歩き遍路の基本情報   遍路の旅は   出発準備   靴とザック 
 同行二人   通し打ち   遍路シーズン   カンカンラリー   旅で会った人たち

  重い荷物を背負って

歩き遍路のつらさは、交通手段として歩くことにある。
歩くことを更につらくしている最大の理由は、背中の荷物にある。

遍路マニュアルを読んでいると、背負う荷物は5〜6kgにしなさいとある。あとこれに納経帳など納経に関連する荷がプラスされるというのである。
事前にそのことは頭にあったのでできるだけ荷物は減らしたつもりであった。それでもどうしても重くなってしまう。途中で4回宅急便で不要なものを家に送り返した。

いったいどのくらいの荷物を背負っているのかという疑問はずっとあった。なかなか重量をチェックする機会がない。初めて目方を調べたのは坂出に泊った旅館で、体重計で計量したときだった。宅急便で3回目の発送をする前。
宅急便で送るものが1.5kg、残りで背中に背負うものが8kg、ズタ袋が2kg。
かなりの荷物を背負っているとは思っていたが10kgを越えていたとはびっくり。

途中で結構いろんなものを買っている。足のケアーをするための張り薬や塗り薬、補助食料、地図。地図としてはへんろみち保存協会発行の本は持っているがこれだけでは全体的なことや遍路道と一般道との取り合いがよく分からないので道路地図を一冊買った。しかし本は重い。最後はこの本も送り返した。
あと重いのは水。自動販売機には助けられるが、いつでも飲みたい時に自動販売機があるわけではない。最低限の水は持たざるを得ない。
宅急便で送り返した1.5kgの荷物を減らしたら急に軽くなった気がした。それでも10kgの荷物を背負っていたのだけれど。

荷物が軽くなるといえば、歩いていて急に背負っている荷物が軽く感ずることがある。あれって一体何だろう。背負っているのだろうかというほどの軽さに感ずるのだ。背負い忘れたのではないかと顔を後ろに振り向けたり、手で荷物に触ったりして確認してみた。確かに荷物は背中にあった。こんな軽さなら走り出せそうだという錯覚にすら陥った。この軽さがいつまでも続いてくれたら助かるのにと思ったが残念ながらずっと続くことはなかった。
それでもそういうことがあるというのはつらい時でもどっかで心の支えになってくれた。
修験道をしている人に会ったときその話をしたら、「お大師さんですよ」と笑っていた。自分でもそんな気がしていたが。

10kgというのは決して軽くはない。軽くはないが人間寝泊りと食事を別にすればこの程度で生きていけるという証でもある。

我が家に帰って不要不急の物の多さを実感したものだ。

分け入っても分け入っても   重い荷物を背負って   雨に濡れても   いい顔とは
接待する人   鈴の音  内子町寄り道  宇和町寄り道   団体巡礼と野宿遍路   ポケットティッシュの接待