《TVオンエア−チェック》 |
第4話 |
セリフチェック:アリス/yuma
(部分チェキ:NUAN) |
廃墟内・・・ |
廃墟で若原に首をしめられ絶体絶命の結花の手元の壁がくずれた。結花は、手につかんだ“物”を渾身の力で振り上げる。それは、生徒・藤沢隆太(妻夫木聡)の想い出の栓抜きに似ていた。西あかねは気を失い、高松も負傷する。そして追浜が、結花にナイフを振り上げた瞬間、ようやく浅海が飛びこんできた。
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浅海 |
(追浜の手からナイフを奪い取って)何やってんすか。
(若原に)先生・・・生徒命がけで守ろうって言ったの、先生じゃないですか。
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お前、ハンカチか、何かあるか。(そう言って、高松の傷の手当てをする) |
追浜が、若原が去って行く・・・。若原に「・・・先生。」と浅海が声をかけるが、もはや振り返ることもなかった。
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浅海 |
誰が・・・誰がこんな世界にしたんだ。 |
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(崩れおちる結花に浅海が駆け寄って)三崎さん。 |
結花 |
マジ死ぬかと思った。 |
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結花ナレーション |
本当に、誰がこんな世界にしてしまったのだろう。
私達は、生きることの喜びに満ちた、そういう世界で生きていたつもりだったのに。 |
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ヨコハマのホテルの一室・・・ |
ホテルの一室には、結花の父、一ノ瀬、山田がいた。結花達の声がするという壁に穴をあけ、布とビニールで包んだあの栓抜きを穴に入れ終わったところだった。
重雄 「結花、結花!がんばれよ。」
そして一ノ瀬と山田がホテルを後にし、歩きながら・・・・
一ノ瀬 「「バカだって分かってる。あんなのが高松に届くはずないって、そんなの
分 かってるよ。でも、バカみたいって分かってても、何もしてないと苦しいんだよ。苦し
くて どうにかなっちゃいそうなんだよ。怖くて、悲しくて、もうやってらんないよ。」
と、高松への思いに胸が張り裂けそうだった。 ※部分チェキ:NUAN
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学校へ戻ってきた浅海たち・・・・ |
車で戻ってくる浅海、結花、高松、西。
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浅海 |
着いたぞ。 |
高松 |
いてえ・・・。 |
浅海 |
大丈夫か? |
高松 |
恨むからな。このまま戻れなくて、この間のが最後のキスになったら、俺、お前のこと、一生恨むからな。 |
浅海 |
(後部座席のドアを開けて結花に)そっちは大丈夫? |
結花 |
何とかね。 |
浅海 |
何で何にも言わねえで勝手に動いたりするんだよ。 |
結花 |
緊急事態だったのよ。現実はそんないろいろタイミングよく行かないのよ。ドラマとか映画みたく・・・。 |
浅海 |
は? |
結花 |
それに、あなたが私を助けに来るタイミング?。あれだって、普通のドラマで考えたら5分は遅いわよ。 |
浅海 |
え? 何それ。 |
結花 |
だって、普通もっと早く来ない?。私がこんな、こ〜んなになってたりとか、こんなもの(栓抜きを見せて)を振り回して自ら戦う前にさ、ほとんど自分で戦ったんだよ。最後にちょ〜と来ておいしいとこだけ持ってくなんてさ・・・。 |
浅海 |
すいませんでした。 |
結花 |
えっ、いや・・・冗談です。・・・助けてくれてありがと・・・ございます。 |
浅海 |
(栓抜きを指差して)何持ってんの? |
結花 |
これ?よく分かんない。生徒のに似てるんだ。あの待ち合わせしてた生徒の栓抜きに・・・。その子、これ持ってけんかしてた。それで、私が殴った。 |
浅海結花 |
あっ!(と二人、同時に叫んで、車の中に置き去りにしたまま生徒、西あゆみのところに駆けつける) |
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学校に戻ってゆく結花達の姿を、高台から見つめる3人の影。
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ll::::::ll::::::ll:::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll:::::: タイトルロール :::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll |
t |
愛川 |
なんで先生達(若原・追浜)、あんなになっちゃったの? |
浅海 |
大人ってさ、いつも決められた価値観の中で生きてんだろ。だからこの非常識な現実を受け止めることが出来なかったんだよ。だから現実から目をそらした。そりゃ、そうだよな。こんなの、誰だって理解出来ない。 |
大友 |
じゃあ、なんで浅海と三崎さんは平気なの? |
浅海 |
子供なんじゃん、きっと。 |
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教室 |
自転車に蓄電池の装置を取り付け、電気を充電する事に成功した池垣らに感心する結花。そして実習室で見つかった食料を使って、結花が中心となって食事の支度をするが、炊飯器なしで炊いたご飯は“おかゆ”そのもの。
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安堂 |
これっておかゆ? |
結花 |
そうよ。そういう事。 |
浅海 |
あのな、こういう時は、ご飯にしちゃうともう、こんなちょっとずつになっちゃうから、こうやっておかゆにして膨張させて食べた方がいいの。 |
岡津 |
そうだよ。懐かしいなあ。そういうもんだったよね。 |
荏田 |
これだけなんですか。 |
池垣 |
おい、それ言うなうよ。みんな、同じだろ、我慢してんだよ! |
浅海 |
おい、池垣・・・おい。 |
池垣 |
自分の肉でも焼いて食ってろよ!(苛立つ生徒達) |
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保健室 |
保健室で眠っている西あかね。隣のベットに高松。そして大友がいた。
[おまけのチェキです。↓※部分チェキ:NUAN] ※何気ない高松くんの演技が絶妙です
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高松 |
死んでんの? |
大友 |
いや、寝てるだけだろ。襲うなよ。 |
高松 |
襲わねぇよ。寝てる子を襲うほど、困ってないつうの。
(保健室のドアをノックする音) |
大友 |
はい。 |
則香 |
失礼します。(お盆に食事をのせて入ってくる。)これ、高松さんと大友さんと、その方の分です。
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高松 |
ありがと。えー...
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則香 |
のりかです。のりって呼んで下さい。(ニコッと高松に微笑む)
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高松 |
(小声で)のり。
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大友 |
ありがと、のりぴー。(お盆を受け取る)
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則香 |
いえ。
(のりか、高松に再び微笑んで出て行く、高松も頭を下げる。)
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高松 |
お前、ぴーってなんだよ、ぴーって。
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大友 |
(寝ている西あゆみの方を見て)その子の分、食べていいかな。
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高松 |
いや、だめだよ。
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大友 |
今の子ね、翔ちゃん狙いだよ。
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高松 |
マジで?
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大友 |
(うなづきながら)わかる。でもさ、俺たちずっとここで暮らしていくんだからさ、やっぱ、こん中で女選ぶことになるじゃん。俺、三崎さん狙おうかな。
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高松 |
俺は帰るよ。絶対、元の世界に帰る。
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大友 |
帰れんのかよ。 |
高松 |
知らねぇよ。でも、来たからには出口だってあんだろ。
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教室 |
夜・・・。消灯し、皆は教室の床にざこ寝している。
ゴミ箱に自分が漂流前に捨てたおにぎりを、拾い出してひそかに食べる荏田。それに気が付いた我猛・・・。
我猛 「誰も、あなたを責めません。」
そこへ浅海がそーっと入ってきて、眠っている結花を起こす。
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浅海 |
よく寝られるね。こんなとこで。 |
結花 |
取り柄なの、どこでも眠れるの。 |
浅海 |
(うつむいて笑う。そして声を殺して)デートしよう、今から。 |
結花 |
えっ? |
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辺りが真っ暗な校舎の外 |
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結花 |
何でこんな時間にデートするわけ。 |
浅海 |
生徒がいる時にするわけいかねえだろ。 |
結花 |
そういう問題じゃなくて。電池だってもったいないじゃん。 |
浅海 |
大丈夫、ほら例の自転車で充電出来るようにしたから。いやさ、月の砂漠でデートってのもロマンチックかな〜と思って・・・。 |

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結花 |
(煌々と輝く月を見上げて)ほんとだ。 |
浅海 |
さっきのってさ。 |
結花 |
何? |
浅海 |
あれほんとは炊くの失敗したっしょ。いや、なんか芯あったしさ。 |
結花 |
認める。炊飯器じゃないものでご飯炊くなんて、小学校のキャンプの時以来。 |
浅海 |
へえ〜。 |
結花 |
何、喜んでんの。言っとくけど、私 家事って得意なの。料理も洗濯も・・・。 |
浅海 |
右ストレートも・・・。 |
結花 |
こんな事言うためにわざわざ呼び出したわけ?! |
浅海 |
まあね・・・嘘。二人になりたかったんだ。
ほら、あいつらといる時はさ、俺がしっかりしなきゃってなんか緊張してるし。こうやって三崎さんと二人でいると安心するっちゅうか・・・。 |
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足元気をつけて・・・。 |
結花 |
大丈夫だって・・・・あっ!(足を取られて、倒れる結花) |
浅海 |
あ〜あ・・・だから言ってるじゃないですか・・・あっ! |
浅海も 足を取られて、結花の上に倒れ込む。見詰め合う二人。結花が目をそらすとそこには 半分砂に埋もれた本倉高校のプレートが・・・)
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浅海 |
(校門にプレートをはめ込んで)ぴったしって感じ。 |
結花 |
あの地震の時に落ちたのかな? |
浅海 |
こんな離れたとこに? |
結花 |
そうだよね。それに、昨日の朝見た時、なんかもっと普通だったと思う。すごいボロボロじゃん。学校の周りがこんなになった時の衝撃で、これも落っこちてボロボロになったとか・・・。 |
浅海 |
つうか、これ、落ちたとか衝撃とかそういう瞬間の痛み方だけじゃなくない? なんつうの、なんかこの錆びかたとかさ、ほらよく博物館に展示してある、歳月を経て古びたとか、そういう感じ・・・。 |
結花 |
もしかしたら、今私達がどうなってるか知るためのすごく重要なものかも知んない。 |
浅海 |
(懐中電灯で照らしながら)なんか書いてある。 |
結花 |
22人の思い出・・・・。 |
浅海 |
22人・・・これって・・・。 |
結花 |
さっきのとこ、戻ろう。まだなんか埋まってるかも。 |
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(シャベルで 掘り返す二人) |
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やがて日が昇り、朝焼けの光が頬を照らす。
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結花 |
朝だ・・・。 |
浅海 |
(仮眠から目覚めて立ち上がりながら)あいつらが、起きる。 |
結花 |
すご〜く印象的な初デートだったね。 |
浅海 |
超〜ロマンチックでした。 |
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朝になり、とうとう水が止まってしまう。一様に不安がる生徒たち。一方、関谷も食料を盾に大友や生徒らを誘惑。辰巳ら生徒の一部が寝返ってしまう。
そのころ保健室で休んでいた高松が、あの廃墟で首をしめられていた時、一瞬一ノ瀬かおるの声が聞こえたと語る。
高松 「俺さ、まじ死ぬかと思った時さ、かおるの声、聞こえたんだよね。」
池垣 「一ノ瀬?」
高松 「そう、あいつが俺のこと、呼んでた。」
(ホテルで栓抜きを埋めるシーンが流れ、その夢に目覚めるあゆみ)
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教室で |
浅海 |
よし、出席取るぞ。まず1年、大久保晃弘、我猛翠 寒川則香、深沢サエ。2年、愛川京子、安堂千里、池垣文也、伊勢原正志、荏田雄一、大友唯・・・。 |
安堂 |
トイレに行ったまま、帰って来ません。 |
川田 |
トイレって流れるの? |
安堂 |
流さないんじゃん、男子って。 |
浅海 |
じゃあ、次、金沢真紀、川田咲子、高松翔、田代仁、辰巳寛人、西あゆみ、二宮恵太、畑圭司、舞岡あずさ・・・・(呼ばれた後、舞岡が教室を出て行く。) |
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残るは、3年の柳瀬だけか。 |
結花 |
じゃあ、全部で20人。(浅海がノートに20人と書き込む) |
大友が 憮然とした様子で入って来る。
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愛川 |
どうしたの、大友君。 |
畑 |
何そんなに息切らしてんの。 |
大友 |
なんでもない。 |
浅海 |
今日は、前にお前らが見つけた新幹線を見に行ってみようと思う。 |
結花 |
岡津さんの車で5人は乗れるから、浅海先生と後4人。誰か、行きませんか?(誰も手を上げる生徒はいない) 何、誰もいないの?。
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畑 |
おお、誰か行けよ。このままじゃ、飢え死にだよ。 |
二宮 |
だったらおめえが行けよ。 |
畑 |
はっ?うっせえよ。のど渇いて動けねえんだよ。 |
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その時、廊下から 「キャー、誰か助けて〜!」と悲鳴が聞こえて来る。浅海達が駆けつけると 関谷が パンを盗もうとした舞岡を人質に・・・。そこへ結花達が悲鳴を聞いてかけつけた。
結花 「一人でそんなに食料をせしめてどうするんですか!」
関谷 「生き延びるの。(略)あたしと大友くん、二人で生き残るのよね。」
1項に舞岡を離そうとしない関谷。舞岡を羽交い締めにしながら・・・
関谷 「若くて美しいだけで、充分罪なのよ。」
結花 「なら私、いきます!。その子を放して!私が身代わりになります。」
関谷 「あなたはいいわ。・・・若くないから。」
結花 「!?なんですってぇ!」(浅海ほか、皆のくすくす笑い)
「何?!・・・何笑ってんの。」
そんなことをしているうちに浅海は、落下してきた靴に気づき、拾い上げてふと屋上を見上げると、そこには絶望した柳瀬が・・・。
教室では大友が、食料をネタに関谷に願えるよう迫られていたと語る。
[↓おまけのちぇきです※部分チェキ:NUAN]※大友君いいです。
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安堂 |
大友、あんた、まさか、関谷に寝返って、パンとかもらったんじゃないで しょうね。 |
高松 |
唯...お前、まさか。 |
大友 |
うっせえな!セックスしたらパンくれるって誘われたんだよ。 |
結花 |
本当?!
(皆一同、顔を見合わせる。) |
結花 |
で、したの? (なんて、なにげに思わず聞いている結花。!?) |
大友 |
してねーよ。
(一同、ほっとするところが何とも言えません。) |
結花 |
あの人、本当に好きなんだ、大友君のこと。
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大友 |
1年の時にさ、あいつ、女子にいじめられて泣いてたんだよ。一人で、教 室 で。かわいそうだから、大丈夫ですかとかって声かけてさ、そしたら、次
の 日、なんか、プレゼント届いてさ、今じゃ、ほぼストーカーってかんじだよ。
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結花 |
そういうことか。
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一方屋上では・・・ |
柳瀬が、屋上の塀にまたがって飛び降りようとしていた。そこへ浅海がかけあがってくる。
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柳瀬 |
来るな!こんなの・・・もう死んだ方がましだよ。 |
金沢 |
(浅海の後からやって来て 塀にまたがり)私も死ぬ。私だってもうこんなところやだ。怖いよ。家に帰りたいよ。ママに会いたいよ。ママもパパもいなくなって、うちも無くなっちゃて、私・・・。私 もうどうやって生きていいのかわかんないもん! |
浅海は、すばやく二人を塀から引きずり降ろした。
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浅海 |
おまえら・・・やっぱ、死ぬのはもったいねえよ。
生きてればさ、生きてる限りは希望はあるよ。きっと、意味だってあるよ。
だって何があるかわかんねえんだから。もしかしたら、俺らが元の世界に戻る方法、分かるかも知んねえし・・・。もしかいたら 今頃お前らの友達とか、家族とかさ、別の惑星に移住して 楽しく暮らしてるかも知んねえし。
いつかお前らに会いに来るかも知んねえし。それに、お前ら死んだら、俺が寂しいよ。ほら・・・(と言って手を差し出し、泣きじゃくる二人を抱きしめる) |
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一方、渡り廊下。あの藤沢隆太が事件を起こし、結花が藤沢をかばって栓抜きで殴った場所・・・。栓抜きを握り締め、あの事件のことを思い出していた。
結花ナレーション「ここに何かがある。何か答えが・・・。でも、それが何なのかはわからなかった。」
“MASH錯乱“と書かれた文字を見つめる。
結花 「これ、あたしがやったことになってんだ・・・。」
ふと、床に落ちていた赤いストラップを拾い上げる結花。その視線の先になんと、水をしたたえたプールが目に飛びこんでくる。水に喜ぶ結花。そして生徒達もプールサイドへ駆けつける。プールサイドではまたしても関谷のじゃまがはいるが、そこに関谷のクラスの生徒・高木美雪と東トメ子が現れる。おびえる関谷を、二人は目障りだからとロッカーに閉じ込めてしまう。
そして食料を独占し隠していた英語国語科準備室へ。そこで生徒達を仕切ろうとする高木達と対立する結花。そこへ用務員の岡津がやってきて、結花のあだ名が「マッシュ」だったという事が判明。※↓この部分チェキ:NUAN
結花「あのね、マッシュルームカットだったの、先生になったばっかん時。生徒にバカにされて、きのことか、えのきとか言われて、すぐに髪型
を変 えたんだけど、あだ名はすでにマッシュで定着。そういうこと。」
「マッシュ」は生徒7人を殴り倒したとか、懲役を受けたとか、伝説の人物に
なっていた。必死に否定する結花。
高木と東を入れて、これで「22人か」とつぶやく浅海。
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教室 |
プールサイドへ行っていた皆が戻ってきた。教室には西あかねが一人待っていた。あゆみは、結花と高松に自分の見た夢の話をはじめた。 ※↓この部分チェキ:NUAN
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西 |
あたし、ずっと夢を見てました。
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高松 |
夢? |
西 |
そう、とても変な夢。夢の中では、元の世界に戻っていて、眼鏡をかけ たお じさんが結花という人を捜しているの。そしてそのおじさんは、一ノ瀬さん
と... |
高松 |
一ノ瀬?
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西 |
そう、B組の一ノ瀬かおるさんと一緒に栓抜きをホテルナビオス横浜の 壁に 埋める...そんな夢。
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女子ロッカールーム |
学校が漂流する前、一ノ瀬かおると最後になってしまったあの日のできごをを思い出していた。最後に渡された小さなプレゼントの小箱。そこには一ノ瀬のロッカーキーが入っていて・・・そのロッカーをあけると、そこにはブルーのマフラーが。高松はそのマフラーを握り締めていた。そこへ浅海が通りかかる。
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浅海 |
可愛いじゃん。 |
高松 |
ほんとに(?)・・・俺、あいつに何もやれなかった。俺、すっげえ〜好きだったんだよね。いつもいっしょにいてさ、くだらねえ事ばっかしゃべってて・・・。俺、そうやってずっといっしょにいられると思ってた。あいつになんも残してやれなかった。すっげえ中途半端。さよならも・・・好きとかも・・・そういうことなんもまともに言えなかった。俺って何なんだよ。
(すすり泣く高松の頬を、両手で挟む。浅海らしい愛情表現・・・) |
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かおるの家では母の話によると、本倉高校は市の施設を借りて来週から授業を再開するという。高松からの年賀状を握りしめて泣くかおる。
“今年も、これからも ずっとよろしく。”と書かれた年賀状・・・。
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学校の屋上で・・・ |
結花 |
考えてみたんだけど、太陽あるじゃん。それに昨日の夜、月も見えた。という事は ここってやっぱ、地球だね。 |
浅海 |
(にこっと笑って)火星・・・とか思ってた? |
結花 |
何、何笑ってるの。私は 別の惑星とか火星とか、ありとあらゆる可能性を考えてただけじゃん。 |
浅海 |
だよね。・・・あらゆる可能性がある。 |
結花 |
だから、今目の前にあるものだけが確実・・・でしょ?。 |
浅海 |
(頷く) |
高松と畑がやってきて
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高松 |
浅海。やっぱ俺ら行くわ、新幹線見に。 |
浅海 |
(高松に向かって)お前、腕大丈夫か? |
高松 |
(かおるのマフラーを首にまいている) 大丈夫じゃない?ちっとは痛いけど・・・。あっ、そうだ。何でマッシュなの? |
結花 |
えっ!聞かないで、言いたくない。 |
畑 |
いいよ、いいよ、いいよ、岡津さんに聞こうぜ。 |
高松 |
だな・・・ハハ |
結花 |
(行こうとする二人に) あのね。マッシュルームカットだったの。先生になったばっかりの時。 |
高松 |
うそ! |
結花 |
ほんと。生徒に馬鹿にされて、きのことか、えのきとか言われて、すぐに髪型を変えたんだけど、あだ名は すでにマッシュに定着。そういう事。 |
畑 |
笑える。 |
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校庭 |
砂漠に向かう浅海を見送る結花。
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結花 |
行ってらっしゃい。学校の事は心配しないでね。 |
浅海 |
俺さ・・・ |
結花 |
うん。 |
浅海 |
俺・・・三崎さんのこと好きなのね。 |
結花 |
へ?何それ。 |
浅海 |
いやあ〜わかるでしょ。そんなの最初から。だけど、今ってこうじゃん。で・・・こういう状況でさ、やっぱ俺教師だし・・・。俺とか三崎さんとかがあいつらのファーザーになってやんなきゃなんねえって思うんだよね。あの・・・三崎さん、マザーでもいいんだけど・・・。だから、俺諦めるわ。やっぱ、そういう関係になんのは良くねえ |
結花 |
ファーザー? |
浅海 |
あの・・・三崎さん、マザーでもいいんだけど・・・。だから、俺諦めるわ。やっぱ、そういう関係になんのは良くない。 |
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高松と畑を乗せて、浅海の運転する車が出て行く。結花のところに 他の生徒達が駆け寄って来て・・・
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安堂 |
何話してたの? |
結花 |
告白された。 |
田代 |
うっそ〜! |
結花 |
だけど振られた。 |
金沢 |
まじで? |
安堂 |
ラッキー! |
大友 |
ちょっと待って、告白されたけど、振られたってどういう事? |
安堂 |
男って独りよがりってことっしょ。そういう人、好き〜。 |
結花 |
私は嫌い。 |
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地表に刺さった新幹線にたどり着いた浅海たち。そして中へ入っていく。
小高い砂丘から学校を見つめる不信な三人の影。やがてその三つの影は学校を目指しひた走る。
結花ナレーション 「砂に囲まれたこの場所で、私達は何とか忘れないでいようとした。 ささやかな希望。でもそれは砕かれようとしていた。」
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