放浪旅
VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
史上最低の奇行文
〜其の3 日本海ヲ北上ス の巻〜

第1編 下関を発し 山陰を駆け抜け 北陸路へ
 >>> 中途半端な旅人が中途半端な画像と中途半端な文章で綴る <<<
2004年12月30日。
東京発の夜行寝台列車から降り立った
旅乞食は、この山口県下関を起点に、
はるか彼方の青森県龍飛崎を目指した。

旅乞食史上、最長にして最も酔狂な旅
の一部始終を、とくとご覧あれ。
←下関名物「ふくめし」。
  実はあまり好きではないのだが
  つい買ってしまった。
下関は小雨が降り始めてますます寒くなってきた。
寝台列車の揺れの中で書いた年賀状を出すために郵便ポストを捜していたところ、なんと駅前に
本局を発見。田舎で投函すると、一日の収集回数が2回くらいだったりするので、これは運が良い。

駅構内で名物「ふくめし」を購入し、山陰本線のローカル列車へと乗り込む。
年末のためか、車内は立ち客も出る盛況。はるか北へと向かう長い旅のスタート列車としては少し
賑わいすぎているような気もするが、ローカル線とはイメージだけで実は普段からこの調子なのか
も知れない。

天候は悪いながらも、途中からは日本海の海原も車窓から望めるようになり、旅の雰囲気が出て
きた。日本海は、これから4日間にわたって車窓の友となる。冬特有の波のうねりを何回見られる
だろうか。

小串で乗り換えた長門市行きもなかなかの混雑だったが、長門市から先は静かな車内となった。
そして列車は、日本海に寄り添い始める。入り江の浜にひしめくようにして民家が立ち並ぶ光景は、
この地域に限らず多く見られるが、山陰という雰囲気に満ちている。
山口県と島根県との県境に差しかかる頃、雨は本降りになってきた。季節柄、晴天は全く期待して
おらず、場合によっては雪で足止めされる覚悟もしてはいたが、実際に悪天候に遭遇するとやはり
いい気はしない。

島根県最初の乗換駅の益田では、天候さえ悪くなければ途中下車しての散策も頭にあったが、
かなり激しい降りだったため、そそくさと乗り継ぎの列車に乗り込む。しかもあまり風情の無いバス
のようなワンマン列車に。窓も開かず、勝手ながら面白味のない列車であった。

さて、車内を見渡すとほとんどは地元の人々と思しき人たちで、数人、旅行者と思われるいでたち
の人もいた。浜田や江津といった駅で乗客が入れ替わり、改めてローカル線の各駅停車という旅
を実感する。そんな車内にいると、あくせくと働いている日常が嘘のように感じるが、日常からの
逃避も兼ねた(?)今回の旅である。青森の端へ向かう乗客はもちろん自分一人であろう。
ホームから海が望める。
耳を澄ますと波の音も微かに
話は逸れるが、年賀状をまだ書き終えておらず、「本来年が明けてから書くもんだろうに・・・」
などとブツブツ言いながら車内で書いていた。もし車窓が釘付けになるほど素晴らしかったら、
年賀状書きも進まなかったであろう。ちなみに、途中停車駅の温泉津(ゆのつ)や出雲市で
投函し、終了した。少し字が跳ねてしまった作品は、in山陰本線 ということである。

天気も悪いためか、冬のためか、おそらくその両方であろうが日暮れがとても早い。17時ころ
には真っ暗で、窓ガラスに顔を引っ付けてやっと外の様子が分かる。かつて訪れたこともある
田儀(たぎ)駅はホームの目の前が日本海という海の駅≠セが、通った時間が悪かった。
日はすっかり沈み、線路に寄り添う国道を走る車ばかりが目立った。

益田から約3時間、同じ列車に乗りっぱなしだったがやっと出雲市に到着。出雲市も雨だった
が、雪が降ってもおかしくないくらいの寒さ。車内が暖かかっただけにその温度差には震えて
しまう。ホームからは年の瀬らしい華やかなライトアップが見られたが、寒さを我慢してでも・・・
というほどのものではなかった。

ところでこの出雲市で、旅乞食サイト開設当初からのウオッチャーの先輩 T氏から電話が。
結局今年一年会うことなく、来年早々にでも飲みに行きましょうと言って会話は終ったのだが
さすがにこの日本海北上の旅には呆れている様子が明らかに聞き取れた。
一般大衆の想像を絶する旅乞食の真髄を見せつけたような気がした。
夜も更けた
田儀駅
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鉛色の雲、民家のひしめき合う漁村、風になびくススキ・・・冬の日本海がそこにある
(第2編)
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
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厳冬の
道東一周
(第1編)
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S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
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目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
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(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
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VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
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