コチドリ (チドリ目カモメ科) ★★★(留鳥又は毎年定期的に見られる)


  夏羽では,上面は灰褐色,下面は白で,額に黒い帯模様があります。目の周りにははっきりとした黄色のリングがあります。冬羽では,額の黒帯が薄れ,目の周りのリングもやや細くなり,のっぺりとした印象になります。幼鳥は,冬羽に似ていますが,細い薄茶色の羽縁があることから,体の上面がうろこ状に見えます。
 脚の色は,黄色又は淡紅色。
  「ビューイ,ビューイ」とか「ビィ,ビィ」とか,イカルチドリに比べると少し濁った声を出します。

  我が国では,主に夏鳥とされますが,霞ヶ浦流域では留鳥です。冬でも,沿岸のハス田などでごく普通に見かけます。9月初旬ごろには,沿岸のハス田では,数が多くなります。春の渡りのシーズンでは,水が張られた水田にも,姿を現します。
 5月頃にかけて,砂礫の多い土地などで繁殖します。砂礫地であって,安全な場所であれば,資材置き場のような場所でも繁殖します。巣に人や動物が近づくと,いわゆる偽傷行為をします。かつて気づかずに,コチドリの巣に近づいてしまったことがあったのですが,そのときも,親鳥が地面に伏せて,翼を広げて,注意を引いていました。そのとき,コチドリは興奮しているらしく,「ハァ,ハァ」という息づかいが聞こえてきました。
 また,ハス田などで,縄張り争いなのか,2,3羽のコチドリが,大きな声を出して,追いかけ回していることがあります。普段は,数歩歩いて立ち止まるという動作を繰り返しますが,このときは,数十歩を連続して,かなりのスピードで走ります。
 

成鳥夏羽。夏羽と言っても,この個体のように,実際には1月から2月頃には,冬羽から夏羽の換羽がほぼ完了する。後に見えるのはオジロトウネン。両種は,霞ヶ浦沿岸域で越冬する。平成24年2月 土浦市。


成鳥冬羽と思われる。平成28年12月 土浦市。


羽にはまだ羽縁があることから,この個体は,この年の春に生まれた幼鳥であり,早くも夏羽に換羽が始まったもののように思われる。平成26年11月 土浦市。


偽傷を行う成鳥。この場所から数メートルのところに巣があり,筆者がそれと知らずに近づいたため,偽傷を行ったものと考えられる。「ハァ,ハァ」と激しく呼吸する音が,聞こえた。平成19年7月 神栖市。


コチドリのアルビノ(白化個体)。この個体は,この地で越冬した模様。平成27年12月 土浦市。