東野圭吾ランキングとおすすめ本

東野圭吾ガリレオの苦悩。内海刑事初登場。

内海刑事初登場

「あの方を紹介していただけませんか?」  内海刑事、初登場。

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

ガリレオの苦悩「第一章 落下る」に登場します。 ドラマでは見られなくなった柴咲コウ扮する内海刑事。 そのせいもあって、今改めて読むと面白く読めるから不思議です。

「まわりくどい言い方をする男だな…」

ガリレオ湯川と内海刑事の初接触も面白く描かれています。

「第一章 落下る」、「第二章 操縦る」

ガリレオの苦悩は「第一章 落下る」、「第二章 操縦る」が読み応えアリです。

ガリレオシリーズの順番、雰囲気を掴むうえで、 内海刑事が初登場する「落下る」は欠かせないと思います。

女性の飛び降り事件のはなしで、事故か他殺か、はたまた犯人は… 男性では気づきにくい事柄を内海がズバズバ指摘していきます。リズム感良く痛快です。 「草薙刑事の過去」としてスペシャルドラマでも一部使われています。

「第二章 操縦る」はスペシャルドラマで使われた原作メイン。 出演は蟹江敬三と香里奈、ときどき長沢まさみ。 原作では、車椅子の蟹江敬三は「湯川の大学の元助教授」という設定です。

湯川たちを招いての食事会の最中、事件が。離れの部屋が爆発し、部屋が炎上してしまいます。 その離れには問題ばかりを起こすワケアリ実子がいたのですが…

「人の心も科学です。」

「第一章落下る」で光るのは内海刑事の慧眼さ。「第ニ章操縦る」で光るのは「湯川の思いやり」です。 ガリレオの苦悩を改めて読むと、意外と傑作揃いな短編集でした。おすすめです。

「ガリレオの苦悩」と「聖女の救済」の順番

「どちらを先読む?」

「ガリレオの苦悩」は「聖女の救済」。発売時期は同時です。 ただ「長編から読みたい」と思うのが読者心理でして、 両方イッペンに買ってきて、聖女の救済から読みはじめました。

しかし上にも書いたように「第一章 落下る」で内海刑事が初登場。 ガリレオの苦悩から先に読んだほうが順番としてはスムーズになります。 実際、聖女の救済で内海が湯川を訪れるシーンは「ん?」と理解が飛びました。

ガリレオの苦悩、せめて「第一章 落下る」だけは先に読むのがおすすめとなります。

小説はマンガなどと同じく、はじめは雑誌に掲載されます。 聖女の救済は、06年11月から08年4月の連載でした。一方ガリレオの苦悩は、

  • 第一章 落下る、06年9月号、オール讀物
  • 第二章 操縦る、08年3月号、別冊文藝春秋274号
  • 第三章 密室る、GIALLO08年夏号
  • 第四章 指標す、書き下ろし
  • 第五章 撹乱す、別冊文藝春秋276号

第二章 操縦ると聖女の救済はニアミスですが、 内容自体はどちらを先に読んでも問題ないかと思います。 以下、他のタイトルのあらすじです。

「第三章密室る」はロッジでの密室のはなし。 ドラマでは吉高が山ガール、山荘に行くというようにアレンジされてました。

ロッジの経営者は、湯川の大学時代の友人。 その友人からロッジで起きた「奇妙な密室事件」について相談されます。 ところが「事件そのもの」について湯川が聞こうとしたところ友人は口ごもり… 一番印象に残るキーワードは「一番風呂の泡」です。

「第四章指標す」はダウジングのはなし。水晶「ミズガミサマ」を使って、 事件に絡む「飼い犬の行方」を捜します。 年配女性が殺害され、仏壇からは金の延べ棒が消えていた。 疑われたのは…ミズガミサマを持つ少女の母親です。

このはなし、はじめに読んだとき、飼い犬が発見されたとき鳥肌でした。 ガリレオ的ミステリーとしては一番楽しめます。

「第五章撹乱す」。ドラマでは生瀬勝久が演じたはなし。 「悪魔の手」を使った犯行を起こす…犯行声明が警察に届きます。 一方の湯川にもなぜか同様の手紙が届き…犯人の狙い、そして悪魔の手とは?

ガリレオの苦悩の短編集。今読むと面白かったランキング順にしてみます。

  1. 第一章 落下る、06年9月号、オール讀物
  2. 第二章 操縦る、08年3月号、別冊文藝春秋274号
  3. 第四章 指標す、書き下ろし
  4. 第五章 撹乱す、別冊文藝春秋276号
  5. 第三章 密室る、GIALLO08年夏号

ガリレオTを見て。ガリレオUも見た方は、ひさびさ「第一章 落下る」を読むと楽しめます。 個人的に強く推薦。

「あいつはもう警察には協力しないよ」

内海から紹介を頼まれたとき、草薙が言ったこの言葉。 容疑者Xからの流れで読むと、楽しめること一層です。

ちなみに。ガリレオドラマがはじまったのは07年10月。 当初はテレビ向けに「柴咲コウの女性刑事」を付けたしたのだと思ってましたが、 順番からいうと06年原作には登場していたわけで…特にアレンジされたわけではなかったようです。