ロング・ラブレター〜漂流教室〜

◇1月9日(水)よりスタート フジテレビ 21:00〜21:54 毎週水曜日
データ S T A F C A S T H   P - -
あらすじ  1話   2話  3話  4話 5話 6話  7話  8話  9話  10話  11話
想い出の名シーン  1話  2話  3話  4話  5話  6話  7話  8話  9話  10話  11話
その他  1話
 
 《TVオンエア−チェック》
 想い出の名シーン 第10話
セリフチェック:アリス
(yuma) 

朝焼けのキス
   “ずっといっしょにいよ。
    ずっとずっと これからも”


手をつないで学校へ戻る浅海と結花の姿・・・。




学校へ戻る浅海たちの頭上に、やがて不穏な雲が流れてくる。


結花     何か雲が出てきたね。
浅海     今日の夜さ、いっしょに寝ない?
結花     ・・・・。
浅海     ホラ、何か、寒くなって来たし・・・
        それに今日ぐらいまでしか持たねえかも・・・体力的に。

結花     ・・・何それ。
浅海     だめ?


家庭科実習室
 

  生徒達の前には、最後の食事のおかゆが並んでいる。


結花     これが取り合えず最後の食事になります。
浅海     緊急用食料、盗まれたり、持ち出されたり、今までよくもったよな。
        後で最後のクラッカー配ります。
        みんな自分が今だと思った時に食べるように。
        で、こうやってみんなで、並んで、いっしょに食事するのは、しばらくお休みです。

安堂     そういえば、最初にみんなで食べたのもおかゆだったよね。
浅海     そうだったな。
        (結花をみながら) ちょっと、芯があったけどな。

大友     これが最後の食事か。
田代     いっしょに食べるのも楽しかったよね。
大久保    大事に大事に食べないと。
高松     泣くなよ。
大友     勝負はこっからだ。
結花     そう。ここからがほんとの自給自足。
        雨水と畑に出来た野菜を少しずつ食べよ。

畑       あのさあ、話があるんだよね。
        俺・・・俺、(金沢を指しながら) こいつといっしょになるわ。
        そのうち、子供も作る。だから、お前らこれから先、誰もこいつに、手出すなよ。
高松     子供?
金沢     何一人で決めてるの。
畑       うっせえ〜よ。俺じゃ、悪いのか?
        お前が、前から普通に、結婚とかしたかったって、ずっと言ってたから。


  「パパ」とか 「まじかよ」とか 生徒達から声がかかる。


結花     そうだよね。今は何にも無いけど、未来に希望はある。
        生きてんだから。これから先、二十歳(はたち)の君達も三十の君達も、
        パパやママの君達もありえる。

大友     パパの俺ね。悪くないっすね。
浅海     じゃあ乾杯しようか、俺達の未来を祝って。


  みんな、水の入ったグラスを持って立ち上がる。


浅海     ではでは、(畑に向かって)新郎の、あなたに音頭をとって頂きます。
畑       (少し照れながらグラスをかかげて) 乾杯!


  生徒達が、口々に「乾杯!」と言いながらグラスを合わせる。


   浅海と結花、大友と高松、畑と金沢、伊勢原と舞岡・・・他の生徒達がそれぞれ
   グラスを合わせる。 大友と高松は、影膳を添えた池垣のグラスにも、自分達の
   グラスを合わせる。
   それぞれの思いを胸に、最後の食事をする生徒達。
   そんな生徒たちを、いとおしく眺めている浅海。


浅海ナレーション  俺は、今なら自信を持って言える。
                 こいつらの教師でよかったって。ここにいるみんなといっしょに学んで、
                  運命を 共に出来て、俺はほんとはラッキーだって、
                ・・・そんな風に言いたかったけど、
                 なんか言ったら泣きそうだったから止めた。



砂漠


   シャベルで砂漠を掘り起こしている浅海と生徒達。


浅海     何もねえな。
高松     俺もさ、いつか、ここで好きな娘とか見つけられんのかな。 
        なん・・・て・・なあ・・・
        (結花を見ながら)浅海どうなんだよ。上手くいってんの?
浅海     無理して忘れる事ねえんじゃん。
高松     うっせえな。そっちはどうかって聞いてんだよ。
浅海     いつかまた会えるかもわかんねえし。
高松     ほんとかよ。
        お前 俺の話聞いてんのかよ。
  

  その時、「キャー!」という川田の声が聞こえて来る。


岡津     おい、人がいるぞ。
  

  半分砂に埋もれて、人が倒れている。


結花     二宮君?
浅海     二宮だ。二宮!(首に手を当てる。) まだ生きてるぞ。二宮!
結花     二宮君。
浅海     二宮。
二宮     (息も絶え絶えに) 学校?・・・ ここ、学校?
岡津      そうだよ。本高はあっちだよ。
結花     どこ行ってたの?みんな心配してたんだよ。
浅海     辰巳どこ行った?
二宮     天国・・・・天国で会ったよ・・・
         富士山の見えるところに天国が・・・。


  二宮の言葉に驚いて、顔を見合わせる生徒達。


浅海     天国?・・・。


ill::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::  タイトルロール ::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll


  教室-----。


  浅海や結花が入って来る。


畑      天国って、何なんだよ。
田代    富士山の見えるところに、天国があるって言ってた。
川田    そう、天国には、水も食料もいっぱいあるって。
安堂    じゃあ、みんなでその天国に行けばいいじゃん。


  他の生徒達も 口々に 「天国に行けばいいんだ。」と叫ぶ。


高松    おい、ちょっと待てよ。天国あるんだったらさ、学校戻って来ねだろ。
       おかしいよ そんなの。
愛川    (教室に駆け込んで来て) 先生!西さんが、変なの。


他の教室


西     (大友にすがりながら)気味の悪い生き物が見える。
      
大友    大丈夫だよ。 大丈夫だから。
西       見たこともない、大きな、暗い、灰色、の生き物・・・
大友    生き物?
西      怖い、私の中に入って来る。
結花    西さん!

  西の意識が、ぱたりとなくなる。


大友    西さん
浅海    おい、大丈夫か?!
西     (突然起き上がる。)
結花    西さん。
西      お前達人類は、21世紀に滅び去った。
       そして我々は生まれた。
       いや、人類がこのような形となって、生き延びたと言うべきか。
       たとえば 人類とは何か?
       人類という器に水が完全に溜まりきった時、それが初めてわかる。
       溜まった水は引く事はない。
       別の場所へと流れ出て、また新しい水溜まりを作る。
       これが我々だ。(そう言ってまた 気を失う)
大友    西さん・・・
高松    何だ?今の・・・



菜園


  野菜の苗がみんな枯れている。


浅海     しおれてる。
大友     急に寒くなったからだよ。
浅海     いや・・・学校の中の土も汚染されてきたんだろう。
高松     じゃあ、どうやったって植物は育たないって事かよ。
浅海     もっと強く育てる工夫をしよう。
荏田     いちからやり直しなの?
大久保    もう もう終わりですよ。
畑       うるっせいよ。まだ全部枯れたわけじゃねえだろ。
結花     (思いつめたような表情で)私・・・西さんの様子見てくる。
浅海     (結花の後を追いかけて)三崎さん、夕べもあまり寝てないっしょ。
        いっしょに少し休みなよ。
結花     ありがと。


教室


  寝ている西の隣に、疲れきって横たわる結花。


結花     もう止めて・・・・
        地球を汚さないで・・・。未来は、生きていく事のできない砂漠になってしまった。
        お願い・・・。これ以上汚さないで・・・。


現実の世界


  すし屋の出前中の藤沢の耳に、結花の声が届いた。


結花   “これ以上汚さないで・・・。”


藤沢   ?!(驚いて、あたりを見渡す。)
結花   “わたし達、このまま死ぬしかないの?”
藤沢   先生?・・・先生、先生?!先生!!・・・。


  学校の跡地へ不法投棄をする男たちを見つけ、殴りかかる藤沢。


藤沢   このやろう!!やめろよ!何やってんだよ!


  学校の消えた穴を覗きこむ。


藤沢   先生?! 先生?!
男      そんなとこ、誰もいるわけねーだろ!!
藤沢   聞こえね−のかよ!てめー、聞こえね−のかよ!泣いてる声がよ!。
      苦しんでんじゃねーかよ!。死んでねーだろうが!


  そこへパトカーの音。逃げさる男たち。警官の声が近づく。


結花   ”何もなくなっちゃった・・・。”


藤沢   先生!先生!泣いてんだよ!
警官   落ちつけ!落ちつくんだよ!
藤沢   泣いてんだよ!もう汚すなって泣いてんだよ!


そこへ、結花の父がやってきた。


重雄   (藤沢に向って) 止めなさい!止めなさいって。
      自分の人生無駄にするな。
藤沢   でもこいつら!
重雄   止めなさい!
      (警官に向って) すいません。ここの学校の元生徒で、ちょっとナーバスに。
      ほんと、すいません。


  そして、重雄と藤沢。帰り道・・・。


重雄   久しぶりだね。
藤沢   俺・・・俺の人生は、先生に救われたんです。
      俺・・・、さっき・・・先生の声が・・・。
重雄   私も聞こえたんだ。私にも、結花の声が・・・聞こえた。
藤沢   先生・・・先生・・・「先生。」


  この最後の「先生。」という藤沢の言葉が、寝ている西の口から発せられる。
  思わず飛び起きる結花。


結花   藤沢?!


校庭


  二宮の言っていた「天国」という言葉に全てを掛けて、学校を出て行く生徒達。


高松    (必死に止めようとしながら)マジかよ、お前ら。ちょっと待てって!
       あんな言葉信じんなよ。天国なんてあるわけねえだろ!


  何かにとりつかれたように「天国」があることを信じて、高松の制止を振りきり出て行く生徒達。


高松    ちょっと待てよ!お前ら。おい、待てって言ってんだろ!
浅海    三崎さん、俺やっぱあいつらと・・・
結花    (浅海の声をさえぎって)行かないで。
       ・・・なんてね・・・嘘。・・・行ってらっしゃい。絶対帰って来てね。
       全員連れて。ここがあたし達の家なんだから。
       ここで学校守って待ってる。

浅海    (辛そうな顔で頷いて) 俺、やっぱ怖えよ。一瞬でも離れんの。
結花    あの花が咲いたらさ・・・私達が育ててる植物の花が咲いて、学校の周りに
       緑が戻って、そしたら その時・・・いっしょに寝よか?
       ほんとの家族になってみるとか。どお?



   ポケットから栓抜きを取り出し、じっと見つめ浅海に渡す。


浅海    (栓抜きを受け取り、結花をじっと見つめ、生徒達の後を追う。)


砂漠


  ”天国”に向かって歩き続ける生徒達。


高松     俺もう帰るぞ。アホくせえ。
浅海     (西をかばいながら歩く大友に) どうした?
大友     西さんもいっしょに ”天国”行きたいって。
川田     そんな!学校に残ればいいでしょ?!
        こんなとこで足手まといになるのに・・・。
大友     なんねえよ。


浅海ナレ−ション  みんな、信じていたいんだ。
             どこかに、わずかにでも希望が隠されていると・・・信じていたいんだ。
             何も無くなってしまった今、俺達を動かしているのが、
             そのわずかな希望でしかないとしたら、
             それが消えた時には、いったいどうなってしまうんだ。



深沢      (崩れるように座り込んで) ダメ、もう サエ動けない。
荏田     俺も。
高松       おい、しっかりしろよ。
田代     もう置いて行こうよ。
高松      そうは行かねえだろ。
伊勢原    だったら お前がそいつらおぶって行くのかよ。
舞岡       生きる気の無い人は勝手に死ねばいい。
浅海      (荏田と深沢に)立て。自分の力で歩け。


 浅海の言葉に、荏田と深沢が再び立ち上がって、みんなといっしょに歩き出す。


教室


 自転車を漕いでる高木美雪と東トメ子.


結花     高木さん達行かなかったんだ。
東       あんな奴のいってる事信じるわけねえだろ。
高木     あたしが信じるのは あたし自身の信念と具体的な結果だけだ。
結花     なるほど、頼もしい事。
        (教室に入って来る我猛を見て) 我猛さんも?
我猛     後少しで、過去に戻るヒントつかみそうなんです。
東?     過去?
結花     あっねえ、我猛さん、ツォン・・・ツォンシって、どういう意味?
我猛     ツォンシ?・・・ツォンツ。
        (黒板に「種子」と書きながら) 
         種子(しゅし)、 種(たね)です。
結花     種・・・・・?


砂漠


   力尽きて、次々と倒れこむ生徒達。とうとう浅海も、座り込んでしまった。
   空には満月。皆いつしか疲れ果て、眠りにつく。


渡り廊下


  隠れて野菜の苗を食べている二宮が、何かに驚いて振り返る。


東      何やってたんだ、てめえ。はは〜ん、やっぱ、嘘ついてたのか。
高木    うちらだまそうなんて百万年早え〜んだよ。
二宮    ひぃ〜〜!(恐怖に引きつった顔で叫ぶ)


  夜の学校を見回る結花に 「ウワァー!」と言う二宮の叫び声が・・・。


  二宮が血だらけになって、息絶えている。その光景を目の当たりにしてしまった美雪は、
  その巨大な未知の人類に向っていく。
  

東      危ねえよ、美雪。
高木    うっせえよ。
       (シャベルを持って構えながら) 私はこの学校の防衛大臣なんだよ。
       オリャ〜!(”人類”に向かって行く)


  シャベルが飛び、高木が投げ出されたところへ、結花が駆けつける。


結花    高木さん!
       高木さん、大丈夫? 高木さん?!しっかりして!高木さん!



  結花が振り返ると、そこには赤く光る眼のようなものを持った異様な生き物が・・・。


結花    来ないで!(懐中電灯を投げつける)


  「見たこともない、大きな暗い灰色の生き物」という西の声が流れる。
  そこへ、我猛と岡津もやってくる。
  地面を揺らし、生き物が去って行く。


結花    高木さん。
高木    (結花に気づいて)何なんだ、あいつ・・・悔しいよ。
       悔しいけど・・・かっこ悪く・・・無かった・・・(そう言って、息絶える)
結花    高木さん。
東      美雪・・・美雪!
結花    高木さん・・・。
東      美雪〜!
 

  再び、地面が大きく揺れる。倒れそうになる岡津と我猛。
  上から ブロックが落下し、東をかばおうとした結花の背中に当たる。
  苦痛に顔をゆがめる結花。


岡津     マッシュ!


三崎フローリスト


  県の職員が、重雄を訪ねてきている。店の奥に藤沢の姿も見えている。


重雄     慰霊碑・・・ですか?
職員(女)  はい・・・こちらとしては、出来るだけ早く着工したいと思っております。
        お嬢さんの結花さんも、元はこちらの高校の先生だったと伺って、
        よろしければ、いっしょにお名前をと・・・。 
重雄     申し訳ありませんが、お断りします。
職員(男)  費用は、県の方で負担しますので、心配ありませんよ。
重雄     いや、そうじゃないんです。生きているからです。
職員(男)  は?
重雄     慰霊碑は 亡くなった方のために建てるものでしょ?
        私は、娘が、未来に生きてると信じてる。
        だから必要ないんです。いつか、帰って来ますから・・・。
職員(男)  ・・・わかりました。(もう一人の職員と帰って行く)
藤沢     未来・・・。
重雄     ようやくニュースも出なくなったと思ったのに。
        (新聞を手に取って) 静岡県にさ、大きな森をひとつ潰して、レジャーランドが
        出来るらしいよ。


  新聞にはレジャーランド「ワンダーヘブン」造成の記事といっしょに 「”森を守れ”住民猛反発」と
  いう周辺住民や環境保護団体による反対運動の記事も載っていた。

 
重雄     結花はさ、未来は砂漠になってるって・・・そう言ってたよね。
藤沢     はい。そういう風に聞こえました。
        未来なんて・・・。俺なんか・・・何も出来ねえよ。
重雄     希望は捨てるなよ。
        今しかないって、よく言うけどさ、そう出来ない時だってあるんだから。
        いつかは届くかも知れないから。気持ちも言葉も・・・。
        だから、長く持ち続けるのもいいんじゃないかな?


  「いらっしゃいませ」と声をかけられて、中沢記者が入って来る。


重雄    あっ。今度は何の取材ですか。
中沢    (重雄にお辞儀をしながら)辞めたんです、会社。
重雄    えっ?
中沢    あの、本を書こうと思ってるんです。
重雄    本?
中沢    (生徒達の写真を貼ったアルバムを広げながら)私・・・・
       この子(大友)も、この子(高松)も、一回も会った事もないのに
       皆さんの話を聞いているうちに 何だかもう知り合いみたいに思えてるんです。
       今頃、どうしてるかなって・・・。彼らの事、もっと追いかけたいんです。


  アルバムには、漂流している生徒達の生き生きとした写真が貼られている。


重雄     (結花、そして浅海の写真を見つけ) この人は?
中沢     数学教師の浅海先生です。生徒にとても人気あった先生で・・・。
        でも、この方だけ身寄りがなくて。


  〜お正月に 浅海が三崎フローリストに結花を訪ねて来た回想シーン〜


重雄    もしかしたら結花はこの人が連れて行っちゃったのかもしれないな。
藤沢    (重雄の言葉に驚き)え?
重雄    いや何となく・・・ね。
藤沢    (アルバムの浅海の写真を覗き込み、複雑な表情をする)


砂漠


  一夜が明け、日が昇る。目を覚ます浅海。


浅海   生きてる・・・・よね・・・。

  再び、力無く歩き始める生徒達。


大友   あれ・・・富士山?


  遠くに富士山らしき山が見える。しかしその形はあまりにも変わり果てている。


高松   でも方角的には間違ってねえんだろ。
柳瀬   (頷く)
浅海   あれが富士山?噴火で形が変わったのか。
田代   じゃあ、”天国”はどこ?
畑     ああ?!


  畑が進んだ方向の先に、砂に埋もれて廃墟と化した遊園地が見える。


浅海    遊園地だ。


廃墟の遊園地内


  荒れ果て建物の中を探索する浅海達。


田代    (懐中電灯に照らされた「WONDER ・HEAVEN」のプレートを見て) ヘブン?
       て・・・天国?
高松    天国って遊園地の事なのかよ。
浅海    こんなもんが残ってんのか。


  突然、案内役のバーチャルガール(フォログラム)が現れて説明を始めた。


VG    テーマパーク・ワンダーヘブンへようこそ。
      ここは、未来をモチーフにした画期的な新しいタイプのアミューズメントパークです。
田代   (コインゲーム機の中のお菓子を見つけて) あ! お菓子だ。


  狂ったようにガラスを叩き、お菓子を取ろうとする生徒達。しかしゲーム機はビクともしない。
  動力が切れている。高松が棒で叩き壊そうとするが、それでもガラスは壊れない。


VG    あなた方には、科学の力によるすばらしい未来が待っています。
      科学の力、すなわち、人類の知恵の力。
      未来になると、石炭・石油・原子力に代わる、新しいエネルギーが発見され
      砂漠は、緑の野原となり、海底は開発され、人口問題、食料問題は
      すべて、解決されます。科学技術の目覚しい進歩は、公害問題をも解決します。
      地上は 楽園となるのです。
高松   嘘だ!全部砂漠じゃねえかよ〜!(そう叫んで棒をVGに投げつけ、へたりこむ。)
VG    未来になると・・・・(同じ説明を繰り返している)


  その時、突然地震が起きて建物が大きく揺れる。倒れこむ生徒達。


浅海    (立ち上がって)帰るぞ、学校に。
舞岡    動けないよ。
安堂    もうどこで死んだって同じじゃない。
浅海    同じじゃねえだろ! 思い出せ。俺達には帰る場所があるんだよ。
       忘れんなよ なあ。俺達がこっち来てから過ごした時間。
       こんな・・・こんなまやかしみたいな天国なんか無くったって
       何も無くったって 帰る場所があるだろうが!
       俺達には、大切な仲間と過ごした学校があるじゃねえか!
       あの学校は俺達にとって家なんだよ。
       いいか、みんなで・・・ひとり残らず全員で帰るぞ。



  そう言って学校に戻り始める浅海。壊れたVGが機械的に説明をリピートし始める。


高松    (ポケットから最後の一枚のクラッカーを出し、食べ、立ち上がって)俺、帰るわ。
       池垣農園に、水やんないと。
大友    俺も帰るわ。こんな場所に住みたくねえし。(そう言って、西と出て行く)


保健室


  目覚めた結花が ”人類”のことを思い出し、思わず起き上がるが、
  昨日怪我したところに激痛が走り、思わず顔をゆがめる。


渡り廊下


  東トメ子のところに結花がやって来る。


東     あいつ(高木美雪)もハツ子のところに行ったんだ。


  結花の視線の先には、「高木美雪、ここにあり」と書かれた石が墓石替わりに置かれている。


東     あたしだけ・・・置いてかれちゃったよ。
      (涙ぐむ結花に)泣くなよ。どっちかというと、誉めてやれ。
       あんたにずっと憧れてたんだ。
       一年の頃からさ、よくいっしょに(藤沢の開けた)あの穴見て、あんたの話してたんだ。


校庭


東    (砂漠へ歩く結花を追いかけてきて) おい、どこ行くんだよ。
結花   迎えに行く。地震でみんなが心配だし・・・。


教室


岡津    ああ、あのばけもの、いったい何なんだ。
我猛    未来の生き物、それと・・・・(「脊椎動物の進化」という題名の本を閉じる)


職員室


  ロープで縛られた関谷が、必死に足ではさみを引き寄せようとしている。


砂漠


  必死に学校へ戻る生徒達を追いかけるように、奇妙な緑色の雲が進んで来る。


大友    雨降んのかな。
高松    富士山の方から雲来てる。
大友    でも雨雲って色じゃ?? 
浅海    雲にしちゃ妙な動きだな。


  浅海達を迎えに行くために、懸命に歩く結花と東。

  疲れ切って歩く生徒達。


浅海     (荏田がいない事に気づいて)おい荏田どこ行った。おい荏田どこだ。
高松     何かあの黒いのこっち向かって来てる。
畑      風が追い風なんだろ。逆よりましだよ。


  雲がどんどん迫って来る。


浅海     高松。
畑      (荏田を見つけて)あ、来た。あれ。
荏田     (必死に走りながら) 苦しい(?)
金沢     何であんなに必死に走ってるの?
浅海     どうした。大丈夫か。
荏田     (咳き込みながら)あの雲、すっちゃった。
        目が痛い。目の前が真っ暗で。 
柳瀬     (懐中電灯で瞳を照らしながら) 目、開けて。目、開けて。
        瞳孔が収縮している。
浅海     あの雲、雲じゃないぞ。人間が作ったガスだ。科学兵器だ。
        急げ!逃げろ! 走れ!



  懸命に砂漠を逃げる生徒達。浅海は、荏田を背負う。


高松     急げ!
大友     頑張って。
西       もう、私なんか置いてって。
大友     うるせえ!そんな事言ってる閑あったらさっさと歩けよ。

  大友が西を背負って歩き始める。


高松    おい早くしろよ。
浅海    頑張れ!
       どうした。

田代    あっちに避難できそうな洞窟がある。
浅海    よし行こう。走れ!急げ!
田代    (こっちにやって来る結花達を見つけ) あ。
浅海    三崎さん。
結花    浅海君だ。
浅海    こっち来んな!そこで待ってろ!
       俺が行くから。そこで待ってろ。

結花    (訳がわからずに頷く)やっと、会えた。


  その時、再び地震が彼らを襲った。地面に叩きつけられる生徒達。
  地震が収まり、立ち上がった彼らは、目の前の光景に言葉を失う。


浅海    何だこれ。
高松    嘘だろ。


目の前には、地震によってできた巨大な地割れがぱっくりと口を開けている。
亀裂のむこう側には結花と東。
なすすべもなく呆然と立ち尽くす生徒たち。
亀裂が浅海と結花の間に立ちはだかることに・・・。



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