放浪旅
VOL.1
サロベツ原野
VOL.2
室戸岬登山
VOL.3
日本海ヲ北上ス
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.4
津軽海峡
梅雨景色
VOL.5
まわり道
最果て行
(第1編)
(第2編)
12月31日。今年最後の日は四国西端を巡る旅となる。快晴の空の下、宇和島から予土線に乗る。たった1両の車両は混雑するでもなくガラガラでもなく、程よく座席は埋まっていた。
天候も良いためか車窓も美しく、やがて大河が現れると途中下車してみたくなった。幸い今日は時間に余裕があるため、愛媛・高知の県境に近い駅・江川崎で降りた。

駅前を歩き出すと、日陰には何と雪が残っていた。この12月下旬は各地で大雪に見舞われたようだが、この地も例外ではないようだ。
駅から数分で川に出た。四万十川だろうか、よく分からないのだが、美しい川なのでそれが何という名でもよかった。暖かな日差しを受けながら、しばらく川べりで過ごした。
江川崎駅に戻ると、地元のおばちゃんと話をした。息子さんが東京で働いているそうだ。大学卒業後、一旦地元に帰ってきたが再び東京へと移って行ったとか。東京は暮らしやすいのかと聞かれたが「生活するには便利ですが・・・」と曖昧に答えた。

再び乗り込んだ予土線は、鉄橋あり、トンネルありの変化に富んだ車窓だが、さらに山あいに入ると、雪はあちこちで見られるようになった。四国とはいえ山間部。雪が降ってもおかしくはない。やや曇り始めた空が気になったあたりで、終点の窪川に到着した。
窪川からは土佐くろしお鉄道に乗り換え、四国南西端の町・宿毛を目指す。この線は沿線の多くの箇所で太平洋を望むことができる。車窓から見るだけでは物足りなく、また時間もたっぷりあるので、途中駅・土佐入野で途中下車した。この駅から徒歩数分で入野松原まで行ける。
また、ここにはリフレッシュ施設「NEST」があり、大海原を見ながら大浴場で手足を伸ばしてくつろぐことができた。

ちょうど1年前の放浪のときに青森県の風雪の地に温泉施設を見つけて湯に浸かったのを思い出した。

脱衣場で高校サッカーを見て、ロビーでアイスクリームを食べ、再び旅に戻った。
昼ごろまでの青空が嘘のような曇り空で、今にも雨が降り出しそうになってきた。そんな中で列車は中村を過ぎ、終着の宿毛に到着。3月頃だったか、特急列車が車止めに激突して一時は運休していたはずだが、綺麗に改装されて都会のような雰囲気の駅舎だった。
駅前の食堂は居酒屋のような雰囲気だったが、腹が減っていたのでカツ丼を注文してバクバク食べた。

駅前の観光案内には太平洋に吸い込まれるように沈んでゆくダルマ夕日≠ェクローズアップされていたが、今日は今にも雨が降り出しそうな空模様。夕日どころではなかったが、再び訪れたいと思う地ではあった。

宿毛駅からはバスで九州行きフェリーの発着場・片島岸壁へと向かう。バスの乗客は自分だけであった。
旅先で年越しするだけでは飽き足らず、列車の中で新年を迎えるというこだわりに徹して6年目になる。だが6年ともなると適当な列車も見つからず、今年は船中で新年を迎えることにした。

そこで今回の、四国を経て九州の端・枕崎を目指すという珍企画が生まれたわけで、放浪人でもなければ東京の人間が宿毛〜佐伯間のフェリーに乗ることはまずないであろう。

駅から数分で到着した片島岸壁は、プレハブ小屋のような待合室があるだけの寂しげな船着場だった。
待合室には中年のおっちゃんが一人。京都から列車に乗り、折りたたみ自転車を担いでやって来たと言う。船の出発まで5時間近くの間、待合室では紅白歌合戦も放映されていたが、おっちゃんにいろんな話を聞かされた。次第にマイカー客なども増え始め、想像していた静かな年越しとは裏腹な、騒がしい夜となってきた。いつの間にか、外では雨が降り始めていた。
(第3編)
VOL.6
厳冬の
道東一周
(第1編)
(第2編)
VOL.7
S字曲線で
離島の岬へ
(第1編)
(第2編)
VOL.8
目指せ!
本州最西端
VOL.9
日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.10
続・日本半周
一筆書きの旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.11
リベンジ!
尻羽岬
VOL.12
前人未踏?!
本州一周の旅
(第1編)
(第2編)
(第3編)
VOL.13
東京発、
最西端経由
最東端行き
(第1編)
(第2編)
(第3編)