霞ヶ浦流域における野鳥観察記

 オオセッカ 

  体の上面が濃い褐色で,背に太い黒色縦斑がある。下面はオリーブ色。

  神栖市高浜の常陸利根川と利根川にはさまれた耕作放棄地に形成された広大なヨシ原,稲敷市浮島のヨシ原,妙岐ノ鼻に生息している希少種。環境省レッドデータブックでは,絶滅危惧TA類。
 5月から6月の営巣時期には,「ジュリジュリジュリジュリ」と鳴きながら,ヨシ原を飛び出して滞空し,10秒足らずでヨシ原に戻るという,ディスプレイフライトを行います。冬期は,ヨシ原から飛び出ることがなく,姿を見つけるのは容易ではありません。
 近年,涸沼のヨシ原でも生息が確認されたようです。大きなヨシ原群落が形成されれば,オオセッカの生息域が広がるのかもしれません。
 しかしながら,東日本大震災の後,神栖市高浜と妙岐ノ鼻の生息数が激減しているように思われることが,気がかりです。かつては,神栖市高浜のヨシ原では,その全域でオオセッカのディスプレイフライトが観察できましたが,震災の後は,その一部の狭いエリアでしか見ることができません。