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富田林寺内町の探訪

江戸時代の町並みが残る寺内町(じないまち)をご紹介します

大阪市内から近鉄電車で富田林駅まで30分。駅から徒歩10分。
ひっそりとした佇まいを残すお寺や町家を巡りながら、お手軽な歴史散歩に出かけてみませんか? 皆様のお越しをお待ちしています。

じないまち訪問記18 2014年2月1日-2日(タビカレ学園祭@東京ビッグサイト)

2014年2月1日(土)・2日(日)の二日間、東京ビッグサイト(東京国際展示場)を会場に「タビカレ学園祭」が開催されました。

国土交通省・観光庁が主催し、日本国内の新しい観光地づくりの取組を応援し、今までにない78の観光地の魅力開発と旅行商品化を推進する目的で、各観光地、旅行会社、旅行者の方々が知恵や意見を出し合い「今までにない国内観光の魅力を遊んで学ぶ場」として、「日本タビカレッジ」(通称「タビカレ」)という架空の教育機関をコンセプトとしています。78の観光地の試行錯誤の様子やモニターツアー情報、お得なプログラム情報を発信していく新しい機会として設けられました。(主催者のホームページより一部引用しました。)

今回、富田林寺内町は官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業の対象地区として、全国78か所の個性的で新しい日本の魅力ある観光地の一つに選ばれました。「タビカレ学園祭」会場では、富田林寺内町も会場入り口近くに観光PR展示ブースを開設しました。会場には全国78か所から集まった観光地のPR展示ブースが並んで、朝からたくさんの来場者で賑わいました。この二日間、会場の特設ステージ上では来場者に向けて地域の魅力をPRするプレゼンテーションも順番に実施されました。

富田林寺内町は、2月1日(土)午後にプレゼンテーション(5分間)を行い、寺内町の魅力についてスライドを使いながらご来場の皆様にご案内しました。じないまちボランティアガイドを務めております小生(管理人)が、このプレゼンテーションを担当させて頂きました。事前準備にご協力賜りました、富田林市役所産業環境部、まちづくり政策部、生涯学習部文化財課、(株)JTB西日本、(株)インプリージョン等ご関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。

PRプレゼンテーションの内容については、このページの末尾をご覧ください。

(2014年2月1日、管理人@横浜)
 
タビカレ学園祭(東京ビッグサイト西2ホール)
 
全国78ヶ所の観光PRブース
 
富田林寺内町「楽食楽まちじないまち」のPRブース
 
地域PRプレゼンテーション会場

地域PRプレゼンテーション 会場
【富田林寺内町のPRプレゼンテーション(発表原稿)】(東京ビッグサイト会場にて、2014年2月1日)

ご来場の皆さん、こんにちは。

午後のプレゼンテーションのトップバッターとして、大阪府南東部・南河内地方に位置する富田林寺内町の江戸時代の美しい町並みをご紹介致します。先ずは、富田林寺内町の町並みを見事な切り絵の作品でご紹介します。20年以上に亘り、切り絵で寺内町を描いておられる近藤好幸さんの作品です。

(アクセス)
さて、富田林寺内町へのアクセスですが、大阪のベッドタウンにあり、とても便利です。
関西国際空港からリムジンバスと電車を乗り継いで90分。大阪市内からは、日本一の高さを誇るビル「あべのハルカス」を擁するターミナルの、天王寺・阿部野橋から近鉄電車でわずか30分乗れば、最寄りの富田林駅に到着。駅から10分も歩くと、時代劇のシーンへとタイムトリップしたかのような雰囲気の町に出会います。坂道もなく平坦で、ゆっくりと歩いても一周1時間半で巡ることが出来ます。建物の解説や案内の標識などがよく整備されており、ガイドブックがなくてもお手軽な歴史散歩を楽しめます。

(富田林寺内町の魅力)
それでは、町並みの表情をスライドで御覧頂きながら、寺内町の魅力をご紹介します。 
寺内町の魅力は、“江戸時代のお寺と重厚な商家の町並みが残る歴史的景観の美しさ、次に、落ち着いた町の佇まい。コンビニとケータイショップが1軒もありません。そして、先人から引き継がれた歴史的町並みに今も人々が暮らす生活の場であることです。さらに、空き家や空き店舗を再生させて、歴史的町並みに自然と溶け込んだ手作り感溢れるお店の数々。お庭を眺めながら本格的なイタリアンを味わえる人気のお店もあります。こうしたお店を巡ることで、町並み散策に愉しみと彩りを添えてくれます。

(富田林寺内町の歴史)
寺内町の歴史をご紹介しましょう。富田林寺内町は、今話題の軍師・黒田官兵衛が播磨で活躍していた戦国時代の西暦1560年頃に、浄土真宗の布教を目的に作られた宗教自治都市です。その中心になったのは、興正寺別院です。戦国時代の当時の建物は残っていませんが、南北碁盤目状の通りや筋の町割と、外敵の侵入を防ぐ目的で町の周囲に巡らされた高さ約10メートルの土塁は、戦国時代のままに残っています。ニュータウンとして町が出来た戦国時代は、戦乱の世の中でしたが、織田信長と和睦を結び、安心と安全が保障されました。商いの税金も免除されて、外から多くの人々が町に集まり、自由な往来と活発な交易で富田林寺内町は大いに賑わいました。 

(町家の博物館)
江戸時代の初期から昭和初期までに建てられた寺院や商家の建物は、建造当時の姿で約180棟が現存しています。まさに「町家の博物館」と呼べるでしょう。江戸時代から明治時代にかけて酒造問屋、木綿問屋、味醂醸造などの豪商が軒を連ねて、南河内地方の経済の中心地として栄えました。興正寺別院、その山門の屋根には、天女の雨蓋瓦が載っています。国の重要文化財である旧・杉山家住宅などが代表的な建物です。お城の建物を思わせる、南葛原家住宅の珍しい3階建ての土蔵はランドマーク的存在です。幸いにも江戸時代から大きな火事がなく、太平洋戦争の空襲からも免れ、奇跡的に江戸時代の町並みが残りました。貴重な歴史的町並みは、大阪府下では唯一の、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。 

(落ち着いた佇まい)
昭和40年代後半に、保存のための学術調査が行われ、住民による町並み保存会も発足しました。行政と住民が一体になった取り組みが現在まで続いています。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定後、建物は建築当時の姿を保存・維持するために、外観の修理が行われています。地域の新築住宅は、周りの歴史的建造物に調和した外観や色使いになっています。じないまち交流館と呼ばれるビジターセンター、街路灯や来訪者への案内標識なども整備されています。路面には、歴史的建造物をデザインとしてあしらったマンホールの蓋や意匠タイルが目を楽しませてくれます。

(地域再生への取り組み)
寺内町の人口は約千人、400世帯。今も人々の暮らしが息づく歴史の町です。日本の他の市町村と同じように、少子高齢化を迎えた地域コミュニティーの再生、活性化が課題になっています。このため、歴史的町並みを活かして、住民や新たにお店を開いた店主が一緒になって地域活性化のイベントを企画しています。正月の初鍋めぐり、春の雛めぐり、夏の寺内町燈路、秋の後(のち)の雛まつりなど、四季折々に定着したイベントには、多くの方々が訪れるようになりました。通りに腰を下ろしキャンバスを構えて、町並みを心ゆくまでスケッチされている方をたくさんお見かけします。来訪者の方を見かけると、住民の皆さんはさりげなく挨拶を交わし、道を尋ねられた地元の中学生が熱心に道案内に応えるような、失いかけた日本の温かいおもてなしの心遣いが伝統的な町に息づいています。

10年前には、わずか3軒のお店しかなかった寺内町ですが、今では30軒近くまで増えました。寺内町を好きになった店主が、空き家や空き店舗を活用して、この町の良さを理解しながらユニークで手作り感あふれるお店を構えています。職人やアート関係の人たちが寺内町で活動していることも、独特の趣や味わいを添えています。 

(『楽食楽まち じないまち』の取り組み)
2013年11月には、南河内地方の豊かな自然や食文化との調和を目指したイベントが開催されました。寺内町が楽市楽座で栄えたことにちなんで、「楽食楽まち じないまち」と名付けられたこのイベントには、多くの来訪者の方々に足をお運び頂きました。古民家の中で伝統的な茶道、陶芸、フラワーアレンジメントなどを体験したり、地元の食材を使った料理やスイーツに舌鼓を打ちながら、まち歩きを楽しむ特別企画は、男女、年齢を問わず大きな人気を博しました。来訪者の方々からは、大阪市内から短時間のアクセスで、年間を通して手軽に町並み散策を楽しめることに高いご評価を頂戴しました。

(『ユネスコ世界文化遺産』登録を目指して)
富田林寺内町には、都会の喧騒を忘れて、懐かしい、ゆったりとした時間が流れています。この町の魅力は、“歴史的町並みの景観美、安らぎ、そして愉しみ”の調和です。寺内町をそのままの形で見て頂くことが一番の観光と考えています。

いつも私がボランティアガイドの終わりにお伝えする言葉があります。個人的な望みではありますが、いつの日か、富田林寺内町が、お隣の奈良県橿原市今井町と一緒に、「寺内町ブランド」で、『ユネスコ世界文化遺産』に登録されることを期待しています。多くの方々が富田林寺内町に魅力を感じて頂いて、足をお運び頂けましたら幸いです。

今日、この会場でプレゼンテーションをお聴き頂きました皆様に御礼申し上げます。また、事前の準備にご協力頂きました関係者の皆様にもこの場を借りまして御礼申し上げます。御静聴どうもありがとうございました。(了)

【富田林寺内町のPRプレゼンテーション(スライド原稿)】(東京ビッグサイト会場にて、2014年2月1日)

ダウンロード タビカレ学園祭プレゼンスライド(PDF)
じないまち探訪記
じないまち随想 
 ご感想などお便りをお待ちしています。(管理人)


Information


(富田林市提供、禁無断転載)

富田林寺内町までの道順
寺内町へは近鉄長野線富田林駅又は富田林西口駅下車徒歩10分です。先ずはじないまち交流館へお立ち寄りください。

散策地図がもらえます
富田林駅前の観光案内所又はじないまち交流館散策地図がもらえます。

立ち寄ってみたいお店

休憩所(トイレ)
じないまち交流館寺内町センターじないまち展望広場にあります。

車でお越しの方へ
寺内町は道幅が狭く、中には公共駐車場がありません。車でお越しの場合には、2014年2月に新しくオープンした富田林市営東駐車場(有料)をご利用ください。一般用の普通乗用車及び団体用のマイクロバス(1台分、市役所に要事前予約)を駐車できます。重要文化財・旧杉山家住宅まで徒歩5分、じないまち交流館まで徒歩15分。

尚、団体用の大型観光バスでお越しの場合は、富田林市役所にお問い合わせください。宜しくご協力をお願いします。


重要伝統的建造物群保存地区
富田林市富田林町の一部にあたる寺内町は、1997年(平成9年)に国から重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。大阪府下では唯一の指定となっています寺内町にある約500棟の建物の内、江戸時代から昭和初期頃までに建てられた181棟の建造物が伝統的建造物に特定されています。保存地区内において通常道路から見える建物等の外観の現状を変更(増改築、改修、模様替え、色彩の変更、新築、除却など)する時には、予め市教育委員会・文化財保護課に申請して許可を得る必要があります。伝統的民家(町家)は白壁、板塀、格子戸など往時の姿のままに外観の保存・復元・修景作業を終えて、今も人々が生活の場として暮らしながら、素朴で静かな佇まいを今に伝えています。

寺内町の主だった商家には由緒・由来を記した案内板が設けられ、石畳の街路には路面灯を兼ねた道標や案内標識なども整備されています。電信柱の配置や各戸の電気メーターなどもできる限り目立たないような工夫が施されています。

また、寺内町では伝統的な町並み景観に配慮して、新しく建築される建物も周囲の景観に調和した外観となっています。

ボランティア・ガイド




団体でお越しの場合には、地元のボランティア・ガイドによるご案内も可能です。(事前のお申込みが必要)

ガイドのお問い合わせや事前のお申込みは下記のじないまち交流館までお電話ください。


じないまち交流館
〒584-0033
大阪市富田林市富田林町9-29
TEL.0721-26-0110
FAX.0721-26-0110
(午前10時~午後5時、月曜休館、12月28日~1月4日休館)

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