史上最低の奇行文
〜其の八 目指せ、本州最西端 の巻〜
>>> 中途半端な旅人が中途半端な画像と中途半端な文章で綴る <<<
放浪旅
青森県の大間崎、岩手県の鯔(とど)ヶ崎、和歌山県の潮岬、・・・これらに共通するものは何か。
そう、本州の端(北端、東端、南端)である。いずれも立派な灯台を備えた岬であり、それはこのサイト
cape のページを見てもらえれば分かる(←宣伝)。
では、本州の西端は何処か? おそらく東西南北の中で最も知られていない。かつ、遠く離れた東京の
人間にとっては非常に地味だ。何にせよ、行ってみないと何があるのか分からないし、発見も感動もスリルもない。ということで、本州最西端に向けて旅立った。
実は本州最西端行きは、昨年の年末に中途半端にトライして失敗したことがあり、今回は3ヵ月ぶりに
そのリベンジである。直線距離では山陰本線の梅ヶ峠駅が近いが、ロクな道がないため往路は隣の
吉見駅から出発(帰路は梅ヶ峠駅へ向かった)。
降り立ってみるとやはり、看板のとおり本州最西端の文字が読める。岬といったり崎といったり鼻と言ったりいろいろだが、陸地の果て、それも(本州の)西の端である。そこへ向かうというだけで、なぜか心が躍る。4キロなんてあっという間であろう、とそのときは思った。
ところが、日ごろの運動不足と睡眠不足がかかって妙に疲弊してしまった。救いとなったのは、あまりにもマメに出現する『あと○キロ』の看板。少しずつでも近づいていることを実感しながら、このまま平坦な道が続けばいいが・・・と空しい願いを抱きながら歩き続けた。
下の画像のとおり、空模様は今ひとつ冴えないが菜の花の黄色っぷりが眩しかった。鹿児島で1月、青森で5月に満開≠フ菜の花を見たことがあるが、桜と同様に時間をかけて北上していくのであろう。
少しの時間黄色を目に焼き付けて、再び歩き出した。
毘沙ノ鼻まであと1.5キロという看板が地味ながらもある一方で、ほぼ満開を迎えた桜が美しい。
そしてこの桜の木を越えたあたりから、少しずつ上り坂が始まった。最初はジワジワと勾配が緩く距離が長い上り坂で、息が上がり始めた。身体が弱っていることを実感・・・
毘沙ノ鼻へと向かう道は、下関市の(山口県の?)ゴミ処分場へと通じる道でもあり、そのため車が通れる道幅で舗装もしてあるということか。とは言っても、世界に1つしかない(?)本州最西端の地の隣にゴミ処分場を作るとは、旅情を台無しにするようなことをやってくれるものである。
雨に降られるよりはマシだが、曇天は風景も雲って見えてしまう。波穏やかな海岸にたどり着いたが、なんとも味気ない風景となった。釣りやダイビングをしている人もおり、それはそれで楽しいのだろうが、こちらは大した感動もせずに黙々と海岸線を通り過ぎた。
海岸ということは当然、海抜ゼロメートルである。毘沙ノ鼻は地図で見るかぎり、山(崖の上)にある。
つまりここから、ひたすら上り坂が待っているということになる。体調のせいか、天候のせいか、身体がやや重く感じるが、我慢我慢。岬探訪は常に修行僧のようだ。
長い上り坂は、だんだんと急勾配になってきた。さらに九十九折(つづらおり)の道となり、ほとんど登山のような雰囲気になった。立ち止まりはしなかったが、数年前の自分には考えられないようなスローペースの歩行になっていた。甘いものを欠かさない日々の食生活が祟っているのか・・・。
直線の坂を上りきったところに、吉母(よしも)処分場が目の前に広がった。なるほど、確かにゴミ処分場にしたくなるような広大な土地が広がっている。海に面しているからなおさら広く見えるのか。この海に面した北方に、目指す毘沙ノ鼻がある。
吉母処分場からさらに上り坂を歩くこと数分、この間、下りどころか平坦な道さえもない、常に上り坂の道であった。まさに修行の道のりである。しかし同時に、膝や足首に極度のブレーキをかけなければいけない帰り道が少し思いやられた。