放浪旅
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「いい日旅立ち」のアラームをかけていた5時50分まで、一度も起きずに熟睡。まだ外は暗いが、通過駅の駅名標は「能登川」。やはり遅れている。しかし油断して二度寝すると大変なことになるので、渋々起きた。
下車駅の京都には約20分の遅れで到着。ついつい開いている店に入り、うどんを食してしまった。年越しそばを食べていないので、年明けうどん・・・というわけではない。ホームから階段を上って立ち食いの店を見るにつけ、食べねば!という衝動に駆られたのだ。
駅前に出て京都タワーを眺めた後、山陰本線に乗り換え。京都は晴れに近い曇りで、途中からは進行方向後方から初日の出に照らされた。しかしそれよりも驚いたのは、積もっている雪の多さ。澄み切った青空に映えて、美しい。
ところで、山陰地方が大雪でダイヤに乱れが出ていることは前日の時点で知っていたが、最も恐れていた東北〜信越〜北陸を少ない遅延で切り抜けて、ついつい楽観的になっていた。園部から、遅延地獄(!)が幕を開けることになる。
園部では、隣の駅で倒木があったため(雪が原因のよう)折り返しの列車が到着せず、結果として先発列車が1時間20分の遅れで発車。ちなみに、間もなく発車しますというアナウンスから実際の発車まで10分以上は経っていた気がする。
普段から京都は寒い地域というイメージがあるが、この年末年始の寒波は大きな影響があったようだ。園部以降はかなりの雪景色。そのうえ雪が止んで晴れ渡っているので、この先の行程を考えるのを忘れてしまうくらい寒い。福知山など、高架にホームがあるとなおさら風が冷たい。城崎温泉行きの列車に飛び乗った。
城崎温泉以西は大雪で不通というのが最新情報で、鳥取へ抜ける行程を考えねばならなくなったが、選択肢は2つ。
1つ目の選択肢は、行けるところまで行ってそこで判断する。今現在は晴れているので、何とかなってそうな期待はあった。
2つ目は、一筆書き≠ニいうポリシーに則って、城崎温泉よりも前の駅で別路線に乗り換える選択。
しかし、1年前に入った城崎温泉が懐かしく、身体も冷えていたのであまり深く考えずあっさり前者を選択してしまった。
ちなみに、後者を選んで和田山から播但線に乗っても、姫路で交差する(帰路は新幹線で通過予定だが)ため、一筆書き完遂は結局不可能なのだ。
そのようなわけで城崎温泉に着くと、そこそこ混雑している温泉街を歩き「地蔵湯」に入浴。いつからこんなに温泉好きになってしまったのだろうか。昔は全く興味なかったのだが。
結局、城崎温泉から西への復旧は叶わず、和田山まで折り返すことに。それどころか、晴れていた空は一変して曇り、普通列車遅延の計らいで乗ることができた特急「北近畿」に乗る頃には雪になっていた。
ちなみに、入浴後に駅で買った但馬牛ちらし弁当は本来は美味しいのであろうが、冷たくなっていて残念な味であった。満員の乗客が豊岡で入れ替わり、その先の和田山で下車。雪の舞う中、いそいそと播但線に乗り換え、姫路を目指す。城崎で身体が温まり、特急車内で駅弁を食って、昨日の睡眠時間が短かったとなれば、起きていろというのは残酷な話で、初めて乗る路線だが眠り込んでしまった。途中乗り換えも含めて姫路までの1時間余りで、雪は止んでいた。
・・・と思ったのも束の間、姫新線に乗り換える頃には雪が降り出していて、しかも急な勢いで降り出した。4時間前の城崎での出来事と同じで、どうやら寒波に追いかけられているようだ。どこまで行っても足止めを喰らう危険と隣り合わせの旅である。
唯一の迂回効果は、災い転じてというやつで姫路城Tシャツをゲットした。冬でも売っているとは珍しい。ついにたびTブームがやってきたかと勝手に想像した。
姫新線はかつて乗ったような乗ってないような、記憶が曖昧な路線だが、途中から夜が更けて窓の外が見えなくなった。智頭急行線と交差する佐用で乗り換え。18時だが深夜のような暗さ。雨のような雪のような、そんな天気だった。
夕食の調達が気になったが、そんなときに限って降りる駅には何もないもので、佐用も同様。駅前にコンビニくらいあるべき、とは都会人のエゴである。
佐用からは今日の宿を取っている新見まで直通。新見のホテルに電話したとき、ホテル付近にコンビ二等は無いと断言されていた。
津山で停車時間が少々。しかし残念ながら駅前に店はない。駅構内の売店も閉店している。元旦早々、飢えている旅人など想像できないのであろう。
外は暗く、興味は食事調達しかなかった。中国勝山はかつて降りたこともあるが記憶の限りでは津山よりも小さい駅で駅前に店はなかったはず・・・。
新年から空腹地獄を覚悟していたが、中国勝山駅が近づくとローソンの塔(?)が!約10分の停車時間を運転士に確認してから、一目散に走り出した。無賃乗車を捕まらないように逃げているかのような走りだ。しかも駅の前でなく少し離れた道路沿いにあったが、ここで引き返せるわけがない。
人間、必死になると何でもできるものだ。暖房の効いた車内で身体が温まっていたのも幸いして結構早く走れたし、コンビニも空いていたので、弁当を温めてもらってもまだ時間に余裕があった。さっそく車内で食す。(中身は覚えていないが)コンビニ弁当がこれほど美味かったとは!!
津山から先、途中駅で少しずつ乗客を降ろしながら定刻に新見到着。ポツポツと小雨が降っている天気で、深夜も近づき閑散とした駅前には不釣合いなイルミネーション。どことなく空しさを感じながら、波乱に富んだ2011年の初日は終わった。