白い古書、ぞっき本も、時を経て読むと面白いものです。

今月の一冊は、これ!



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「DO CATALOG 1」の表紙



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Recycle America「古きよきMADE IN USAの再生」フロント頁



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「DO CATALOG 2」の表紙



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MY WAY SHELTER「HANDMADE HOUSE」セビーナの“宗教的コミュニティー”の城



U.S.A.'76
DO CATALOG

企画製作:[株] ホライゾン
サンケイ新聞出版局(1975年発行)

 今回は、前回に関連したカタログ本を紹介します。「Made in U.S.A catalog 1975」「Made in U.S.A-2 Scrapbook of America 1976」の後を追うように発行された「U.S.A.'76 DO CATALOG」を見てみましょう。「DO CATALOG」は週刊サンケイ特別増刊12月15日号として11月28日に発売、3日前に売り出された「U.S.A-2」に発売広告が載っています。「アメリカン・ライフスタイルの“新しい動き”を知る本」とうたい、「この本は、あなたの生活を根底から変えてしまうかもしれない」と書かれています。「U.S.A」が生活の道具を集めたカタログとすれば、「DO」の方は生活の仕方、生き方そのものの見本帳と言えるでしょう。76年6月、季刊となって春号「 U.S.A.'76 DO CATALOG NO.2 SOURCE BOOK OF ALTERNATIVE LIFE-STYLES」が出て購入していますが、その後、何号まで出版されたかは把握しておりません。

 アメリカの民主主義は揺るぎなく、世界平和のために振るう正義の剣は敗北を知らず、大量生産大量消費の資本主義経済は繁栄の一途、と信じていた米国民が目にしたのは、ウォーターゲート事件であり、ベトナムでの敗北であり、公害・環境汚染に対するレイチェル・カーソンらの告発でした。そんな状況下、夢の国・アメリカの青・壮年が模索し、試行錯誤途上にあった新しいライフスタイルとは? 「DO CATALOG」は、その転換期の貴重な記録を集めた一冊かも知れません。

 翻って76年当時の日本はと言えば、会社に縛り付けられて自由とは無縁の日々に明け暮れるサラリーマンの悲哀を歌ったかのような「およげ、たいやきくん」が流行し、1等賞金1000万円の宝くじ発売に殺到して死者が出るような世の中。私も、がむしゃらに生きて行くだけで精一杯、ライフスタイルを模索する余裕などないと言うのが実情でしたから、この本を読んでも「生活を根底から変えてしまう」には到底至らず、ただ彼我の差の大きさに嘆息するばかりでした。

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    U.S.A.'76 DO CATALOG
                       
SOURCE BOOK OF THE GOOD LIFE

 《前書きから》 「これは“アメリ力見たまま”式の本ではない。いわゆる“本当のアメリカ”をそれぞれの角度からとらえているメディアは他にいくらでもある。我々の狙いはそれではない。/DO CATALOGは、アメリカが“どう変わろうとしているか”を見せる本である。この本に登場するのは、生活を自らコントロールし、独自のライフスタイルを作りあげている人達である。が、彼らの生活が我々に、未来のライフスタイルはこうなるというサンプルを見せてくれているというわけではない。我々の未来の“生き方”には、どんな可能性と選択性があるかということについて、彼らは我々の目を開かせてくれるそういう本になることを信じて我々は作業を進めた」「この本にDO CATALOGというタイトルをつけたのは、“押しつけられた概念”によってではなく、自分の考えと意志で行動している人々の本だからである。力夕ログといったのは、従来のカタログのように事実を簡潔明瞭に表現しているから、というだけの二とにすぎない。それ以外の類似点はまったくない」

 《目次》 INTRODUCTION/「自然な生活」とは何か/改造の妙――わが家が“旅”をする/頭を使った「一部屋の暮し」/“緑”で埋められ始めた都市生活/人生に野性と冒険を復活しよう/古きよきMADE IN USAの再生/“芸術”が共存する独創的な住まい/手工芸――自分の手で“美”を作る/新しい流行は“街頭から”生まれる/他人と“いっしょにやる”人生/肉体と精神を改良するための“努力”/日本ですぐDOするための情報源/スチュアート・ブランド氏の言葉

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     U.S.A.'76 DO CATALOG NO.2
                    
 SOURCE BOOK OF ALTERNATIVE LIFE-STYLES

 《前書きから》 「ALTERNATIVE――『オルターネティブ』という言葉を、我々はアメリ力取材中に、たびたび耳にしました。これは“変わりつつあるアメリカ”の一つの側面を象徴する言葉ともいえます。/『もう一つの』と訳したこの言葉には、『二者択一の』という意味もあり、この場合、二者のうちの一方は“既成の文化”ということになります。従って、『もう一つの』という方には、その既成の文化を否定するニュアンスがこめられているということです」「我々がそれらオルターネティプ・ライフスタイルの動きを探求するのは、それを日本の読者にそのまま取リ入れてほしいからではもちろんありません。我々の目的は、ライフスタイルは幾通リもあるのだということ、その限界と選択の可能性は、考えられていたよりも、ずっと広いものだということを“見せること”なのです」

 《目次》 土曜日には“新しい経験”をしよう/HANDMADE HOUSE――“巣作り”に求める創造の快/アリゾナの砂漠に築く“未来都市”の原型/超近代工業国・アメリカにクラフト時代が来た/気軽に冒険心を満たす週末のレジャー/イマジネーションと創造力で“服”を楽しむ/「思い出の品々」への関心は“過去への逃避”?/静かなブーム“水上生活者”のライフスタイル/アーチストたちの部屋作りの“アート”/住まいの中の自己表現ルーム・アクセサリー/ビル・グラハムが緑をプロデュース/オリジナリティーなある“たまり場”繁盛記/儲け主義から遊離した“商売”を成功させる実務家の“協同組合”ブライアーパッチ/物質から精神への転位“心の開発”研究所――ESALEN/“掘り出し物”探しがレジャーになった/新しい生活方式を探求する実践研究所ファラローンズ・インスティチュート

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