。
   そして、照れたようにほほえみあう二人。
   二人の恋は、再び(新たに)ここから始まっていく。


エンドロール


  今までの回想シーンが流れる。
  最後に漂流した本倉高校の校門から見える砂漠の風景が、青々とした緑に変わっている。











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