〜SCENE3  
九州4分の3周で7県踏破 〜
VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
放浪旅
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
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博多で12月31日を迎えた。小雪の舞う寒い朝であった。旅の朝では早起きも厭わないため、5時すぎに起床。夜も明け切らぬ7時前、福岡市営地下鉄の博多から西を目指す。

今日は九州を左回りに4分の3周≠キる予定・・・だが、姪浜から先のJR筑肥線が強風のため不通とのこと。年末旅は過去2年連続で遅延などが起きており、今回もそのジンクスは生きていた。
当初は、西唐津から伊万里、有田、諫早を経由して鳥栖に向かう予定だったから、博多から鳥栖に直線で行っても非常に味気ない。

西日本一周にふさわしい大回り、しかも同じ区間を重複しない一筆書き≠ナ行くには、やはりどんな手段を使っても伊万里へ行くしかない。

ということで姪浜から天神まで戻って(→よく考えるとこの時点で区間重複しているが)天神バスターミナルから伊万里行きバスの乗客となる。
バスは定刻発車。都市高速から福岡の町を抜けると、外には雪がちらつき始めた。幸い海沿いではないので強風の影響はなし。時折見える海は灰色で荒れていた。

ちなみに、大分方面へ向かうバス便は、道路が積雪で通行止めにより運休するとのアナウンスが盛んに流れていて、今日の後々の行程への不安が募った。そんなに寒波なのか・・。

バスは1時間半ほどで伊万里に到着。便利なものだ。これでは列車からバスに乗客を取られても無理はない。列車中心の旅の最中にバスの便利さを知る皮肉な結果になった。
伊万里は内陸の町なので覚悟はしていたが、寒さがこたえた。気温も低いが北風が強烈。空腹と寒さをしのぐ
ため、じゃがりこを買って松浦鉄道車内へ。

今日は乗り継ぎまくる旅のため、少しの遅れが命取りになる。向い側の列車で佐世保周りのコースを取りたいのはやまやまだが、断念。有田には30分ほどの乗車で到着。

有田焼カレーという看板が出ていたがそんなに有名なのだろうか。ギャル曽根が認めた味と言われても、何でも限りなくガンガン食べる人に認められても・・・という気がするが。
有田から今日初めてのJR乗車(佐世保線)で早岐へ向かう。念のため、この後の乗車予定路線に遅れがないが確認したが、遅延はなさそうで一安心。今日1日で九州7県を全て踏破する予定で、早岐に到着して長崎県に足を踏み入れたことになる。大村線の快速に乗り換えて諫早を目指す。2両編成はほどほどの乗車率。海側のボックス席から、右手に広がる海を眺めることができた。
快速列車の愛称「シーサイドライナー」の名のとおり、多くの区間で海沿いを走ったが、海といっても内海で限りなく湖に近い雰囲気のため、波はいたって穏やか。ハウステンボスなどを横目に見つつ、1時間足らずで諫早到着。長崎まで行ってしまうと一筆書き不成立なので、乗り換え。慌しい乗り継ぎだが、そのくらいが丁度良い。諫早からは特急「かもめ」で鳥栖へ向かう。
特急列車内の車内販売で買った「バタどら」が爽やかな甘味で、大袈裟ながら鳥栖に直行せずバスで伊万里に出るルートを選んで良かったと、しみじみ思うのであった。
さて、大村線の車窓では晴れ渡っていた空も、東へ向かう特急「かもめ」の車窓では特に佐賀県に入ってから、ところどころで雪が舞っていた。

九州の平地で雪を見るのはおそらく生涯初めて。鳥栖では雪が舞うというより吹雪いているような状況だった。駅横のスタジアムも雪に晒されていた。

そんな中。鳥栖駅でホームの立ち食いソバに挑戦(?)。「丸天ソバ」の温かさは嫌というほど身体に沁み込んだ。顔周辺だけが熱く、それ以外が凍えていた。

しかし、ソバの温もりはあっという間に消えた。
今度は缶コーンスープを買い、八代行きの普通列車に乗り込む。どう頑張っても飲み終えた後の缶底にコーンが数粒残るのが歯痒いが、そうこうしているうちに発車。ほぼ完成していると思われる九州新幹線の橋脚に沿って走るうちに熊本へ。列車の揺れが心地よすぎて、ところどころで眠っていた。鳥栖から新八代まで2時間半。普通列車で走破するのは初めてで、徐々に尻や腰が痛くなってきた。
2時間半の旅を終え、民間化した肥薩おれんじ鉄道に乗り換え。熊本を過ぎたあたり
から空は晴れていて、寒いことには変わりないが、雪も雨も降っていない。朝の不通のような番狂わせはもうなさそうだ。

出水行きの列車は左の画像のとおりラッピング車両で、なんとコンビニ塗装だった。一見すると車内で肉まんやおでんが買えそうな気がするが、車内はもちろん何の変哲もない普通の列車。

東京都内のバスや列車でもこの手の広告車両をよく見かけるので、だいぶ見慣れてはきたが、広告収入が貴重とはいえまだ違和感がある。列車は列車の色であってほしい、、これもエゴだろうか。
肥薩おれんじ鉄道がJRだった頃から、昼間に通った記憶はない区間で、陽が傾きかけた車窓には海原と島か陸地か判別し難い影が広がる。

出水で5分の乗り継ぎの後、川内行きへ。新幹線も通る駅だが意外と静かだった。乗り換えてからの車窓は、夕暮れから漆黒の夜へと変わった。

窓の外が暗くなったので楽しみも半減。読書や音楽で時間を潰す。困ったことに腹が減ってきてしまった。今日はあまり食事らしい食事をしていなかった。
川内に到着し、15分少々でJRに乗り換えるが、その間に売店で食糧調達。とは言っても、駅弁ではなく何の変哲もないコンビニ弁当。飢えることを考えると贅沢は言えないが、不味い。今年最後の食事がコンビニ弁当とは・・・。乗客の少ない車内でボソボソ食べているうちに、鹿児島中央に到着。
九州の南までやってきてもやはり寒い。鹿児島中央駅は大晦日の夜とは思えないほど、普段の夜のような雰囲気。乗り換えに1時間あるため待合室へ行くが、待合室にテレビはなかった。毎年旅先で紅白歌合戦を目にするが今年はなし。昨年南千歳で観たのを思い出す。やはり1年は早い。

鹿児島中央から普通列車で約2時間半。さすがに1日乗りっ放しで身体が痛い。

窓の外は、満月が美しいのが印象的だった。南宮崎でこの駅始発の「ドリームにちりん」に乗り換えて、恒例の年越し瞬間乗車≠ヨ。2年前は下りの同列車で年越しだったが、今回はその逆。高鍋到着前に0時を迎え、佐伯までの2時間で九州4分の3周を完結した。
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
(第1編)
(第2編)
(第3編)