はじめに



 これは私が初めて書いた忍たま小説です。もう何年も前になります。 当時、もともと戦国時代好きな私は、購読していた「月刊LALA」に連載されていた柳原望さんの「一清・千沙 お伽話シリーズ」が好きでした。落乱にどっぷりはまるのと、同時期だったのではないかと思います。
 それで、同じ戦国時代だからとこの二つを勝手にくっつけてしまったのです。
 そのころ、すでに何冊かの忍たま同人誌を買って読んでいましたが、たまたまなのでしょうか。「実技の苦手な土井先生」というのを誇張したようなものが多くて、「土井先生はかっこいい忍者なんだぞ」というのを主張したくて勢いで書いてしまったものです。だから、話の展開が強引であろうが、つじつまが合わなかろうが、そんなことはどうだっていいのです!(開き直りっ)
 今読み返してみると、だれが主人公かわからないというか、視点が定まっていなくて読みくいのですが、なんとなく今はもう書けないだろうなと思う長編(一応)なので、掲載してしまうことにしました。
 読んでいただく前に、幾つか了解しておいていただいたほうがいいかと思うことがありまして、まず登場人物ですが、土井先生以外、ほとんどが「お伽話」シリーズに出てくるキャラです。設定も柳原先生の描かれたままです。「孫子」のエピソードも、土井先生と結びつけるために出したのではなく、本当に(本当って?)一清が千沙に贈ったのです。作中「加賀」というのが出てきますが、これは加賀百万石の加賀とは何の関係もないそうです。土井先生の友人と、隆房、その他ザコキャラはオリジナルです。
 私はこのシリーズの一清の大ボケっぷりが気に入っていたのですが、だんだん話が深刻になってきて、一清がなんでも1人で背負って悩んでいる青年みたいになってきてから、熱が冷めて購読をやめてしまいました。それで、この話の一清・千沙は、シリーズの中ごろと考えていただければと思います。(まあ、知らない人にはどうでもいいことなんですが)
 これを書いている途中、けっこうびっくりするような展開が原作(お伽話)のほうでありました。加賀をはさんで安住と対峙するような強国の存在が必要で、その名前を考えていたら「鷲尾」というのが登場したり、かつて加賀を窮地に陥れた間者が一清と親しかったという話にしようと思っていたら、鮎太という少年の話が出てきたり、まるで私を助けてくれているようでした。
 その後、私の書いたものの続編のような展開もありました。ふえには思いを寄せる男が出てきて、ふえもまんざらではないようでした。落乱でいったら水軍の若い衆のようないい男でした。千沙はちゃんと妊娠して、どうやら女の子を産んだようです。最終回をちらっと立ち読みした記憶では、一清は加賀の領主ではなくなったようです。生死もはっきりしませんでしたけど。もともとほのぼので始まった話ですから、まあ無事でしょう。(いいのか、そんなことで)それでも、こんな話を書いた私としては、ちょっと当たりすぎて怖いものがありました。
 それからぶっとんだのは、書き終えてしまったすぐ後で分かった土井先生の出生でした。実はちらっとですが土井先生が自分の家族のことを話すシーンがあったし、私なりに思うところがあって、その上でのこの話だったのです。どうしたらいいんだ、とうろたえた同人さんはさぞ多かったことでしょう。私は、家族の話をばっさり削ってしまいました。でも、なぜそう思っていたか、というあたりをまたそのうち雑記にでも書こうかと思っています。
 それでは長々と書きましたが、そんなたいしたものではございません。もし良かったらお目通しいただければ幸いです。

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