(第2編)
放浪旅
VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
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深浦駅は雪の中・・・
15分ほどで深浦に到着。次の列車まで、なんと5時間。遭難者ならともかく、駅でじっといても何も
始まらない。駅を出て、やや雪の降りが弱くなった町を歩き始めた。ただ、降りが弱くなったとはいえ
歩道のスペースはほとんど除雪されておらず、文字通りの雪中行軍となった。

目指すは岡崎海岸。夕陽の名所として知られているが、もちろん夕陽が目当てではなく、日本海を
一望できるであろうと思われたので、冬の日本海を目前に見るためだ。時間はたっぷりあるので、
ゆっくりと歩いた。雪かきをしている町民たちの、「誰だ、コイツは・・・」的な視線が嬉しかった。
民家あり、商店あり、役場あり、漁港あり・・・・。深浦の町並みは実に変化に富んでいる。あと何キロ
で目的地か、あと何分くらい歩けばいいのか、そんなことを考える暇を起こさせない。幸いなことに、
雪も止んで傘も要らなくなった。時折吹く強く冷たい風に当たりながら、ゆっくりと歩いた。

どのくらい歩いただろうか、民家も途絶えて、緩い坂道を登りきった所が岡崎海岸だった。なるほど、
確かに夕陽の名所といえるだけの見晴らしの良さだ。少し突き出た小高い丘になっているため、風
がものすごく強い。お地蔵さんの入っている小屋(?)で風をよけつつ、シャッターを切った。
風が強いので当然だが、猛烈な高波だ。数日前にニュースで見たインド洋の大津波ほどではない
が、このような波が何百年・何千年と絶え間なく続けば、岩だってとてつもなくゴツゴツとした形に
なるだろうと納得してしまう。とにかく、荒れ狂っているという表現がピッタリの波の猛威だった。

年々寒さに弱くなっているのか、着いた当初はすぐにでも帰りたい心境だったが、この荒波を前に
して帰るのが惜しくなった。ほんの2時間程度の椿山では猛吹雪だったのが、今では雲の間から
陽も差す天候になっていた。山だけでなく、海の天気も変わりやすいということか。

自然をナメているわけではないが、この旅を始めてから天気予報を全く見ていない。普段の旅なら
写真が主目的なので天候把握は大事だが、今回は放浪なのでどうでもよく、どうせ晴れるわけない
という諦めもあった。それだけに、時折だが日差しを浴びるのは有難かった。

いつまでも居るわけにいかないので、時間を見計らって退却。引き返す途中、円覚寺に立ち寄って
初詣を行った。神社仏閣には大して興味がなく、初詣など気紛れでしか行ったことがないのだが。
つい、「今年死ぬ運命なら旅の途中で死なせて下さい」と祈った。我ながら、変な奴だと思う。
猛烈な風が雲を吹き飛ばした! 時折晴れ間も見えた深浦町岡崎海岸の日本海
円覚寺。元旦に初詣なんて10年以上ぶりかも
ところで、案の定この日の食事は困難を極めた。ウェスパ椿山では全く空腹感がなかったのだが、
やはり歩き回ったあとの深浦では腹が減ってきてしまい、帰り道は腹がグーグーと鳴りっぱなし。
元旦から営業している飲食店などなく(そもそも飲食店らしきものがない)、駅前のコンビニ風の店
でハンバーグ弁当を仕入れて食す。なぜか洋菓子も売っている店で、弁当よりもその後に食した
ショートケーキやシュークリームのほうが格段に美味かった。

晴れているわけではないので、16時を過ぎると空はもう薄暗くなってきた。17時ちょっと前発車の
列車に乗る頃は車窓の外も目を凝らしてないと分からないぐらいの暗さ。これから先にも、絶景の
車窓が続くだけに非常に惜しいが仕方ない。5時間滞在した深浦に別れを告げ列車に乗りこんだ。
身体の芯から冷えた岡崎海岸から比べると、温かすぎる車内。やがて、眠りこけてしまった。

ほぼ1日にわたった五能線の旅も終え、川部で奥羽線に乗り換えるとあとは青森を目指すだけ。
外は真っ暗で、することといえば今年はどこを旅しようかと考えることぐらい。不思議なことに、旅の
ことを考えていると退屈することなくあっという間に時間が過ぎる。
やはり、ほどなく青森に到着した。日本海岸北上の放浪旅、ついに明日を残すのみ!
五能線深浦駅。
ホームからも海が見える 
夜の青森。
青森ベイブリッジ・・・
って本当にいうらしい
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
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(第3編)
VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
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