VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
放浪旅
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
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翌30日は空はどんよりと曇り空。天気予報を観ると、これから向かう方面はかなり激しい雨の予報。乗りまくる旅とはいえ、天気は良いにこしたことはない。

というのも、山陰本線では2年前の年越しに乗ったときにも強風による立ち往生があったのだ。苦い記憶が甦るが、安全最優先が当然であろうから仕方ない。

朝の米子駅で、昼食用の吾左衛門寿司(鯖)をゲットしつつ快速「アクアライナー」へ乗車。辛うじて座席にありつけるくらいの混雑だった。
米子を8:30に発つこの列車は、終着の益田まで乗りとおせば12時過ぎに着くが、それも味気ないということで、どこかで途中下車しようと思っていた。雨の中の散策も嫌なので、空模様を見ながらということにしたが、松江を過ぎたあたりから雨が降り始めた。こういうときの予報はきれいに当たるものだ。傘は持っているのだが、どこかで降りるか、このまま乗り通すか・・・迷いが始まった。
出雲市、大田市、温泉津・・・と車内の乗客は要所要所で入れ替わるが、それほどに空く気配はない。長大ローカル線といわれる山陰本線であるが、まだまだ沿線の道路網も未発達なのだろうか。

ボックス席ではないため、時折身体をねじらせて海を見る。波しぶきが白く、高く、荒い。いかにも冬らしい風景で、これぞ冬の日本海。

列車は緩やかな川面の江の川を渡り、江津に到着。米子から2時間半が経っていた。遅延はなく、一安心。しかも雨が止んでいる。午前中が雨のピークという予報だったが、それも当たったか。
江津駅での数分の停車時間にホームに出た。端まで行くと、三江線との分岐が見える。西の只見線=iと、勝手に名付けた)という本数の極めて少ない路線と実態を知っているからこそ、そのレールに哀愁を感じる。いつまでもこのレールが残っていれば良いのだが。

再び列車に乗り、下車支度を始める。次の停車駅、都野津で途中下車することに決めたからだ。下車候補地は事前にいくつかあったが、一度も訪ねたことのない地がベストだ。都野津に到着したときはほとんど体感できないくらいの小雨。このままもってくれと祈る。
史跡関係にはほとんど興味がないが、10分少々歩いて着いた海は、はるか太古の昔の物語の地ということで驚いた。案内板が古く錆び付いて読めたものではないが、何の変哲もない地にこのような所縁があるとは。詩人でも歌人でもない一旅人だが、詩でも作りたい気になった。
画像を見て頂いてもわかるとおり、晴れ間も覗くほどに天気が回復していた。風も冷たく寒いが、前日の小舞子海岸ほどではない。足下は降った雨で柔らかくなっており歩きづらかったが、砂浜が美しい。真っ青な空の下であれば、なおさら映えるであろう。人一人いなかったが、ゴミが目立った。温暖化は自然現象で防げなくても、環境破壊は防げるはずだ。暫く佇んだ後、都野津駅へ戻った。
都野津から20分余りで浜田に到着。昨年春の桜の季節に訪れて以来だが、駅舎が高架に新しく生まれ変わっていて驚いた。しかしそれ以上に、土砂降りの雨が降りだして驚いた。都野津の海岸散策中に降られていたらと思うとゾッとする。運が良いようだ。

浜田から益田まで特急「スーパーおき」に乗る。土砂降りの雨の中、定刻にやって来た。増結しても4両編成というところが悲しい。車内で、「吾左衛門寿司(鯖)」を食す。朝はホテルのバイキングをたらふく食ったにも拘らず、大好物だけにスイスイ平らげた。相変わらずの無芸大食だ。
吾左衛門寿司を食して満腹になったころ益田に到着。乗り換えた列車で眠ってしまうだろうと思っていたら、乗り換えた長門市行き鈍行列車は1両編成で、座席にありつけない客も多数の満員だったので、列車最後部で立席とする。

周囲に鉄道マニアが多数・・

益田から下関の間は特急列車もない区間で、まさにローカル線となるのだが、その車窓の多くは海沿いのしかも海面に近い高さである。天候の悪さゆえ窓ガラスが汚いが、それを差し引いても列車の旅の醍醐味の車窓≠楽しめる区間である。
狭い地に、道・民家・線路がひしめくような風景が多い。ちょうど、人と人が肩を寄せ合って生きているような風景にも見える。荒野に一見ポツンと佇むよりも密集することによって、厳しい寒さから身を守っていけるのかも知れない。
東萩〜萩あたりでは海からは離れるが、その後は再び海沿いを走る。見飽きない風景であったがやがて長門市に到着。

長門市で山陰線の下関方面と美祢線との二手に分岐するが、乗客は意外にも美祢線のほうに多く移ったように見えた。

乗り換え後の山陰線の列車では座席を確保。天気も回復してきており、わずかながら日本海に沈む夕日に期待できそうだ。

長門市を出てからは海沿い区間は減り、寒村の中をコトコトと進む雰囲気に変わる。再び海に出くわす小串で下車。
2年前は下関の手前の福江駅で落日を拝んだ(と言っても不発だった)ので、今回は小串駅で駅前徒歩3分の海岸へ。空は夕焼け色に染まるも風が強烈で、これは全く2年前と同じだ。この旅が始まってから最も寒い思いをして駅に戻った。おしるこ缶の温かさがいつものことながらありがたい。

日没後の小串から先は外も真っ暗で、ただ乗っているだけの移動となる。下関から関門海峡を立ち席で越え、九州に上陸。小倉から快速列車で眠ったり起きたりするうちに1時間余りで博多到着。駅ビル内の博多ラーメン店が開いており、食糧運の良い1日だった。それにしても、博多も寒い・・・。
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
(第1編)
(第2編)
(第3編)