ロング・ラブレター〜漂流教室〜

◇1月9日(水)よりスタート フジテレビ 21:00〜21:54 毎週水曜日
データ S T A F C A S T H   P - -
あらすじ  1話   2話  3話  4話 5話 6話  7話  8話  9話  10話  11話
想い出の名シーン  1話  2話  3話  4話  5話  6話  7話  8話  9話  10話  11話
その他  1話
 
 《TVオンエア−チェック》
 想い出の名シーン 第8話
セリフチェック:momo
(NUAN&yuma) 

竜巻(トルネード)が学校の方角で発生していた。結花と大友は西を高木に任せ急いで学校へと向った。学校にたどり着いた時はすでに、竜巻は通り過ぎていった後だった。そして二人は保健室へと急ぐ。
保健室
 
柳瀬  マッシュ。


  酸素吸入をしていた浅海の頚動脈に手を当て・・・


結花  柳瀬君が言ってた薬あった。抗破傷風ヒト免疫グロブリン。早く!


  柳瀬に代わり浅海に酸素吸入をする。柳瀬は震える手で注射器に液を入れた。
  そして注射器の針を浅海の腕に突き立てた瞬間・・・。


浅海  ぅううーーー! (浅海は声をあげた)

柳瀬  もっとしっかり抑えるんだ!

結花  大友君手伝って!

柳瀬  ここ抑えて!


  無事注射をうち終え・・・・


柳瀬  後は薬を信じよう。

 

  結花は浅海の 胸のガーゼの下、傷口を確かめた。



結花  チョッと待って・・・凄い化膿してる!。


  大友スプーンを持ってくる


大友  これでいい?

結花  早く消毒して。


  結花、浅海の口元に手を当てみる。


結花  呼吸落ちついたみたい。



  このままでは状態は悪化するばかり。生命の危険に直面し、結花は手術した方が
  良いと言い出す。ありあわせのはさみやカッター・スプーンを、アルコールランプの
  炎で消毒をする。



愛川  これで本当にやるの?麻酔もないし、ガーゼなんかも・・・・

結花  でも、やるしかない!

柳瀬  でもまた、傷口をカッターで開くなんて・・・・

結花  (躊躇する柳瀬に) ならいい!私がやる


  結花カッターナイフを手に取る。その手を柳瀬が掴み大きく首を振って・・・


柳瀬  やります。


  結花達は浅海が痛みに耐えるよう、ベッドに縛りつけ口にはタオルを入れた。


結花  浅海君、どうか・・・どうか堪えて・・・


  柳瀬は傷口にカッターを当てた。


浅海  ぅうーーーぉう、ぁああーー!


 悶絶し暴れ苦るしむの浅海。その時瀬川の顔に浅海の血が飛び散り・・・


柳瀬  看護婦、看護婦!顔の血を早く!


 目前の凄まじい光景に放心状態の相川に・・・


結花  しっかりして!!

愛川  はい! (瀬川の顔の血を拭き取る)

柳瀬  ガーゼ。 

愛川  はい!


 怒涛の傷みに耐えかね、苦しむ浅海


結花  浅海君頑張って!浅海君!

柳瀬  名前を呼び続けて!先生が傷みに負けないように・・・

結花  浅海君!

大友  浅海、がんばれ!

柳瀬  スプーン

愛川  はい!  

結花  浅海君、しっかり頑張って!

柳瀬  食塩水

愛川  はい!

柳瀬  マッシュ、患部をどんどん洗い流して・・・

結花  分かった!


  しっかりして先生!皆は其々の思いで浅海を励まし、呼び続けた。


ill::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::  タイトルロール ::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll::::::ll

※引き続き保健室にて


   浅海を励ましながら大変な手術は終わった。
   37度5分浅海の熱は下がってきた。危険な状態を脱していた。
   そして、みんなの顔にもようやく笑顔が戻った。



柳瀬  傷はこのまま暫く乾燥させるんだ

愛川  はい!

結花  皆、ありがとう。


   大友は心配して待ってる廊下の仲間に「OKサイン」を出した。
   やっと浅海の寝顔にも安らかな表情が戻った。


柳瀬  ありがとう、愛川君。君のお陰でやり遂げられた。


  愛川は静かに頷き、そして2人は笑顔で握手を交わした。


裏庭


  大友は高松達に手術の経過を伝えようと、裏庭までやって来た。 
  そして強風に絶えぬいた植物の芽をみつける。


大友  あいつら何処に行ったんだよ。(新芽を見て・・)おぉーーすげぇ。


  そして西門前に来た時、しゃがみ込んでいる高松と畑を見つける。


大友  翔ちゃん


  近づいてみるとそこには、横たわり、頭から血を流した池垣の姿があった。
  ・・・そしてその傍らの2人からは、すすり泣く声が聞こえていた。


大友  池垣?池垣・・・・


  その声に結花も近づいてみると・・・・・


大友  嘘だろ・・・起きろよ・・・起きろって、池垣!
     池垣ーーおきろよーーー!!


  頭から血を流して、びくとも動かない池垣。
  呆然とする結花。すすり泣く高松と畑。
  呼びつづける大友。


高松  ふざけんなよ・・・なんでだよーーーー!!


  夕日に、池垣の頬が輝いていた。ほんの少し微笑みを浮かべて・・・。


結花のナレーション: どうして・・・・


  (池垣が生きてた頃の笑顔の回想シーン)


        池垣の元気だった頃のシーンが流れる。
        自家発電のために一生懸命、自転車をこぐ池垣。
        浅海先生に農林大臣に任命される池垣。
        「光合成!」とおどける池垣。
        やっと出た芽に「ちっちぇー」「かわいいな」と喜ぶ池垣。
        「俺の農場だよ、俺が守んなくてどうすんの」と張り切る池垣。


結花のナレーション: 何で、彼の命が・・・なぜ。・・・なぜ?


保健室


  浅海はベッドで静かに目を覚ます。ふと横を見ると結花が・・・
  そして結花も目を覚ます。

 
結花  良かった・・・。


  傷口を確かめ脈を取る。


浅海  色々・・・ありがとう。もぅ、死んでも後悔ねぇやと思った。でも死にたくなかった。
     三崎さんとか、あいつらとか、やっぱ離れたくねぇも〜ん。大切な仲間と・・
     だから、俺、こんなんでちょっと頼りないけど、これからも一緒に・・・・。


結花  (涙を堪えきれず・・・)ごめん・・・。


  浅海の言葉を最後まで聞かずに保健室を出て行ってしまった。そして裏庭の池垣が
  守ろうとした畑を見て・・・・大粒の涙が溢れ出した。  


  浅海も異変に気づき、痛む傷を押さえながらよろけた足取りで保健室を出た。
  暗い廊下をゆっくりと皆の集まる教室に・・・・。

2年C組の教室


  (泣きながら教室を出る大友と入り口で・・・)


大友  浅海。


  それに気づいた女生徒の一人が「浅海治ったの?」と声を掛けた。
  そして浅海の方を見た教室の誰もが、悲しみの涙を流していた。
  恐る恐る教室の中に入っていった浅海が見た光景は・・・・・
  息絶えた愛する生徒の一人『池垣』だった。


浅海  池垣、池垣・・・・池垣、池垣?
     おい、おい!・・・イケガキ・・・イケガキーーーーー!!!



   あまりにも残酷すぎる現実に、何度も何度も池垣の名を呼び続けた。
   その狂態とも思える叫びが、皆の悲しみを一層深めていった。

   池垣の埋葬を終え、戻ってくると教室では伊勢原が、もやは正常ではない目をして
   座り込んでいた。


伊勢原  (池垣は)死んだのか?だったら、その分の食料分けろよ。


   唯が怒って、伊勢原に向かっていくのを、


高松    唯!(と、止める)
畑     そんなもんねぇよ。関谷が全部食っちまったよ。
荏田    俺だって、昨日の夜からなんも食ってねえ。


  伊勢原はお菓子の入っていた空の袋を見つけ、急いで飛びつき、中のカスを振って
  口に入れる。それを哀れみあるいは侮蔑の目で生徒らはじっと見詰める。
  その視線に耐えられなくなったのか、伊勢原は教室を飛び出していく。


西     人って醜い。
大友    何でアイツが死ぬんだよ。他に死んだ方がいい奴、いっぱいいんじゃねーかよ。
高松    唯。
大友    でもアイツはさ...
畑     あんな植物、守るために...


  生徒らみな、すすり泣く。


我猛    申し上げにくいのですが、泣かないで下さい。
       涙を流すと、水分が不足してしまいます。
       我々にはもう、僅かな資源しか残されていないのです。


結花 ナレーション  死が、私達のすぐ隣にある。
              たった2週間前のあの頃とは、もう何もかもが変わってしまった。
              私たちを取り巻く現状も、私たち自身も...。



  教室ですすり泣く生徒たち。
  階段で悲しみに暮れる浅海。
  渡り廊下で呆然とする結花。


現実の世界・・・本倉高校の前


   現実の世界では巨大な穴となった学校跡に産業廃棄物を投棄に来る者達がいた。


一ノ瀬   ちょっと、何それ。何捨ててんの!
男      どけよ。怪我するぞ。(粗大ゴミを投げ捨てながら)
一ノ瀬   ここには、みんながいるの。
       高松も、学校も、みんなも。
男       誰がどこにいるって?
       ややこしいゴミを処理するのがおじさんたちの仕事なの。
       (トラックからゴミを捨てながら) 穴開いたんだから、ちょうどい いじゃないの。
一ノ瀬   でも。
男      人類のためにやってるんだよ。
       快適だろ?今の暮らしは。
       家も車もあって、どこも冷房ギンギンで、病気になったら
       病院でいろいろ薬貰って、治療受けて、そういうことのためには 、
       誰かがこういうことやんなきゃなんない。


  最後に、男二人は、何かが入っている大きなドラム缶を学校のあった深い穴の中に
  投げ捨てる。


結花 ナレーション  かつて私たちは見たくないものは、見ようとせずに、
              自分の周りだけ幸せならいいと、そうやって生きてきたのかもしれない。



  一ノ瀬がふっと見ると、藤沢が大きな袋を持って、不法投棄されたゴミを拾い集めている。


結花 ナレーション   そして、今では目の前に叩きつけられているその現実を、
              見なくてはならない世界にいる。



  浅海達は池垣が命と引き換えに守ろうとした場所に『池垣農園』の立て札を立てた。
  その傍らには『池垣ここに眠る』と書かれた石碑が・・・。


教室


 「水が飲みたい」「もう何も動くのも辛い」と衰弱していく生徒を励まそうとしている浅海がいた。


浅海  いいか、想像しよう。例えばもし、今この瞬間に元の世界に戻る事が出来たら・・・。
     もし戻れたら、一番最初に何をするか。
      じゃぁ、まず三崎さんから・・・・

結花  えっ、 私・・・そうだな、父にお昼ご飯を作ってあげる。それから、店の掃除をして、
     洗濯して、母の仏壇にローズマリーのお花お供えして・・・。
      それで、私が先生だった頃の生徒に会いに行く。で、一緒に干瓢巻食べて、
      ずーと長い間言えなかった言葉を伝える。
(浅海はふと結花を見つめる)
金沢   どういう言葉?
結花  それはナイショ・・・。
畑     俺は取り合えず食いまくる。風呂入る。髪切る。
荏田  俺も、俺も。すしとか食いたいなぁ・・・ トロとか・・(声が裏返る)
深沢  私はお父さんとお母さんに会いたい。
金沢  ママに会いたいなぁ。それで、私の事大事に育ててくれてありがとう。
       って言いたい。今まで普通に生きてて感謝とかした事なかったから・・・
瀬川  僕は受験する。そして父がビックリするくらいの、名医に成ってみせる。
結花  (目を輝かせ) 成れるよ。実証済みじゃん。


   瀬川笑顔でうなずく。


深沢  高松さんは?
高松  えっ。
川田  一の瀬かおるさんでしょ。
高松  『スピリッツ』読むんじゃん。
畑    池垣もそれっぽくない?
高松  浅海は?
浅海  えっ、俺? 俺は・・お、ぉ俺は・・・
高松  じゃぁ、田代は?
浅海  おぉい!聞かないのかよ・・・・
高松  いいやぁ、なんか浅海話長くなりそうだし・・・・(笑)
浅海  いいやぁ。・・って
   

  独立していたグループの一人の舞岡が、浅海たちの教室へ入ってきた・・・


舞岡  帰りたい。帰りたい。帰りたいよ!ねぇ、帰ろ?元の世界に戻してよ!


  浅海に詰め寄る


高松  そんな事出来たら、してるっつーの。
川田  って言うか、何しに来たの?あなた独立国の女王様じゃん


  そのころ、独立していた伊勢原達の中で争いが起きていた。信頼しあっていた仲間の
  二宮の食料を奪うため、伊勢原が彼を殴り倒していた。


舞岡  あいつら親友だったのに・・・もう恐いよ。もうこんな世界にいたくないよ。
安堂  私もこんなのイヤだ!(我猛の方を向いて・・)あなた頭いいんでしょ?!
     どうにかしてよ・・・・
浅海  安堂。
我猛  学校は何かの衝撃によって偶然時空を移動したんです。
     いくら考えてもその様手段は・・・。


  突然川田が・・・


川田  そうだ!衝撃だよ。あの時、地震があったじゃん、凄い大きな地震。
     あれで、あのせいで私達こんなになっちゃった訳じゃん。
高松  だから何だよ・・・
川田  地震起こすの・・・実習室のある薬品を使って爆弾を作るの。
     それで、人工的に地震を起こせば・・・・もしかしたら・・
舞岡  帰れるの?元の世界に・・・・
畑    だよな、可能性あるって・・・


  「それだ!」「爆弾を作ろう・・・」と新たな動きが見え始め、崩壊寸前だった小さな社会に
  ほんの少し明るい光が射し始めた。


実験室


  生徒たちは自分達の持ってるだけの知恵と勇気で爆弾作りに励んだ。
  皆が協力し合い、久しく失くしていた活気が教室に戻り、劇薬注意と言わ
  れた高松が、ビーカーを持ったまま浅海の前で躓いた。


浅海  うぅっ、いってーー!おまえっぎをつけろ!っつーの、バカ!
高松  わりい。(悪い)


  痛みを堪えて座りなおし・・・


浅海  三崎さんやっぱあの、無理、、なんじゃぁ・・・。
三崎  なんか目の前に目的あると生きて行くの楽しくなるじゃない。
        見て・・・皆の顔、もし駄目だったとしても、未来への希望とか、向って  いく目的とか、
       そういうのあった方がいい!



  結花も爆弾作りに協力した。そして見ているだけだった我猛も浅海もみんなの中に・・・。


校門前のグランド


  出来上がった自家爆弾。皆は元の世界へ帰還スることへの期待と不安の中、爆弾を地
  面に置いた。そして祈る思いで導火線に火が点けられた。導火線の火が爆弾に近づくに
  つれ、皆は祈るような思いで一点を見つめた。


川田  もっと近づいた方がいいかなぁ・・・
結花  だめ!危ない。
安堂  でも、近づかないと帰れないかも・・・
高松  かもな・・・かおる。


  皆少しづつ爆弾に近づこうとする。その時突然舞岡が・・・・


舞岡  死んでもいい。 帰る!(突然走り出した)
結花  待って! (舞岡を止めようとした、その瞬間・・・)


  大きな爆発音がした。けれども、あたりは全く何の変化も見られなかった。


川田  やっぱ、ダメか・・・


  浅海は舞岡をかばっていた。


浅海  いってぇーーー!
舞岡  (起き上がり)あんたのせいで帰れなかったじゃん。
浅海  おまえ、死ぬとこだぞ!
舞岡  うるせーー! この死にそこない。


  目の前で起きた事に、皆は暫く放心状態だった。


結花  なぁ〜に落ち込んでるの。これは私た達の第一歩でしょ。これから、これから。


  そして結花は爆弾の方へと歩き出した。


結花  浅見君!


  爆破の跡を見ると、爆発でできたくぼみにほんの少し水が湧き出しているのを見つける。
  結花が大声で浅見を呼ぶ。
  

深沢  水だ、水だ!
寒川  本当だー。
舞岡  そう言えば、誰かも言ってたじゃん。深く掘れば水が湧いてくるって・・・
寒川  あれっ、誰が言ってたんだっけ?
荏田  水 水!


  飲もうとする荏田に、 


浅海  待て!


  浅海、人差し指を湧き出た水につけ臭いを嗅いだ。その顔が微妙に歪んだ。


高松  浅海、それ飲めねーの?


  その背後、西にピストルを突きつけじっと様子を伺ってる関谷が・・・


関谷  やっぱり水があったのね。ふっふっふっ!


  大友はうんざりといった表情。


浅海  関谷先生。
関谷  皆で掘るのよ!もっと、もっと深く!


  皆は、西にピストルの銃口がつきつけられている事から抵抗できないまま、関谷の
  言う通りもくもくと穴を掘り続ける。
  我猛と浅海の掘った穴から湧き出た水をスプーン取り、


浅海  この水本当に危険ですよ。
関谷  そんなん分かんないわよ。
浅海  実習室で成分調べてきます。


  ほら・・・とスプーンを差し出した。
  それを取り上げ・・・


関谷  行け!


  右手の銃口はまだ西につきつけられたままだった。そして結花に向って・・・


関谷  飲みなさい?! お花屋さん・・・。早くしなさいよ!


  結花は浅海を見た。浅海は驚き、


浅海  やめろ。


  結花は西に向けられたピストルの引き金に一瞬力が加わったのを見た。
  そして飲もうとしたその時、大友がスプーンを取り上げ飲んでしまった。


浅海  おい、大友!
結花  大友君!
高松  唯、何飲んでんだよ!


  大友は苦しみだした。


実習室へ


  バケツに採集した水を入れ廊下を急ぐ浅海と我猛。
  そして実習室ではすぐに水の成分を調べだした。


浅海  学校の下の土はかなりの有害物質に汚染されている。地下水も飲めないのか。
     いったい誰が・・・・。



現実の世界・・・本倉高校前


   一方現実の世界では、消えた学校の跡地にぽっかりと開いた巨大なくぼ地に、不法投棄が後を絶たなかった。それに心を痛めた一ノ瀬と、偶然この場所で知り合った藤沢が、あたりのごみを片付けながら話をしていた。


藤沢     本高の生徒?
一の瀬  はい・・・あっ、卒業生とか?
藤沢     いやっ、卒業はしてないけど、まぁ、いろんな事教わったかな。
一の瀬    忘れそうで、恐いんです。半年たって皆が、って言うか、私も・・・時間が経つにつれて
          この学校の事とか、あの頃の気持ちとか・・・全部忘れそうで。
        恐いんです。・・・凄く大事な思い出なのに・・・。
藤沢      本当に、本当に大事な思いでなら消えたりしない・・・・って思う。
           (自分に言っているかのように) 何となく・・・。俺がそうだったから。


  苦悩の表情だった二人に笑みがこぼれた。


保健室に通じる廊下



  大友は高松と畑に抱えられ保健室へと向う。廊下を通り中庭に出た所で・・・
  躓き、3人とも転んだ所へ


関谷  どいて、どいて、どいてーー!大友君大丈夫!


  関谷が高松達を突き飛ばし大友の顔を覗き込む、その時大友は関谷からピストルを奪い
  ・・・・関谷に銃口を向けた。


大友  殺してやる。お前なんかぶっ殺してやるよ!
結花  大友君!
舞岡  そうだよ、殺しちゃえよこんな女!
畑   そうしよう、それがいいって!
結花  何言ってんの、落ち着いてみんな・・・
田代  殺せよ、大友君!
荏田  そうだよこいつ、俺らの食料食いやがって・・・・
田代  こいつ殺さないと俺らが死んじゃうよ。
舞岡  人柱にしたら神様が雨降らせてくれるって
結花  バカ言わないで・・・・


  大友がピストルの安全装置を解除し引き金を引こうとしその時・・・
  高松は大友のピストルを弾き飛ばした。


大友  何すんだよ!
高松  お前こそ何してんの?おまえキャラ違うっしょ。
     ねぇ、お前って何時も軽くって、余裕あって、そんな奴じゃないのかよ。
大友  変わったんだよ!、・・・何もかも変わったんだよ。


  大友が高松からピストルを奪い返そうとした瞬間・・・高松は大友に殴りかかった。


高松  人殺して生きたってしょうが無いだろがよ!。皆で元の世界に返るんだよ!
大友  無理なんだよ!これが現実なんだよ。池垣も死んだ。飯もねえ。
      これが現実なんだ。俺はどんな事があっても生き延びてやるからな・・・・


     「ふざけるな!」「このやろう!」と二人は激しく罵り合い殴りあった。
   止めようと入った結花までも、つき飛ばされてしまった。
     そしてもう一度二人の間に割って入った。


結花  どうしてよ!どうして・・・。
     ねぇ、人間ってやっぱそうなの?。自分勝手で、争いばっか繰り返して・・・
     だからこんな世界になっちゃったんだよ?!
     だから何もかも無くなった!。(そこへ浅海と我猛がやってくる。)
     でも、違うって思いたい。
     池垣君はさぁ、皆で生きていく為に植物守ってくれた。
     人間はそうやって生きていけるんだよ?!。
     私達だって今迄そうやって助け合ってやってきたじゃん!。



  結花の話を黙って聞いていた安堂が、突然大友からピストルを奪い取ると、
  何処かへ走り去って行った。


正門前の校庭


  正門グランドの校舎の軒に金沢達は座り込んでいた。そこへ安堂が慌てて
  グランドの中央へと走っていった。そして、その後を結花達は追って来た。
  安堂は空に銃口を向け3発のピストルを放った。(ピストルは中には3発の銃弾が
  入っていた)そして・・・・


安堂  いけがきー、雨降らせてよー。降らせろ、池垣!
     降らせてよ、池垣。雨降らしてよ、池垣!。 雨降らしてよ、池垣!


  安堂は何度も何度も繰り返した。そして安堂をやさしく抱きしめた浅海。
  そして前へ数歩あるき、浅海が歌い出した。


     ♪〜いーつまでも絶えることなく、とーもだちでいよおー♪
     そして振りかえり、皆に向って・・・


浅海  皆で歌おう。空気が振動すれば、雨が降りやすくなる。
  

     ♪〜いつまでの絶える事無く、友達でいよう。
            (皆も歌いだす)
     明日の日を夢見て希望の道を・・・


     空を飛ぶ鳥のように、自由に生きる
     今日の日はさようなら また会うまで・・・


     信じ合う喜びを、大切にしよう
     今日の日がさようなら、また会う日まで・・・〜♪
     (また会う日まで)


  生徒21人教職員3名今この世界に生きている全員が声をあわせ歌った。
  その歌声は空高く響きわたり、みんなの涙の上にポツリポツリと・・・
  正しく待ち望んでいた恵みの雨だった。


結花  雨だ!
浅海  うっそぉーー!
高松  マジかよ。何だよ、池垣。


  そう、まるで池垣が降られてくれたかのようだ。奇跡が起きた。


岡津 (空を見上げ)バケツ、バケツー!バケツ集めて持って来い!


  浅海と結花、見つめ合いほほ笑んだ。
  そして校内ありったけのバケツを持って戻って来た生徒達。。
  バケツに雨水を溜め、そして飲む子がいる。シャンプーする子もいる。
  みんな口々に感謝の気持ちと歓喜の言葉をはきながら・・・・
  そしてさっきまで殴り合っていた高松と大友はがっちりと抱き合う。
  暫く忘れていた笑顔が池垣の魂と共に戻って来た。


結花  私達生きていけるね。あなたや、大事な仲間たちがいるから・・・。


  見つめ合う二人。笑顔は二人にも戻っていた。そして結花の手を後ろに
  回しきつく握る浅海。
    (池垣の笑ってるシーンが流れる。)


  やがて雨は上がり、晴れ渡った大地に瑞々しさが蘇った。
  荒れ果てた砂漠に変わりはないものの・・・希望の大地にさえ思えた。


  場面は教室に移っている。
  濡れた服を乾かす間、高松や大友らが話をしてる。


高松  あいつ、笑ってたよね。あいつさぁ、池垣すぅげーいい顔して笑ってたんだよね。


  一方、結花は、庭木の葉に光るしずくの一滴一滴を、丁寧にすくい集めている。
  一滴の水さえ、今は大事な資源なのだから・・・。


結花  砂漠にも緑が・・・


  大地に、池垣農園にまた新たな植物の芽が・・・池垣が残していった、命の芽。
  それがこれからの希望の芽であってほしいと願うい、結花と浅海が共に微笑みあった・・・。


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