VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
放浪旅
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
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12月30日。宮古は快晴でとても寒い朝。駅まで行く途中にある郵便局で、すべての年賀状を出し終えた。30日の朝の段階ですべて投函完了するのは近年では早いペース。いつもの年は31日の午前中までかかっていた。

9時過ぎの駅構内は列車待ちの人々で混み合っていた。その人ごみは2列に分かれていたが、いずれも盛岡行き。一方は釜石や遠野、花巻を経由(昨日通ったコース)して盛岡へ向かい、もう一方は山田線で盛岡へ一直線。乗るのは後者。

実は初めて山田線に乗った15年前から、その平凡な名前とは裏腹の非凡な車窓がとても気に入っている。今回も、晴天も手伝って茂市以降の山間の区間は存分に雪景色を楽しめた。特に標高も高いと思われる区界駅付近は見事な雪晴れの風景。
やはり皆の評価は高いようだ。只見線や五能線といった、メジャーなローカル線≠ノはなり得ていないと思われる山田線だが、この列車(快速「リアス」)はほとんどの席が埋まっている。もっとも、この列車を逃すと何時間も次の列車は来ないので当然かも知れないが。分水嶺を越える頃の車窓にはあちこちから感嘆の声が上がっていた。青空も手伝って、眩しいばかりの銀世界であった。ちなみに後日談だが、山田線は翌31日から数日、大雪の影響で全線不通・一部不通になっていた。
2時間以上経ったとは思えず、あっという間に盛岡到着。駅構内をウロウロしつつ、1時間余りのインターバルで花輪線へ。

正確には盛岡〜好摩間はいわて銀河鉄道線でJRではない。その区間の乗降客も多数いた。新幹線開通の影≠ニされる並行在来線だが、今後も存続してほしいと願う。

好摩から花輪線区間に入ると、雪を被った岩手山が眼前に迫る風景に変わる。北森駅あたりではかなり間近に雄姿を望むことができる。しかし、晴天だった空も段々と曇ってきた。
車中で弁当を食った悪影響もあり、良い車窓風景なのに睡魔に勝てず途中でうつらうつらと居眠りしてしまった。今日あたり、いよいよ天候悪化で足止めを食らうかと覚悟していたが、現時点では強風や吹雪ということはなかったので、途中下車を画策してみた。

昨日の「ほっとゆだ」に味を占めてまた温泉に入りたくなってしまい、湯瀬温泉駅で降りようかと考えたが岩手⇒秋田の県境で車窓が何だか侘し過ぎる寒々しい雰囲気だったので降りず、その先の、終点大館に近い大滝温泉駅で下車。がしかし、ここも十分侘しかった。
駅から直進するとほどなく、米代川を渡る。が、その先もこれといって何もなく、引き返して温泉街らしきあたりを歩いたが、潰れたまま廃墟と化しているホテルや、営業しているのか休業なのか見分けもつかないようなホテルがあったりで、期待はずれ。駅名を変えた方がいいかも知れない。

こういう地域を歩いてみて、やれ秘湯だの何だのと騒がれているのは、全国に無数にある温泉のうちのほんの一部なんだろうなと思う。宣伝の仕方一つで雰囲気が変わるなら、ぜひ協力したいものだ。キョロキョロしながら歩くこのときの筆者は、見ようによっては「不審な人物」であろう。
画像や映像では、もちろん地図上でも、その町がどの程度活気があるのか、またはどの程度廃れているのか、当然分からない。

実態を知るのに、やはり途中下車や散策は欠かせない。たまたま駅名に惹かれて(?)降りた大滝温泉で、改めてそのことを実感した。

ちょっとした工夫で、ちょっとした宣伝で、地元の人と観光客・旅人で程よく賑わう、昨日の「ほっとゆだ」のようになると思うのだが・・・。
そのような中、温泉街(・・・と言って良いかどうか迷うが、とりあえず)の一角にあった薬師神社という神社の境内の片隅に足湯を発見。

ふくらはぎから下だけ温まった。足だけ熱い。ちょっとした露天風呂のような、妙な感覚だ。浅いが身体ごと浸かりたい気分になる。もちろん自重したが。

足湯といえば、4年前の年越し放浪で北海道の川湯温泉駅にもあったが、それ以来か。あのときは室内だったが今回は露天足湯≠セ。

途中からクルマでやって来た中年夫婦も加わったが、特に言葉を交わすでもなく、静かに時が流れた。看板には額が汗ばむくらいまで浸かると良いようなことが書かれているが、寒いのでそこまではいかなかった。
風呂上り≠ノ冬の定番・おしるこ缶を買って飲みながら大滝温泉駅へ戻る。当然だが、足の周りだけ温かい。駅へ戻ると、有り難いことに待合室がストーブで暖まっていた。

大滝温泉の記憶が、足湯と暖かい待合室しかなくなってしまうのは残念だが、仕方がない。すっかり空も暗くなった頃、定刻にやって来た普通列車に乗り、ほどなく終点の大館に到着。

ちなみに大館ではこの地が出身というハチ公のTシャツをゲット。無類の犬嫌いの筆者だが、Tなら抵抗はない。それにしても、たびTはいろいろな知識を授けてくれるものだ。
本日の宿泊先・弘前に電話を入れると、レストランは年末年始の休暇で営業しておらず、周辺には居酒屋しかないとのこと。ちょっとガックリだが、聞いておいて良かった。
そこで、大館で名物駅弁の鶏めしを購入。

思えば、昨日・今日と、天気運のほか食事運にも恵まれている。

本日のラストは青森行きの普通列車。
弘前には定刻に到着し下車。2日目はたった4列車しか乗らない小旅行≠ナあったが、トラブルなく無事に終わった。
さすがに明日はこうはいかないだろう。

天気予報も依然変わらず、大荒れ。
ワクワクとドキドキが入り混じりつつ就寝。
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最西端経由
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