《TVオンエア−チェック》 |
第2話 |
セリフチェック:アリス/yuma |
回想・・・カフェテラスでの二人 |
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浅海 |
子供んときさ、施設の廊下に穴が開いてて・・・ |
結花 |
施設? |
浅海 |
まぁ、いろいろあって。で、古い施設だったんだけど、なんか俺そんとき(その時)、こんぐらいの穴がすげー不思議でさ・・・。この穴ってどこにつながってるんだろう・・・とか思いながら いっつも色鉛筆つっこんでて。大事な色鉛筆だったのに、「あ〜これでもうお別れだ〜」と思ったらすげ〜痛くて・・・。今でも覚えてんの。
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結花 |
もうお別れだもんね。 |
浅海 |
でも、一応さ こういう細い棒の先っちょにセロハンテープとかくっつけて 突っ込んだりしてたんだけど、結局取れなくて・・・。 |
結花 |
泣いた? |
浅海 |
泣くっしょ。別れだし、永遠の・・・ |
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本倉高校 2002年1月7日 午前11:30 |
補習のため、教室に集まってきている2年C組の生徒。と、生徒・田代が異変を察知し、わめきながら飛び出していった。大友も小さな揺れに気づく・・・。
一方、校庭では・・・。
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浅海 |
あのさ。 |
結花 |
私かけたよ。あの日の夜 かけたの、携帯。もう一回。 |
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爆音と大きな揺れ。地震に驚く生徒たち。
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結花 |
すごい地震。 |
浅海 |
ああ。 |
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(思わず浅海に抱きついていた結花が、びっくりして離れる。) |
結花 |
失礼しました。 |
浅海 |
いいえ。もっと来てもいいですよ、別に。 |
結花 |
何言ってるの。じゃあ、また。 |
浅海 |
あっ、ちょっと待って。(と言って結花のエプロンをつかむ) |
結花 |
何つかんでんの。 |
浅海 |
つい とっさに。 |
結花 |
離して。 |
浅海 |
あの、俺 今話したいんだけど。 |
結花 |
だから、私 この後、約束あるんだって。地震で店も心配だし。 |
浅海 |
今! 今話したいな。その・・・その約束って 男? |
結花 |
えっ? 男・・・男の子。伝えたいこと、あるんだ。 |
浅海 |
おとこの子。 |
結花 |
最低の生徒なんかじゃないって。
あなたの教師でよかった〜って。 |
浅海 |
あんた、その生徒と出来たんじゃねえの? |
結花 |
はあ〜?! |
浅海 |
だってなんか変じゃん。変だよその関係。 |
結花 |
私はあなたじゃあるまいし、生徒と恋愛関係なんてありえません。 もしかして焼いてる? |
浅海 |
う〜ん・・・まあ認める、なんつうの・・・こう 男としてっつうか、教師としても あんま そういうのないからさ。割とうらやましい・・・って、あの聞いてます? |
結花 |
ごめん。聞いてない・・・(と言ってふらふらと 校門の方へ) |
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結花が学校の校門の外の光景に気がつく。そして浅海と二人、校門の外に茫漠と広がる砂漠を見て呆然と立ち尽くす・・・。
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一方学校が突然消えた町は、蒼然としていた。立ち尽くす一ノ瀬と信一。父兄が次々にやってくる。サイレンの音・・・。レポーター中沢純子(石橋けい)の姿も。
再び学校内、慌てふためく教師達。
教室では、生徒たちが修学旅行の話をしている。そこへ血相を抱えて三年の男子生徒柳瀬が、そして浅海が入ってくる。
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2年C組の教室 |
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川田 |
浅海、おはよう〜 |
浅海 |
おはよう。来てんのは、川田・畑・大友・金沢・安堂・生垣・高松・荏田・・・。 |
安堂 |
田代も来てたけど。 |
川田 |
11時半だ そろそろ行く。 |
大友 |
なんだ、どっか行くの。 |
川田 |
センター模試。 |
浅海 |
待て、川田、ここにいてくれないか。みんなもこの教室から出ないでほしいんだ。 |
安堂 |
どうしたの、浅海。 |
浅海 |
頼む。すぐ戻るから・・・。(そういって教室を出て行く) |
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廊下で窓の外の景色に驚く生徒、そして浅海と結花も確認をするかのように屋上へ。何もない・・・。生徒もやってくる。口々に不安を訴える。柳瀬の「核が落ちたんだ、原爆か水爆がおちて・・・」という言葉に、「適当いってんじゃねんぞ」と浅海。そんな同様と不安の中、結花が落ちつこうと皆を促す。「まだなにもわかんないよ。この砂の先に何があるのか・・・。みんなどこにいっちゃったのか、まだ何もわかんない・・・だから落ちつこう」と。
職員室でも先生たちが、点検作業をしている。だが、電気・電話・そしてラジオさえ使えくなっていることに気づく。ただひとり、関谷教諭だけはこの隔離された状況を喜んでいた。
そんな中、いったん生徒を体育館に集めることになった。泣き出す生徒。話し合いをする教師・・・。
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体育館で・・・ |
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若原教諭 |
学校の外のものが全て、一瞬にしてチリになったということだけがファクトだ。ビルも、車も、人も、観覧車もない。 |
教諭 |
ということは、やはり、核爆弾? |
平沼教諭 |
だったら、外は危険ですね。放射能なんかの可能性もある。 |
浅海 |
それは調べます。ただなんでうちの学校だけ |
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わからん。ただ私達は、こうして生き残ってしまった |
池垣 |
生き残った・・・ってなに・・・みんな死んだのか?この学校の奴以外、みんな死んだのかよ。答えろよ。核が落ちたのか!? |
浅海 |
池垣。 |
畑 |
そうだ!教えろよ!何が起きたんだよ。 |
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-(略)- |
若原教諭 |
離せ!甘えるな!。(ここで豹変する教諭)お前らな、普段さんざんあんだけ怠惰な態度を取ってるくせにな、こんな時だけ生徒づらしてるんじゃねえよ。 |
柳瀬 |
こんなことになって、僕の受験はどうしたらいいんでしょ。 |
若原教諭 |
受験?受験・・・受験か・・・ハハハハハ (高笑い) |
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高笑いをする若原教諭を、信じられないという表情で一同が見つめた・・・。
そこへ、一人の教諭と用務員の岡津が飛んできて、英語・国語科の準備室に空き巣が入り関谷クラスの追試が盗まれたと。だが、二人は外の光景には気づいていなかった。促され、外を見る・・・。「岡津さん・・・・?」と結花。
その後、浅海と結花は図書館へ行って調べものをし、川田と共に校庭へでた。
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校門の外へ出る浅海たち・・・ |
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浅海 |
これは箔検電器(はくけんでんき)って言って、物体が電気帯びてるかどうか調べるの。もし、ここに放射能があれば、大気は電離してるはずだからこの先の箔が開く。(ここで箔検電器の上の金属板に、手を置いて見せる。すると手は、電気を帯びているので箔は開く。そして手を放し、地面において大気中の反応を調べる。)ねっ?!(箔は閉じたまま。)
(※箔検電器=はくけんでんきは、高校の物理に出てきます。)
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大丈夫。後で別の場所でも調べてみるけど、とりあえず俺ら、のろし上げてくるわ。 |
川田 |
のろし? |
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そのころ体育館では、生徒らが口々に動揺を口にしていた・・・。
高松 「生きてるよ!みんな、どっかで生きてるんだって!」
大友 「オメェ、恐ぇんだろ?俺、全然恐くないから。だってさ、別に今までだ
っ て、何もリアルじゃなかったじゃん。そういうこと。」
※チェック:NUAN
そんな状況をよそに一方の関谷教諭は、大友にジャムパンを差し出すなど相変わらずな行動を取る。また、浅海と結花は、校舎の屋上でのろしを上げていた・・・。その煙のゆくえをぼーっと眺める二人。
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校舎屋上 |
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浅海 |
誰か 気づいてくれな〜。 |
結花 |
上から見たら どんな風にみえるんだろう。砂漠の中にポツ〜ンと浮かんでる学校。はあ・・・。何がなんだかわかんない。でも私達は生きてる。(振り向いた浅海を見て)生きてる・・・よね。 |
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私 今朝花びんの水、替えてくるの忘れちゃった。 |
浅海 |
俺も ごみ出すの忘れて来た。 |
結花 |
お花の仕入れの電話 お父さんに伝えるの忘れた。 |
浅海 |
コタツのコンセントも 切り忘れたかも。 |
結花 |
お父さん、お昼どうしたかな〜。 |
浅海 |
腹へったあ〜。 |
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公園で、藤沢隆太が結花を待っている・・・。
そして、過去の回想シーン。
【はじめてこの回からドラマを見る方へ】
かつて、本倉高校の問題児だった藤沢隆太が校内で乱闘事件を起こした。担任だった結花に、もう2度とやらないと約束したにもかかわらず・・・。結花は駆けつけた教諭らに、「私がやった」と隆太をかばう。今度やったとあっては退学になってしまうからだ。結花は、隆太に平手打ちをし、「最低・・・。」と言い残す。隆太はその言葉にショックを受け、壁に一発のパンチを・・・。そこには一つの傷が残った・・・。(第1話に出てきたシーン)
結花 「最低・・・」
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結花 |
(立ち上がって)私行くね。 |
浅海 |
えっ? |
結花 |
行ってみる、あっちの方。 |
浅海 |
あっちって どっち? |
結花 |
だから言ったじゃん、約束あるって。 |
浅海 |
約束って、これのどこで待ってるって言うの。 |
結花 |
わかんないじゃん!待ってるかもしんない。だってだって・・・あの子、私が行かなかったら、一生、一生ここでの高校生活後悔したまま、救われないまま生きなきゃなんない。 |
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回想シーン。
【はじめてこの回からドラマを見る方へ】
藤沢隆太が学校を辞めなくてもいいようにと、結花がかばったにもかかわらず、最後の結花の言葉にショックを受け、罪の意識を深く感じていた。そんな藤沢は、その後学校を辞めてしまい一転、きびしい修行を自ら課す“すし職人”見習となっていた。そんな彼が、2年たちやっと一人でやれる仕事を任されたと、電話をかけてきたのだ。「まだ乾ぴょう巻きだけどね。」「最初に食べて欲しい」「もし美味かったら、許してくれる?・・・」そう、電話してきた隆太。(第1話に出てきたシーン)
隆太 「先生・・・先生に最初に食べてほしいんだ・・・。」
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その後、高倉率いる生徒らが校門の外へ・・・。学級委員の川田が皆を止めるが、そんな言葉ももはや耳にはいらす黙々と歩いている生徒たち・・・。
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校門の外の荒地で・・・ |
川田 |
どこ行くのよ。高松 危ないよ。ねえ、みんな、浅海も言ってたでしょ。気をつけろって。 |
浅海 |
お前らみんな、どこ行くんだよ。止まれって・・・止まれっつうの。頼むよ、高松 ここでみんなが勝手に動いたら。 |
高松 |
てめえ、うるせえよ!わりいか?怖えの・・・怖えに決まってんじゃんか。めちゃくちゃ怖えんだよ 俺。こんなの信じられるわけないじゃん。全部消えたなんて信じらんないんだよ! |
安堂 |
私も、帰る。帰って確かめる。 |
生徒たちは口々に私も私もと・・・浅海に詰め寄るが
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高松 |
唯(ただし)は? |
川田 |
教室で寝てる。 |
生徒 |
何 あれ。(と言って 空を指差す) |
結花 |
太陽環・・・。 |
浅海 |
日蝕? |
我猛 |
日蝕・・・ですね。 |
浅海 |
1−Bのが我猛だっけ? |
我猛 |
(お辞儀をして)この地域で、日食があるのは当分先のはず。 |
浅海 |
確かに・・・・今日この場所で起こるなんてありえない。 |
「狂ってる・・・狂ってるよ」と言いながら駆け出す生徒につられて、他の生徒達もクモの子を散らしたように駆け出しはじめる。
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浅海 |
おい!待て!おい お前ら勘弁しろよ〜。おい、川田・・・。 |
結花 |
行かせてあげれば。 |
浅海 |
何で・・・ |
結花 |
放射能、無いって分かったし、そりゃ他にどんな危険あるかわかんないけど・・・でも、自分で確かめないと・・・。あの子達、子供じゃないもん。それにさ、私達だって、これ、なんなのか、彼らにちゃんと説明なんて出来ないじゃない。 |
浅海 |
いや まっそうだけど・・・・・(小さな声で)そうだけど・・・。 |
結花 |
浅海先生、それに、彼らが戻って来た時に、生徒達が疲れて戻って来た時に、あなたが、先生が、あそこで待ってた方がいいって思う。 (学校を指差して) |
浅海 |
で、あんたも行くのかよ。 |
結花 |
私、あの子達の先生じゃないから。 (そう言って 結花歩いて行く) |
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そして浅海が一人残された・・・。
校門で一人たたずむ浅海。やがて日食が終わり、生徒が一人、また一人と校門で待つ浅見の元へ、疲れ果てなにも見つけられなかった生徒らが戻ってきた。
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浅海ナレーション |
彼女の言った通り、数時間経つと、生徒達は 次々と学校に戻って来た。ひどく疲れて・・・・。 (浅海の前に 崩れ落ちて泣く生徒)
俺は 校門の前で、アホみたいに立ってることしか出来なかったけど・・・。それでも、それでも 今までのどんな時より、生徒が俺を必要としていることが 良く分かった。 (戻ってきた生徒が 浅海に 何かいいたそうにしてる) |
浅海 |
何もいうな。 |
浅海ナレーション |
誰も・・・何も分からず、何も見つけることが出来ず・・・。 |
最後の生徒・高松も戻り、校内へ入っていく・・・。あとを追う生徒たち。
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浅海ナレーション |
そして、彼女だけが戻ってこなかった。 |
歩き続ける結花 足に豆が出来、靴を脱いで歩きつづける
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浅海 |
川田、俺やっぱ、ちょっと探して来るわ。 |
川田 |
あの女? |
浅海 |
みんなのこと、頼む。 |
安堂 |
あっ、私も行く。 |
浅海 |
いいから休んどけって、ひざ擦りむいてんぞ。 |
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公園で 結花を待つ隆太、その手には かんぴょう巻きの入った折が・・
回想シーン。
隆太 「・・・うまかったら、・・・許してくれる?・・・」
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結花 |
ばかじゃないの・・・許す?とっくに許してるよ。 |
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小高くなった砂漠を駆け上がり その向こうの景色を見る結花。 しかし、ただどこまでも荒野が続いているだけだった。
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公園で待つ隆太。まるで結花の声が聞こえたかのように はっとして立ち上がり 辺りを見渡す。時計はすでに2時近くをさしていた。あきらめて 自分が作ってきたかんぴょう巻きを 泣きながら食べる隆太・・・。
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と、そこへさっき結花が脱ぎ捨てた靴の片方を持った浅海があわられた。
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結花 |
ずっと後悔してた。あんな風に学校辞めたこと。
だからうれしかった。ちゃんと 藤沢が頑張ってるって聞いて。・・・すごいうれしかった。教師やっててよかったって・・・。
あいつも 2年間、あのこと忘れないで ずっと頑張ってたんだって。いっしょに・・・いっしょにもっかい(もう一回)笑いたかった。頑張ったね〜って、あのこと、もう許してるよって・・・。許してるって・・・会って・・・会ってちゃんと言いたかったのに・・・なのに なんでこんなことになるの。ひどいよ、こんなのひどいよ・・・・こんなのないよ・・・。 |
泣き崩れる結花。浅海はそれを見守っていた・・・。
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一方、生徒らが待つ教室へ、用務員の岡津が外で何かを見つけたと飛びこんできた。高松・大友らは車に乗り込みその場所へ向った。・・・と、そこには、2012年に完成が予定されているはずの“ニュー新幹線「いのり12号」が地表に突き刺さっている光景を目の当たりにする。そして、乗ってきた車の壊れたカーナビを直すB組の女生徒・我猛が、衛星を頼りに修復するのだが・・・そこにはなんと、2020年12月5日の日付が・・・・。
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浅海ナレーション |
俺達の時間は いつも、砂みたいにサラサラと、俺らの手の中をすべり抜け、それはあいまいで、すげえ不確かで・・・。
俺達は・・・俺達は不器用で、肝心なときにそれを、今をつかめない。
大切な言葉は もう永遠に届くことはない。 |
結花 |
(涙を拭きながら 小さな声で) サンキュー |
浅海 |
(結花に靴を渡しながら)どこ行くの。 |
結花 |
帰る。 |
浅海 |
どこに。 |
結花 |
学校。もう他に帰るとこなんてないじゃん。 |
浅海 |
何だよ それ。
今度あんな顔して泣いてたらな、無理やり押し倒してキスしちゃうからな。 |
結花 |
ふ〜ん、やれるものなら、やってみろっつうの。 |
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二人は夕日の光の中、学校へ戻っていくのだった・・・。
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