結花 |
想像してみるんだ。例えばナンカ 危機的状況。船が難破して、彼と私が、こう広〜い海に投げ出されたとかして・・その時に『あぁ〜この人だったらどうするんだろう』とか想像したみるの。そうすると何となくイメージ湧いてくるのね。『あ〜もしかしてこの人って陸まで泳ぐ体力ないかも』とか、『溺れながら 保険の事考えてそう』とか、『仕事の書類 拾おうとして結局沈みそう』とか。 |
浅海 |
よえ〜! そんな人いないっしょ。 |
結花 |
いないかなぁ? まぁ、イメージ。 |
浅海 |
う〜ん、それでどうなるの? |
結花 |
つまり、誰も強くないんだよね。だから好きにならない。結局皆 死んじゃいそうで。 |
浅海 |
なるほど! |
浅海ナレーション |
彼女とは さっき出会ったばっかだ。 |
初めて出会った本屋での回想シーン |
本屋で、たまたまお互い「失われた時をもとめて」という文庫本に手が伸びる・・・。 |
カフェテラス回想シーンにもどって |
浅海 |
じゃぁ〜どう言うのが理想? その広い海で溺れた時 |
結花 |
うぅ〜ん、手 つないで共にタクマシク泳ぐ・・みたいな |
浅海 |
『ナンカ、彼が彼女命懸で救って、死んじゃう』とか・・・ |
結花 |
それ嫌なの。一緒に生きていく。一緒に強く生 きてく人。そう言うのが理想。・・・まぁ、今の私にそんなドラマチックな事なんてあり得ないけどね。豪華客船も乗らないし。」
※浅海コクッと頷く |
浅海 |
結局 今って何が大切なのかわかりづらい時代なんだよ。 ナンテ・・・
|
結花 |
ナンテね! |
|
|
浅海ナレーション |
俺達は他にもなんかそう言う、なんか普通じゃあんま、マジに話さない様な くだらない、無駄ゆえに楽しい そう言う類の話を沢山して、そして別れた。・・・彼女と会ったのは その1回だけで。
|
派出所での回想シーン |
浅海 |
携帯番号だけでも戻ってきませんか?・・・
きませんよね・・・。※うなだれる浅見。 |
浅海ナレーション |
その瞬間、俺は、彼女を永遠に失った。
おろしたばっかの三万円なんかぜんぜん比べもんになんね−くらい・・・痛い。・・・喪失だ・・・。 |
〜結花も、電話をかけるシーン・・・でも浅海は出ない・・・〜 |

|
2001.年末 |
あれから2年後、浅海は本倉高校の数学教師になっていた。
年末、担当クラスの教室でホームルーム・・・。
|
浅海は、そんな一年前に失った恋の話を生徒に語る。
そして、高校時代に触れた「時空科学」を持ち出してきて熱弁。
|
浅海 |
それで、それっきり!って感じ。あれから1年経ったけど、まぁでも 、彼女に何があったか分かんねぇ〜しな。(終業のチャイムが鳴る。)携帯 象に踏まれたかも知んないし・・・、元々 会う気無かったかも知んないし・・・。それでは、今の話の教訓は何か言ってみろ。 |
生徒は口々に茶化すが・・・それでも続ける浅海先生。 |
浅海 |
今の話の教訓は こう言う事。
※『今を生きろ』と黒板に書く。 |
三次元空間X.Y,Zというさん三つの軸を縦・横・底辺として宇宙空間が広がって出来ていて、そこに時間軸“t”が発生。更に瞬間の時間と時間をつなぎ合わせるラインLargeX(ハテナと読んでいた)。自分達が生きているのはそれぞれが交わる1点。この一瞬であると解く。
|
浅海 |
俺さ、ここ、この一瞬で失敗したんだよ。
あん時、携帯聞いたりとか そんなまどろっこしいことしねで もっとストレートに動きゃ良かったんだよ。たとえば ん〜 次何処で会うとか、次いつ会うとか、好きですって花渡すとか・・・。 |
くだらないと、男子生徒達が立ちあがり帰ろうとする・・・。 |
浅海 |
大友、お前ら普通に帰るな、普通に。高松 ちょっと、ここ立って、気をつけ、チュウするぞ。 |
高松 |
はっ?
(高松にキスをする、驚く高松) |
|
何すんだよ。 |
浅海 |
なっ!未来に何があるか、わかんないっしょ。 |
高松 |
そんな事、聞いてねんだよ。 |
浅海 |
ちなみにお前は、俺とチュウをしたという過去も永遠に消すことは出来ない。つまり、過去も未来もお前の手の中にはない。 |
高松 |
ふざけんなよ。 |
浅海 |
ただし 救いがあるんだよ。今というこの一点だけは、お前が生きている限り お前の手の中にあるんだよ。 |
高松 |
今・・・。 |
浅海 |
そう、今。今だけが確実。息も出来るし、キスもできる。だから、今を生きろ。まあ、今という一瞬も、未来から過去へと常に留まることなく流れて行くんだけど。砂のように サラサラと俺らの手の中を通り抜けて行くんだけど。
だからこそ今、今、この手の中にある一瞬をつかみとる・・・(高松が 浅海に倒れかかる)
|
|
危ねえな。 |
高松 |
なんかさ 今なぐらしてくんねーと後悔するよ。 |
浅海 |
お前なかなか 飲み込み早いかから ここにステイ。
※といって、高松の方を押さえて座らせる。 |
|
はい 2001年のホームルームは以上、2002年も宜しく。 良いお年を〜 (体育舘では 終業式が行われている) |
ミサキフローリストシーン |
花束の注文が、本倉高校から入った。初めての注文ながら、・・・ちょっと戸惑うが結花が作り届けることに・・・。
|
浅海ナレーション |
思えば あの日から すべてが象徴的だった。
「届かない言葉」「沈む船」「砂のように流れる時」
時間がまっすぐなんて 誰が決めたんだ。 |
ll::::ll::::ll::::ll::::ll::::ll:::: タイトルロール: :::ll::::ll::::ll::::ll::::ll::::ll |
花屋で花束を作る結花。
そして学校では、新年早々1月7日の補修授業の告知を見る生徒たち。
浅海クラスは、大友・高松含む7人。そして関谷クラスでもテストのカンニングをしたという事で再試の美雪を含む3人。
その3人は、腹いせに1月7日、学校へ侵入しテストを盗む相談・・・。
一方、職員室で先生達の会話から、三年前の学校内での乱闘事件のことを知る。女教師と生徒の・・・。
そのころ結花は、花屋を手伝い始めて以来はじめて、花束を父から任される。その送り主は本倉高校からだった。そして、大友の家へ花を届に行く。送ったのは関谷。その名前を聞き受け取ろうとしない大友。が、「もしその花、受け取らなかったらどうなるの」という大友の言葉に結花が、「すてるしかないですね。でも、そういうことってあるんです。・・・」と。その姿を見ていて・・・受け取る大友。そして結花は、受け取りのサインをもらいそのまま本倉高校へ集金に向うことに。・・・
画面は変わって、学校内。浅海先生が廊下を歩いているときに、一人の女学生・安藤に呼びとめられる。
|
廊下での会話 |
安藤 |
あっさみ! あっ!浅海先生。進路の事で相談があるんだ。後でいい? |
浅海 |
うん、いいよ。いいですよ。 |
安藤 |
じゃあね。 |
先輩教師 |
まあ、人気があるってことはわかるけどね。 |
浅海 |
ほんと言うと、良くわからないんですよ。教師の役割みたいな事。 |
先輩教師 |
いざという時に 生徒を命がけで守る、いざというときに 生徒のファーザーに成れる・・・それが 教師と呼ばれる時代もあった、ロングアゴー。 |
そして、進路指導室で女生徒と浅海先生・・・ |
浅海 |
どうすんだよ進路。 |
安藤 |
わかんない。わかんないから聞いてんじゃん。 |
浅海 |
まあな、その年じゃ将来なんかわかんねえよな。 |
安藤 |
だから、浅海って好き。 |
浅海 |
だからちゃんと考えろって、言ってんの。おれもさ〜 高校の時はわけわかんないでさ、適当に自分の成績に合うところ受験して大学行ってもさ、別にやりたいことも無くて・・・。その時にたまたま時空幾何学って講義受けたのね。ん〜 たとえば、直線と曲線の世界線の固有時間は、直線が(?)なのに一番長いのね。そういうのとかすげ〜面白いな〜とか思って。で、その研究続けたかったんだけど・・・何してんだよ。 |
浅海先生が窓の方を見ながら話をしている間に、何と安藤が上半身のセーラー服を脱いて・・・。
結花が歩いていると、廊下を歩いていた結花に「安藤」「キャー、嫌だ先生」と言う声が聞こえてくる。・・・
安藤が浅海先生にのしかかるようにして押し倒したかっこう。
|
浅海 |
ごめん。 |
安藤 |
いい、別に好きじゃなくても。 |
浅海 |
いいじゃなくって 言うこと、聞けって。 |
(といって、浅海先生が態勢を起こし、安藤が逆のかっこうになった瞬間・・・。結花がドアをガラット開けた・・・。
|
浅海 |
あ、あれ、あの、俺、ずっと前、本屋で・・・。 |
結花 |
お久しぶり。 |
浅海 |
久しぶり。あの、っていうか これは・・・。 |
結花 |
失礼しました。 |
〜結花を追いかける浅海先生・・・〜 |
浅海 |
すいません。あの・・・誤解しないでくださいよ。 |
結花 |
なんで追いかけんの。 |
浅海 |
ちょっと待ってよ。 |
結花 |
なんで追いかけんの。 |
浅海 |
待てってば、いいから話聞いてよ。 |
結花 |
なんで私を追いかけるの。 |
|
何も見てませんし、関係ないです。別に邪魔するつもりもないし。 |
浅海 |
いいから、聞けって。あ、すいません。あの・・・誤解される困るっていうか・・・。 |
結花 |
ちょっと頭の整理をしてもいいですか? |
浅海 |
はいどーぞ |
結花 |
ここの先生? |
浅海 |
はい。 |
結花 |
ここの生徒? |
浅海 |
はい。 |
結花 |
だいたいの事は分かりました。 |
浅海 |
いや、分かってないと思う。だから違うんだって、向こうがね・・・ |
結花 |
はい?!今あなた生徒のせいにしました?! |
浅海 |
はっ? |
結花 |
あなたって、何者?じゃあ、言わせてもらいますけど、私が思うに生徒と教師においては常にどんな関係であれ教師のほうにより大きな責任あると思うんです。向こうが向こうがって、それおかしいでしょ。あなた恥ずかしくないわけ、教師として。 |
浅海 |
だから違うんだって。本当に彼女が一方的に・・・。 |
結花 |
一方的に?!そうは見えなかったけど。もしかして自分が生徒にもてるとかそういう風に思ってるの?もてないのよ。もてるのなんて学校の中だけ。外出てみなさいよ。教師が世間知らずで給料安いのなんて世の中、みんな知ってる。 |
浅海 |
おい! |
結花 |
おいって何、だいたい、なんなの?!さっきの女教師もあなたも・・・。あなた達みたいなだらしない教師がいるから、子供が大人を舐めるのよ。 |
浅海 |
(大声で)おい!いいから聞けよ。 |
結花 |
はい、何でしょ。 |
浅海 |
あんたこそ誰? |
結花 |
はあ? |
浅海 |
何で、何やってんの。何うちの学校に来て教師論、語ってんの? |
結花 |
行こうとして呼び止めたのはあなたでしょ。 |
浅海 |
俺はさ、こう見えても俺なりに誇りもって教師やってんだよ。別に良い教師だとは思ってないけど。あんたみたいな一回会っただけの女にあ〜だこ〜だ言われる筋合いはねえよ。 |
結花 |
良い教師どころか、『淫行教師』じゃん。私の方こそ、あなたみたいな最悪の教師にあんたなんて呼ばれる筋合いありません。 |
浅海 |
・・・『淫行教師』・・・あんたが最悪だよ。 |
結花 |
何それ。 |
浅海 |
最悪、最悪、マジ最悪だよ。こんなんだったら、二度と会わなきゃ 良かったよ。俺はさ、あれからずっと・・・。
(女性徒達が 「良いお年を」と声かけて、帰って行く) |
浅海 |
(女性徒達に手を上げて)良いお年を・・・・ |
結花 |
電話・・・・してこなかったじゃん。・・・
さよなら、二度と会わないと思います、今度こそ。(結花が帰って行く) |
教師 |
どうした、浅海先生 |
浅海 |
いや、別に |
教師 |
あれっ?、あれ三崎せんせいじゃないですか |
浅海 |
先生? |
年が明け、新年2002年元旦。結花は友人と初詣へ出かける。引いたおみくじがよかったことから、上機嫌でミサキフローリストへ戻ってきた・・・。
|
ミサキフローリストでのシーン |
|
(父・重雄「駅伝、どうなったかな」と言いながら 戻って行く) |
結花 |
ううん(咳払いしながら) |
|
いらっしゃ・・・・(浅見が入ってくる) |
浅海 |
どうも(お辞儀しながら)正月なのに店開いてんすね。
明けましておめでとうございます。 |
結花 |
(無言でお辞儀する) |
浅海 |
なんか今日、無口だな。人が違うっていうか・・・
俺 謝ろうと・・・ |
結花 |
昔さ、私が中学の時に こういう迷信があってさ、新年の一番最初にしゃべる男の人とはその一年間、縁があるみたいな |
浅海 |
ああ |
結花 |
しゃべっちゃった・・・ |
浅海 |
まさか、まだその迷信、信じてるとか |
結花 |
まさか・・・(戸惑う結花) |
浅海 |
信じてんだ |
結花 |
ほっといて、好きなの、占いとか迷信とか・・・ |
|
(重雄が出てくる) |
結花 |
お客さん、若い彼女に新年のプレゼントだって。 |
父 |
俺、小石川さんとこ(聞き取れず)、配達行って来るから。 |
結花 |
あ、私行くよ。 |
父 |
いいよ着物だし。、ごゆっくり。 |
結花 |
お父さん、お父さん、 はい(かばんを渡す) |
父 |
ああ 頼むよ。 |
結花 |
いってらっしゃい。
(振り向いて)なんですわってるの |
浅海 |
いや お父さん、ゆっくりって・・・ |
結花 |
正月なのに閑してんだ。 |
浅海 |
閑でしょう、普通。冬休みだし。 |
結花 |
なんでここを。 |
浅海 |
平沼先生に・・・ |
結花 |
ああ |
浅海 |
俺さ、俺 生徒とやったりしませんよ。三崎先生。 |
結花 |
どっちでもいいです。別にもう私、先生でもないし。 |
浅海 |
じゃあ、三崎結花さん |
結花 |
名前、覚えてるの? |
浅海 |
失くしましたわ、前の携帯。090 2527・・・こっから先がどお〜しても思い出せなくてさ。だからかかってくるといいなあとか、ず〜っと思ってたんですけど。かかってこねえでやんの。 |
結花 |
うそ〜 |
浅海 |
嘘なんかつかねえよ。ひどくない? |
結花 |
別にどっちでもいいもん。一回会っただけだし。 |
浅海 |
だからよくねえって言うの。ちゃんと信じて。 |
結花 |
なんで私があなたを信じるの? |
浅海 |
俺、あんたが生徒殴ってあの学校辞めたとか、信じてないよ。 |
結花 |
そういう風に言われてるの、私。 |
浅海 |
(うんと頷いて) 違うでしょ。 |
結花 |
ううん、そう、殴った、殴られた・・・どっちでもいいか。 |
〜結花と藤沢隆太との 事件の回想のシーンが流れる〜
|
結花は当時、藤沢隆太(妻夫木聡)というフダツキの仲間と喧嘩に明け暮れる生徒をかばって、退職させられた事を語る。再三喧嘩を注意し、藤沢がやっと仲間から抜けると約束した直後、腹いせに悪仲間に学校へ乗りこまれ乱闘。それを結花が、「わたしがやった」とかばったのだった。
【このシーンのセリフ 追加チェックNo.1】
|
結花 |
で辞めさせられたって訳。もともと向いてなかったのかも・・・私が生徒を救えるのなら(?)と あの頃思ってて、悔しくてさ今は ちょっと 後悔してるけどちょっとじゃないか、凄く後悔・・・ |
浅海 |
俺 やっぱ、嘘ついたかも? |
結花 |
えっ? |
浅海 |
二度と会わなければって。あれ、嘘だから。ず〜っと会いたかったんだよね。ま、あんなとこであんなふうに会って今さらあれなんですけど。でもまあ 会えたからよかった。いきなりなんですけど・・・(客がきて 話が途切れる) |
結花 |
ごめん、なんだっけ。 |
浅海 |
いいや 帰ろう。 |
結花 |
あっ!ちょっと待って。(浅海に チューリップを一本手渡しながら)はい、今年も宜しく。なんか今年、ちょっと縁あるらしいし。 |
浅海 |
(店の外で)俺がもらってどうすんだよ |
浅海ナレーション |
それから俺は全部で5回、その花屋にいったけど、結局彼女とは一回も会えなかった。そして・・・・ |
2002年1月7日・本倉高校 |
始業式1日前の1月7日。浅海、浅海クラスの補習生7人+数名、関谷クラスの再試のテストを盗みにきている3人、大友目当ての関谷、そして年末に花代を踏み倒された結花らが、この学校にきている。ふと、校内で結花の姿を見つけ、探し回っている浅海・・・。
|
 |
一方、3年前校内の乱闘で結花にかばってもらった生徒・藤沢が、結花に一本の電話をかけてきた。結花の意に反し学校を辞めてしまったが、反省と自責の念から、すし屋で見習いとして一生懸命頑張ってきたのだ。そしてようやく一人で任される仕事が出来るようになったと・・・。「先生に、最初に食べて欲しい・・・。」と。結花は、藤沢と会う約束をする。
【このシーンの追加 セリフチェックNo.2】
|
本倉高校校内に戻って、廊下でのシーン |
結花を探している浅海、ふと女子トイレにいないか覗いている浅海 |
高松 |
浅海?何やってんの。 |
浅海 |
やっぱ、今とか生きてみようと思って。わかんねぇ、わかんねぇけど、俺がんばるわ。 |
高松 |
あ〜俺もわかんね。 |
浅海 |
はあ |
高松 |
わかんねけど、なんか女ってさ、たまに可愛いよね。 |
浅海 |
ああ、まあ、確かに。お前 その年でそれが分かってればかなり優秀だよ。 |
高松 |
まあ補習だけどな。 |
浅海 |
おお |
そして今年も早々から又しても関谷に花代を踏み倒され帰ろうとした結花 |
|
(校庭で、帰ろうとする結花を見つける浅海) |
浅海 |
どうも |
結花 |
どうも |
浅海 |
もう帰るんだ |
結花 |
帰るよ。これから大事な約束あるし。 |
浅海 |
約束?
(校門を出ようとして 結花が振りかえり ) |
(二人いっしょに) |
あの・・・ |
浅海 |
(浅海が「今を生きろ、この一瞬を生きろ」と自分に言い聞かせて)あのさ。 |
結花 |
私かけたよ。あの日の夜かけたの、携帯。もう一回。 |
|
(突然 地面が揺れて、二人とも 倒れる) |
地震と爆音・・・学校が、消えてしまっている・・・。
|
|
|
|
|
|
<追加シーンチェックNo.1> |
セリフチェック:NUAN |
〜結花と藤沢隆太との 事件の回想のシーンが流れる〜 |
浅海に当時のことを語り始める結花・・・
|
結花 |
「なんか、タチの悪いのとつるんでる生徒がいて...。」 |
=【回想シーン】 線路脇の道端で= |
藤沢隆太(妻夫木聡)が、不良達と喧嘩をしている。 その場にちょうど結花が居合わせ、殴りあう藤沢を結花が止めに入る。
|
結花教諭 |
やめなさい! |
〜振り向いた藤沢は、結花を喧嘩相手と間違えて殴ってしまう。〜
|
=【回想シーン】 一方公園で、ベンチに座る結花と藤沢。 = |
|
結花教諭 |
分かってんの?今度やったら退学。(殴られた唇をハンカチで押える結花) |
藤沢 |
イテーの? |
結花教諭 |
イテー。超イテー。・・・そんなことやって楽しい? |
藤沢 |
フー(ため息をついて)、楽しくねぇ。なんか、もう、楽しくねぇなぁ。(結花の目を見ながら)もう、あそこ、抜けっから。 |
結花教諭 |
うん。約束。 |
藤沢 |
うん。 |
|
先生? |
結花教諭 |
ん? |
藤沢 |
顔治らなかったら、責任とってやってもいいよ。 |
結花教諭 |
いいよ、かえって美人になるかも。 |
藤沢 |
なんだよ、それ。(笑い合う二人) |
|
|
結花 |
「だけど...」 |
|
|
=【回想シーン】場所は変わって本倉高校= |
不良グループ達が乗りこんでくる。グループを抜けるという藤沢への腹いせに、藤沢
を渡 り廊下に連れ出す。
|
「ただで抜けられると思ってんのかよー!」などと言いながら、藤沢へ殴る蹴るの暴行。無抵抗に耐え、床に倒れ込んだ藤沢は、不良たちを睨み上げる。校内の長い廊下を足音立てながら、走る結花。
渡り廊下まで来ると、そこには顔から血を流しながら立ち尽くす藤沢と、そのまわりにみな倒れている不良たち。
藤沢の手から、凶器の栓抜きが落ちる。 そこへ、若原教諭らが藤沢の元へ。
|
若原教諭 |
おまえ、またやらかしたんだな。 |
〜教師らが藤沢を取り押さえようとする。〜
|
結花教諭 |
違います。(栓抜きを拾って)私がやったんです。 |
若原教諭 |
何言ってるんだ。三崎先生。 |
結花教諭 |
私が、こいつも、こいつも、こいつも、こいつも、全員殴ったんです!言うこと聞かないから。 |
若原教諭 |
何を訳の分からないことを言ってるんだ。あなたにそんなこと出来るわけないじゃ...。 |
〜結花、手に持っていた栓抜きを振り上げ、思い切り藤沢を殴る。〜
|
教師 |
先生! |
結花教諭 |
ご覧の通りです。私が全員殴ったんです。頭きちゃったんですよ。 |
〜結花は、栓抜きを落とし、藤沢を睨む。〜
|
結花教諭 |
最低! |
若原教諭 |
先生、来て下さい。 |
〜教師らは結花を両脇から抱え、連れて行く。 藤沢はその姿を呆然と見送る。
|
藤沢 |
クソーーー!! |
〜叫びながら、藤沢は渡り廊下の壁を思い切り殴る。 血だらけの拳。 そして、壁には血がついた拳の形の穴があく。
|
|
  |
|
|
<追加シーンチェックNo.2> |
セリフチェック:NUAN |
ミサキフローリスト |
ミサキフローリストの電話のベルがなる。
外で仕事をしていた結花は急いで店の中に入って、受話器を取る。
|
結花 |
はい、ミサキフローリストです。 |
藤沢 |
・・・。 |
結花 |
もしもし?もしもし。 |
藤沢 |
先生。 |
結花 |
藤沢?藤沢隆太? |
藤沢 |
あ、ごめん。俺、あん時、本当、ごめん。 |
結花 |
許さない。許さない。学校も辞めたんだって?あたし、そんな...。 |
藤沢 |
俺、働いてるんだ、寿司屋で。なんか、すげぇつらくてさ、学校みたい にゆ るくなくて、超つれーけど、でも、やっと、やっと、一人でやらせてもらえるよ うに なって。まだ、干ぴょう巻きだけど。 |
|
俺、先生に食って欲しい。先生に最初に食べて欲しいんだ。それで、そ れ で...。上手かったら、許してくれる?俺のこと。(涙ぐむ結花)
|
|
待ってるよ、今日昼の1時ごろ、賄いの時間、抜けてくから。待ってる 、あ の前の公園で。 |
結花 |
(涙声で)うん。 |
|
あの廊下のさ... |
藤沢 |
ん? |
結花 |
ううん、いいや。わかった。 |
藤沢 |
じゃ、待ってるから。 |
寿司屋の公衆電話の受話器を下ろす藤沢。そして、その電話の横に置いてあった凶器の栓抜きを手に取り、握り締める。
|
|
  |
|