放浪旅
VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
第2編 越後・出羽路は夢の中 新年は雪の地で始動
(第2編)
夜明けの東能代(秋田県)  小雪舞う 雲間からわずかに ご来光
秋田を過ぎた頃、目が覚めた。昔は、夜行列車に乗っていると所々で目が覚め熟睡はできなかった
ものだが、最近は途中で目が覚めることはめったにない。

車掌のアナウンスがあった「皆様、新年明けましておめでとうございます。・・・・・列車は定刻どおりに
・・・・・」そうか、新年だ。単なる365分の1とは言っても、やはり元旦はそのスタートの日。その日を
旅先で迎えているところに、自分にしか分からない感動がある。

東能代に到着。今日はローカル線の中のローカル線、五能線で日本海岸を巡る。さっそく1時間近い
待ち時間がある。日頃あくせくしているのだ、今日くらいはノンビリと過ごそう。
五能線の車窓は格別だ。日本海に寄り添うように線路が続く。時間帯によっては太陽が海の向こう
へと沈んでゆく姿も列車から見られるはずである。ただし海沿いを走るリスクとして、強風による運行
規制がある。かつて途中駅で立ち往生させられたのも、この五能線であった。

今日は風もそれほど強くなく、海は荒れているものの冬にしてはそれほど激しくはない。車窓は岩舘
〜大間越のあたりから華麗さを増す。海面から高い位置を走っていた列車も、やがて海面すれすれ
の高さとなり目が離せない。荒涼とした海が続くのみだが、普段は海を見ていないせいか、飽きない。

車窓だけでも十分なのだが、何しろ放浪旅なので乗りっぱなしではやはり面白くない・・・ということで、
途中駅のウェスパ椿山で下車。前から気にはなっていたのだが、初めて途中下車した。線路をまたぐ
モノレール、山の上には不似合いな西洋風の建築物・・・、「村おこし」という言葉を連想した。
2005年初の途中下車は
雪の中のリゾート駅
新年早々から営業していた
温泉を独占
もちろん、批判しているのではない。観光業を中心とするなら観光客を呼べるような何かがなければ
ならないのだから、このような施設を作っても何もおかしくはない。どんな建築物も、見慣れるまでは
不自然に映るものだ。

元旦だから全館休業かもと思っていたが、駅前の物産館をはじめレストランや温泉は営業しており
感心した。欲を言えば、たびTを売っていてほしかったが。本格的に降り始めた雪の中、温泉までは
数分。観光客もまばらな中、除雪車の走り回る音だけが雪原に響く。これもまた情緒溢れる光景だ。

温泉には誰も居なかった。本来なら窓の外には日本海が広がっているはずだが、内外の気温差が
あるため窓ガラスは曇りっぱなしで、外は全く見えなかった。外の冷気から開放されて浸かる温泉は
また格別。温泉の泉質は塩分が含まれており、しょっぱかった。
吹雪の中のウェスパ椿山
じっくりと温まった後、休憩室から窓の外を見ると、日本海は猛烈な吹雪に霞んで見えた。これぞ
冬の日本海と言える風景。下関からの北上の距離と時間の長さは、この風景が証明していた。
強風は止まず、雪が真横に流れ、波は岩場に容赦なく打ちつけていた。

駅まで引き返す雪道を歩きながら、このような風景を望めるところにこのウェスパ椿山があること
に、感動を覚えずにはいられなかった。建物も道もない自然の山であったなら、とても近づけない
場所なのだ。

朝の列車を降りたときには次の列車までの2時間をどう過ごすか考えたものだが、過ぎてみると
もっと長くいても良かったかなと思えてしまう、ウェスパ椿山でのひとときだった。
吹雪の中、定刻どおりに次の列車が到着。次なる目的地、深浦へと向かった。
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日本海は吹雪に霞んでいた。正面は椿山
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
(第1編)
(第2編)
(第3編)