チリーン チリーンというあの遍路の鈴の音は耳に心地よい。
そう思って途中で鈴を買った。ザックに取り付けて歩いてみる。所がこれが意外に意のままにならない。意のままというのは、適当に間をおいて チリーン チリーン と鳴ってくれるのがベストなのである。所がザックのいい位置に取り付けないとほとんど音がしないか、さもなくばやたらチリンチリンと鳴るのである。考えて見れば歩くたびに鳴るのは当然といえば当然ではある。一秒間に2,3歩は歩くから歩数と同じだけ鳴るとうるさくてしょうがない。右側につけると右足の動きに同期して音がする。それでも1秒に一回は鳴るからこれでもうるさい。仕方がないので鈴はしまい込んで田舎道ののんびりしたところでたまに取り出しては鳴らしてみたりした。
鈴を鳴らしながらお寺に入ってくる団体さんが多い。ご本人達は気が付いていないかも知れないが大勢でチリーン チリーンやられるのはかなりはた迷惑。うるさいのである。あの人たちはお寺でしか鳴らすところがないからここぞとばかり鳴らして悦に入っているのかも知れないけれど。もっともあの音がすると団体が来たと分かるので、あわてて納経所に先回りするということもあってずいぶん助けられた。
本来鈴はお経をあげているときにお経とお経の合間に鳴らすもので歩きながら鳴らすものではないらしい。
買った鈴は、いま我が家では風鈴代わりにぶら下げている。風が吹くといい具合に鳴ってくれる。
涼しげに遍路旅を思い出させてくれる。
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