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共通の練習法
スプーン
唇でとる練習をする場合、スプーンのボール部位が浅いものを使います。
(浅いものを使うと唇ではさみとりやすい)
《唇を閉じさせる練習は適応症を選びましょう。何でもかんでも口唇閉鎖をさせようとすると失敗することがあります。それよりも嚥下時にあごを閉じられるような介助を心がけてみてください。》
自食の場合、手肢の機能に合わせて、軽いものや、握り手の太いものを用意します。
水分摂取の練習の場合は、ボール部の深いもの、またはレンゲを横向きに使用します。
コップ
液体を飲む練習は、唇の様子がわかるように、透明なものが良い。
鼻がコップのふちにあたるので、一部を欠き取ると良い。
コップをうまく保持できない場合、取っ手のついたものを使用します。
テーブルといす
姿勢が安定するようにいすとテーブルの高さをあわせます。
頸部はやや前屈気味・腰、ひざは直角に近く、足底は床についているようにします。
抱いて介助する場合、長時間の介助でも姿勢が崩れないような工夫をします。
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後ろに傾ける時も腰やひざの角度は変えないようにする。 |
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頭が後屈して腰やひざも伸びてしまっている。 |
上肢で首を支える時は、頸部に当てるのではなく後頭部に当ててください。頸部に当てるとどうしても頭が後ろにのけぞり気味になります。
準備運動
口の周囲に過敏がある場合は脱感作(過敏をとること)をします。
唇や頬が硬かったり、動きが悪い場合、ストレッチをします。
脱感作について
脳性麻痺の子供のように、自ら触体験(抱っこ、授乳、指しゃぶり、足しゃぶり、玩具しゃぶり、自ら抱きつくなど)が十分でないと触感覚は鋭敏(過敏)になります。このような異常感覚を正常にするには、その部位を特定し、抱っこの時のような、皮膚と皮膚のふれあい状態を作ります。これを短時間でよいですから一日のうち何回も行います。くすぐったり、こすったりはかえって感覚異常を助長しますので厳禁です。
ただでさえバギーや椅子、ベッドにいることの多い子供たちです。人と触れ合う機会が極端に少ない状態をなんとか工夫して増やして欲しいものです。(姿勢や呼吸状態が許せば、格好は悪いでしょうが、おんぶや抱っこしてあげたらどうかと思うんですが)とにかく人とのふれあいが一番です。(ちなみに指しゃぶりがなかなかやめられない子供は、抱きしめてあげる機会を増やすとなくなります。)
訓練の開始時期
訓練介入は、早ければ早いほど良いわけですが、最も理想的なのは、離乳の開始期です。離乳開始前の口の動きは唇、舌、あごが一緒に動いています。これは、おっぱいを飲むのに非常に都合が良いからです。しかし、食べる動作にとって、この動き(一体動作)は、都合が良くありません。
なぜならば、成熟した摂食嚥下、つまり食べものを唇でとり、舌で運び、こなし、飲み込むという一連の動作(分離動作)では、これらの器官が一緒に動いていてはうまくいかないからです。
たとえば、顎をパクパクしながら、または、唇を閉じることなく飲み込めますか?舌を前後に動かしながら、咀嚼ができるでしょうか?
脳性麻痺児等では、年齢があがっても一体動作が残存していて、上手く食べられなかったり、飲み込めない例がたくさんあります。こうなってから、訓練に入ってもなかなか進歩が見られません。
訓練のキーポイント
口唇閉鎖
口に取り入れられた食べものは、一時、口の中にとどめられ、処理(つぶしたり、そしゃくしたりする)後、嚥下される。口唇を閉じる事は、あごが閉じる、舌が後方で落ち着き、のどとの交通を遮断する、鼻呼吸をするなど、咀嚼嚥下に欠かせないことになります。
顎の動きのコントロール
あごを大きく開くことにより、のどとの交通が生じやすく、誤嚥の危険性が増します。口唇閉鎖ができていると、あごの微妙な動きができ、そしゃくの際の細かな動きにも対応できます。
全身発達との関係
身体的、精神発達の度合いと、摂食機能の障害度は大きく関連しています。つまり、訓練に際しては、全身発達も考慮して臨まないと良い結果が生まれないということなのです。
間接訓練だけではよくならない
摂食嚥下の正常過程をシュミレーションしながら、総合的に取り組むことが必要です。とってつけたような間接訓練ではうまくいきません。
受身の態勢ではダメ
訓練や介助に際して、ほんの少しの能動的な動きを見逃さず、また、引き出す姿勢が大事です。なんでもかんでも、介助者がやってしまうと自分から取り込もうとすることがなくなってしまいます。経管依存症では、機能があるにもかかわらず全く自分から食べようとしなくなることもあります。
毎日の継続
これはわかりますよね。私たちが、1週間に一回関わっても、毎日のかかわりがなければ、効果は出ません。
早期介入
はじめにも述べましたように、異常パターンが定着してしまってからの訓練には大変な労力がいります。
離乳開始期がもっとも望ましいと考えられています。なぜなら、この時期は感覚運動系の発達がもっとも活発な時期で外からの刺激に対して反応がよく、正常な口腔機能の発達の促進に適していると考えられているからです。
チームアプローチ
全身発達と摂食機能の発達が密接な関連があることから、全身発達の促進を並行して進めていくためには医師、看護婦、PT,OT,STなど他職種との連携は不可欠です。摂食訓練に際しても、この点を他職種に理解していもらい進めていくことが大事です。また、機能に合った食事が与えられるためには、栄養士の協力は不可欠です。
訓練の開始時期は以下のの文献を参考にさせていただきました
金子芳洋 心身障害児の機能回復訓練 日本歯科評論 June 1985,No.512
食べる機能の発達 困っていること 食べる練習 間接訓練 発達に合った調理 食べることの心理