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探し人

以前にもちょっと引っかかってたんだけど、塗仏を、つーか、要するに司登場シーンを見直してたわけなんですが(笑)
思い出したので書いておきます。

内藤を捜していた玉枝に司が
「でも人探しでしょう? それで駄目でも探偵を知ってるから紹介するよ。腕は確かだけどその辺は馬鹿だからお金要らないと思うし」
と言ったんですね。

なぜ司が、人探しで榎さんを紹介しようと思ったのかといえば、
姑獲鳥にこんな記述があるので、そのときのことを知っていたんでしょう。
「失せ物の在り処、尋ね人の行方を軒並み当てた」

失せ物はともかく、尋ね人はどうやって当てたんでしょう?
全然関係ない人を探してやる義理もないので
見知った人間だったのであれば
その人に以前会ったときに視た記憶から、何らかの推理をしたんでしょうか。

ところで、司は榎さんの体質についてどの程度知ってるのかな。

言い訳をせずともよい文章を書きたいものだ

お題更新。

「愛されてるねぇ」

これを誰が誰に向かって言うのか。
ここから考え始めたわけなんです。

最初の「のーんびり過ごして何が悪いの」では少し言い方を変えたので、
べつにこれもこのままでなくても良かったんですが
例えば「愛されてるねぇ」と「愛されてますね」では、だいぶん違うような感じがしたんですね。

で、この「愛されてるねぇ」という言い方をしそうなのは誰かと考えたら、まず思い付いたのがほかならぬ探偵だったわけで。
探偵が美由紀に「愛されてるねぇ」って、どういう状況で言うんだ?
誰に愛されてるんだ? 両親か? とか思ってそのまま発展せず。

益田でも言いそうかな? と次に思ったわけですが、
益田ならどちらかというと「愛されてるんだね」って感じかな。

総一郎さん、とも思ったんです。
これはなかなかに魅力的だぞと。
でも、ちょっとまだご本人を直接書く度胸がなかったんですよ、私が。
まだイメージ固まってないっていうか。

で、そうだ、と思い付いたのが司さん(笑)。
最後のほうは蛇足っぽいんですが、それがないとあまりにもわけわかんないなと思ってあえて付け加えました。
司は多分、榎さんと美由紀の両方に対して言ったんだということを言いたかったんです。

それと、美由紀はああいう表情を榎木津さんだけに見せるのかな、と益田は思ったわけですが、
実際そうかどうかはわかりません。
榎さんのことですから(笑)。
なにがしか見抜いたものがあってそう描いたのかもしれないし、単なる願望かもしれません。

益田案外…

志水先生の益田、もしかしたらちょっと細すぎかも…。

塗仏をぱらぱら見直しているんですが、
クライマックスのあの山でですね、
益田は東野徹男(佐伯家の人)を連れていくんですが、
その行程のほとんどを、そのじいさんを背負って山道を進んでいたと書いてあるんですね。
川新のサポートがあったにしても。
(川新が背負ったほうがいいんじゃねえの? と思いつつ)
本人が暴力的なことが嫌いなだけで苦手意識が強いのかもしれないけど
実はそんなに弱くもひょろひょろでもないんじゃないか?

一応元刑事なんだし。
それなりの心得はあるでしょう。
いつかどっかで追い込まれてぶちっと切れて
意外と獅子奮迅の働きをしちゃう益田なんてのも見てみたいものだ(笑)。

まだ続くのか伊佐間

これで終わりますが。とりあえず。

何をいきなり伊佐間語りしてんのか自分でも謎でしたが
美由紀のおじいちゃんと仲良し(?)というユキハ様のお言葉により
そういえば伊佐間も絡新婦の結構重要な登場人物であったことを思い出し(今さらかよ)
この時間は無駄ではなかったと確信。

目潰し魔の攻撃を間一髪逃れたんですよね。
案外強運の持ち主なのかもしれませんね。
あるいは、ああ見えて(見てません)意外と俊敏な人なのだろうか。
榎さんの指揮下で生き延びたことを思うと、そういう可能性もあったりして。
いや、榎さんの下にいたら死ぬとかいうわけじゃなく、
なんとなく、榎さんの指示に100%従えれば生き延びれたのかも、などと思えちゃうんです。
もちろん敵のあることではあるし、戦争なんてそんな甘いもんじゃないに決まってますけど。

で、榎さんのほうは、初対面から伊佐間が気に入ったようだということと、戦後も付き合いが続いてるということが漠然と書いてるだけなんですね。

榎さんが伊佐間を気に入ったのは、中身が年寄りじみてるのを看破したのが嬉しかったというのもあったかもしれないけど
世の中の枠にうまく嵌れない伊佐間の性格もわかっていたのかもしれない。
そんなところに何か親近感を持ったのか、単に面白かったのか…。

でもいくら気に入っても戦後わざわざ探し出したりはしないだろうし
住所交換してたなんて気持ちの悪いことは絶対ないと思う(笑)。
あの世界のことだから信じられない偶然というのはあったのかもしれない(笑)。
全くの偶然でないとすれば、何らかのツテで榎さんらしき人物の噂を聞いた、
あるいは別の戦友を介してかつての上官の消息を聞いた、とかあるかもしれない。
で、半分興味本位で見にいったとか。総一郎さんの店に。


ひょっとしたら、何かほしい本があって、榎さんとの再会の前に京極堂へ行ったりとかしてたかも。
むしろそこからつながったとか。
マチコ庵は「中禅寺さん」だったと思うんだけど、伊佐間は「中禅寺君」なんだよね。
それとも性格の違いかな。

伊佐間の続き

なぜに依願下僕かというとですね、
狂骨の記述です。
エンジニアになりたかったけれど挫折した伊佐間。

「社会に不適合な自分の性格は真実正さねばならぬものかと伊佐間は伊佐間なりに煩悶したものである。
 戦後になってその煩悶は吹っ切れた。…… 尤も軍隊生活や暗い時代それ自体が、伊佐間にとって大きく意味を持ったと云う訳ではない……
伊佐間が影響を受けたとするなら、その対象は戦争によってもたらされたひとつの出会いと、ひとつの体験にこそ集約できるだろう」

体験のほうは、臨死体験です。
そして出会いというのが榎さんとの出会いなわけで。

でも、特にそれで感化されたとか、憧れたとか書いてあるわけじゃないんですね。

「その困った男と出会ったお陰で、伊佐間もまた困った道を歩む羽目になったと、そう考えるのは若干なりとも真実である」

まるで伊佐間が釣り堀屋の親爺になたのは榎さんのせいとでも言いたげである(笑)。
べつに伊佐間は改まって榎さんに何か相談したわけはないだろうし、
榎さんが何か口を出したわけでもないだろうけど
それでも臨死体験と同じぐらいのインパクトを持って伊佐間の人生に影響を与えた訳ですよ、榎さんが(笑)。

戦争という異常な空間の中で、殴られて当然の部下の返答に5分間も笑い続けたという榎さんに出会っちゃったわけですね。

益田もまた、伊佐間ほど社会の仕組み全体でなくても、警察機構の仕組みに馴染まないものを感じていたわけですよね。
そして下界から離れた山の中、寺、僧侶の連続殺人、今までの常識が通用しない異常な空間の中で、探偵に出会ってしまったわけです。

そして伊佐間は、自分の性格を直してまで社会に馴染むことをやめ、
益田は警察を辞め、探偵事務所に転がり込んでしまったわけです。

でも2人とも、探偵のことを困った人間だと思ってるわけです(笑)。

同じ下僕でも、マチコ庵はそこまでの影響を受けてはいないように見受けられるし
かといって河原崎や大磯の駐在さんのように無条件に心酔してしまってるわけでもない。
その辺伊佐間と益田は特徴的に似通ってるような気がしたんですよね。ふと。