放浪旅
(第2編)
〜 第2編 北海道東半周・2008年最後の旅路 〜
明けて、12月30日。快晴とはいかないまでも晴れていて良い朝となった。旅の間にしては珍しくゆっくり起き、朝から温泉に浸かって朝飯も大量に食した。移動のバスの都合もあり浜頓別を発つのは昼なのでこのようになった。チェックアウト後、目の前のクッチャロ湖畔へ。7年ぶりの白鳥たちとの再会。晴れ渡った湖畔で寒さを忘れた時間が流れた。
南下するにつれて空が曇ってきた。海に突き出た北見神威岬を過ぎると、ほどなく枝幸に到着。カニの町だというが、ここではほとんど時間を取れず、さらに南下するバスに乗り継ぎ。枝幸から、次に目指す雄武(おうむ)との間は鉄道がつながらなかった区間で、バスは1日4往復しかない。この、「1本逃すとスケジュールが大幅に狂う」というスリルが、たまらなく面白い。
動物は全般嫌いだが、自然と一体化した野生の動物は見ていて面白い。1時間くらい居たが立ち去るのは惜しかった。
今日はオホーツク沿いをひたすら南下し網走まで向かう。前夜すべて書き終えた年賀状を投函し、昼少し前に浜頓別を後にした。
枝幸へ向かうバスは1日6往復。ここもかつては鉄道があった(興浜北線)。興部と浜頓別を結ぶべく、双方の頭文字を取った路線名。
その夢は叶わず、後を継いだのがこのバス。列車から見るオホーツク海も美しかったに違いない。空・海・雪のコントラストが眩しい。
曇ってきたとはいっても、延々と続く海岸線と水平線には見飽きることはない。年々減っていると言われるが、流氷が押し寄せる季節にも通ってみたい区間である。
約1時間で雄武に到着。枝幸でもそうだが、閑散とした風景が町の中心街になると急に変わる。
雄武は、年末の買出しと思われる地元の人々で意外なほどに賑わっていた。朝飯を大量に食したが、それでも14時を過ぎると腹が減ってきた。バスターミナル近くの喫茶店で焼肉丼と海鮮ラーメンの昼食。店主がカレンダーをくれたが「旅人なので」と妙な理由で断った。
雄武では1時間以上のインターバルがあったが、食べ過ぎて街中を散策する気が失せてしまった。
次なる目的地は紋別。さらに1時間余りのバス旅であるが、途中の興部までは旧興浜南線、興部からは旧名寄本線という、廃線跡バス区間である。
いずれも20年くらい前に廃線になっているが、旧名寄本線は線路跡のほか橋脚の残骸など、バスの車窓からもはっきり分かるほどに残っていた。
北の冬は夜が早い。16時も過ぎるとかなり暗く、昼間の美しいオホーツクは暗黒の海に変わった。
紋別に着いたのは16:30だが、左の画像のとおり真っ暗。晴天でなかったにしても早すぎる夕暮れに驚く。
遠軽行きのバスまで約1時間あったが、バスターミナルの周りを歩いたり待合室のテレビニュースを見ているうちに過ぎた。
バスの中で体が暖まっていたのも束の間、すぐに冷えてきた。気温は分からないが確実に氷点下であろう。
遠軽までは1時間20分ほど。本当はサロマ湖沿いを行ってオホーツク海沿い南下に徹したかったが、バス便がないので諦める。
すっかり夜なので車窓は楽しめなかったが、中湧別では廃線跡らしくディーゼル車両が1両保存してあった。雪に埋もれて寂しさが漂う。
ちょうど1日前の中頓別あたりのように、真っ暗な町は人のけはいがなく、寝静まっているようだった。
それでも、遠軽に着くと意外に商店などの灯りが多く何だか少しホッとした。もっとも、ほとんど閉店していたが。
ここから今日の宿・網走までは久々の(といっても丸1日ぶりだが)列車の旅で2時間半を過ごす。1回乗り換えがあるとはいえ、意外と距離は長い。
ガラガラではないが座席には余裕のある車内だった。途中乗り換える北見の前後で多少の乗客の入れ替わりはあったが、列車は淡々と網走を目指す。昼に浜頓別を発ってひたすら乗り続けてオホーツクを南下。こういう1日もまた良いものだ。夜も更けて外は真っ暗で、網走湖も網走川も見えなかったが、外灯の光が反射して揺れていたので凍ってはいないようだ。22:15、定刻に網走に到着。