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富田林寺内町の探訪

江戸時代の町並みが残る寺内町(じないまち)をご紹介します

大阪市内から近鉄電車で富田林駅まで30分。駅から徒歩10分。
ひっそりとした佇まいを残すお寺や町家を巡りながら、お手軽な歴史散歩に出かけてみませんか? 皆様のお越しをお待ちしています。

LLPまちかつ(有限責任事業組合 富田林町家利活用促進機構)

人口減少社会、少子高齢化社会を迎えて、歴史的町並みが残る富田林寺内町地区一帯でも古民家の空き家や空き地が目立つ状況にあります。2009年に地元の有志が中心になって設立された「LLPまちかつ」(有限責任事業組合 富田林町家利活用促進機構)により、古民家(空き家)の所有者と、寺内町で新たにお店を開業したいテナント希望者を仲介して、古民家(空き家)の利活用が促進されています。LLPまちかつ」の活動内容については、同団体のホームページを御覧ください。寺内町の古民家でお店を開いてみたい方は、「LLPまちかつ」までお問い合わせしてみて下さい。

こうした取り組みに当初から関わってこられた、株式会社ダン計画研究所(大阪市)主任研究員である上岡文子様が、同社の社外報(2015年1月発行)の中で「LLPまちかつ」の活動や寺内町の古民家の保存・利活用に関する課題をリポートされています。このたび、上岡様のご許可を得て、全文引用で御紹介させて頂きます。(統計グラフや写真が盛り込まれた同社社外報の当該頁のPDFも併せて掲載していますので、御覧ください。)

ダウンロード 上岡文子様のリポート(1/2頁)
ダウンロード 上岡文子様のリポート(2/2頁)

(2015年1月31日 管理人)
 
木くま館
 
ゲストハウス「ご婦人乃宿 泊や」
(2015年春開業予定)
「空き家等活用によるまちの再編成」
株式会社ダン計画研究所(大阪市)主任研究員 上岡文子様) 2015年1月

富田林でのまちづくりとLLP組織による空き家活用の取り組み
府下唯―の重要伝統的建造物群保存地区「富田林寺内(じない)町(まち)」を擁する富田林駅南地区において、弊社(株式会社ダン計画研究所)は市民協働プログラムの策定(旧まちづくり交付金事業を活用)からまちづくりの企画・支援に携わり今年で9年目となる。住民、商業者、まちづくり団体、行政等の連携による歴史資源を活かしたまちづくりは、まちに関わる様々な主体が同じテーブルで一つのプロジェクトに取り組む経験がなかったため、当初3、4年は何度も衝突を生み苦労を重ねたが、現在は各主体が緩やかに繋がり、必要な時に連携できる関係性が構築されている。

市民協働プログラム策定時から、少子高齢化、市域における中心性の低下等による歴史的建造物等の空き家が地区全体で問題となっており、平成21年(2009年)9月、地元有志により空き家活用支援組織「有限責任事業組合 富田林町家利活用促進機構(以下「LLPまちかつ」)」を立ち上げ、『アートと工房のまちづくり』をテーマに活動を行っている。運営を行政に頼らない、民主体の組織であり、弊社は立ち上げの支援から関わり、現在は自身もメンバーの一人である。この5年程(設立~平成25年度末)で、「LLPまちかつ」は歴史的建造物等を活用した店舗等の新設37件に携わり、今年度(2014年度)も来春開業予定の店舗やゲストハウス等の支援を続けている。また、弊社(株式会社ダン計画研究所)が事業主体となり、寺内町内で空き家となっていた大正期(推定)の町家を、京都大学生存圏研究所の開発した新たな耐震構法を導入して整備した林業の拠点施設「富田林じないまち・木くま館」(平成23年度大阪府森林整備加速化・林業再生事業)は、翌年から「LLPまちかつ」が運営を行っている。

『アートと工房のまち」をテーマとしたのは、富田林寺内町を含めた周辺が居住地でありいわゆる観光地化を望んでいないことや、富田林寺内町が近世に在郷町として、酒造りや河内木綿等で発展した「ものづくりのまち」であった歴史に由縁する。また、当地区の空き家活用の先駆けとなった10年以上前にオープンした陶芸工房が与えた影響も大きい。

新たな課題 ~大型町家、空地の活用~
LLPまちかつ」の地道なマッチング活動により空き家活用の機運は醸成されてきたが、依然として空き家は潜在的にあり、特に街区の半分以上を占める塀・庭付きの大型町家等の長期的な空き家化や、老朽化した町家・長屋等の除却による空地の増加も近年問題となっている。

これまで、「LLPまちかつ」がマッチングに関わった物件の多くは延べ100㎡M前後の比較的規模の小さい町家等の賃貸借であり、外観や構造にかかわる部分は所有が、内装は利用者が改修費を負担する事例が多い。富田林寺内町は伝建地区であり、富田林市により伝統的建造物の保存修理事業(80%補助・600万円上限)や、街並み環境整備事業によるそれ以外の建物の改修・新築の修景整備事業(70%補助・500万円上限)があるため、所有者の費用負担は抑えることが出来るが、大型町家のような規模が大きく、また長期間利用されておらず老朽化が進行している場合、現状の補助額では十分とはいえない。また、利用者にとっても、そういった建物の内部改修にかかる費用は個人で負担できる額を超えているため、自ずと50~100㎡ 程度の規模の建物に希望が集中する。内部改修に利用出来る補助金もあるが、申請書の作成・手続きが煩雑で、企画・コーディネート能力や地方公共団体のバックアップ等も必要とされるため、純粋に個人が申請するのは困難といえる。

こうした状況を背景に、今年度(2014年度)、「LLPまちかつ」では、国土交通省、文化庁からの委託事業により大型町家対策に民間資金を導入した活用手法・体制の検討調査を実施している。当地区で課題となっている、大型町家等規模が大きくまとまった投資金額を要するものや権利者が複数存在する歴史的建造物の活用、歴史的建造物が取り壊された低未利用地の活用について、モデル物件を対象に検討している。

これらは日本全国で歴史的景観を有する地区に共通する同種の課題であり、補助金だけに頼るのでなくファンドや不動産信託等による資金調達を所有者に代わって民間組織が行い、町家等を改修し、サブリース事業を展開する事例が多く見られるようになっている。また、このような組織が動いているエリアには、住民を中心とした歴史的町並みの保存組織を始め、地域に根付いた商業者や事業者、地域固有のイベントや行事・情報発信を行う組織、来訪者・観光客の案内・コーディネートを行う組織、「LLPまちかつ」のような居住・開業のマッチング組織、建築・不動産・都市計画等の専門家、大学、行政等の様々な担い手が存在しており、それぞれの事業や活動がある上で民主体の空き家活用が成立していると考えられる。当地区においても、「LLPまちかつ」を始めとしたコミュニティ活動の多様化、寺内町を中心とした行政による公共施設整備が進む中で、事業推進能力の高い空き家等活用組織とその体制づくりが必要な時期に来ている。 

アートと工房による「住む」まちづくり
これまで「LLPまちかつ」が行ってきた誘致の対象は主にものづくりの担い手であり今後もその方向性に大きな変更はないが、日常的にまちを維持・運営していくのはやはり住民であり、ものづくりの担い手も含め「住んで働く」層の誘致が大きなテーマになると考える。職住一致は必ずしも簡単にはいかないが、職住近接や、職をコミュニティに携わる活動や事業(仕事や主婦業とは別で、アフターファイブや休日等に行うまちづくり活動や小商い等)と捉えた場合、その対象者はかなり広がる。そうした魅力的な住民がいる場所には、自ずと人が集まると考える。

また、来春(2015年春)当地区に初めて開設予定の外国人を対象としたゲストハウス(女性専用)を皮切りに、長期滞在の外国人観光客を受け入れる施設展開にも期待を寄せている。空き家の活用により、地域の様々な問題を少しずつ解決しながら、時代の変化に合わせてまちや人が変貌していくその様子をこの5年間近で体感できたことは貴重な経験だった。今後も、自身も変化しながらまちと一緒に次のステージヘ新たな挑戦をしていきたい。
 
2016年6月23日
【更新情報】2016年610日に国土交通省「第5回まちづくり法人 国土交通大臣賞」の表彰があり、有限責任事業組合 富田林町家利活用促進機構(LLPまちかつ)(大阪府富田林市)が表彰されました。
表彰式は、東京・水道橋の「すまい・るホール」で行われ、LLPまちかつの佐藤康平氏が代表で受賞されました。 (写真提供:富田林市 北野俊夫様)

(2016年5月26日付国土交通省 報道発表資料)
http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi05_hh_000153.html

 
2016年4月15日
【更新情報】「人口減少社会における地域ブランド戦略」報告書(大阪府商工労働部商工労働総務課 大阪産業経済リサーチセンター作成、2016年4月12日)の中で、富田林寺内町での江戸情緒の残る町並みを活かしたまちづくりが事例紹介されました。(同報告書12頁-17頁)  
 
2015年11月15日
【更新情報】煌く寺内町ウーマン~煌く、感じる、夢を見る 寺内町と女性たち~(パネルディスカッション)が開催されました。
大阪府下では唯一、国の伝統的建造物群保存地区に選定されている富田林寺内町の歴史地区で、それぞれのお店を構えておられる女性店主が集まり、「煌く寺内町ウーマン~煌く、感じる、夢を見る 寺内町と女性たち~」と題したパネルディスカッションが開催されました。2015年10月27日に富田林市立中央公民館会議室にて開催されました。。開店までの御苦労話など、これから寺内町でお店を開いてみたいと考えておられる方々にも参考になる内容でした。株式会社インプリージョン様のご協力を得て、パネルディスカッションの抄録を掲載させて頂きました。
 じないまち散策MAP
 
地域活性化への取り組み
じないまち探訪記
じないまち随想 
 ご感想などお便りをお待ちしています。(管理人)

Information


(富田林市提供、禁無断転載)

富田林寺内町までの道順
寺内町へは近鉄長野線富田林駅又は富田林西口駅下車徒歩10分です。先ずはじないまち交流館へお立ち寄りください。

散策地図がもらえます
富田林駅前の観光案内所又はじないまち交流館散策地図がもらえます。

立ち寄ってみたいお店

休憩所(トイレ)
じないまち交流館寺内町センターじないまち展望広場にあります。

車でお越しの方へ
寺内町は道幅が狭く、中には公共駐車場がありません。車でお越しの場合には、2014年2月に新しくオープンした富田林市営東駐車場(有料)をご利用ください。一般用の普通乗用車及び団体用のマイクロバス(1台分、市役所に要事前予約)を駐車できます。重要文化財・旧杉山家住宅まで徒歩5分、じないまち交流館まで徒歩15分。

尚、団体用の大型観光バスでお越しの場合は、富田林市役所にお問い合わせください。宜しくご協力をお願いします。

重要伝統的建造物群保存地区
富田林市富田林町の一部にあたる寺内町は、1997年(平成9年)に国から重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。大阪府下では唯一の指定となっています寺内町にある約500棟の建物の内、江戸時代から昭和初期頃までに建てられた181棟の建造物が伝統的建造物に特定されています。保存地区内において通常道路から見える建物等の外観の現状を変更(増改築、改修、模様替え、色彩の変更、新築、除却など)する時には、予め市教育委員会・文化財保護課に申請して許可を得る必要があります。伝統的民家(町家)は白壁、板塀、格子戸など往時の姿のままに外観の保存・復元・修景作業を終えて、今も人々が生活の場として暮らしながら、素朴で静かな佇まいを今に伝えています。

寺内町の主だった商家には由緒・由来を記した案内板が設けられ、石畳の街路には路面灯を兼ねた道標や案内標識なども整備されています。電信柱の配置や各戸の電気メーターなどもできる限り目立たないような工夫が施されています。

また、寺内町では伝統的な町並み景観に配慮して、新しく建築される建物も周囲の景観に調和した外観となっています。


興正寺別院(富田林御坊)

真宗興正寺派、富田林・寺内町の成立と発展の中心となった寺院です。地元の人からは御坊さん(富田林御坊)として親しまれています。


応永年間(1394-1412年)に毛人谷(えびたに)御坊に草創。 永禄3年(1560年)に京都・興正寺第16世証秀上人が現在地に移建。

城之門筋に表門を開き、鐘楼・鼓楼を構え、本堂・客殿・庫裏などを配する。 表門は桃山調の高いもので、もと伏見城門のひとつが興正寺に寄与されたものをここに移建したと伝えられています。

ボランティア・ガイド




団体でお越しの場合には、地元のボランティア・ガイドによるご案内も可能です。(事前のお申込みが必要)

ガイドのお問い合わせや事前のお申込みは下記のじないまち交流館までお電話ください。


じないまち交流館
〒584-0033
大阪市富田林市富田林町9-29
TEL.0721-26-0110
FAX.0721-26-0110
(午前10時~午後5時、月曜休館、12月28日~1月4日休館)

 立ち寄ってみたいお店
 寺内町の見どころガイド (1/2)
 寺内町の見どころガイド (2/2)
 寺内町の町割(都市計画)
 城之門筋(日本の道百選)
 壱里山町
 富山町(とみやまちょう)
 北会所町
 南会所町
 堺町(堺筋)
 御坊町
 林町
 寺内町の入り口
 東高野街道
 重要文化財・興正寺別院
 重要文化財・(旧)杉山家住宅
 寺内町の建築様式
 屋根・屋根瓦
 虫籠窓
 格子窓
 土蔵
 煙だしの越屋根
 鐘馗さん(魔除けの瓦人形)
 袖うだつ
 歴史的建造物一覧(寺院・町家)
 歴史的町並み保存の歩み
 歴史的町並み景観の整備・保全
 歴史逸話
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