VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
放浪旅
(第2編)
(第3編)
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宮古からも暫くの間は内陸を走る。かつて本州最東端を訪れたときに通った区間で、懐かしい。浪板海岸・吉里吉里・大槌といったあたりで再び太平洋が見え隠れするが、さすがに日本海側で見る夕日のような、感動的な風景ではない。そもそも、それより前の陸中山田あたりで日が暮れていたのだ。

北海道よりは南だが、冬だけあって夜になるのが早い。17時過ぎに釜石に着く頃には真っ暗。まだ今日の旅は3時間近く残っているが・・・。同じ列車で、盛(さかり)まで乗り通す。
ちなみに、釜石から盛はJRではなく三陸鉄道南リアス線だが、北リアスと同様、上記画像のようなフリーパスがあり、青春18きっぷの旅行者なら正規の半額で購入できる。さすが、元JR(国鉄)ならではの配慮。ちなみに、全区間乗り通すだけでモトが取れる。

前述のとおり、外は真っ暗なので暖房の効いた暖かい車内で自然と睡魔に襲われる。案の定、大半の区間で寝てしまった。

車内が煌々と明るく、外が真っ暗なので天気は分かりづらいが、空には三日月が輝いていた。車内の乗客の中年男性が、この辺にホテルはないかと運転士に尋ねている。あてなき旅をしているのだろうか、なかなかのチャレンジャーだと思った。
盛からは本日最後の列車、大船渡線に乗って気仙沼へ向かう。1時間ほどの旅。相変わらず窓の外は真っ暗だが、先ほど眠ってしまったためか眠くはなかった。夜だからか、県境(岩手〜宮城)を越える列車だからか、車内はガラガラであった。ふいに、今日が元旦であったことを思い出す。どんな一年になるのか。どんな旅をしようか。1年後、どこでどんな年越し旅になっているか・・・。不思議と、旅の妄想(?)に耽ると時間の経つのは早い。定刻に気仙沼に着き、タクシーで旅館に向かった。
食べ物や温泉は決して旅の目的にはならないのだが、今回のように素泊まりできるようなビジネスホテルがなかったりすると、1泊2食付の旅館に泊まることがある。気仙沼では、名物のフカヒレ料理で満腹になった。

明けて、1月2日。気仙沼には出ず、歩いていける距離の南気仙沼駅から旅を始める。

細かいことを言うと、気仙沼〜南気仙沼を乗らないので一筆書きが成立しないのだが、自分ルールなので適当に誤魔化すことにする。南気仙沼から乗った快速「南三陸」で待っていたのは座れないほどの大混雑だった。
正月だからなのか、穏やかな晴天だからなのか、もともと人の往来が多いのか、どんな理由か知らないが、気仙沼〜仙台間は混み合う区間のようだ。
快速列車で約2時間だから、決して近くはないはずだが。土地勘がないとよく分からない。

結局、石巻線に乗り換える前谷地(まえやち)まで立ちっ放しの1時間だった。ただ、気仙沼線も途中までは海の眺望の素晴らしい区間が多数あり、日差しも心地よく降り注いでいた。

田園風景の中、石巻線で石巻へ出た後は、仙石線に乗り換えて仙台を目指す。車窓は都市に変わった。
石巻から仙台まで普通列車で約1時間20分。首都圏なら東京から湘南地域まで行くぐらいの距離だが、ここでも仙台に近付くにつれて乗客が増していった。

仙台に着く頃には、立ち客どころか通勤ラッシュさながらの大混雑。おまけに仙台駅の仙石線ホームは外れに位置しているため、乗降客でかなりごった返していた。

もう少し静かな雰囲気を想像していたが、かなり賑やかな仙台駅内外であった。比較的地味な常磐線ルートで東京を目指すが、意外にも仙台駅の常磐線出発ホームも混雑していた。
仙台から乗る常磐線普通列車が、こんなに多くの乗客を乗せているとは思わなかった。どう見ても大動脈は東北本線である。

乗客も数えるくらいしかいないような車内を想像していたが、仙台〜原ノ町間の1時間あまりも、原ノ町〜いわきの1時間20分も、多少乗客が入れ替わるくらいで、普通列車には珍しく、長時間空席の少ない状態が続いた。原ノ町で乗り継いだ人々ばかりのように思えた。

地図で見るほど海沿いを走っていない常磐線では、特に派手な風景もないまま刻々と南下を続けた。やがて、宮城県から福島県へと入った。
いわきは福島県だが、茨城県に隣接していることもあって東北≠ニいうイメージがあまりない。急に、東京への帰路だという実感がとても強くなった。陽も傾き始めて、いよいよ旅のゴールが近づいてきた感があるが、今日のようにひたすら乗り継ぐという旅は、実はだんだんと飽きが来る。そのため、いわきから水戸までの1時間30分は何をしていたのか、思い出せない。確かなのは、窓の外が確実に夕暮れを迎えて暗くなりかけていたことだけ。
水戸からは、初めて鹿島臨海鉄道に乗る。これも、できるだけ太平洋沿岸を辿って東京に帰るという変人ならではの拘りにほかならない。車窓は日暮れの後で、進行方向右手の空が燃えるように紅かったのが印象的だった。

しかし、多くの区間で高架橋の上を走っていた記憶があるので、改めて昼間に乗ってみたい区間ではある。水戸から鹿島神宮まで1時間20分近くで意外と長いが、コンスタントに乗客も入れ替わるうえに、本数も概ね1時間に平均1本以上はあるので、廃止されることはないと願いたい。
鹿島神宮では広々とした駅前にイルミネーションが華々しく、19時過ぎともなると初詣客もいない。毎年、通りがかりに神社や寺があった場合は無意識に初詣と銘打って手を合わせているが、今回は鹿島神宮も、鹿島線と成田線を乗り継いだ香取(神宮)にも立ち寄ることなく、神頼み嫌いという原点に戻った。海のような河口付近の利根川を渡るのが夜というのが、非常に勿体ない。真っ暗な夜の川や海も、趣があるといえばあるのだが。
香取〜千葉と乗り継いで、いよいよ総武線快速で東京駅へと戻る。東京駅が終着という列車が良かったが、それは叶わず横須賀線直通の列車に。いつもながら過ぎてみればあっという間の6日間だったが、手帳を読み返すと40の列車、バス、フェリー、タクシーを乗り継いだ壮大な旅であった。
最後の乗車列車を見送って、日本半周の旅は終わった。さぁ、残りの半周はいつの日に・・・
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
(第1編)
(第2編)
(第3編)